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玉城ティナ「脱無音を目指します」 俳優業や、私生活で好む“謎サイズノート”について聞いた

玉城ティナ「脱無音を目指します」 俳優業や、私生活で好む“謎サイズノート”について聞いた

青春漫画の金字塔『ソラニン』で知られる漫画家・浅野いにおによるパーソナルなコミックを竹中直人が実写映画化した『零落』(3月17日公開)。ストイックゆえのスランプに直面する漫画家・深澤薫(斎藤工)の記憶に深い傷を残す“猫顔の少女”を演じたのが、デビュー10年を超えた玉城ティナだ。

俳優業の傍らラジオパーソナリティーも務める玉城は、2023年を“脱無音YEAR”にしたいらしい。……え? どういうこと!? さっそくご本人を直撃してみた。

漫画を基にした映画は、原作をしっかり読み込んで

──玉城さんはミステリアスとかファム・ファタール的な役が多いですね!

玉城:個性的なキャラクターというのは、全員が全員できるようなことではないと思うので、観客の記憶に残るようなポジションを与えられるのはとても嬉しいことです。

──しかも漫画を原作にした作品への出演が多いですね!

玉城:一俳優として漫画原作はとてもやりやすいと感じています。というのも絵としてヴィジュアルがすでに提示されているので、大きなヒントを与えられているような感覚があるからです。ゼロから組み立てなくていいというか、元々あるものからさらにイメージを膨らませていく。俳優さんの中では脚本だけを読んで原作漫画は読まないという方もいますが、私は必ず原作に目を通してから臨むタイプです。

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©2023浅野いにお・⼩学館/「零落」製作委員会

──竹中直人監督はどのような監督でしたか?

玉城:浅野いにおさんの漫画は好きで昔から読んでいたので、それを竹中直人さんが監督するということで、どのような映画になるのだろうかと撮影前から楽しみでした。竹中監督とは俳優として共演経験もありますし、撮影前にしっかりとお話合いの機会もいただいたので、とてもスムーズな形で撮影に入れたと思います。“猫顔の少女”として、少ないシーンの中でインパクトを残さなければいけないというプレッシャーはありましたが、竹中監督が選んでくれたからには頑張らなければと……。竹中監督は必要な画を完璧に把握されているので、撮影もとても速い。まるで編集点も決めて撮っているかのような的確さで、とてもスムーズな現場でした。

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斎藤 工は「私も現場にいてもいいんだ」と思わせてくれる

──俳優が監督を務める利点は何だと思いますか?

玉城:被写体の気持ちがわかる分、俳優が監督をするのは利点しかないと思います。私も『アクターズ・ショート・フィルム2』内の短編映画『物語』で監督に初挑戦させてもらって、スタッフとして様々な打ち合わせを体験する中で、一つの映画が作られていく過程を具体的に自分の目で見ることが出来ました。それは俳優としてもプラスになる経験で、カメラの前以外で何が起きているのかを実感できたのは大きな財産です。当初は監督と呼ばれることに上手く反応できないのではないかと思いましたが、それもなくてすんなりと自分の中に入ってきました。

──斎藤工さんとの共演はいかがでしたか?

玉城:斎藤工さんとは何度も共演させていただき、WOWOWの映画番組にもゲストとして呼んでくださったことがあります。斎藤さんは、「私も現場にいてもいいんだ」と思わせてくれる俳優さんで、役として対峙しているときも「すごい表情をされるな……」と刺激を受けました。『グッバイ・クルエル・ワールド』では顔を思い切り踏まれるシーンもありましたが、「どうぞ踏みつけてください!」という気持ちでした(笑)。斎藤さんには、こちらをそのような気持ちにさせる安心感とオーラがあります。

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──玉城さんはどのような心構えで撮影現場にいらっしゃいますか?

玉城:もしかしたらイメージそのままだと思われるかもしれませんが、私は現場ではいつも静か~にしていて、呼ばれたら行って本番に臨むタイプです。仕事をしっかりして帰る。その繰り返しです(笑)。

10代の頃ノートに書いたのは「あまりにもわからない感情」

──デビューして10年が過ぎましたね!

玉城:中学3年生のときに『ViVi』が決まって、沖縄と東京を行き来する生活がスタートしました。改めて振り返ると、多感な時期を東京で過ごしたなという感覚が大きいです。私は“表現が溢れて止まらない!”というタイプではなくて、あくまでも“表現は仕事の一つ”と考えているタイプ。求められるからやっているというか、求められて色々な仕事や人と出会って、そこから自分がやりたいと思うことを見つけてきました。それはこれからも変わらないと思います。

──デビュー当時はどのような気持ちがあったのでしょうか?

玉城:子どもの頃は大人になったら地元・沖縄を離れて東京に行くんだろうとぼんやり考えていたので、デビューが決まったことでそれが早まってラッキー!という軽い気持ちが一番だったと思います。“私はこれで!”というような強い決意みたいなものはなかった気がしますね。ただ年齢を重ねていく中で、今の仕事こそが私に合っている仕事なのかもしれないと思うようになって。改めて不思議な人生だと思います。10年はあっという間で、気づいたら25歳です。

──上京したばかりの頃は喫茶店でノートに文章を書いていたそうですね。

玉城:上京してしばらくはノートにメモするのが好きでした。日記というわけではないけれど、そのときの自分が何を思ったのか、どんな感情なのか。一人でいるときに書いたりして、書くことで気持ちを整理してモヤモヤを解消したりして。頻度は多くはないですが、今も時々メモを取ることはあります。そもそもノートという存在自体が好きで、小さな謎サイズの可愛らしいノートを見つけるとついつい買ってしまいます。

──スマホじゃなくてあえてアナログなノートなんですね!

玉城:スマホにメモするのもいいのかもしれませんが、スマホは機能が充実しすぎているというか、別のことに気持ちが移ってしまう。ノートの方がシンプルで好きです。メモを書き込んだノートは保管しているものもありますが、ほとんどは捨ててしまいました。今読み返してもあまりにもわからない感情ばかりで……。多感な15、6歳の頃ならではのエピソードですよね(笑)。

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2023年の改善点は“脱無音”

──J-WAVE NEWSは、音楽に力を入れるラジオ局のJ-WAVEが運営しています。そこで質問です。玉城さんの好きな音楽は何ですか?

玉城:ラジオでパーソナリティをしているのになんですが、これまで積極的に音楽を聴く習慣がなくて……。AirPodsをノイズキャンセリングだけに使っているようなレベルでした。「何を聴いているの?」と聞かれて「無音です」と答えたり(笑)。でも、これが好き!というものがないだけで、裏を返せばどんな音楽でもすんなりと受け入れることができるということで。人から曲をおススメされたら聴きますし、柔軟性はある方だと思います。移動中はノイズキャンセリングで寝ていますが……。

──……無音!?

玉城:そこは今年の改善点だと思っているので、ラジオ番組のスタッフの方々におススメの曲を教えてもらったりして勉強中です。『悪の華』の撮影中は役作りの一環でビリー・アイリッシュを聴いていたので、そういったことをまた始めたいです。耳にするものと言えば今は無音かエリック・サティのピアノ曲くらいなので、2023年は音楽の探求を目標に脱無音を目指します!

──玉城さんのラジオ番組で「私のおすすめの曲、無音です。どうぞ」というとんでもない伝説を期待してもいいですか!?

玉城:それはさすがにマズいです! ラジオで無音を流したら放送事故ですから!

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(取材・撮影・文=石井隼人)

【作品情報】
『零落』
3⽉17⽇(⾦)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
製作幹事・配給:⽇活/ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/reiraku/
出演: 斎藤 工
趣里 MEGUMI
玉城ティナ / 安達祐実

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