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2018年版の“ヒットの法則”を音楽ライターが解説! 閲覧注意のMVも…

2018年版の“ヒットの法則”を音楽ライターが解説! 閲覧注意のMVも…

J-WAVEで放送中の『GOLD RUSH』(ナビゲーター:渡部 建)のワンコーナー「CURIOUSCOPE」。5月18日(金)のオンエアでは、「2018年版、音楽業界ヒットの法則」に注目。『ヒットの崩壊』(講談社)の著者で、音楽ジャーナリストの柴 那典さんにお話を伺いました。


■世界的に見ると…日本はまだまだCDが売れている国

まずは、日本のみなさんがどのように音楽を手に入れているかを解説してもらいました。

2017年は70~80パーセントがCD(DVD、映像ソフトも含む)、およそ9パーセントがダウンロード、同じくおよそ9パーセントがストリーミングだと、柴さんは言います。実は、ここまでCDが売れているのは、世界的にみて日本だけだそうです。

:世界全体ではストリーミングが38パーセント、CD・DVD・レコードなどは合わせて30パーセント、ダウンロードが16パーセント。ダウンロードがかなり減っています。
渡部:ダウンロードが減っているのは、ストリーミング拡大の影響ですか?
:そうです。
渡部:CDは日本だけが頑張っているという状況ですか?
:そうですね。日本だけがCDショップを含めて元気なんです。


■アナログレコードブームも

しかし、今後は日本国内の割合も変わっていきそうと、柴さん。そんな中、アナログレコードは売り上げを伸ばしていると言います。

:これは、アナログレコードブームということではなくて、5~6年、へたをしたら10年くらい、ずっと伸びてるんです。
渡部:理由は何ですか?
:ニューヨークのレコードショップに行ったことがあるんですけど、CDは置いていなくて、レコードしか置いていない店もが多いんです。
渡部:そうなんですか。
:若い人が集まっていて、そういう人たちもストリーミングで音楽を聴くんですけど、聴いて気に入って買いに行ってるんです。ポスターの感覚ですね。


■総合的にヒットすること

渡部:今までとは違った聴き方が増える中、今「ヒットする」というのは、どういう現象のことをいうんですか?
:ヒットは、日本だと90年代のCDが売れていた時代が、枚数が売れること、いわゆる「セールスランキング=ヒット」だったんですけど、今はそうではなくなってきています。たとえば、ストリーミングだったら何回再生されたか、YouTubeが何回再生されたか。そういった指標をポイント化して、今のヒットを見ていく感じです。オリコンはCDランキングですけど、ビルボードはそんな感じでチャートを出しています。
渡部:いろいろと総合的にみないと、わからないということですね。


■衝撃的なMVも人気

放送では、チャイルディッシュ・ガンビーノの『This Is America』を紹介しました。アメリカのビルボードで1位になっている曲で、ミュージックビデオの視聴回数は10日間で1億2000万回を超えました。



渡部:なぜ、このミュージックビデオが話題なんですか?
:衝撃的な内容なので、観るときに注意が必要なんです。登場人物がチャイルディッシュ・ガンビーノを銃で打ち抜いたりしています。人種差別とか、銃規制の問題とか、いろいろな深読みができる要素も入っています。楽しくダンスを踊っている場面でも、後ろで暴動みたいなことが起きていたりして、いろいろな人が謎を解くように解釈してるんです。
渡部:確かに意味ありげですね。
:曲名が『This Is America』(これがアメリカだ)ですからね。


■とにかくバズらせること

ここで、改めて2018年版の“ヒットの法則”についてお訊きしました。

:YouTubeやSNSでとにかく話題になること。いろいろな話題が巻き起こって、それが再生回生に直接関わってきます。 
渡部:バズらせ方は、モラルがない状況ですか?
:いろいろな例があります。大物がサプライズで何かをやってバズるパターンもあるし、逆に、炎上めいた不謹慎なことをやってバズる場合もあります。 
渡部:ほかには?
:バズらせ方ではありませんが……。5日前にかわいい猫の写真をリツイートしたことは覚えていませんが、曲は何度も聴き続けます。一度バズって「この曲いいな」と思うと、1週間くらいずっと再生回数がまわり続けます。その段階に至って、初めて「ヒット」と言えると思います。
渡部:「その日」というよりも、ある程度は継続的な再生回数の多さが重要ということですか。
:そうです。それは、昔ながらの曲のよさ、そこが左右するのは間違いありません。


■ズバリ、今のヒット曲は?

そこで、現時点で今年の最大のヒット曲の話題になりました。

:2017年の秋くらいから、いろいろなストリーミングでかかり続けている曲が、22歳で売り出し中のラッパー、ポスト・マローンの『rockstar ft. 21 Savage』です。



:きっかけはミュージックビデオではないんですが、曲の内容が「ホテルの窓からテレビを投げ捨てる」といった、派手なロックスターという感じで、そういう点がウケた要因のひとつだと思います。この前、アルバムが発売されたんですが、ほかの曲も含めてチャートに何曲も入っています。

ほかにも、今年のヒット曲として、ドレイクの『God’s Plan』を挙げました。



:こちらはミュージックビデオからヒットしました。1億ドルほど寄付して、そのことをミュージックビデオの中でドキュメントっぽくしたんです。「いい奴じゃん」ということでバズったんです。
渡部:いろいろなやり方がありますね。
:話題作りにはいろいろありますが、最終的には曲が聴かれ続けないといけないんです。

ほかにもアーティストが亡くなったり、グループが解散すると楽曲が再注目されるそうです。

:デヴィッド・ボウイやプリンスが亡くなったときなど、有名なアーティストが亡くなったときは、代表曲がチャートを駆け上がります。CDだとあまりこういう現象は起こらないんですけど、ストリーミングなのでみんなが聴くんです。
渡部:亡くなったというニュースとともに、音楽も流れますもんね。
:「やっぱり、いい曲だね」ということで、もう一度聴こうという思いになるんですね。今のヒットは、瞬間的にみんなが手持ちのスマホなどで「この曲を聴こう」と思って、みんなが聴いて、チャートが上がるんです。


■逮捕されてヒットすることも…

一方、バズり方のよくない例もあるそうです。アメリカの10代のラッパー、Tay-Kは強盗殺人の容疑者で、保護観察中に脱走。指名手配の写真と一緒にラップをしてYouTubeにアップし、翌日に逮捕されたそうです。

渡部:単に、再生回数を稼ぎたくて、そんなことをやったんですか?
:そうなんです。これがバズって、メジャーデビューして、スゴ腕の弁護士を付けて、今は裁判をしています。
渡部:お金はごっそりと入ってきてるんですか?
:そうなんです。
渡部:怖い世界ですね……。

そのほか、今は「再生回数=ヒット」になっているため、メディアが力を持つようになっているそうで、おすすめの曲のプレイリストを、どんどん発表している「サブミッションメディア」発のヒット曲も出てきているとのことでした。

ヒットについて気になる方は、柴さんの著書『ヒットの崩壊』を、ぜひ手にとってみてください。

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【番組情報】
番組名:『GOLD RUSH』
放送日時:金曜 16時30分ー20時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/goldrush/

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