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吉井和哉が「歌詞を書き始めた頃」に影響を受けたアーティストは? 04 Limited Sazabys・GENと対談

吉井和哉が「歌詞を書き始めた頃」に影響を受けたアーティストは? 04 Limited Sazabys・GENと対談

吉井和哉が04 Limited SazabysのGENとJ-WAVEで対談。新曲『甘い吐息を震わせて』の制作エピソードを語り、音楽的ルーツを振り返った。

吉井が登場したのは、10月20日(月)放送のJ-WAVE『THE KINGS PLACE』(ナビゲーター:04 Limited Sazabys)。4組のバンドが曜日ごとにナビゲーターを務めるロックプログラムだ。ナビゲーターは、月曜 04 Limited Sazabys、火曜 MAN WITH A MISSION、水曜 ねぐせ。、木曜 ヤングスキニーが担当している。

4年ぶりのソロ曲『甘い吐息を震わせて』をリリース

吉井和哉はTHE YELLOW MONKEYのボーカリストとして1992年にメジャーデビュー。2003年にはYOSHII LOVINSON名義で1stシングル『TALI』を発表し、ソロ活動をスタート。2006年からは本名の吉井和哉名義で活動を続け、数多くの楽曲リリースやライブツアーをはじめ、イベント出演、楽曲提供、コラボレーションなど幅広く精力的に活躍している。2023年にソロデビュー20周年を迎えた。

10月8日(水)には、4年ぶりとなるソロ新曲『甘い吐息を震わせて』を配信リリース。ドラマ『そこから先は地獄』の主題歌として書き下ろされたナンバーだ。楽曲は2022年から制作が進められていたもので、KinKi Kids『薔薇と太陽』やTHE YELLOW MONKEY『砂の塔』でもタッグを組んだ、船山基紀を共同プロデューサーに迎えている。

吉井和哉 - 甘い吐息を震わせて (Official Lyric Video)

GEN:今日はアーティストとしてはもちろん、プライベートの吉井さんのお話にも迫っていきたいと思います。『甘い吐息を震わせて』は吉井さんの世界観爆発というか、セクシーな世界を堪能させていただきました。楽曲はドラマのお話ありきで作られたんでしょうか?

吉井:実は、ボイスメモに曲が記録されていたのは2018年だったんですよ。これはキャッチーだなと思ってとっておいたもので、いろいろと試行錯誤をしていたらドラマのお話をいただきました。

GEN:では、歌詞もある程度決まっていたんでしょうか?

吉井:まさに。冒頭の「会いたい人はどこにいる」と、サビの「唇をもっと開いて」だけはあったんです。

GEN:なるほど!

吉井:セクシャル系の歌詞も書かれます?

GEN:多少書いてると思います。

吉井:歳を重ねていくとそこの駆け引きが難しくなるんですよ(笑)。

GEN:時代もどんどん変わっていきますし、出していいところの線引きがありますよね。

吉井:つい腕を見せようとするけど、そこに足元をすくわれる時代になったじゃないですか。だけど、今回はドラマのおかげでもあるし、自分が病気をして人生観が変わって、そこをエロスの歌詞に封じ込めることができたので、自分的には満足しています。

GEN:アートですから昇華していただいて。「五線譜みたいに伸びている」あたりからの、「こんなこと歌っていいの!?」みたいな歌詞が素敵です!

最初に買ったレコードは西城秀樹

リスナーのメッセージから「音楽のルーツ」について訊かれた吉井は、「僕の時代は物心がついたときから昭和歌謡がメインでしたね」と振り返る。

GEN:誰が活躍していた時代になりますか?

吉井:最初に買ったシングルレコードは、当時、ドーナツ盤と呼ばれる小さいものだったんですけど、西城秀樹さんの『激しい恋』でした。

GEN:最近、西城秀樹さんの昔の映像をたまたま見たんですけど、歌声もパワフルだし、立ち振る舞いもスターとして完璧でした。このころはこれぐらいのレベル、クオリティだったんだなって思いましたね。

吉井:そう。生演奏に生バンド、スタジオで生歌唱でしたからね。

GEN:あの環境であんなに歌えるんだってビックリしました。

吉井:音楽の初体験はなんですか?

GEN:僕はゆずです。「これだったら人数を集めなくてもすぐに音楽を始められる」と思いました(笑)。

吉井:そっち(笑)!?

GEN:そのあとはHi-STANDARDだったり、いろんなパンクロックにどんどん目覚めていくんですけど、最初はゆずでしたね。親父がけっこうフォーク世代で、吉田拓郎とか河島英五の曲をアコースティックでよく弾いてたんですよ。

吉井:アコギを弾いて歌う人が身近にいたんだね。

GEN:地元は愛知県・豊橋市の片田舎で、仲間を集めるのが難しかったので、まずは木のギターだなって思いました。

吉井:わりとアナログ。素敵!

GEN:いまだに曲作りはアナログかもしれないです。

幼少期から音楽が身近な存在だった

番組内のコーナー「GENの部屋」では、音楽からプライベートまで、吉井のさまざまな側面に迫った。

GEN:先ほど音楽にハマったきっかけとして西城秀樹さんのお名前が挙がりましたが、当時は何歳ぐらいですか?

吉井:小学1年生です。その次はダウン・タウン・ブギウギ・バンドでしたね。

GEN:小学校低学年のころから意識的に音楽が好きだったんですね。

吉井:みんなそうかと思ったら、どうやらそうではないらしいね。

GEN:かなり早いんじゃないですかね。お家では音楽がいっぱい流れてるご家庭だったんですか?

吉井:うちの母親は6人きょうだいの末っ子で、女系だったのでお姉さんが上にいたんですよ。お姉さんたちもそれぞれレコードを買うので、そのときに日本の歌謡曲に触れていましたね。

GEN:では、お母様はかなり音楽がお好きだったんですか?

吉井:そうだね。母はクラブでホステスをしていたんだけど、その店に『オンリー・ユー』で知られるプラターズの元メンバーが結成した「新プラターズ」が巡業でやって来たわけ。そのメンバーと仲良くなったりして、そっから家の中がプラターズまみれになったんですよ。

The Platters - Only You - Lyrics

GEN:へええ!

吉井:それでスティーヴィー・ワンダーとかも聴きだして。いま思えば、すごくありがたかった。

GEN:ある種、お母さんの英才教育だったんですね。ちなみに、お父様はいかがですか?

吉井:僕が5歳のときに亡くなったんですけど、お父さんは渋い音楽が好きでしたね。

喫茶店のバイト仲間とサザン楽曲をコピー

吉井が音楽に興味を持つきっかけとなったのは、中学時代に同級生が弾くエレキギターの音を聴いたことだったという。

吉井:当時聴いていた、チープ・トリックとかキッスを同級生が演奏しているのを見て、俺もやってみたいなって思いました。アルバイトしてギターを買ったんですけど、そのころはサザンオールスターズがデビューして人気があったので、喫茶店のアルバイト仲間と演奏したりしましたね。

GEN:サザンのコピーをやってたんですか!?

吉井:そう。難しかった。

GEN:じゃあ、吉井さんのセクシャルな要素はそのあたりも多少入ってたりするんですか?

吉井:実は、影響をすごく受けてるんです。桑田さんは日本語を英語のように歌う第一人者というか、THE YELLOW MONKEYで自分が歌詞を書き始めたころに、その手法を参考にしました。セクシャルな表現やサブカル的な言葉を日本語にはめてやろうと真似したのを覚えてる。師匠だわ、桑田さん。

闘病生活のなかで音楽活動の意欲が高まった

THE YELLOW MONKEYとしての活動と並行して、ソロアーティストとしても精力的に活動し続けている吉井。そんな彼に、GENは「エネルギーの源はどこから来ているんですか?」と問いかけた。

吉井:僕は来年60歳なんですけど、何年か前に喉の病気をして、「これからはもう歌えないかもしれない」と思ったことがあったんです。そうしたら、無性に歌いたくなって。歌詞もすごく湧いてきたし、やりたいことが明確になってきたので、だからできているのかもしれません。病気のおかげかも。

GEN:なるほど。ボーカリストが歌えなくなるって、かなり精神的に参りますよね。当時はどのような心境でしたか?

吉井:声帯って、たかだか1センチとか2センチなんですよ。そんな小さなものから、これほど大きな力をもらっていたんだと気づくと同時に、こんな小さなものに、こんなにも苦しめられるんだとも思いました。あらためて、自分の体を大切にしておけばよかったなって痛感しましたね。

GEN:それこそ僕も喉の不調で、バンドとして初めてライブを飛ばしたことがあったんですよね。なんとも言えない悔しさと申し訳なさがあって、自分がすごく無力になった感じというか、無価値になった感覚がありました。

吉井:そうかあ。苦しいよねえ。

GEN:それを乗り越えられて、いまに至っているんですね。

吉井:乗り越え中です!

今後の展望について、吉井は「喉の状態をさらによくして、自分の思うように歌えるようになりたい」と語った。

GEN:「GENの部屋」では、毎回ゲストの人生を変えてくれた1曲を最後に選曲していただいております。どの曲にしましょうか?

吉井:当たり前のように聴いていたけど、このあいだレコードで聴いて「すごいな、この人」と思った、ジョン・レノンの『Mother』をお願いします。

MOTHER (Ultimate Mix, 2021) - Lennon & Ono w The Plastic Ono Band (Official Music Video 4K Remaster)

GEN:ジョンぐらい表現力があると、これだけシンプルな曲でもいいんですねえ。

吉井:ピアノもジョン・レノンで、ドラムはリンゴ・スターなんですよね。ベースはクラウス・フォアマンという人なんだけど、2000年代に「Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ」のゲストに来たんですよ。このときのベースを持ってきていたんだけど、弦を変えてないの。

GEN:ええ~!

吉井:触らせてもらったんだけど真っ黒で、弦の“魂”を見たね。

GEN:いいなあ~! それはそれで温もりのある音になりそうですね。

吉井和哉の最新情報は公式サイトまで。

新時代音楽王たちの集い『THE KINGS PLACE』の放送は、毎週月曜~木曜の25時から。

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THE KINGS PLACE
月・火・水・木曜
25:00-26:00