タレント・俳優・エッセイストの青木さやかが、インドや中国、スウェーデンでの旅の思い出を語った。
青木が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。オンエアは11月25日(土)。
葉加瀬:著書をいくつか読ませていただきました。
青木:ありがとうございます。
葉加瀬:さやかさんの本の一番の魅力は「ここまで全部さらけだしていいのかな」という。飾りがないというか。普通はもうちょっと脚色したり、イメージ作りみたいなのがあるじゃないですか。
青木:文章を書いていると「ちょっときれいごとかな」とか「ここは隠したいな」と思うことが出てきたときに「こここそ自分でほじくり返して書かなきゃ」という思いになるんですね。私は“青木さやか”というタレントをちょっと客観視するクセがついていて。青木さやかというタレントはそれがすごく向いている人だし、それをやっても下品になりきらないタレントだと思うんです。なので、客観視して青木さやかを動かしている感じですね。
葉加瀬:書くときは、青木さやかになっているの? それとも自分自身になっている?
青木:自分自身ではあります。
葉加瀬:そこが面白いんだよね。
青木:これが一番疲れるんですけど、最終的に「これは私が書いたものじゃなくて誰かが書いたもの」だと思って、それでも面白いかと思って読んでチェックするんです。私にとってはそこが重要です。
葉加瀬:おそらく、いままでの人生経験があるからこそ書けるんだと思います。
青木:当時の彼がインドを旅している人だったので、2週間ぐらい私も一緒に旅をさせてもらいました。
葉加瀬:22、23歳ということ?
青木:そうです。
葉加瀬:いいねえ。
青木:楽しかった。バックパッカーですね。安い旅でしたけれど、そのときの空気をすごく覚えていて。雲が届きそうな感じのところにあって。列車で旅をしたんですけど、固い木の90度になっている椅子にずっと座って、何十時間とか乗って行ったんです。駅で止まると窓をガーッと上に開けるんです。木の枠の窓があって、開けるとそこでチャイを売っている人がいて。素焼きのカップに入ったチャイを買って、動き出した電車のなかで熱くてすごくスパイシーなチャイを飲むんです。飲み終わると動いている電車から放り投げてガチャンと割るという(笑)。その景色をすごく覚えています。
葉加瀬:あれすごいエコなんだよね。あの食器そのものは土で焼いているものだから、飲み終わったものを割ると、もう一度そこに戻っていくだけの話なんでね。
青木はインドで旅をしているときに日本の歌が聴きたくなったのだという。
葉加瀬:いわゆるホームシック的な?
青木:そうなんだと思います。当時はスマホなんてもちろんないですし、音を聴く機械もないわけです。インドの歌は聴こえてくるけど、よくわからない。自分で声を出して歌いたい。そのときに歌詞まで覚えている歌ってないんですよね。それで歌ったのは『ぞうさん』とか国歌とかですね。
葉加瀬:国歌を歌うの?
青木:歌うというか、その程度しか1番を全部歌える歌がないんですよ。
葉加瀬:なるほど。『ぞうさん』を歌って心は休まった?
青木:ある程度は休まった気がします。でも日本の歌が聴きたくなりました。日本が恋しいなというのは、歌がすごく大きかった気がします。
青木:食事はおいしかったです。町食堂みたいなところに毎日行きました。でも慣れなかったのが、カエル。水槽のなかにカエルがぎゅうぎゅうに詰まっているんです。日本で言うと“いけす”のようなところにカエルが詰まっているんですが、何百匹と詰まっていて、それを見ながらカエルを食べるのはちょっと慣れないなって。
葉加瀬:海鮮なんかは特に。もっと言うと中国、東南アジアはみんなそうですけど、市場とかはそれこそニワトリもブタも生きたまま売っていて、それを買って家でさばいてというのがまだまだ普通だから。カエルなんて序の口ですよ。
青木:そうですよね。私は中国の四川省に番組で行かせていただいたことがあって。岩の上に住んでいる人たちだったんですね。山をずっと上がっていって、岩が家なんです。そこの家の人にお土産で持って行くのが生きたブタでした。「一番喜ぶから」と言ってブタを四川省の街で買ってそれを渡しましたね。
葉加瀬:そこから普通にさばいて、というのが当時はね。でも僕が小学校のころは、じいちゃんも普通に、週末になって親戚が集まると、裏庭からニワトリを持って家の下のちょっとした清流みたいな川でさばいてました。陰から見ながらちょっと怖かったけどね。鶏のササミは生で食べるとおいしいじゃないですか。それをおじいちゃんは毛をむしりながらササミのところだけ取って口にポッと入れていたんです(笑)。
青木:なかなかですね(笑)。
葉加瀬:なかなかなんだよ。小学校の低学年のときに、柿の木の陰から見ながら「じいちゃん怖い」って(笑)。あのシーンは鮮烈に覚えているな。
青木:おじいちゃんからすると当たり前のことですもんね。
葉加瀬:普通のことなんですけどね。そうやってだんだんと食べ物の現場から離れて、いまはパックに入ってね。まことしやかに言われているのが、小さい子の中には切り身の姿の魚が海で泳いでいると思っている子がいるって(笑)。カエルも、見なければおいしいでしょ? 鶏肉みたいじゃないですか。モモのところだけでしょ?
青木:そうです、それこそササミというか。とてもおいしかったです。
青木:ダイヤモンドダストって、氷点下何度までにならないとなかなか出てこないので、ずっと雪の上に座りながら空を見ていたんです。ダイヤモンドダスト待ち。それが何十時間も続いたんですけど、そのとき空しか見るものがなくてずっと見ていたら、満天の星空に流れ星がサーッと落ちていくんですよね。氷点下のなかですから空気はすごく澄んでますし、その風景とそのときの温度をすごくよく覚えていますね。
葉加瀬:きれいだよね。
青木:なにもすることがない待ち時間というのがよかったんだと思います。
葉加瀬:空の光、月の光というのがこんなに明るいんだってビックリするよね。あれを見たときに「東京で星は見られないなあ」と思っちゃいますよね。
青木:本当にたまに1つぐらいですよね、星がきれいに見えているなと思えるのは。
葉加瀬:東京ではね。夕方に金星がちょいと見えるぐらいじゃないですかね。満天の星空を見るとたまらないですね。
青木:もう1回、ダイヤモンドダストを見に行きたいです。
葉加瀬:それはダイヤモンドダストを見るということだけだから、スウェーデンの街はあまり経験しなかったんですか?
青木:犬ぞりに乗ったりとかですね。あとはアイスホテルでロケしたりお茶飲んだりしました。アイスホテルって全部氷でできたホテルで、一室一室デザイナーさんが違うんですよ。こんなに素敵な……まあ寒すぎますけど(笑)、ホテルで彫刻を見ているような感覚ですかね。バーにも行ったんですけど、机も全部氷でできていますし、もちろん飲むグラスも氷でできていて。入っている丸い氷もその場で作って、氷のグラスに氷が入った冷たいカクテルかなんかをいただきまして、すごくいい経験でした。そこに寝袋で泊ることもできるんですよね。
葉加瀬:ダウンを着て寝袋をかぶってやっと寝られるということだよね。外よりはきっと温かいだろうけど、言っても壁も全部氷ですからね。でも面白い企画でしたね。西麻布にアイスバーあったよね? いまはもうやってないか。何度か行きました。すごく気持ちいいよね。
青木:寒かったですか?
葉加瀬:寒いです。入り口で貸してくれるダウンを着て入って、氷のなかでみんなで遊ぶというのがありました。
青木:最近はあまり見ませんけど、愛知県にはペンギンバーというのがあって。
葉加瀬:名古屋ね。あるね。
青木:いまもあるんですかね。ただペンギンが動かず突っ立っているという感じのバーで(笑)。
葉加瀬:行ったことあるよ。
青木:私も何度か行きました。
葉加瀬:壁一面が水槽になっていて、ペンギンがあんまり動かないんだよな(笑)。
青木:全然動かない(笑)。
葉加瀬:フラミンゴを見ながら飲む飯屋もあるよ。どこだっけな。それも面白いんだよな。
青木:動くんですか?
葉加瀬:なかなか動かない(笑)。
青木:なかなか動かないものじゃないと、できないのかもしれませんね。
世界の各地で体験した思い出を語り合う60分。『ANA WORLD AIR CURRENT』の放送は毎週土曜日の19時から。
青木が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。オンエアは11月25日(土)。
“青木さやか”を客観視して動かしている
青木は1973年生まれ愛知県出身。名古屋学院大学外国語学部を卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントの道へ。「どこ見てんのよ!」のネタがバラエティ番組で大ブレイクした。現在は俳優、エッセイストとしても活躍し、9月には『50歳。はじまりの音しか聞こえない 青木さやかの「反省道」』(世界文化社)を出版した。葉加瀬:著書をいくつか読ませていただきました。
青木:ありがとうございます。
葉加瀬:さやかさんの本の一番の魅力は「ここまで全部さらけだしていいのかな」という。飾りがないというか。普通はもうちょっと脚色したり、イメージ作りみたいなのがあるじゃないですか。
青木:文章を書いていると「ちょっときれいごとかな」とか「ここは隠したいな」と思うことが出てきたときに「こここそ自分でほじくり返して書かなきゃ」という思いになるんですね。私は“青木さやか”というタレントをちょっと客観視するクセがついていて。青木さやかというタレントはそれがすごく向いている人だし、それをやっても下品になりきらないタレントだと思うんです。なので、客観視して青木さやかを動かしている感じですね。
葉加瀬:書くときは、青木さやかになっているの? それとも自分自身になっている?
青木:自分自身ではあります。
葉加瀬:そこが面白いんだよね。
青木:これが一番疲れるんですけど、最終的に「これは私が書いたものじゃなくて誰かが書いたもの」だと思って、それでも面白いかと思って読んでチェックするんです。私にとってはそこが重要です。
葉加瀬:おそらく、いままでの人生経験があるからこそ書けるんだと思います。
忘れられない、インドで見た光景
青木に一番印象に残っている旅を尋ねると、28年前の1995年に行ったインドへの旅だと答えた。青木:当時の彼がインドを旅している人だったので、2週間ぐらい私も一緒に旅をさせてもらいました。
葉加瀬:22、23歳ということ?
青木:そうです。
葉加瀬:いいねえ。
青木:楽しかった。バックパッカーですね。安い旅でしたけれど、そのときの空気をすごく覚えていて。雲が届きそうな感じのところにあって。列車で旅をしたんですけど、固い木の90度になっている椅子にずっと座って、何十時間とか乗って行ったんです。駅で止まると窓をガーッと上に開けるんです。木の枠の窓があって、開けるとそこでチャイを売っている人がいて。素焼きのカップに入ったチャイを買って、動き出した電車のなかで熱くてすごくスパイシーなチャイを飲むんです。飲み終わると動いている電車から放り投げてガチャンと割るという(笑)。その景色をすごく覚えています。
葉加瀬:あれすごいエコなんだよね。あの食器そのものは土で焼いているものだから、飲み終わったものを割ると、もう一度そこに戻っていくだけの話なんでね。
青木はインドで旅をしているときに日本の歌が聴きたくなったのだという。
葉加瀬:いわゆるホームシック的な?
青木:そうなんだと思います。当時はスマホなんてもちろんないですし、音を聴く機械もないわけです。インドの歌は聴こえてくるけど、よくわからない。自分で声を出して歌いたい。そのときに歌詞まで覚えている歌ってないんですよね。それで歌ったのは『ぞうさん』とか国歌とかですね。
葉加瀬:国歌を歌うの?
青木:歌うというか、その程度しか1番を全部歌える歌がないんですよ。
葉加瀬:なるほど。『ぞうさん』を歌って心は休まった?
青木:ある程度は休まった気がします。でも日本の歌が聴きたくなりました。日本が恋しいなというのは、歌がすごく大きかった気がします。
中国で食べたカエルの思い出
大学では中国語学科だったという青木は、30年ほど前に短期留学で中国を訪ねたそうだ。そこでの食事中のある光景が記憶に残っているのだとか。青木:食事はおいしかったです。町食堂みたいなところに毎日行きました。でも慣れなかったのが、カエル。水槽のなかにカエルがぎゅうぎゅうに詰まっているんです。日本で言うと“いけす”のようなところにカエルが詰まっているんですが、何百匹と詰まっていて、それを見ながらカエルを食べるのはちょっと慣れないなって。
葉加瀬:海鮮なんかは特に。もっと言うと中国、東南アジアはみんなそうですけど、市場とかはそれこそニワトリもブタも生きたまま売っていて、それを買って家でさばいてというのがまだまだ普通だから。カエルなんて序の口ですよ。
青木:そうですよね。私は中国の四川省に番組で行かせていただいたことがあって。岩の上に住んでいる人たちだったんですね。山をずっと上がっていって、岩が家なんです。そこの家の人にお土産で持って行くのが生きたブタでした。「一番喜ぶから」と言ってブタを四川省の街で買ってそれを渡しましたね。
葉加瀬:そこから普通にさばいて、というのが当時はね。でも僕が小学校のころは、じいちゃんも普通に、週末になって親戚が集まると、裏庭からニワトリを持って家の下のちょっとした清流みたいな川でさばいてました。陰から見ながらちょっと怖かったけどね。鶏のササミは生で食べるとおいしいじゃないですか。それをおじいちゃんは毛をむしりながらササミのところだけ取って口にポッと入れていたんです(笑)。
青木:なかなかですね(笑)。
葉加瀬:なかなかなんだよ。小学校の低学年のときに、柿の木の陰から見ながら「じいちゃん怖い」って(笑)。あのシーンは鮮烈に覚えているな。
青木:おじいちゃんからすると当たり前のことですもんね。
葉加瀬:普通のことなんですけどね。そうやってだんだんと食べ物の現場から離れて、いまはパックに入ってね。まことしやかに言われているのが、小さい子の中には切り身の姿の魚が海で泳いでいると思っている子がいるって(笑)。カエルも、見なければおいしいでしょ? 鶏肉みたいじゃないですか。モモのところだけでしょ?
青木:そうです、それこそササミというか。とてもおいしかったです。
長い待ち時間を経て…美しいダイヤモンドダスト
続いて青木は、番組の企画でダイヤモンドダストを見るためにスウェーデンにいったときの思い出を振り返った。青木:ダイヤモンドダストって、氷点下何度までにならないとなかなか出てこないので、ずっと雪の上に座りながら空を見ていたんです。ダイヤモンドダスト待ち。それが何十時間も続いたんですけど、そのとき空しか見るものがなくてずっと見ていたら、満天の星空に流れ星がサーッと落ちていくんですよね。氷点下のなかですから空気はすごく澄んでますし、その風景とそのときの温度をすごくよく覚えていますね。
葉加瀬:きれいだよね。
青木:なにもすることがない待ち時間というのがよかったんだと思います。
葉加瀬:空の光、月の光というのがこんなに明るいんだってビックリするよね。あれを見たときに「東京で星は見られないなあ」と思っちゃいますよね。
青木:本当にたまに1つぐらいですよね、星がきれいに見えているなと思えるのは。
葉加瀬:東京ではね。夕方に金星がちょいと見えるぐらいじゃないですかね。満天の星空を見るとたまらないですね。
青木:もう1回、ダイヤモンドダストを見に行きたいです。
葉加瀬:それはダイヤモンドダストを見るということだけだから、スウェーデンの街はあまり経験しなかったんですか?
青木:犬ぞりに乗ったりとかですね。あとはアイスホテルでロケしたりお茶飲んだりしました。アイスホテルって全部氷でできたホテルで、一室一室デザイナーさんが違うんですよ。こんなに素敵な……まあ寒すぎますけど(笑)、ホテルで彫刻を見ているような感覚ですかね。バーにも行ったんですけど、机も全部氷でできていますし、もちろん飲むグラスも氷でできていて。入っている丸い氷もその場で作って、氷のグラスに氷が入った冷たいカクテルかなんかをいただきまして、すごくいい経験でした。そこに寝袋で泊ることもできるんですよね。
葉加瀬:ダウンを着て寝袋をかぶってやっと寝られるということだよね。外よりはきっと温かいだろうけど、言っても壁も全部氷ですからね。でも面白い企画でしたね。西麻布にアイスバーあったよね? いまはもうやってないか。何度か行きました。すごく気持ちいいよね。
青木:寒かったですか?
葉加瀬:寒いです。入り口で貸してくれるダウンを着て入って、氷のなかでみんなで遊ぶというのがありました。
青木:最近はあまり見ませんけど、愛知県にはペンギンバーというのがあって。
葉加瀬:名古屋ね。あるね。
青木:いまもあるんですかね。ただペンギンが動かず突っ立っているという感じのバーで(笑)。
葉加瀬:行ったことあるよ。
青木:私も何度か行きました。
葉加瀬:壁一面が水槽になっていて、ペンギンがあんまり動かないんだよな(笑)。
青木:全然動かない(笑)。
葉加瀬:フラミンゴを見ながら飲む飯屋もあるよ。どこだっけな。それも面白いんだよな。
青木:動くんですか?
葉加瀬:なかなか動かない(笑)。
青木:なかなか動かないものじゃないと、できないのかもしれませんね。
世界の各地で体験した思い出を語り合う60分。『ANA WORLD AIR CURRENT』の放送は毎週土曜日の19時から。
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番組情報
- ANA WORLD AIR CURRENT
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毎週土曜19:00-19:54
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葉加瀬太郎