音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
副業で「ラブレター代筆」 を150通以上! IT企業社員が語る、その実態とは?

副業で「ラブレター代筆」 を150通以上! IT企業社員が語る、その実態とは?

副業として行っている「ラブレター代筆業」について、デンシンワークス代表の小林慎太郎さんが語った。

小林さんが登場したのは『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは11月16日(水)のオンエア内容をテキストで紹介する。

なぜ「ラブレター代筆業」を?

まずは、そもそも「ラブレター代筆業」とはどのようなものなのか、小林さんに教えてもらった。

小林:内容としては文字通りなんですけど、誰かに思いを寄せる人がいて、手紙で告白をしたいんだけどちょっと気持ちがうまくまとめられないとか、そもそもラブレターを書いたことがない、という方から依頼をいただいて、その方に代わってラブレターの文章を作る仕事です。

サッシャ:「こういうのを書きました、これでいいですかね」っていうのもアリ?

小林:それもアリですね。いわゆる添削も対応させていただいています。

そもそもラブレター代筆業を始めたきっかけは、何だったのだろうか。

小林:始めたのは2014年からです。当時も会社員として働いていて、収益性とか効率性をずっと求めるのに疲れて、そういうのからまったく離れた、本当に自分の好きなことをやりたいと考えました。ビジネスのプレゼンテーションの指導や面接のアドバイスなど、いくつか考えていましたが、もともと自分が告白するときはラブレターを書いていたということもあり、「ラブレター代筆」って響きとして面白いかなっていうぐらいの感覚ではじめました。

ノイハウス:よく思いつきましたね。

小林:ロマンチストというよりは、直接人の目を見て告白するのが恥ずかしいので、手紙で間接的にっていう感じですね。下駄箱に入れたりとか、机の中に入れたりとか(笑)。

サッシャ:字はきれいなんですか?

小林:字はすごく汚いです。

サッシャ:それでも代筆しているんですか!?

小林:文章を書くだけなので。字を書くのは依頼者の方にしていただきます。

印象的だったのは「自分への励ましの手紙」

ラブレターを代筆する際の依頼者とのやり取りは、どのような流れになっているのだろうか。

小林:第一歩としては、当然依頼者の方や手紙を渡す相手のことを深く知らなきゃ行けないので、直接お会いして、1時間、2時間かけてヒアリングをさせていただきます。あとはそれをもとに、私が文章を作って、できたら「どうでしょう」という感じでやり取りをします。

ノイハウス:ヒアリングで聞き出さなきゃいけないのは、どういう部分なんですか。

小林:多岐にわたるんですけど、私の頭のなかでその人になりきらなきゃいけないので、週末の過ごし方とか、友だちからの見られ方とか、そういうのが自分のなかでイメージできるくらいまで聞いていきます。

依頼者によって背景が異なるため、ラブレター代筆には「ひな形がない」と語る小林さん。1000文字ほどのラブレターは、ヒアリングから2週間ほどで完成し、修正対応も行っているそうだ。

これまでに代筆してきたラブレターの数は、150通以上。小林さんが特に印象に残っているのは。

小林:一つひとつ思い出はあるんですけど、特にいくつかあって、基本的にはラブレターって、自分以外の誰かに渡すものです。そうじゃなくて依頼者の方が、依頼者の方自身に向けて、応援とか励ましの手紙を書いて欲しいというのが何回かありました。なので、「こういう需要があるんだな」ってことは印象深く残っています。あとは先ほどいったように、私の仕事は文章を考えることなんですけど、なかには「文章は自分で考えるから、文字を書いてほしい」というのがあって……。

サッシャ:でも、字がそんなにきれいじゃないっていってましたよね(笑)。

小林:そうなんですよ。なので1回はお断りするんですけど、だいたいそういう方は、単純にその方が字が汚いとかじゃなくて、ちょっとお体が不自由で書けないから書いてほしいと。それはさすがにむげにできないので、私も字が汚いながらも誠心誠意書いて、お渡しするってことをやったりします。

ノイハウス:そこがポイントですよね。心がこもっていたり、時間がかかっている手書きが欲しいというところだと思うので。

サッシャ:それ、素敵ですね。身体が不自由な方にとっては、手書きの手紙を送るのが夢だったりすると思うので。

小林:我々とは感覚が違うので、すごく思いが詰まったものなんでしょうね。

8年継続…そのモチベーションとは

多くの依頼のなかには、もちろん女性からのものも。異性になりきってのラブレターは、どのように書いているのだろうか。

小林:全体の3割くらいは女性からの依頼なんですけど、私は男性なので、女性の文体や口調を意識するために、たとえば女性の方の書く小説を集中的に読んだりとか、ちょっと染みこませる時間は必要ですね。

サッシャ:表現方法も違うでしょうし、その人の個性もあるし、女性っていったっていろんな人がいるわけだから。

小林:ただ個人的には、女性人格で書くほうが好きだったりします。シンプルに非日常的な体験ができるというのもありますし、女性の人格で書くということは、渡された男性の気持ちがわかるので、やりやすいのはあります。

ラブレター代筆業は「副業」で、小林さん自身にはIT企業での「本業」がある。時期によっては忙しい時期もあるなか、苦労もあるという。

小林:日頃は、会社員として朝から夜まで働いて、基本的にラブレターはそのあとみたいな感じです。会社員としての繁忙期と、さらに代筆が何件か重なると、頭が切り替えられなくてごちゃごちゃとなりますね。

ノイハウス:そうですよね。けっこう違う内容ですし。

小林:会社員として書くのはビジネス文書なので、論理性とかなんですけど、ラブレターって論理性というよりは情緒とか感情なので、その切り替えが難しいですね。

サッシャ:それが逆にいいバランスになっているのかもしれませんね。

小林:確かに、相乗効果が生まれるときもあるかなとは思いますけどね。

サッシャ:たとえば、プレゼンテーションで情に訴えるのが上手くなりそうですよね。

小林:そういうのが生きる場面もありますけど、往々にしてちょっと邪魔をする感じですね(笑)。

さまざまな時期があるなか、8年以上も続いている代筆業。モチベーションを維持できているのはなぜなのだろうか。

小林:1つはシンプルにいろんな方にお会いして話を聞くなかで、その人の人生の一場面を体感できるというのは醍醐味です。あとは、会社員として働くときは「組織としてやりました」っていう感じなので、個人として何かやったなという感じではないんですけど、代筆は「小林慎太郎」個人に対してお礼をいってもらえるので、そういう充実感は大きいですね。

サッシャ:確かに他の人の恋愛を疑似体験できるというのは、なかなかないですよね。親友とかの恋愛話を聞くことはあっても、ましてや異性がどういうふうに恋愛していって……っていうのはそんなに経験しないですよね。だからそれを知るのはすごい蓄積ですよね。

ノイハウス:いつかこれを本にしてほしい。

副業推進時代でもある現代。さまざまな副業にチャレンジした経験も踏まえ、小林さんからアドバイスをいただいた。

小林:私自身の経験でいくと、あんまり収益性を求めすぎないほうがいいですね。そこを考えちゃうと、第一歩を踏み出す前にいろいろ考えてしまったりとか、やったあとでもうまくいかないなと悩んだりしてしまうので、最初は気分転換くらいの感じではじめられるのがいいと思います。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」では、毎回ニューノーマル時代のさまざまなエッジにフォーカスする。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン
radikoで聴く
2022年11月23日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
STEP ONE
月・火・水・木曜
9:00-13:00