劇団「ロロ」主宰の劇作家・三浦直之さんが、お気に入りの書籍を紹介し、人生に影響を与えた一節を紹介した。
三浦さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)のワンコーナー「DAIWA HOUSE MY BOOKSHELF」。2月26日(日)のオンエアをテキストで紹介。
演劇の枠にとらわれず、脚本提供、歌詞提供、ワークショップ講師など幅広く活動。2016年『ハンサムな大悟』は、第60回岸田國士戯曲賞最終候補作品にノミネートされた。
小川:最近だと映画『サマーフィルムにのって』も書かれていますし、大活躍されていますよね。演劇も書かれていますけども、ほかのお仕事との違いはありますか?
三浦:テレビドラマ、映画、演劇とジャンルごとに面白さって違うから、スタイルを変えながら書くのは自分の勉強にもなっていますね。
小川:どの媒体でも三浦さんの言葉のリズム感があるなと思っていて、それがすごく好きです。
三浦:セリフのやり取りを書くときも、頭のなかで気持ちのいいリズムをずっと探していくところがあります。気付くとブツブツ喋っていて、周りに見られているってことはよくあります(笑)。
小川:三浦さんの演劇を観ていると作家さんとか歌手の方、漫画、俳句といったいろんなものが出てくるじゃないですか。カルチャーの幅が広いと思うんですけども、その源があるのでしょうか?
三浦:昔から、興味を持ったらいろんなジャンルの本を買うようにしています。それと同じように、本以外でもひとまず取り入れたいっていうのはありますね。
三浦さんは「お家時間を利用して読んだ本のなかで本棚に残したいと思った本」として、江國香織の『去年の雪』(KADOKAWA)を挙げた。
三浦:登場人物が100人以上出てきて、登場人物の短章がずっと続いていくんですね。それぞれのエピソードが完全に繋がっていないわけではないんですけども、1つに集結していくってわけでもないんですよ。いろんな登場人物を浴びるように読んでいくから、読んでいくと自分もこの物語のなかにいる感覚になりますね。
小川:100人以上の人たちがそこに存在している感じなんですね。面白そう。
三浦:切り取られる瞬間は劇的ではなくて、本当にたわいもない、日常のなかでも忘れちゃいそうなことなので素晴らしいなと思います。一つひとつが短いから、合間に読むのもすごく楽しいです。
小川:どんなところに影響を受けていますか?
三浦:僕、高校生の頃は舞城王太郎さんの小説が出るたびに楽しく読んでいました。舞城さんって毎回書き出しが素晴らしいんですね。<愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。>このあとにも素晴らしい文章が続くんですけど、ずっとこの言葉が“真ん中”にある感じです。自分の根っこにある言葉なんですよね。
小川:三浦さんの作る劇の人たちってみんなが愛おしいというか、ユニークで多幸感に溢れていますよね。一節も素敵ですし、それに影響を受けて作られている作品もとても素敵だと思います。
三浦:『好き好き大好き超愛してる。』は、恋人を亡くした作家の主人公が、そのことについてずっと考えていくメインの話のなかに、3つの短い挿話が入っています。「智依子」という挿話は、智依子という女の子にASMAという寄生虫が体に入ってしまうんですが、ASMAは体内で光るんですよ。なので、死に近づくごとに光が大きくなって、姿がどんどん美しくなっていく。死の寂しさと残酷さと、一方にある美しさがあるんです。ずっと愛について語っているけど、一方で暴力とか悪意とか残酷さを描いている方なんですよね。
小川:お話を聞いていると、死をテーマに置きながらもファンタジーに包まれていますね。なんだけども、そこに真実が宿っている感じがしました。やっぱり、高校生の頃に見ていたものとか刺さったものって、今の制作にも影響が続くものですか?
三浦:そうですね。今も小説を読むのは自分の何よりの喜びだけど、10代のときに食らったものは、ずっと自分の真ん中にあるなって気がしますね。
小川:音楽で言うと、小沢健二さんにものすごく影響を受けてらっしゃいますよね。
三浦:そうですね(笑)。あとはサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんとか、10代の頃に影響を受けたものは今も大事ですね。
小川:三浦さんが作られている「いつ高シリーズ」、高校演劇のルールに則った、高校を舞台にした演劇もすごく好きです。そのなかにも色褪せない青春感みたいな、10代の頃の新鮮な気持ちがずっと宿っている感じがします。
ロロは2017年初演の音楽劇『BGM』を新たな演出で開催する。日程は5月5日(金・祝)から10日(水)。
三浦:俳優、演出を変えてほぼ新作みたいな気持ちで作ろうと思っています。音楽は曽我部恵一さんにお願いします。チケットの発売は3月上旬予定なので、ロロのオフィシャルサイトをぜひチェックしてみてください。
『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「DAIWA HOUSE MY BOOKSHELF」では、本棚からゲストのクリエイティヴを探る。オンエアは10時5分頃から。
三浦さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)のワンコーナー「DAIWA HOUSE MY BOOKSHELF」。2月26日(日)のオンエアをテキストで紹介。
さまざまなジャンルの作品を生み出し続ける劇作家
三浦直之さんは、大学在学中に執筆した『家族のこと、その他たくさんのこと』が王子小劇場「筆に覚えあり戯曲募集」に史上初入選。主宰として劇団「ロロ」を立ち上げ、全作品の脚本・演出を担当する。演劇の枠にとらわれず、脚本提供、歌詞提供、ワークショップ講師など幅広く活動。2016年『ハンサムな大悟』は、第60回岸田國士戯曲賞最終候補作品にノミネートされた。
小川:最近だと映画『サマーフィルムにのって』も書かれていますし、大活躍されていますよね。演劇も書かれていますけども、ほかのお仕事との違いはありますか?
三浦:テレビドラマ、映画、演劇とジャンルごとに面白さって違うから、スタイルを変えながら書くのは自分の勉強にもなっていますね。
小川:どの媒体でも三浦さんの言葉のリズム感があるなと思っていて、それがすごく好きです。
三浦:セリフのやり取りを書くときも、頭のなかで気持ちのいいリズムをずっと探していくところがあります。気付くとブツブツ喋っていて、周りに見られているってことはよくあります(笑)。
本棚にあるお気に入りの書籍
番組では、三浦さんの本棚の写真をチェック。古川日出男やジョン・アーヴィングの作品に大きな影響を受けているという。10:05頃~
— ACROSS THE SKY (@acrossthesky813) February 26, 2023
DAIWA HOUSE MY BOOKSHELF
劇団「ロロ」主宰の劇作家 #三浦直之 さんが登場!
影響をうけた本の一節を紹介していただきます。#jwave #sky813 pic.twitter.com/ZIMOUBLxK5
小川:三浦さんの演劇を観ていると作家さんとか歌手の方、漫画、俳句といったいろんなものが出てくるじゃないですか。カルチャーの幅が広いと思うんですけども、その源があるのでしょうか?
三浦:昔から、興味を持ったらいろんなジャンルの本を買うようにしています。それと同じように、本以外でもひとまず取り入れたいっていうのはありますね。
三浦さんは「お家時間を利用して読んだ本のなかで本棚に残したいと思った本」として、江國香織の『去年の雪』(KADOKAWA)を挙げた。
三浦:登場人物が100人以上出てきて、登場人物の短章がずっと続いていくんですね。それぞれのエピソードが完全に繋がっていないわけではないんですけども、1つに集結していくってわけでもないんですよ。いろんな登場人物を浴びるように読んでいくから、読んでいくと自分もこの物語のなかにいる感覚になりますね。
小川:100人以上の人たちがそこに存在している感じなんですね。面白そう。
三浦:切り取られる瞬間は劇的ではなくて、本当にたわいもない、日常のなかでも忘れちゃいそうなことなので素晴らしいなと思います。一つひとつが短いから、合間に読むのもすごく楽しいです。
10代の頃に影響を受けたものが作風の根底にある
三浦さんにとって「人生に影響を与えた一節」は、舞城王太郎の書籍『好き好き大好き超愛してる。』(講談社)の「愛は祈りだ。僕は祈る」だという。小川:どんなところに影響を受けていますか?
三浦:僕、高校生の頃は舞城王太郎さんの小説が出るたびに楽しく読んでいました。舞城さんって毎回書き出しが素晴らしいんですね。<愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。>このあとにも素晴らしい文章が続くんですけど、ずっとこの言葉が“真ん中”にある感じです。自分の根っこにある言葉なんですよね。
小川:三浦さんの作る劇の人たちってみんなが愛おしいというか、ユニークで多幸感に溢れていますよね。一節も素敵ですし、それに影響を受けて作られている作品もとても素敵だと思います。
三浦:『好き好き大好き超愛してる。』は、恋人を亡くした作家の主人公が、そのことについてずっと考えていくメインの話のなかに、3つの短い挿話が入っています。「智依子」という挿話は、智依子という女の子にASMAという寄生虫が体に入ってしまうんですが、ASMAは体内で光るんですよ。なので、死に近づくごとに光が大きくなって、姿がどんどん美しくなっていく。死の寂しさと残酷さと、一方にある美しさがあるんです。ずっと愛について語っているけど、一方で暴力とか悪意とか残酷さを描いている方なんですよね。
小川:お話を聞いていると、死をテーマに置きながらもファンタジーに包まれていますね。なんだけども、そこに真実が宿っている感じがしました。やっぱり、高校生の頃に見ていたものとか刺さったものって、今の制作にも影響が続くものですか?
三浦:そうですね。今も小説を読むのは自分の何よりの喜びだけど、10代のときに食らったものは、ずっと自分の真ん中にあるなって気がしますね。
小川:音楽で言うと、小沢健二さんにものすごく影響を受けてらっしゃいますよね。
三浦:そうですね(笑)。あとはサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんとか、10代の頃に影響を受けたものは今も大事ですね。
小川:三浦さんが作られている「いつ高シリーズ」、高校演劇のルールに則った、高校を舞台にした演劇もすごく好きです。そのなかにも色褪せない青春感みたいな、10代の頃の新鮮な気持ちがずっと宿っている感じがします。
ロロは2017年初演の音楽劇『BGM』を新たな演出で開催する。日程は5月5日(金・祝)から10日(水)。
三浦:俳優、演出を変えてほぼ新作みたいな気持ちで作ろうと思っています。音楽は曽我部恵一さんにお願いします。チケットの発売は3月上旬予定なので、ロロのオフィシャルサイトをぜひチェックしてみてください。
『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「DAIWA HOUSE MY BOOKSHELF」では、本棚からゲストのクリエイティヴを探る。オンエアは10時5分頃から。
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- ACROSS THE SKY
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毎週日曜9:00-12:00
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小川紗良