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音楽業界における、ジェンダーマイノリティの憩いの場。イギリスの非営利団体の取り組みとは?

音楽業界における、ジェンダーマイノリティの憩いの場。イギリスの非営利団体の取り組みとは?

音楽業界で働く、あらゆるセクシュアリティを持つ人たちをサポートするイギリスの非営利団体「Ladies Music Pub」を紹介した。

この内容をお届けしたのは、J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)のワンコーナー「WORLD CONNECTION」。9月10日(日)のオンエアをテキストで紹介。

女性とマイノリティのためのサポートグループ

「Ladies Music Pub」は、音楽業界で働くあらゆるセクシュアリティを持つ人たちをサポートする、イギリスの非営利団体だ。今回は、創設者の一人であるTYSONさんからレーベルの設立の経緯や活動内容、今後の展望などを聞いた。

小川:まずは、どんな団体か教えていただけますか?

TYSON:Ladies Music PubはHannahというお友達と2015年に始めた非営利団体です。私自身はアーティストで、Hannahさんはレーベルのお仕事をしていたので、そういった音楽の繋がりがあり、お互いセクシュアリティについての経験も似ていたので立ち上げることになりました。さまざまな女性とマイノリティのための、ある種のサポートグループとして活動しており、Ladies Music PubのPubはイギリスのパブを指しており、居酒屋のようなところで集まるような場所にしたいと思いました。実際、パブに集まるような感じで、Ladies Music Pubでは毎月ミーティングをして、さまざまな音楽やマイノリティ、LGBTQIコミュニティのことを話しています。Facebookグループもあり、そこではさまざまな質問をすることができて、音楽のことやセクシュアリティのことなど、なんでもオープンに話せる場になっています。

2019年からはNellieとMarinaが団体に所属し、以降はイベントのプロダクション、フェスやDJのマネジメント活動にも着手するようになった。

小川:創設者同士で共通していたセクシャリティに対する思いとは、どんなものがあったのでしょうか?

TYSON:セクシャリティというよりは、ジェンダーマイノリティの憩いの場という感じかもしれないですね。イギリスの音楽シーンではシスジェンダー(性自認と生まれ持った性別が一致している人)の男性が活動していることが多いので、トランスジェンダーやノンバイナリーの方もアーティストとしてより活動できるようにサポートしています。Ladies Music Pubでは主にシスジェンダーの女性が多いのですが、「音楽業界でマイノリティ」が共通点なので、お互い助け合ってマイノリティである女性やさまざまなジェンダーの方も音楽シーンで活躍できるようにしたいです。

団体が「パブのような雰囲気」を重視する理由

Ladies Music Pubでは現在3,000人以上のメンバーが所属している。Ladies Music Pubをパブのような空間にしたいと思った理由は何だろう?

TYSON:この活動をおこなうことになったのは偶然に起こったことだったんです。私とHannahはパブで何時間も悩みを話し合うことを頻繁にしていました。それは女性としての、この業界でなかなか認知してもらえないという悩みでした。Hannahはレーベルを立ち上げたのにも関わらずインターンと間違われたり、私自身はバンドメンバーなのにファンは男性メンバーにしか声をかけなかったりと、いろいろ悩みがあり、Ladies Music Pubが始まりました。その後、Hannahがさまざまな女性の知り合いに「こういうレーベルをやりたいのだけど参加しない?」と声をかけました。Ladies Music Pub設立後は実際にパブでミーティングをしていましたが、今ではレコードレーベルやアートギャラリーなど、さまざまな場所で集まっています。行けば何でも話せると感じるので、「パブのような雰囲気」というのは今でも大事にしていますね。

小川:メンバー間では、実際にどういったやりとりがおこなわれているのでしょうか?

TYSON:Facebookのグループは3,000人ぐらいなんですけども、実際に対面でミーティングをするときは30名ぐらいなんですね。そのときは円になってより少人数でプライベートなミーティングできるようにしています。また、音楽業界では著作権で困っている方がたくさんいるので、著作権に詳しい弁護士の方がLadies Music Pubに所属していて、その方からアドバイスしていただくといったこともありましたね。最近だと、フェスで多様性がない問題について話し合ったりしています。

イギリスで開催される大規模野外音楽フェスであるグラストンベリー・フェスティバルでは、ヘッドライナーに選ばれるのは白人男性が多いため、どのようなアクションを起こせばマイノリティのアーティストが活躍できるかを話し合ったそうだ。

TYSON:セクシャルハラスメントの問題といった、かなりヘビーな話し合いもあります。

小川:お互いに悩みを共有して、深いところまで話し合うコミュニティができているんですね。素敵だなと思いました。

Ladies Music Pubの今後の展望は?

TYSONさんから、Ladies Music Pubの今後の目標を聞いた。

TYSON:ゴールはLadies Music Pubが必要でなくなる世界になることです。具体的にはレーベルとしてLadies Music Pubを広げて、新しいアーティストをたくさん入れてレーベル自体を拡張させたいです。将来的にはLadies Music Pubのフェスをするのも目標ですね。イベントもたくさんし続けたいです。また、現在のフェスのヘッドライナーは男性であることが多くて多様性がなく、業界がそれを変えようとしないのも問題となっているので、マイノリティの方もどんどん前に出られるようにするのも目標の1つです。

Ladies Music PubのPubは「Publishing(出版)」と思われることが多いそうで、TYSONさんは「実際、何かを出版するのもいいかもしれない」とも語った。

TYSON:たくさんの夢や目標があるんですけども、主な目標はフェスとさまざまなイベントを実施することですね。

小川:夢が広がっていることを私も楽しみにしております。

『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「WORLD CONNECTION」では、ゲストを招き世界の最新カルチャーに迫る。オンエアは9時20分頃から。

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