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『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレックは「鳥肌がとまらないほど素晴らしい」アカデミー賞授賞式を振り返る

『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレックは「鳥肌がとまらないほど素晴らしい」アカデミー賞授賞式を振り返る

J-WAVEでオンエア中の『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「ECC FEATURE FOCUS」。3月1日(金)のオンエアでは、「第91回アカデミー賞授賞式」を振り返り、ロサンゼルス在住のハリウッド外国人記者協会員・中島由紀子さんにお話を訊きました。


■『グリーンブック』受賞に賛否両論?

人種差別問題を扱った、実話をもとにした『グリーンブック』が作品賞、脚本賞、助演男優賞を受賞しました。

中島:『グリーンブック』は、観た人がホッとする映画です。今、トランプ大統領の恐ろしい時代の真っ只中ですから、こういう人種を乗り越えた友情に、温かさを感じた人がたくさんいたんじゃないでしょうか。
カビラ:批評家は鋭い分析をしていて、批判の声も上がっていたそうですね。
中島:そうなんです。映画に詳しい人や、差別にあっているマイノリティの人たちは、「白人が作った白人のための映画で、白人がフィールグッドするだけだ」と言っています。
カビラ:けっこう厳しい視点ですね。
中島:アメリカは文化や宗教が混ざっている国ですから、全員を満足させる映画は難しいです。

さらに、『グリーンブック』が波紋を呼ぶ理由として、中島さんがこんな裏話をしてくれました。

中島:主役である黒人ピアニストのドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の話であるべきなのに、本編は運転手のイタリア系のトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)の目からみたものばかりです。実際、シャーリーの遺族たちには一切相談がなかった、という暴露記事がありました。その辺が偏っているというわけです。もちろん、作った人は人種を越えた友情を描きたかったり、面白おかしく描きたかったりという目的だったと思いますが、詳しく追求すると偏った部分が出てくるという感じです。


■Netflix配信作品『ROMA/ローマ』

また、Netflix配信作品である『ROMA/ローマ』は、監督賞、外国語映画賞、撮影賞を受賞。これについて、中島さんは以下のように話します。

中島:映画そのものが素晴らしかったという、映画作りのポイントを2段階くらい持ち上げた映画です。白黒でスペイン語映画ということが危惧されていましたが、すごくウケました。Netflixが配信しながらミニマムの劇場公開をしたということで大勢に観てもらえた作品なので、劇場公開だけならごく一部の人しか鑑賞せず、これほど話題にならなかっただろうと思います。
カビラ:ネット配信だからこそ多くの方に観ていただいて、評価があがったということですか?
中島:これはアルフォンソ・キュアロン(スペイン語発音では「クアロン」)監督自身が言っています。「スパニッシュで、白黒映画で、誰が観てくれるんだ?」と。だからNetflixを選んだと言っています。
カビラ:これも裏話があって、メジャースタジオから「この企画は無理だ」と断られたそうですね。
中島:お金にならない作品をメジャースタジオは扱わないですから、完全に監督が行き詰まったわけです。彼の作りたかった白黒で、ものすごく盛り上がりがある映画じゃなく、主役は素人。思うようにできるのはNetflixしかなかったということのようです。


■ラミ・マレックの素晴らしい演技

ゴールデングローブ賞に続き、主演男優賞は『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレックが受賞しました。実は、中島さんは古くからクイーンと縁があると言います。

中島:実は私、クイーンが1975年に日本でツアーをしていたときに、通訳をしていたんです。2週間くらいフレディ・マーキュリーをずっとみていました。フレディが生きている姿をほとんど見たことがない彼があの姿をキャプチャしていて、映画を観ている間、鳥肌がとまらないくらい素晴らしいと思いました。ラミのほうがずっと小さいですから、手足の長いフレディをどう演じるのかなと思っていましたが、見事にキャプチャしていました。

主演女優賞は、有力候補『天才作家の妻 40年目の真実』のグレン・クローズではなく、『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマンが受賞しました。

中島:私からみると互角です。グレン・クローズもうまい女優さんで、何回もノミネートされていますが、受賞はかないませんでした。でも、この映画のオリヴィア・コールマンは非の打ち所がないほど、アン女王をよく捉えてました。
カビラ:批評家のみなさんは「グレン・クローズは、もっといい作品に恵まれるはずだ」と言っていますが、どうなのでしょうか?
中島:それは、いい理由ですね。確かにもっと素晴らしいものを見せてくれるんじゃないかという期待はあります。

最後に中島さんは、今後の映画界について、以下のように話しました。

中島:Netflixの作品のように、金儲けだけで作らない制作会社は、ハリウッドのためにもいいと思います。『ROMA/ローマ』のように地味で素晴らしい映画を、監督が作りたいように作らせてくれる。いまはアメリカンコミックがベースの映画が牛耳ってますから、違う展開になることを期待しています。

気になった作品があったら、ぜひチェックしてみてください。

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【番組情報】
番組名:『〜JK RADIO〜TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/

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