J-WAVEで放送中の番組『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』(ナビゲーター:グローバー)。10月26日(土)のオンエアでは、フィッシュマンズを特集。映像ディレクター・川村ケンスケとPolarisのオオヤユウスケをゲストに迎えて、フィッシュマンズについて熱い音楽談義を展開した。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年11月2日28時59まで)
■最大の魅力はチープなところ?
フィッシュマンズが音楽シーンに与えた影響として、一体どんなことが挙げられるのだろうか。川村は、"音響系"と呼ばれるバンドに影響を及ぼしていると話す。
川村:フィッシュマンズのダブっぽいところとか、音を後で処理して作るところとか、ライブですらそういうことをする人は多くなりました。ただ、フィッシュマンズの最大の魅力はチープなところだと思っているので、その要素を引き継いでいる人があまりいないのはちょっと残念かな。ある種、音楽の重要な要素である「軽いな」「いい加減でデタラメだな」っていうことをやっている人がいない気がします。
オオヤは、川村の言葉に同調しつつ、こう述べた。
オオヤ:高校生のときに初めてフィッシュマンズのライブを観たときの感覚って、チープなんですよね。ベースとドラムの演奏は当時からずば抜けて上手かったけど、そういうところじゃなくて「いいのか悪いのかよくわからない音楽」みたいな良さがありました。
■映像のイメージが浮かびにくい
オンエアでは、これまで数々のミュージックビデオを制作してきた川村が厳選した「聴いていると映像が浮かんでくるフィッシュマンズ曲」TOP3を紹介した。
3位:『忘れちゃうひととき』
川村:「このミュージックビデオを作れ」と言われたらとても困るんです。だから、もし作るとしたらライブ演奏シーンになるのかなと思います。全く映像のイメージがないんです。
グローバー:今回のセレクトは「聴いていると映像が浮かんでくるフィッシュマンズ曲」なんですが(笑)。
川村:間違えました(笑)。簡単に言うとスネアドラムの音が大好きなんですけど、「こんなミックスあり得るのかな?」って感じなんですよ。
オオヤ:このアルバム(『ORANGE』)は、そうですよね。当時、「変な音だな」って聴いたときに思いました。
川村:それをどうやって映像化するかって話で悩んじゃうんですよね。
オオヤ:「聴いていると映像が浮かばないフィッシュマンズ曲」ですね(笑)。
2位:『Go Go Round This World!』
川村:この曲で佐藤(伸治)くんの歌う「ラララ〜」が刺さりまくっているんですよ。それを聴きたいだけなんだよね。それをどうやって映像化するかって話ですよ(笑)。
グローバー:また映像が浮かんでないじゃん(笑)。
オオヤ:真逆じゃないですか!
1位:『Just Thing』
川村:ここで僕が紹介するのは、ライブアルバム『8月の現状』に収録されているリミックスのやつ。僕はこの『Just Thing』のビデオを作ったんです。これは浮かんでくるというよりは、作っちゃったんです。
川村は「安っぽいバンドにしたい」という想いでフィッシュマンズの映像を作ったという。
川村:小さいクラブみたいなところで演奏をしてるシーンにしようと思ったんです。その中にいろんなエフェクトを入れて、日比谷野音の映像も入れて、ちょっとトリップするような映像を入れて構成しようと。だから、ライブを再構成している感じですね。
グローバー:よかった。やっと最後に映像が浮かぶ曲が出てきましたね。
オオヤ:結局、何のセレクトだったんですか?
川村:「好きな曲」です!
■フィッシュマンズは「ゼロであること」を表現しようとしていた?
改めて、オオヤと川村のふたりがフィッシュマンズから受けた影響とは何なのだろうか?
オオヤ:今改めて、佐藤さんの歌い手としての魅力に惹かれています。Polarisを再結成してからよりそう感じて、僕自身が解き放たれたのか、ソロのライブでフィッシュマンズの曲を歌ったりし始めたんです。みんなのフィッシュマンズになってきた気がして、そういう風に聴くと「いい曲がいっぱいあるな」と、最近は違う視点で聴いたりもしていますね。
一方の川村は、こう話した。
川村:僕の仕事上、必ず映像として映さなきゃいけないものがあるんです。映さなきゃいけないという宿命的な仕事だけど、佐藤くんには「写ってなくていいじゃん」っていうことを教えてもらいました。つまり、ドラムの音がするからドラムの映像が必要なのか、「この歌詞だからこういうビデオにしなきゃいけない」とか。そういう、音からインスピレーションを受けるポイントみたいなものを全て無視しちゃうこと。
川村は「フィッシュマンズの音楽自体が果たして何かを表現しようとしていたのか」と考えると、「もしかしたら実は何も言おうとしてないんじゃないか」と思ったこともあるそうだ。
川村:フィッシュマンズは「ゼロであること」を表現しようとしてたんじゃないか、と思ったときがありました。じゃあ「ゼロである映像って何だろう?」「撮らないことってあり得るのか?」「自分の意思が入らない映像ってあるのか?」、そういうことに踏み込むきっかけを作ってくれた音楽だなと思います。
J-WAVE『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』では、ゲストを迎え、1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を繰り広げている。放送時間は土曜の17分頃から。ぜひチェックしてほしい。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年11月2日28時59まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』
放送日時:毎週土曜 17時-17時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/musicology/
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年11月2日28時59まで)
■最大の魅力はチープなところ?
フィッシュマンズが音楽シーンに与えた影響として、一体どんなことが挙げられるのだろうか。川村は、"音響系"と呼ばれるバンドに影響を及ぼしていると話す。
川村:フィッシュマンズのダブっぽいところとか、音を後で処理して作るところとか、ライブですらそういうことをする人は多くなりました。ただ、フィッシュマンズの最大の魅力はチープなところだと思っているので、その要素を引き継いでいる人があまりいないのはちょっと残念かな。ある種、音楽の重要な要素である「軽いな」「いい加減でデタラメだな」っていうことをやっている人がいない気がします。
オオヤは、川村の言葉に同調しつつ、こう述べた。
オオヤ:高校生のときに初めてフィッシュマンズのライブを観たときの感覚って、チープなんですよね。ベースとドラムの演奏は当時からずば抜けて上手かったけど、そういうところじゃなくて「いいのか悪いのかよくわからない音楽」みたいな良さがありました。
■映像のイメージが浮かびにくい
オンエアでは、これまで数々のミュージックビデオを制作してきた川村が厳選した「聴いていると映像が浮かんでくるフィッシュマンズ曲」TOP3を紹介した。
3位:『忘れちゃうひととき』
川村:「このミュージックビデオを作れ」と言われたらとても困るんです。だから、もし作るとしたらライブ演奏シーンになるのかなと思います。全く映像のイメージがないんです。
グローバー:今回のセレクトは「聴いていると映像が浮かんでくるフィッシュマンズ曲」なんですが(笑)。
川村:間違えました(笑)。簡単に言うとスネアドラムの音が大好きなんですけど、「こんなミックスあり得るのかな?」って感じなんですよ。
オオヤ:このアルバム(『ORANGE』)は、そうですよね。当時、「変な音だな」って聴いたときに思いました。
川村:それをどうやって映像化するかって話で悩んじゃうんですよね。
オオヤ:「聴いていると映像が浮かばないフィッシュマンズ曲」ですね(笑)。
2位:『Go Go Round This World!』
川村:この曲で佐藤(伸治)くんの歌う「ラララ〜」が刺さりまくっているんですよ。それを聴きたいだけなんだよね。それをどうやって映像化するかって話ですよ(笑)。
グローバー:また映像が浮かんでないじゃん(笑)。
オオヤ:真逆じゃないですか!
1位:『Just Thing』
川村:ここで僕が紹介するのは、ライブアルバム『8月の現状』に収録されているリミックスのやつ。僕はこの『Just Thing』のビデオを作ったんです。これは浮かんでくるというよりは、作っちゃったんです。
川村は「安っぽいバンドにしたい」という想いでフィッシュマンズの映像を作ったという。
川村:小さいクラブみたいなところで演奏をしてるシーンにしようと思ったんです。その中にいろんなエフェクトを入れて、日比谷野音の映像も入れて、ちょっとトリップするような映像を入れて構成しようと。だから、ライブを再構成している感じですね。
グローバー:よかった。やっと最後に映像が浮かぶ曲が出てきましたね。
オオヤ:結局、何のセレクトだったんですか?
川村:「好きな曲」です!
■フィッシュマンズは「ゼロであること」を表現しようとしていた?
改めて、オオヤと川村のふたりがフィッシュマンズから受けた影響とは何なのだろうか?
オオヤ:今改めて、佐藤さんの歌い手としての魅力に惹かれています。Polarisを再結成してからよりそう感じて、僕自身が解き放たれたのか、ソロのライブでフィッシュマンズの曲を歌ったりし始めたんです。みんなのフィッシュマンズになってきた気がして、そういう風に聴くと「いい曲がいっぱいあるな」と、最近は違う視点で聴いたりもしていますね。
一方の川村は、こう話した。
川村:僕の仕事上、必ず映像として映さなきゃいけないものがあるんです。映さなきゃいけないという宿命的な仕事だけど、佐藤くんには「写ってなくていいじゃん」っていうことを教えてもらいました。つまり、ドラムの音がするからドラムの映像が必要なのか、「この歌詞だからこういうビデオにしなきゃいけない」とか。そういう、音からインスピレーションを受けるポイントみたいなものを全て無視しちゃうこと。
川村は「フィッシュマンズの音楽自体が果たして何かを表現しようとしていたのか」と考えると、「もしかしたら実は何も言おうとしてないんじゃないか」と思ったこともあるそうだ。
川村:フィッシュマンズは「ゼロであること」を表現しようとしてたんじゃないか、と思ったときがありました。じゃあ「ゼロである映像って何だろう?」「撮らないことってあり得るのか?」「自分の意思が入らない映像ってあるのか?」、そういうことに踏み込むきっかけを作ってくれた音楽だなと思います。
J-WAVE『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』では、ゲストを迎え、1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を繰り広げている。放送時間は土曜の17分頃から。ぜひチェックしてほしい。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年11月2日28時59まで)
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【番組情報】
番組名:『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』
放送日時:毎週土曜 17時-17時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/musicology/
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