
BLACKPINK・LISAのコミックス『Alter Ego(オルターエゴ)』の作画を手がけたMINOMIYABI(ミノミヤビ)が、コミックスを制作することになった経緯や、アメリカでの日本のアニメブームなどについて語った。
MINOMIYABIが登場したのは、4月20日(日)放送のJ-WAVE『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)のコーナー「WORLD CONNECTION」だ。
そして、BLACKPINKのLISAが3月24日(月)にリリースしたコミックス『Alter Ego』は、LISAがストーリーやコンセプトを考案し、MINOMIYABIが作画を担当している。まず、ナビゲーターの小川はLISAと仕事をすることになった経緯を訊いた。
MINOMIYABI:数年前からお仕事を一緒にさせていただいている出版社のプロデューサーで、ジョシュ・フランケルという方がいるんですけど、彼のもとでミュージシャンやタレントさんとコラボしてコミックスをいくつか描かせていただいていたんです。そのときに、GorillazやYUNGBLUDなどのミュージシャンともお仕事をさせていただいて、それ以来ずっとジョシュさんが僕の作品を気に入ってくれていて、今回のプロジェクトは彼がLISAに僕の絵を見せて、彼女がとても気に入ってくれたことからとんとん拍子に話が進みました。
小川:LISAさんご本人の指名だったんですか?
MINOMIYABI:実際は何人か候補がいるということで、僕もLISAのキャラクターの絵を描いてサンプルとして見せたっていう経緯があります。ジョシュいわく、彼女がそこから僕の作品を気に入って選んでくれたと。とてもありがたい話でした。
小川:MINOMIYABIさんもLISAさんを描きたかったっていう想いは強くありましたか?
MINOMIYABI:そうですね、この話がくるだいぶ前からLISA自身のパフォーマンスやキレのあるスタイルに注目していて、ほかのミュージシャンとは異なる独特なキャラクターを持っているなと感じていて。キャラクターとして描いてみたいアーティストだなとか、物語にするとけっこうストーリーができそうだなとか自分でいろいろ想像したりしていました。
小川:今回、ストーリーはLISAさんが考えたそうですが、LISAさんから絵のスタイルやキャラクターデザイン、世界観についてどんな指示があったのでしょうか?
MINOMIYABI:彼女が2月にリリースした1stアルバム『Alter Ego』の世界観がメインになっていて、このアルバムは5人の自分自身を描くというコンセプトで制作されています。彼女とのプロジェクトが始まったときに、その具体的なコンセプトを見せていただいて、彼女が決めたストーリーや世界観、各キャラの性格、あとは環境とかファッションとか、そういうアルバムのストーリーをまず最初に僕がインプットすることから始まりました。
小川:日本だと(漫画家が)自分でストーリーを考えたりテーマを設定したりして絵を描いていくと思うんですけど、アメリカのコミックの作り方はやはり違いますか?
MINOMIYABI:日本の漫画は、動きよりもシーンのやり取りとかを大事にするので、途中途中の具体的な動きを場面によってはしょってしまうところがあると思うんです。でも、アメコミとかのアメリカのコミックスは、キャラのなんでもない所作とかセリフを綴りつつ、実際にセリフを言いながら動作させるというか、キャラクターの動作をセリフを言わせながら何コマもかけて描いていく、そういう描写がけっこうあったりするんですよね。日本も強調するときはそういった描写もやっていると思うんですけど、どちらかというと、こちら(アメリカ)のコミックスは実際に起きたことを臨場感を持って伝えることに重点を置いて作っていると思います。
小川:たしかに。臨場感があるから、日本のコミックスとは違うかたちでキャラクターが動いていることが伝わるのかもしれません。
MINOMIYABI:アーティストとして仕事をしたいと思う前は、もともとアートとは関係ない理系の大学に行っていたんですよ、日本で。
小川:そうだったんですね!
MINOMIYABI:それでいろいろと紆余曲折ありまして、子どものころに好きで絵を描いていたこととか、そういうところからもう一度、自分を見つめ直してアートに飛びついたんです。広くアートと言っても、イラストとかアニメとかたくさん種類があって、そのなかで自分が本当に表現したい形式ってなんだろうって考えたときに、自分にはアニメーションがいちばんしっくりくるなと思ったんですよね。それでアニメーターになりたいと思ったのが最初のきっかけです。
小川:そういったアートの勉強を始められたのは、いつごろだったんですか?
MINOMIYABI:渡米したのは2006年だったので、かれこれ20年くらい前から本格的に勉強をし始めたかなと思います。
小川:勉強を始めようと思った時点で、アメリカを選ばれたんですね。
MINOMIYABI:最初は日本の専門学校とかも調べていたんですけど、同時にアニメーションのルーツについても調べていたんです。アニメーションって、辿っていくと欧米が発祥の地だったんです。そして、アニメーションが産業的に成功したのはディズニーの影響が大きいと思い、芸術としても産業としてもディズニーが作り上げたアニメーション業界の勉強をしたい、まずはそこから根本的なものを学びたいと思って、アメリカを選びました。
小川:歴史を辿って本場を訪ねるってすごいですね。実際に学んでみてどうでしたか?
MINOMIYABI:アメリカは、やはり一般の人たちにアニメーションが定着しているというか。昔から伝統的に子どもたちと(大人が)大衆的なアニメーションを観ているということかなと思うんですけど、そういう意味で産業的に成功していて、幅広い年齢層に取り入れられていると感じました。だからこそ、純粋に制作者の才能を評価してくれるベースがあって、なおかつ仕事の体制として対価が約束されている。行き先がちゃんと安定しているということが、自分が勉強しているときの意欲にもつながっていた気がしています。
小川:最初はアメリカでアニメーターを目指して勉強されていましたが、最近は漫画も描かれている。漫画を描くきっかけはあったんですか?
MINOMIYABI:最初は漫画を描こうとは思ってなかったんですが、アニメーターとして仕事をしていたころから、自分でストーリーを綴って世のなかに発信していきたいって気持ちが強くなっていきました。これは実際に独立したいって思ったきっかけでもあったんですけど、やっぱりひとりで制作して人に見せるなかで、いちばんキックバックが早いのが漫画だということに気づいて、次第にそちらに自分の仕事の方向性や自分の作品が向いていったということが経緯だと思います。
小川:日本のアニメは昔から親しまれていると思うんですけど、アメリカでは最近どんなふうに人気が高まっていると感じますか?
MINOMIYABI:アニメエキスポでコラボさせていただいているロスにある日本語学校・FUJI SCHOOLの校長先生によると、そこに通う学生の半分以上が現地の白人やアジア人で、その学生さんたちは漫画やアニメのファンが半分以上、しかも熱狂的なファンが多いそうなんです。FUJI SCHOOLの所在地でもあるロスのダウンタウンにあるリトルトーキョーにも、いつのまにか日本の漫画やアニメのお店が増えていて、日本のポップカルチャーが急速に浸透していることを肌で感じています。ちなみに、そのFUJI SCHOOLは数年前に歌手のAriana Grandeさんが在籍して日本語を勉強していたことで知られているんですよ。
小川:現地で名の知れた学校なんですね。
MINOMIYABI:彼女が日本好きっていうのは、日本のファンならきっと知っていると思うんですけど、Ariana GrandeやLISAといった世界のトップアーティストが日本の漫画やアニメを愛してくれている、そういう時代がきたっていう実感がすごく湧いてきています。過去にはそんなことになるとはまったく予想していなかったですね。
小川:トップアーティストは情報の拡散力も違いますし、本屋の一角じゃなくて、漫画に特化したお店が増えていることが勢いを感じさせますね。最後に、MINOMIYABIさんから日本のファンにメッセージをお願いします。
MINOMIYABI:LISAのコミックス『Alter Ego』は3月24日(月)にリリースされました。LaLisa Comicsにて世界中からオンライン購入が可能です。コミックスになったLISAは、実際のLISAとちょっとスタイルが違えど、同じスピリッツ、同じLISAのテーマをきちんと貫くものとして私も制作するときにベストを尽くしました。ぜひ、みなさんの手にとって読んでいただきたいと思います。LISAとのコラボは今後まだ未知数なんですけど、またなんらかのかたちで関わっていきたいと前向きに考えています。
MINOMIYABIの最新情報は、公式サイトまで。
『ACROSS THE SKY』のコーナー「WORLD CONNECTION」では、ゲストを招き世界の最新カルチャーに迫る。オンエアは毎週日曜の9時20分ごろから。
MINOMIYABIが登場したのは、4月20日(日)放送のJ-WAVE『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)のコーナー「WORLD CONNECTION」だ。
LISA本人がMINOMIYABIを指名
MINOMIYABIは、アニメーターを目指して渡米し、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングをはじめとする多くの企業でコンサルタント・アーティストやアートディレクターとして活動したのちに独立。イラストレーター、漫画家、アニメーターとして、GorillazやYUNGBLUDのプロジェクトに参加するなど、音楽好きからも注目を集めてきた。そして、BLACKPINKのLISAが3月24日(月)にリリースしたコミックス『Alter Ego』は、LISAがストーリーやコンセプトを考案し、MINOMIYABIが作画を担当している。まず、ナビゲーターの小川はLISAと仕事をすることになった経緯を訊いた。
MINOMIYABI:数年前からお仕事を一緒にさせていただいている出版社のプロデューサーで、ジョシュ・フランケルという方がいるんですけど、彼のもとでミュージシャンやタレントさんとコラボしてコミックスをいくつか描かせていただいていたんです。そのときに、GorillazやYUNGBLUDなどのミュージシャンともお仕事をさせていただいて、それ以来ずっとジョシュさんが僕の作品を気に入ってくれていて、今回のプロジェクトは彼がLISAに僕の絵を見せて、彼女がとても気に入ってくれたことからとんとん拍子に話が進みました。
小川:LISAさんご本人の指名だったんですか?
MINOMIYABI:実際は何人か候補がいるということで、僕もLISAのキャラクターの絵を描いてサンプルとして見せたっていう経緯があります。ジョシュいわく、彼女がそこから僕の作品を気に入って選んでくれたと。とてもありがたい話でした。
小川:MINOMIYABIさんもLISAさんを描きたかったっていう想いは強くありましたか?
MINOMIYABI:そうですね、この話がくるだいぶ前からLISA自身のパフォーマンスやキレのあるスタイルに注目していて、ほかのミュージシャンとは異なる独特なキャラクターを持っているなと感じていて。キャラクターとして描いてみたいアーティストだなとか、物語にするとけっこうストーリーができそうだなとか自分でいろいろ想像したりしていました。
小川:今回、ストーリーはLISAさんが考えたそうですが、LISAさんから絵のスタイルやキャラクターデザイン、世界観についてどんな指示があったのでしょうか?
MINOMIYABI:彼女が2月にリリースした1stアルバム『Alter Ego』の世界観がメインになっていて、このアルバムは5人の自分自身を描くというコンセプトで制作されています。彼女とのプロジェクトが始まったときに、その具体的なコンセプトを見せていただいて、彼女が決めたストーリーや世界観、各キャラの性格、あとは環境とかファッションとか、そういうアルバムのストーリーをまず最初に僕がインプットすることから始まりました。
ALTER EGO: THE OFFICIAL COMIC
— LLOUD (@wearelloud) February 18, 2025
A limited edition story accompanying LISA's debut album
100 signed copies available, pre-order now at https://t.co/XwQHeCIiye pic.twitter.com/LHnyTy5cwp
日米のコミックスタイルにおける違いとは?
アメリカで活動している日本人の漫画家ということで、小川は日米のコミックのスタイルの違いについて訊いた。小川:日本だと(漫画家が)自分でストーリーを考えたりテーマを設定したりして絵を描いていくと思うんですけど、アメリカのコミックの作り方はやはり違いますか?
MINOMIYABI:日本の漫画は、動きよりもシーンのやり取りとかを大事にするので、途中途中の具体的な動きを場面によってはしょってしまうところがあると思うんです。でも、アメコミとかのアメリカのコミックスは、キャラのなんでもない所作とかセリフを綴りつつ、実際にセリフを言いながら動作させるというか、キャラクターの動作をセリフを言わせながら何コマもかけて描いていく、そういう描写がけっこうあったりするんですよね。日本も強調するときはそういった描写もやっていると思うんですけど、どちらかというと、こちら(アメリカ)のコミックスは実際に起きたことを臨場感を持って伝えることに重点を置いて作っていると思います。
小川:たしかに。臨場感があるから、日本のコミックスとは違うかたちでキャラクターが動いていることが伝わるのかもしれません。
制作者を評価するアメリカ社会の姿勢が、勉強への意欲に
LISAのアルバム『Alter Ego』に収録されている『ROCKSTAR』をオンエアしたあとに、MINOMIYABIにアメリカに渡った経緯を訊いた。LISA - ROCKSTAR (Official Music Video)
小川:そうだったんですね!
MINOMIYABI:それでいろいろと紆余曲折ありまして、子どものころに好きで絵を描いていたこととか、そういうところからもう一度、自分を見つめ直してアートに飛びついたんです。広くアートと言っても、イラストとかアニメとかたくさん種類があって、そのなかで自分が本当に表現したい形式ってなんだろうって考えたときに、自分にはアニメーションがいちばんしっくりくるなと思ったんですよね。それでアニメーターになりたいと思ったのが最初のきっかけです。
小川:そういったアートの勉強を始められたのは、いつごろだったんですか?
MINOMIYABI:渡米したのは2006年だったので、かれこれ20年くらい前から本格的に勉強をし始めたかなと思います。
小川:勉強を始めようと思った時点で、アメリカを選ばれたんですね。
MINOMIYABI:最初は日本の専門学校とかも調べていたんですけど、同時にアニメーションのルーツについても調べていたんです。アニメーションって、辿っていくと欧米が発祥の地だったんです。そして、アニメーションが産業的に成功したのはディズニーの影響が大きいと思い、芸術としても産業としてもディズニーが作り上げたアニメーション業界の勉強をしたい、まずはそこから根本的なものを学びたいと思って、アメリカを選びました。
小川:歴史を辿って本場を訪ねるってすごいですね。実際に学んでみてどうでしたか?
MINOMIYABI:アメリカは、やはり一般の人たちにアニメーションが定着しているというか。昔から伝統的に子どもたちと(大人が)大衆的なアニメーションを観ているということかなと思うんですけど、そういう意味で産業的に成功していて、幅広い年齢層に取り入れられていると感じました。だからこそ、純粋に制作者の才能を評価してくれるベースがあって、なおかつ仕事の体制として対価が約束されている。行き先がちゃんと安定しているということが、自分が勉強しているときの意欲にもつながっていた気がしています。
小川:最初はアメリカでアニメーターを目指して勉強されていましたが、最近は漫画も描かれている。漫画を描くきっかけはあったんですか?
MINOMIYABI:最初は漫画を描こうとは思ってなかったんですが、アニメーターとして仕事をしていたころから、自分でストーリーを綴って世のなかに発信していきたいって気持ちが強くなっていきました。これは実際に独立したいって思ったきっかけでもあったんですけど、やっぱりひとりで制作して人に見せるなかで、いちばんキックバックが早いのが漫画だということに気づいて、次第にそちらに自分の仕事の方向性や自分の作品が向いていったということが経緯だと思います。
「日本のアニメが好き」とトップアーティストが公言する時代
最後に、MINOMIYABIに日本のアニメブームについて現地の様子を訊いた。小川:日本のアニメは昔から親しまれていると思うんですけど、アメリカでは最近どんなふうに人気が高まっていると感じますか?
MINOMIYABI:アニメエキスポでコラボさせていただいているロスにある日本語学校・FUJI SCHOOLの校長先生によると、そこに通う学生の半分以上が現地の白人やアジア人で、その学生さんたちは漫画やアニメのファンが半分以上、しかも熱狂的なファンが多いそうなんです。FUJI SCHOOLの所在地でもあるロスのダウンタウンにあるリトルトーキョーにも、いつのまにか日本の漫画やアニメのお店が増えていて、日本のポップカルチャーが急速に浸透していることを肌で感じています。ちなみに、そのFUJI SCHOOLは数年前に歌手のAriana Grandeさんが在籍して日本語を勉強していたことで知られているんですよ。
小川:現地で名の知れた学校なんですね。
MINOMIYABI:彼女が日本好きっていうのは、日本のファンならきっと知っていると思うんですけど、Ariana GrandeやLISAといった世界のトップアーティストが日本の漫画やアニメを愛してくれている、そういう時代がきたっていう実感がすごく湧いてきています。過去にはそんなことになるとはまったく予想していなかったですね。
小川:トップアーティストは情報の拡散力も違いますし、本屋の一角じゃなくて、漫画に特化したお店が増えていることが勢いを感じさせますね。最後に、MINOMIYABIさんから日本のファンにメッセージをお願いします。
MINOMIYABI:LISAのコミックス『Alter Ego』は3月24日(月)にリリースされました。LaLisa Comicsにて世界中からオンライン購入が可能です。コミックスになったLISAは、実際のLISAとちょっとスタイルが違えど、同じスピリッツ、同じLISAのテーマをきちんと貫くものとして私も制作するときにベストを尽くしました。ぜひ、みなさんの手にとって読んでいただきたいと思います。LISAとのコラボは今後まだ未知数なんですけど、またなんらかのかたちで関わっていきたいと前向きに考えています。
MINOMIYABIの最新情報は、公式サイトまで。
『ACROSS THE SKY』のコーナー「WORLD CONNECTION」では、ゲストを招き世界の最新カルチャーに迫る。オンエアは毎週日曜の9時20分ごろから。
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小川紗良