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カチカチのアイスも食べやすく!指の熱がつたわるスプーンを考案した、寺田尚樹のデザイン論

カチカチのアイスも食べやすく!指の熱がつたわるスプーンを考案した、寺田尚樹のデザイン論

J-WAVEで放送中の番組『TRUME TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。7月28日(土)のオンエアでは、建築家でデザイナーの寺田尚樹さんをゲストにお迎えし、寺田さんのユニークで革新的な活動についてお話を伺いました。


■相撲、花見、オーケストラ…紙製の模型を考案

まずは、寺田さんが考案した紙でできたシート状の模型シリーズ「テラダモケイ」について伺いました。

寺田:これは1/100スケールでできています。建築の模型ではポピュラーなサイズですが、元々は建築の模型に添えるようなアクセサリーのイメージで作りました。だんだん楽しくなってきて、「相撲編」とか「JR201系 中央線(快速)編」などを作るようになりました。最初は建築用のアクセサリーとして販売し、少し違ったものもやってみたら反響があり売れたので、どんどん新しいものをやっていこう、という面白さが出てきました。
市川:いろいろな場所で「テラダモケイ」を目にします。この商品の魅力について、どう思いますか。
寺田:これまであまり模型を作らなかった人が、多く買ってくれています。フラットな紙のグラフィックというか、その模様が面白くて、「組み立てたら、どうなるんだろう」と想像することに興味を持ってもらえているのかなと思います。
市川:特に反響が大きい商品を教えてください。
寺田:桜の木に自分で花を付けていく「お花見編」や「オーケストラ編」などが特に人気ですね。


■建築と料理はプロセスが似ている

寺田さんは建築家、デザイナー、モデラーのほか、料理研究家という肩書きもあります。

寺田:料理が単純に好きなんですよ。料理は建築を作ったりプロダクトを作るのとよく似ています。誰のために作るかが決まっていて、予算があり、素材を調べ、それを順番に組み立てていく。これは、建築の現場でコンクリートを打たないと次の工程に進めないことと同様に、パスタもソースを作ってからじゃないとパスタを茹でられないなど、プロセスが似ていると思い、僕は建築も料理も同列に考えています。


■カチカチのアイスでも、すくいやすいスプーン

料理関連で寺田さんが気に入っているプロダクトが、アイスクリーム専用のスプーン「15.0%」です。

寺田:これはアイスクリームを食べるためだけに開発したスプーンです。
市川:カップのアイスを買ったら付いてくる木のスプーンの大きさで、素材は金属、厚みがあり太めの持ち手になっていますね。
寺田:素材はアルミでできています。アルミって熱伝導率が高いんです。熱をすごく伝えるので、手の熱がスプーンに伝わるんですね。スプーンが手の温度に温まって、アイスがすくいやすくなります。
市川:なるほど! (かたいアイスでも)すぐ食べられる。
寺田:そうなんです。僕はアイスが大好きなんですけど、冷凍庫から出してすぐのアイスってカチカチで、すぐ食べられないじゃないですか。それがじれったくて。そのために、熱ですくう機能を持つスプーンをデザインしました。

アルミを扱うメーカーから「なにか新しいプロダクトを考えてほしい」という依頼があったことから「15.0%」は誕生したそうです。

寺田:アルミでなにか作りたいなって考えていた時に、「アイスクリームをすくうときって、いつもじれったいな」ってことと結びついて、「じゃあ、アルミでアイスクリームのスプーンを作ろう」という発想が生まれました。
市川:このスプーンは贈り物として最高ですよね。
寺田:ほぼ、プレゼント需要ですね。

市川は「新幹線で販売されるアイスクリームはカチカチですぐには食べられないので、車両モチーフの『15.0%』があったらいいな」と寺田さんにプレゼンしました。


■リアルな空間をデザインすることが重要

テクノロジーが進むなか、寺田さんにデザインの未来について伺いました。

寺田:現在はバーチャルなツールがどんどん出ていますが、「デザイナーの仕事はツールを使いこなすこと」と勘違いされるのは嫌だなと思います。デザイナーはもっと根本を考える仕事なので、今はその表層の部分にみんな意識がいってしまっているような気がします。
市川:建築自体はこれからどう進化すると思いますか。
寺田:バーチャルな世界で、実際にはオフィスに行かないで自宅で仕事をすることがどんどん増えてくると思います。でも、最終的に最もプロダクティブな意思決定をする時は、リアルに人が会うことが重要だと考えています。その意味で、リアルな空間をデザインすることが、この先もっと重要になってくるような気がしますし、人と人が同じ場所を共有することにもっと価値が出てくると思います。


■夢はアイスクリーム屋さん

最後に今後の寺田さんの夢を伺うと、意外な回答が返ってきました。

寺田:アイスクリーム楽しむプロセスを考えてスプーンをデザインして、その行き着く先を考えると、アイスクリーム自体をデザインしなきゃいけない。僕は「アイスクリーム屋さんになりたい」と思ってるんです。
市川:意外すぎる答えですね(笑)。
寺田:人を楽しくすることが目的のスプーンがあって、それをもっと突き詰めていけば、美味しいアイスに行き着くなって。ちゃんとアイスのフレーバーを考えて、レシピを考えて、全部やりたいです。

寺田さんが開くアイスクリーム屋を想像するだけで、わくわくしますね! 「テラダモケイ」や「15.0%」もぜひ手にとってみてください。

次回、2018年8月4日(土)の『TRUME TIME AND TIDE』は、『バガボンド』、『ドラゴン桜』、『働きマン』、『宇宙兄弟』など、ヒット作を支える編集者・佐渡島庸平さんをお迎えします。お聴き逃しなく!

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【番組情報】
番組名:『TRUME TIME AND TIDE』
放送日時:毎週土曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/timeandtide/

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