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VivaOla、バークリー音大在学中の“行き詰まっていた時期”に出会って刺激を受けたアーティストは?

VivaOla、バークリー音大在学中の“行き詰まっていた時期”に出会って刺激を受けたアーティストは?

R&BシンガーソングライターのVivaOlaが、自身の音楽のルーツや、新曲『GHOST』に込めた思いを明かした。

VivaOlaが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』内のコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」。オンエアは6月6日(月)、7日(火)。同コーナーでは、アーティストたちの自身の楽曲に込めた想いと、彼らのアーティスト人生に大きく影響を与えた楽曲との出会いの話を通じて、音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けする。

3人の明るいルーツをギュッとひとつにまとめた1曲

韓国生まれ、東京育ちのVivaOla。米国ボストンにあるバークリー音楽院にも通っていた経歴もある。

そんなVivaOlaの新曲『GHOST』は、Jua、Wez Atlasとのコラボ楽曲だ。「J-WAVE SONAR TRAX」にも選出されている。VivaOlaは『GHOST』にどんな自分らしさを混ぜつつ、Jua、Wez Atlasと共同制作を進めていったのか。

VivaOla:そもそもJua、Wez Atlasとはこれまでにもコラボを2回ほどしていて、1曲目は『Vise le haut』、続けては『NEO EGO』で、今回が3作目です。ジャンルとしてはわかりやすくPOP、トラップ、R&BやHIPHOPといった、3人の明るいルーツをギュッとひとつにまとめた1曲になっています。

流れとしては1曲目の『Vise le haut』がノリで作った曲、2曲目の『NEO EGO』を作る頃は曲に込めて伝えたいことも多くて、“完成度の高いものを作ろう”という想いがありました。3曲目は2曲目の流れに沿ってよりオルタナな方向に持っていくのか、初心の “遊び心”を大事にするのかという選択肢がありましたね。そんな話合いの過程でWezくんが「もう1度、遊んでみない? 最近音楽が仕事みたいになっているから、また音を楽しんでみよう」と提案してくれて、その言葉が今作の方向性を決めるきっかけになりました。
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曲のテーマも結構しっかりしていて、構想を練り始めたのはちょうどWezくんと僕がアルバムを出し切ったタイミング。そんなWezくんの作品のテーマが僕の心に刺さっていて。コロナ以降、自分の心を見ることや、自己肯定感とか、他人からの視線や評価みたいな、いわゆるメンタルヘルスに関するトピックが話題になっていましたよね。僕もそこに目を向けていたんです。なので、この曲『GHOST』も、自分を肯定してくれる人、自分を肯定できる自分とかをテーマにした内容になっています。

『GHOST』という名詞には<幽霊>という意味がありますけど、スラング的な動詞の使い方もできて、“既読無視する”や、“相手の視界から消える”みたいな意味を持っています。もちろん僕とJua、Wez Atlasと三者三様に歌っているけど、僕のバースでは特に、 “周りの人に目を向けること”とか、“周りは自分を愛してくれている?”とか、“そんな環境を変えられるのは自分しかいない”というようなことを歌っています。

これはもちろんいろんな考え方があると思うのですけど、歌ったままの自分の声というのが自分らしさだ、という捉え方もある一方で、僕は歌ったものにプラスアルファで“自分”を乗せる努力”を忘れないようにしています。特に今回に関してはメロディをWezくんと一緒に作ったんですが、ポップセンスが豊かなWezくんが生み出したものに対し、僕が2番3番って展開していくサビ……いわゆる高音を使うメロディでは自分らしさを追求して、当てはめていきました。実際、124テイクをひたすらループで録ったことを覚えています。それこそJuaくんも一緒に座りながら「今の部分はもっとセクシーにいける」などの話し合いもしていましたね。

今回は曲を作るうえで僕らが楽しめた作品になっています。久しぶりに音楽を作り始めた学生の頃の自分に戻れた楽曲で、みなさんにも同じように楽しみながら聴いてもらえると嬉しいです。

行き詰まっていた時期に出会ったアーティスト

VivaOlaは、どんな曲が自身のルーツとなっているのだろうか?

VivaOla:僕がルーツに選んだ曲は、ハイエイタス・カイヨーテの『Molasses』。これは2015年にリリースされた曲なんですけど、確か収録されているアルバムが『Choose Your Weapon』というタイトルですね。リリースされたすぐ直後に聴いた覚えがあるんですが、実際に印象に残っているのは、2019年にバークリーで勉強していたとき。その頃ちょうど、VivaOlaを始めたんですけど、当時はアーティストとして何がしたいか、それ以前に人としてこの先どうやって生きていこうかと考えにふけっていた時期でした。その頃にこの曲をしっかり聴いて、いろいろ考え直させられたというか。『Molasses』は思考から打ち破るきっかけをくれた曲なんです。

わかりやすく言うと、その頃、僕は行き詰まっていた時期でした。留学先の学校生活だったり、単純にお金がなかったり。それまで日本にいて苦労をしていなかったので、海外に行って自分ひとりでやることが増えて、自分の面倒を自分で見たり、自分の機嫌を自分でとったりなど、大人になるためのステップを踏んでいくのに苦労していた時期でした。
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そんなときに聴いていたのが『Molasses』。恋愛の曲で、歌詞が面白いんです。壊れた心から決別するプロセスが描かれています。元々、ハイエイタス・カイヨーテは詩的な曲が多くて、『Molasses』でも、そんな部分にすごく惹かれていました。当時、自分自身が恋愛の問題を抱えていたわけではないけど、歌詞を読み解きながら聴いていましたね。それこそ、この曲を聴きながら飛行機に乗ったり、そのまま日本で遊んでいるときにも聴いたり、さまざまな場所でこの曲を聴いたことで、いろんな感想が出てきました。僕にとって、『Molasses』はそんな曲です。

その後、2019年の5月に初めてのEP『Bloom』をリリースしたんですけど、制作にあたっても、この曲を聴いていました。今思えばやりたい音楽ではなかったんですけど、それを経ての今の僕の音楽があるし、『Molasses』からいいインスピレーションをもらっていました。最近は、自分自身の原点回帰みたいなことを惹かれていて、“自分ってどこからきたんだっけ”という、まさにルーツを見直す機会が増えています。これまでは自分についての音楽、外向きの楽曲が多かったのですけど、今は“自分が眠るときに聴けるようなアルバム”を作っているので、ぜひ楽しみにしていてください。

バークリーではソングライティングを専攻していたというVivaOla。未来へ進むにあたり“行き詰まっていた時期”に出会ったハイエイタス・カイヨーテは、彼のアーティストセンスを磨いたひとつの要素と言えそうだ。
アーティストの話を通じて音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けするコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」は、J-WAVE『SONAR MUSIC』内で月曜~木曜の22時41分ごろからオンエア。Podcastでも配信しており、過去のオンエアがアーカイブされている。

【VivaOla 出演回のトークを聞く】

・Apple Podcastで聞く
前編後編

・Spotifyで聞く
前編後編

・公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/opportunity/

(構成=中山洋平)

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