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GEZAN・マヒトゥ・ザ・ピーポー「1回、深呼吸でお別れ」 そして“次のイメージ”に出会う─アルバム制作の秘話

GEZAN・マヒトゥ・ザ・ピーポー「1回、深呼吸でお別れ」 そして“次のイメージ”に出会う─アルバム制作の秘話

GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo/Gt)が、2月11日にリリースしたニューアルバム『I KNOW HOW NOW』の制作エピソードなどを語った。

マヒトゥ・ザ・ピーポーが登場したのは、2月16日(月)放送のJ-WAVE『GRAND MARQUEE』(ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann〈セレイナ・アン〉)のゲストコーナー。東京をGROOVEさせる音楽とカルチャー、そして日夜それを創り出す刺激的で面白い人々が集い、語らうプログラムだ。

マヒトゥにはすべてが赤に見える?

GEZANは2009年に大阪で結成した4人組オルタナティブロックバンド。2012年に拠点を東京に移し、国内外でライブを重ね、3月14日(土)にはバンドとして初となる日本武道館での単独公演「GEZAN 日本武道館 単独公演 『独炎』」を開催する。

セレイナ:GEZANといえば、私のなかで「赤」というイメージがあります。マヒトゥさん、今日は全身赤のスタイリングでスタジオにいらしてくださってます。これは靴下も赤ですね。

マヒトゥ:そのようですね。いちおう自分のなかではグラデーションはあるんですけどね。

セレイナ:トップスは深い赤だったりとか。靴下はピンクみのある赤という感じですかね。

マヒトゥ:そういう言い方も、できなくはない。

セレイナ:お見かけするときはだいたい赤に身を包んでいて。

マヒトゥ:ほかに服がないんですよ。

セレイナ:プライベートのときはさすがに?

マヒトゥ:プライベートのオンとオフというのがあんまりないんですよね。最近考えたんですけど、あんまり自分のなかに赤のこだわりがあるというよりは、赤にこだわられてる感じがしてます。

タカノ:赤側から?

マヒトゥ:アプローチがあって。あまり告白とかしたことないんです。赤への想いとか訊かれるので答えるときはあるんですけど、だいたいでっち上げでね。

タカノ:でっち上げ(笑)。

マヒトゥ:なんかやっぱり、そっち(赤)が来てる感じに応えてるみたいな。赤以外でもそういう感じありませんか?

セレイナ:呼ばれているということですか?

マヒトゥ:「夏に呼ばれてるな俺」みたいな。細胞が夏に呼ばれて、なんか夏はテンション上がるみたいな。今回の人生は赤だったんだろうなと。

セレイナ:いつごろから、赤の呼びかけに反応するようになったんですか?

マヒトゥ:ずっと声はあったんですけど、ちゃんとコミュニケーションというか技術が追いついてきたのが高校ぐらいじゃないですか。

セレイナ:だいぶ、赤との生活長いですね。

マヒトゥ:それなりに共生の時間が連なってきましたね。

セレイナ:今日の番組のテーマが「カルチャーコレクション」ということでお送りしています。リスナーのみなさんには集めてるもののメッセージを募っています。赤いもの側から寄ってくるということで、お洋服だけじゃなくて物とかでも赤いグッズやアイテムを集めていたりしますか?

マヒトゥ:そもそも赤くないものが赤くなってくみたいな感じもあります。

タカノ:……どういうことですか(笑)。

マヒトゥ:これぐらい赤に対しての集中力を持ってると、段々、赤じゃないものが赤になっていく。色が変わってるわけではなくて、赤的なるものに浸食されていくという。

タカノ:スタジオにはセレイナさんのピンク色のお水のボトルがあります。これはマヒトゥさんには?

マヒトゥ:真っ赤です。

セレイナ:へええ! なるほど。

マヒトゥ:最近は全然、銀とか白と呼ばれているものも、そこそこ赤になってきてます。

タカノ:それはだいぶレベルが高い(笑)。

マヒトゥ:集中力ですね。

セレイナ:スタジオに赤いアイテムをご用意いただいてます。キュートなこれはなんですか? ぬいぐるみ?

マヒトゥ:赤いゾウです。

タカノ:ゾウさんのぬいぐるみですね。

セレイナ:今、ゾウさんの頭をわしゃわしゃされています。20センチぐらいの高さのゾウさんのぬいぐるみ。真っ赤ですが、これはどちらでゲットされたんですか?

マヒトゥ:インドのクレーンゲームです。

セレイナ:インドに行ったときに、クレーンゲームに赤いゾウさんのぬいぐるみがあったと。

マヒトゥ:それもクレーンゲームのアームに飛び込んでいくような。出会うべくして、ですね。

ウガンダやドイツの音楽フェスにも出演

海外でも精力的に活動しているGEZAN。2024年の11月にはウガンダに行き、「Nyege Nyege Festival」(ニゲニゲ・フェスティバル)に出演している。マヒトゥは海外の音楽フェスでの思い出を振り返った。

マヒトゥ:(ウガンダは)みんなダンスに対しての解像度が高すぎるというか、血の巡りが早いというか、回転が見えるんですよね。人のなかで血が巡ってる速度が。そういうところで音楽をやると、前情報とかすっ飛ばして、いきなりつながれるので気持ちいいですよね。

タカノ:言葉を超えてね。ステージの上からもみなさんの踊ってる様子が見えたんですね。

セレイナ:2025年6月にはドイツの旧ソ連軍秘密基地跡地で開催された「Fusion Festival」にもご出演されています。

マヒトゥ:これもたぶんフジロックよりも広い敷地、空港跡地を買い取って。それで2、3年目ぐらいにレアアースみたいなのを掘り起こして一発引き当てて、場所代を払えちゃって。そこから治外法権じゃないけれども、何十年もやっている場所で新しい国みたいでした。

セレイナ:「Fusion Festival」という名前を初めて聞きました。日本からのアーティストさんはほかにもいらっしゃいましたか?

マヒトゥ:DJ Nobuっていうテクノの先輩も出て、一緒に向こうで遊びました。

タカノ:ほかのアーティストとの新しい出会いはありましたか?

マヒトゥ:アーティストケータリングとかバックヤードの境界線がないので。日本のフェスだと演者とお客さんがはっきり分かれてるけれども、こんなにボーダーがないフェスというのはすごく珍しいなという感じでした。

タカノ:ドイツやアフリカでは、MCはどうされるんですか?

マヒトゥ:気合いですよ、気迫。

タカノ:英語も交えてみたいな?

マヒトゥ:そのときに戻らないと、どっちでなにを言ってたか覚えてないですね。たぶん、なんかそういうのって意外と大丈夫ですよね。波動でね。

セレイナ:音の力ということですよね。

新しい記憶と出会うための「深呼吸」

番組では、2月11日(水)にリリースされたGEZANのニューアルバム『I KNOW HOW NOW』から『Memoria』をオンエア。マヒトゥはアルバム制作に関する質問に答えていった。

Memoria

タカノ:すごく壮大な曲ですよね。

セレイナ:エンディングにかけて神聖な雰囲気がある感じもします。『I KNOW HOW NOW』はGEZANにとっては3年ぶりのアルバムです。どのようなイメージで作っていった作品でしょうか?

マヒトゥ:これは深呼吸ですね。自分の体のなかにいろいろな記憶とかが、どんどん蓄積されていくのを1回ズラッと出さないと、新しい記憶と出会えない感じがあって。1回、深呼吸でお別れをしようかなと。

セレイナ:お別れ?

マヒトゥ:ちゃんとさよならしないと、次のイメージとね。両手って2個しかないから、荷物を持ってるときに次の時間に会えないので。一度、全部深呼吸で、呼吸のなかに全部のイメージとかを這わせて外に放つ、みたいな。

タカノ:制作期間でいうと、どれぐらいになるんですか?

マヒトゥ:全然覚えてないですが、1年ぐらいじゃないですかね。

タカノ:アルバム制作を通して大変なことはありましたか?

マヒトゥ:もうバンド自体が大変なんですよ。すごくできてない人間たちの集まりで構成されてるので、それがひとつの目標に向かって作り上げるって。「プロフェッショナルってすごいなあ」と遠いところから思いながら。メンバーといるのがいちばん大変ですね。

タカノ:僕はGEZANの曲を聴いていていつも思うのは、「僕もなにか作らなきゃ」「なにかやらなきゃ」っていう気持ちにさせてくれるというか。

セレイナ:クリエイティビティを刺激される感じ?

タカノ:それってたぶん、マヒトゥさんのバンドに対する想いや音楽と向き合っている姿勢がそのまま伝わってくるからなのかなと思うんですよね。今回のアルバムを聴いて「僕も小説書こう」とか「なにか作ろう」っていう気持ちが沸き上がってきました。

マヒトゥ:いいですね。(自分も)自信が出てきた、満ちあふれてきたな。

タカノ:我々の背中を押してくれます。

セレイナ:GEZANの曲はどのような感じで作られているのでしょうか。

マヒトゥ:だいたい映画とかを家で流しながら、だらだら弾いていて。曲に誘われたら映画を止めて、そのまま曲になったりとか。あんまり「作り込むぞ」みたいな、コンセプトを決めてやったこととかはなくて、全然別の時空で走ってもらってて。たまに十字路で会ったら手をつないで固めるみたいな。無意識です。

セレイナ:日々の生活のなかに曲作りのヒントというか、エッセンスみたいなものがちりばめられているんですね。

タカノ:赤の話とも似ていますが、曲側からやってくるときがあるということですよね。

マヒトゥ:頭のネジがガバガバになっちゃってて。自分であえて緩めてるのもあるんですけど。複数のレイヤーが走ってる感じはあるんですよね。時間って、今こうしてラジオでしゃべってる時間もありながら、なんとなく「トイレ行きたいな」っていうタイム感も別で走ってたり。ちょっとずつお腹空いてきたっていう時間の軸とか、段々、年老いていくみたいなすごく長い時間の尺度とかもいっぱい、実は並走してるじゃないですか。そのどれをキャッチして、時間にしているだけで。

タカノ:フェーダーを上げ下げするだけみたいな感覚なんだ。

マヒトゥ:それがずっと走ってるんですよね。

セレイナ:日々にそういう視点を持ったことがなかったかも。

「100時間リレー」を経て日本武道館公演へ

アルバム『I KNOW HOW NOW』のリリースに先がけてGEZANが実施した「100時間リレー」についても話を聞いた。「100時間リレー」は、2月6日(金)20時から10日(火)24時までの100時間を、GEZANのメンバー4人がひとり25時間ずつソロでライブをつなぎ、連続で走り切るというリレー企画だ。

セレイナ:ゲストとしてスチャダラパーのBoseさん、角銅真実さん、中村達也さん、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さん、青葉市子さん、踊ってばかりの国の下津光史さんなど、30名以上がゲストとして参加されました。そもそも、この企画のアイデアはどこからきたんですか?

マヒトゥ:(箱根)駅伝にくらっちゃって。年明けくらいにテレビを買ったんですよ。そうしたら初めてテレビを観た子みたいになっちゃって。もうテレビ釘付けで。駅伝かっこいい〜みたいな。俺も「シン・山の神」って言いたいって、言葉に誘われて。それを言いたいがために、「100時間リレー」中は言うのを忘れちゃいましたが、言いたかったですね。GEZAN(下山)なんで。言い忘れた〜。

セレイナ:(笑)。100時間って4日間以上ですけど、やり遂げてみてどうでしたか?

マヒトゥ:いや、もう時間の感覚が奪われるので、人はちゃんと寝たほうがいいし、あと音楽は長ければいいというものではない。これは確実に言えることですね。3分でもものすごく純度が高ければ、人の人生を変えるくらいエネルギーがあるわけで。100時間だから偉いということはない、まったく。

タカノ:でも、ご自身のなかで達成感はあるんじゃないですか?

マヒトゥ:達成感はありますけど、自分で騒ぎ立てて自分で達成感って言ってるだけなので。あと、100って数字はかっこいいですよね。丸が2個もあって、やっぱり字面に持ってかれたっていうこともありますね。そういう自分のなかの『少年ジャンプ』が騒ぎ立てたっていうか。

タカノ:わかります。

セレイナ:すごいですよ、本当に。

タカノ:そして、GEZANは3月14日(土)に初の単独日本武道館公演を行います。どんなライブになりそうか、意気込みを教えてください。

マヒトゥ:人間の持てる120パーセント、魂120パーセント。あまり人が本気を出すところって見られないじゃないですか。本気っぽいことは見られるけど。1回、自分が今までに出会ってきた全部、総動員というか、過去の自分、10代のころの自分とかバンドを始めたころの自分とか、そういう思い出のなかに置いてきた自分にもメールして、全員集合で一緒にたき火を囲もう、そういう気持ちはありますね。

GEZANの最新情報は公式サイトまで。

J-WAVE『GRAND MARQUEE』は月~木曜の16時30分~18時50分にオンエア。

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月・火・水・木曜
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