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いきものがかり水野が会いたい人対談 完全版

いきものがかり水野が会いたい人対談 完全版

J-WAVEでオンエア中の「SONAR MUSIC」(ナビゲーター:藤田琢己)。11月3日(木)のオンエアでは木曜ミュージックオペレーター、いきものがかりの水野良樹が「ぜひお会いして、お話を聞きたかった」という、横浜DeNAベイスターズ元代表取締役社長、池田純さんとの対談の模様をお届けしました。こちらでは、対談の完全版をお届けします。

この日の番組は「楽しませたい」をテーマにお届けしました。池田さんはお客さんを「楽しませたい」との思いで数々の改革を実行し、横浜DeNAベイスターズを変えてきました。先月(2016年10月)をもって社長を退任されましたが、楽しませることにおいて、まさにプロフェッショナルです。

水野:お会いできて光栄です。
池田:いえ、こちらこそ、光栄です。
水野:池田さんの著書『空気のつくり方』(幻冬舎)を本屋で見つけて、気になって読ませていただいたんです。読んでいくうちに「ベイスターズって、こんなに変わったんだ!」と驚きました。僕たちは音楽を届ける側なんですけど、「人を楽しませる」というカテゴリーでは同じなので参考になる部分がたくさんありまして、ぜひお会いしたかったんです。
池田:ありがとうございます。
水野:池田さんは5年前に横浜DeNAベイスターズの社長になられましたが、きっかけは?
池田:僕は横浜スタジアムのそばの病院で生まれて、横浜の小学校に通っていたこともあって…奇遇だと思って手を挙げました。
水野:まさに横浜つながりだったんですね。これは失礼な言い方かもしれませんが、神奈川県民だった僕としても、横浜の皆さんでもあまり球団に興味を持っていなかった方も多いんじゃないかと思うんです。そういう人々にも球場に足を運んでもらうため、どのように気持ちを汲み取っていったんですか?
池田:みんな、楽しいほうが好きですよね。そこで、野球とそれ以外のありとあらゆる楽しいものとに接点を作るようにしたんです。

池田さんは、例えば、それまでの“球団ポスター”のイメージをガラリと変えるようなデザインにしたり、球場周辺にツリーハウスを作ったり、オリジナルのクラフトビールを開発したりしました。

水野:ビールを作ったのも、その一環ですか?
池田:そうです。スタジアムで飲むビールって、最高じゃないですか? もちろん大手のビール会社のビールも美味しいのですが、「なぜ、自分たちのビールを作らないんだろう」という思いもあったんです。そこで、ドイツに行ってあらゆるビールを飲み比べたこともありました。社員は「この社長はビールばっかり飲んでる」と思ったと思いますが。
水野:(笑)。そんな中で、社員の皆さんをどのようにして動かしていましたか?
池田:社員も楽しさを感じられるようにしました。みんなで、美味しいビールを飲みながらアイデアを出すようにしたんです。楽しいことをやっていると、街の皆さんからも反応があるので、自分たちの仕事が一層、楽しくなってくるんです。楽しくなさそうなところに人は集まりません。5年前は「灰色の水槽で泳いでいる金魚みたいな会社」って言った社員もいたほどですから…。
水野:そうだったんですか。一方、選手の皆さんの反応は?
池田:「球場にふさわしくない」って言われたこともあったんですけど…やっぱり、選手はお客さんが満員だと力が発揮できるんです。だんだん、満員の日が増えてくると、選手のほうから「今度は俺たちの番だ」とか、「ファンの声援に恩返しないといけない」って言ってくれて、意識が変わっていったんです。

池田さんご自身も楽しいことが大好きで、滅多に来日しないBruce Springsteenのコンサートを観るため、わざわざアリゾナに行くほどです。楽しい場所に行くことで得るものが多いため、色々なところに足を運んでいるそうです。

水野:池田さんは、スタジアムでかける音楽にも気を使っていて、それまで流していた「蛍の光」をやめたって聞いたんですけど…。
池田:「蛍の光」だと寂しいから、どういう感情で球場を後にするのがいいのかを考えて、「Home Sweet Home」(Mötley Crüe)に変えました。30〜40代の男性のお客さんが多いので、思春期に聴いていた曲で、聴くと幸せな気持ちになれる曲を…という基準で選びました。
水野:そういったアイデアも、ライブなどからヒントを?
池田:例えば、アーティストがライブ前に会場で音楽を流していることがありますが、その音楽を聴きながら、その曲を選んだ意図を考えることもあります。
水野:見透かされているようで怖いです(笑)。先ほど、社員の意見を参考にしたとおっしゃってましたが、池田さんは社員の皆さんの意見はかなり参考にしていましたか?
池田:僕は必ず、社員を巻き込んでプロジェクト化していきました。ただし、矛盾するかもしれませんが、合議制はダメだと思っています。100点のものも、合議制だと人の意見に流されて60点とかになってしまうんです。みんなでアイデアを出していきますが、ゴールの判断はトップが決めます。これは良い表現かどうかは分かりませんが、善良な独裁者だと思っています。人の心は千差万別なので、誰か情熱を持った一人が引っ張っていかないといけないんです。僕は必ず60点は取れる組織を作っておくようにしていて。さらにそこに、面白いアイデアを持った人を巻き込んで100点にするようにしています。
水野:なるほど! いきものがかりもライブでは100人規模のスタッフが関わっているのですが、どうすれば3人の考えが伝わるかをみんなで悩んでいるので勉強になります。

と感心しきり。ライブといえば、いきものがかりも横浜スタジアムでライブを開催したことがあります。

水野:横浜スタジアムは、いわゆるアリーナ会場のさらに2〜3倍の広さがあるので、お客さんが遠くなって、精神的な距離も遠くなるんじゃないかという不安があったんですけど、円のようになっているからか、むしろ近く感じました。しかも、スタンドが切り立っているから、武道館と同じように歓声が上から降ってくるような感じでした。
池田:それは、横浜スタジアムの偶然の産物なんです。アメリカには、切り立った岩に囲まれているレッドロック野外劇場という場所があるんですけど、それに似てると思うんです。そこは、The BeatlesやGrateful Deadもライブをしているほど、有名なステージです。
水野:伝説のライブが、横浜スタジアムでできるっていうことですね。ちょうど秦(基博)さんが、秦さんの憧れだった横浜スタジアムで、ワンマンライブが決まったと聞いて、秦さんがスタジアムに立ってるところを想像してたところなんです。いきものがかりもまた横浜スタジアムでライブをやりたいです。今後のこと…といえば、池田さんご自身は今後はどうされるんですか?
池田:また、違った形で人を楽しませたいと思っています。横浜DeNAベイスターズに関しては、絶頂の時に次の人に渡してあげないと、自分の執着がお客さんに伝わって、楽しさが伝わらなくなってしまうんじゃないかと思うんです。大切なのは、お客さんに喜んでもらうことなので、山口百恵さんみたいに絶頂の時にマイクを置こうかと(笑)。
水野:去り方も、ファンの皆さんのことを考えてるんですね。さすがですね!

実は、野球が好きな水野は、小学3年生の頃に、横浜スタジアムのマウンドからボールを投げさせてもらう機会があったそうで、今でも良い思い出として記憶に残っているそうです。今は思い出を提供する側となった水野は、池田さんとの対談で大きなヒントを得たようです。

※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。今回の対談のダイジェスト版は、以下の記事からも聴けます!
一番お客さんを「楽しませている」アーティストは?(2016年11月3日放送)

【番組情報】
番組名:「SONAR MUSIC」
放送日時:月・火・水・木曜 23時30分-25時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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