音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
サーフミュージックのルーツは「アラブ」にあった?ディック・デイルの“テケテケ”を生んだ異国の旋律

サーフミュージックのルーツは「アラブ」にあった?ディック・デイルの“テケテケ”を生んだ異国の旋律

サーフミュージックとアラブ音楽のつながりに注目した。

この内容をお届けしたのは、7月15日(水)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)の「TWO ROOMS MUSIC EXPLORER」。世界の音楽シーンのムーブメントを“今”の視点で考察するコーナーだ。

『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間のプログラム。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。

サーフサウンドを生んだアラブの旋律

7月20日(月・祝)は海の日。いよいよ海のシーズン、そしてサーフミュージックの季節がやってきた。実は、サーフミュージックのルーツは、遠く離れたアラブの音楽にあるとも言われている。今回は「サーフミュージックはアラブにあり」をテーマに、その意外なつながりをひも解いた。

クリス:サーフギターといえば、「テケテケテケ」というサウンドを発明し、サーフギターの王様と言われたのがディック・デイルです。彼はサーファーで、サーフィンをこよなく愛していました。一方、彼はレバノン系移民の血をひいており、幼いころから家の中でアラブの伝統音楽を聴いて育ちました。彼が愛してやまない波の音と、ルーツである中東特有のエキゾチックなメロディーが自然に結びついていたのかもしれません。

ディック・デイルの代表曲には、1962年にリリースされた『ミザルー』がある。同曲は映画『パルプ・フィクション』(1994年公開)で使用されたことでも知られ、多くの人に親しまれている。

Miserlou

クリス:リリースの翌年、1963年にはビーチ・ボーイズがアルバム『Surfin' U.S.A.』でカバーし、サーフミュージックの定番曲という印象を決定づけました。この『ミザルー』を聴くと、カリフォルニアのビーチを思い浮かべる方も多いと思います。ですが、ディック・デイルがカリフォルニアで作ったオリジナル曲ではありません。この曲は、トルコやアラブなど東地中海地域で古くから演奏されてきた伝統的な民謡のカバーなんです。「ミザルー」という言葉の語源も、アラビア語で「エジプトの少女」という意味だと言われています。ディック・デイルは、幼いころから親しんでいた中東のメロディーを、爆音のエレキギターでアレンジしたわけです。つまり、サーフミュージック最大のアンセムは、アラブ民謡だったということなんですね。

サーフミュージックを演奏するために生み出されたギターサウンドもある。ディック・デイルは、世界有数の楽器メーカーであるフェンダーの創設者、レオ・フェンダーと親交が深く、ふたりはギターアンプに「スプリングリバーブ」というエフェクターを組み込んだ。

クリス:先ほどの「ミザルー」にも、「ビシャッ」と水しぶきのように聞こえる残響がありましたよね。あの独特の響きは、フェンダーの外付けスプリングリバーブユニットによって生み出されたものだと言われています。また、アラブ音楽の持つ神秘的な響きや空間の広がりを表現する効果もありました。ただ、本来このリバーブは波の音を再現するために作られたものではありません。ディック・デイルは歌のビブラートがあまり得意ではなかったため、それを補う目的で残響を強調するエフェクトを考えたそうです。そのエフェクトをギターにつないでみたところ、あのサーフサウンドが生まれたというわけなんですね。

「テケテケ」に隠されたアラブの技法

アラブの伝統楽器にも、サーフミュージックのルーツを見ることができる。アラブの伝統的な弦楽器「ウード」は、ギターの祖先にあたる楽器であり、ギターそのものも古くからアラブ音楽の大きな影響を受けてきたそう。そして、ウードの演奏法が1960年代のサーフミュージックにも大きな影響を与えたという。

クリス:サーフミュージックでおなじみの「テケテケテケ」という高速ピッキングは、「トレモロ奏法」と呼ばれます。実はこれは、ウード独特の演奏スタイルなんですよ。ベンチャーズが元祖ではなく、アラブでははるか昔からやっていて、それをエレキギターで再現することで生まれたんですね。ウードは残響が少なく、音がすぐ消えてしまう楽器なので、メロディーを響かせるためには同じ弦を猛スピードで連続して弾く必要があります。それが、あの「テケテケテケ」という演奏につながったわけです。

サーフミュージックとアラブ音楽の関係は、アメリカだけにとどまらない。1970年代には、エジプトのギタリスト、オマール・ホルシードがアラブ音楽特有のスケールをギターで表現する演奏スタイルを確立。その影響によって、サーフミュージックの要素を取り入れた「アラブサーフ」ともいえる、逆輸入的な音楽も誕生した。

Arabian Surf

クリス:アラブ音楽とサーフロックの結びつきは、現代でも色あせていません。現在のサーフミュージックを代表するバンド、ザ・マデイラも中東音楽をしっかりリスペクトしています。サーフミュージックには、今も熱いアラブの血が流れているんですね。カリフォルニアのビーチで流れるサーフミュージックは、実はアラブの砂漠にその起源がある。砂つながり、ということですね。



J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「TWO ROOMS MUSIC EXPLORER」では、世界の音楽シーンのムーブメントを「今」の視点で考察する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン
radikoで聴く
2026年7月22日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
MIDDAY LOUNGE
月・火・水・木曜
13:30-16:30