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いきものがかり『SAKURA』の歌詞は「30回、40回は書いた」 吉岡聖恵&水野良樹が振り返る名曲の秘話

いきものがかり『SAKURA』の歌詞は「30回、40回は書いた」 吉岡聖恵&水野良樹が振り返る名曲の秘話

いきものがかりの吉岡聖恵と水野良樹が、『SAKURA』制作の裏話や、曲に込めた想いについて語った。

いきものがかりが登場したのは、4月23日(水)放送のJ-WAVE『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)のコーナー「atré MUSIC+1」。

現在、『STEP ONE』は、対象のアトレ館内で流れている特別ラジオ番組『atré MINI RADIO』をプロデュースしており、ゲストにはこの春のアトレのプロモーションテーマ「私にやさしい、春にしよう。」にちなんだ選曲をしてもらった。

radikoでもオンエア1週間後まで再生可能。

長く愛されてきた『SAKURA』

この週の「atré MUSIC+1」は、特別企画「あの春SONGは、こうして生まれた!」と題した名曲制作秘話特集を実施。この日は、2024年に結成25周年を迎えた国民的バンド・いきものがかりが登場した。いきものがかりの春の名曲はいくつもあるが、そのなかでも彼らのデビュー曲で春ソングとしても人々に愛されているのが『SAKURA』だ。

いきものがかり 『SAKURA』Music Video

水野:2006年に僕らはデビューしまして、『SAKURA』がデビュー曲でした。当時は、野球の世界大会・WBCの第1回がありまして、その準決勝か決勝ぐらいの試合中に『SAKURA』がテーマソングになっているCMが流れたんです。それが話題になって、ラッキーだったね。

吉岡:めちゃくちゃラッキーだったね。

水野:それで知ってもらった『SAKURA』です。当時、デビューするときにはすでに桜ソングがめちゃあったのよ。

吉岡:(森山)直太朗先輩の曲や、ケツメイシさんだったり、コブクロさんのも。

水野:コブクロさんの『桜』がヒットしているころは、すでに『SAKURA』を書いていましたからね。だから、『この曲でデビューするって大丈夫なのかな?』みたいな気持ちが多少ありました。

吉岡:すでに桜の大ヒットソングがたくさんあるなかで、よく正面から。勇気がいりましたでしょ?

水野:怖さを知らなかったんだろうね。

吉岡:怖くはなかったんですか?

水野:二番煎じでもないぐらいの感じで、「何番煎じなの?」みたいな状態になっていたから、逆にちょっと勇気をもって出そうと。あとはJ-POPが僕らは好きだったじゃないですか。いまはだいぶ時代も変わったんだけど、2006年当時はJ-POPという言葉があまりかっこよく響かなかった時代だよね。「みんなが聴くもの」みたいなのが「それ、いいんですか?」って言われることが多かったから。でも、僕らは「J-POPが好きです」と最初から言っていて、それを言っているんだったら、みんながテーマにしている桜という存在から逃げるわけにはいかないだろうと。なんなら、それで世に出て行くほうが潔いんじゃないかみたいな。ちょっと向こう見ずなところがあって、それで『SAKURA』デビューしたと。

吉岡:よく書いてくれた!

水野:よく歌った! ありがたい話だね。

吉岡:日本人だからこその、桜というキーワードだと思います。

水野:文脈があるからね。

吉岡:これを海外でもライブさせていただくと、ちゃんと反応をいただいてね。『ブルーバード』という曲は、いろいろな国で聴いていただいているんですが、『ブルーバード』で盛り上がったあとに『SAKURA』を演奏したら座ってくれて、体を揺らして聴いてくれたのがうれしかったですね。

水野:あれが日本的なものに聴こえているのかもしれないね。ユニークなものとして。

ふたりの話を聞いた、ナビゲーターのサッシャとノイハウスは驚きとともにこう語った。

サッシャ:世界に届く桜のメッセージ、そしていきものがかりの曲です。

ノイハウス:すでに「桜」というタイトルの曲がヒットしているなかで、それでもタイトルを変えずに、そしてファーストワードも桜です。その決意、勇気はすごいです。

サッシャ:この時代は、本当に桜ソングがめちゃくちゃ多かったんですよね。森山直太朗さん、ケツメイシ、コブクロの話も出ていました。こういったなかでの桜ソングは埋もれてしまいそうなのに、埋もれなかったというところに曲の強さがあると思います。

何度も書き直した歌詞

吉岡と水野は『SAKURA』の制作の裏側についても明かした。

吉岡:ちなみに、歌詞とかめっちゃ書き直しているじゃないですか。

水野:30回、40回は書いたと思うんだよね。つらかったわ。

吉岡:20回目ぐらいでさ「もうやめようかな」とかは思わなかったんですか?

水野:いやもう、なんかもうね、つらいんだよ、本当に。終わらないんだもの。なにがいいかわからないしさ、というような状態に陥りましたよ。

吉岡:ディレクターもちゃんと厳しい方でしたからね。

水野:でもそれが結果、形になって、たくさんの方に聴いていただけているので。しかも10何年経っているのに、いまだに『SAKURA』のことを取り上げてくださるというのはね。いきものがかりとしても、今度ツアーがあったりしますが、ライブをずっとやり続けて。もしかしたら、いちばんやっている曲なんじゃないかな。

吉岡:そうかもしれない。

水野:『ありがとう』と同じぐらいかな。でも“歴”は『SAKURA』のほうが長いからね。

吉岡:『SAKURA』はそれこそ、我々は路上ライブからスタートしたグループですけど、路上ライブでもけっこう歌っています。最後の路上ライブで歌った?

水野:歌った。横浜駅だったかな。お客さんが全然立ち止まらなくて(笑)。最後、女子高生がひとり立ち止まったんだけど、隣で酔っ払いのおじさんが倒れちゃって、路上ライブどころじゃなくなって「助けなきゃ」みたいになって。それが僕らの路上ライブの最後の瞬間だった。

吉岡:その日も『SAKURA』を歌っていましたね。

水野:歌っていました。それがいまも聴いてもらっているというのがさ、すごい話だなと思う。何度も歌っていますけど、歌詞のなかで「ここはちょっとグッとくるな」とか、吉岡的に面白い場所はあります?

吉岡:歌詞の最後の部分は好きだな。何度も歌っていますが、そのときどきで毎回噛みしめることができる。楽しいよ。

水野:それはありがたいね。俺はこれ『SAKURA』の歌詞のなかに小田急線という歌詞が出たり、大橋という言葉があったりします。大橋は、僕らが通学路で使った相模川にかかっている相模大橋という橋があって、地元のことが書かれているんです。一方で、僕は大学卒業と同時のデビューで、東京の国立にある一橋大学というところを僕は出たんですが、一橋に大学通りという、とてつもなく大きな桜並木があって、その桜もイメージにあるんです。みんな就職していくじゃない? 自分は音楽にいくでしょ。「みんなに胸を張れるように頑張らないとな」と。みんなはしっかり社会人になっていくなかで、自分は大丈夫かなみたいな。その気持ちも込めて『SAKURA』を書いていたんだよね。最近は大学の入学式に呼んでもらったりしてさ。何周も回って、いま自分にとっても思い出の曲になっているんだよね。

吉岡:なるほどね。

水野:長くやっていると、そういうことあるよね。

吉岡:わかるかも。音源のCDのバンドバージョンの『SAKURA』を聴くと、デビュー当時の空気をふっと思い出して、温かい風を感じる気がするの。あの季節を思い出して、自分も蘇るね。

水野:蘇るところあるよね。

吉岡:ずっと自分も力を込めて、明るく歌い続けたいなと思わせていただいています。

いきものがかりが選ぶ、春に聴きたい1曲

『STEP ONE』は4月末までの期間、アトレとコラボレーションを実施。アトレのこの春のプロモーションテーマは「私にやさしい、春にしよう。」。春は暖かくなって気分も明るくなる半面、新しい環境でソワソワし、疲れやすい時期。そんな春に「自分にやさしくすごしてほしい」という想いが込められている。それを音楽でも体現するため、ゲストに選曲をお願いした。

水野:最後に春に聴きたい曲。これはいっぱいあるけど、尊敬も込めて吉岡さん、選曲するとしたら?

吉岡:堂々と言っていいですか? 森山直太朗さんで『さくら』。

水野:ど真ん中のど真ん中。でもこのあいだ、音楽番組でご一緒したときに、ちょうど『さくら』を歌われていたんですよね。袖から観るという贅沢な。観ていてどうでした?

吉岡:アカペラで歌われていたじゃないですか。直太朗さんのなかにあるリズムで歌われていて、静かななかに歌声だけ響いて、全員が引き込まれるという。本当に集中して春を感じさせていただきました。素敵でした。

水野:ということで、僕たちいきものがかりが春に聴きたい曲は森山直太朗さんの『さくら』です。

森山直太朗 - さくら(独唱)

サッシャ:ありがとうございます。名曲を選んできましたね。間違いないです。しかも知っていて選んだのでしょうか、森山さんは今日(オンエア日の4月23日)がお誕生日です。

ノイハウス:おめでとうございます。

サッシャ:ナイスセレクションというかたちにもなりました。これはもう説明のいらない名曲です。

今回、いきものがかりが選んだ曲はSpotifyにてプレイリスト「J-WAVE STEP ONE×atré」としても公開中。

いきものがかりは4月30日(水)に最新アルバム『あそび』をリリースする。詳細や最新情報は、公式サイトまで。

J-WAVE『STEP ONE』のコーナー「atré MUSIC+1」では、ゲストとして毎回話題のミュージシャンが登場する。放送は月曜~木曜の12時30分ごろから。

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2025年4月30日28時59分まで

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番組情報
STEP ONE
月・火・水・木曜
9:00-13:00