声優の江口拓也が、小説家の燃え殻との出会いや、17歳、27歳の頃を語った。
江口が登場したのは、燃え殻がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『BEFORE DAWN』(毎週火曜26:00~27:00)。6月14日(火)と6月21日(火)のオンエアで二人の対談をお届けした。ここでは6月14日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。
燃え殻:いちばん最初に会ったのはいつだったんだろうって。
江口:おぼろげな出会いではありましたよね。
燃え殻:最初、ツイッターのDMで「(投稿を)読んでます」みたいなやりとりをいただき、僕の本をお送りさせていただいて。それで1回会いませんかって。
江口:そうですね。本を送っていただいて、すごく感動したので「失礼じゃければ一杯おごらせてください」とダメもとで。お時間あったらいいなって願いも込めて送ったら「全然行きましょうよ」ってフランクに返していただきました。
燃え殻:それで「お店取ります」って言ってくれて、それで行ったら東京の権化みたいな店で(笑)。
江口:それは語弊がある(笑)。
燃え殻:『インディ・ジョーンズ』みたいな店でした(笑)。
江口:あの日も楽しかったですね。
燃え殻:お互いベロベロになって帰りましたけど。
この出会いをきっかけに仲良くなったふたり。燃え殻の著書『これはただの夏』(新潮社)のプロモーション映像では朗読を江口が担当している。
燃え殻:この映像で江口さんが出てくれたらいいんじゃないかと新潮社に言ったら「無理でしょ」って言われて。
江口:どういうことですか(笑)。
燃え殻:でもやっていただいきました。
江口:めちゃくちゃうれしかったですね。プライベートでお会いするのももちろん楽しいんですけど、そうやってお仕事で呼んでもらえるのもすごく楽しいなと思って。だからこそ興奮しちゃって『これはただの夏』を5冊買ったんですよ。それを僕の好きな人にプレゼントしようと思って、毎回小説の話になったら「これ読んだことある?」って言って、「まだ読んでない」って方には本をプレゼントしていた時期がありました。「めっちゃ面白いね」ってなったら、「実は燃え殻さんと飲んだことあるよ」って自慢するんですよ。
燃え殻:飲み倒してますけどね(笑)。
江口:進路希望を書かされ始めるのが17歳くらいだった気がするんですよ。それを書こうと思ったときに、将来やりたいこととか何もなくて。その頃はすでに半ば勉強は諦めていたから、行きたい学校も特になくて。中学のときは一応高校に入るために勉強を頑張って、偏差値を上げてっていう風にやってたんですけど、高校に入ったときに何のために勉強するのかわからなくなり、モチベーションを失った結果、学力がガクンと下がって。ただ学校に通ってるだけみたいな感じになったときに、どうしようかなって。やりたい仕事も特になくて、大学に入っても今のような高校生活のままだな、みたいな。自分に何もないなって思ったときに、あらためて「自分の好きなものって何だろう」とちょっと考え始めたのが17歳くらいですね。
江口は「このときにラジオもそうですけど、アニメとかマンガとかゲームとか好きだったので、それらが交わる職業が声優だった」と続ける。
江口:だから声優というものを目指したら何か見えるものがあるかもしれないと思って「とりあえずやってみるか」と目標にし始めたのが高校2年の中盤くらいから高校3年のときですね。僕は昔から声優になりたいんですってタイプでもなく、何となくふわっと出てきたのが声優だったから、とりあえずそれを目標に動き出せるなって。とりあえず動き出さないと終わるなと思ったので、何となく目標地点を設定すればそこから新しい道や景色が出てくるんじゃないかなという期待というか。
燃え殻:声優ってどうなんだろうなって思った?
江口:絶対になれるとは思ってませんでしたね。結局博打のようなものなんだろうなっていう感覚もあったし、当時はインターネットは携帯ではなく家のパソコンでやるものだったので、情報もあんまりなくて。声優はやりたいけど具体的に何をやったらなれるのか発信してる人や情報がまだ少なくて。何をしたらいいのかわからない状態で飛び込めたからこそ逆によかったのかなって思います。
燃え殻:結構知らないような状況で、漠然とした自分に対しての期待を持ったまま「俺、いけるかもしれないな」って思って何かにトライすることって重要だよね。
江口:そうですね。最初から比べちゃうとどうしてもね。違いがあるのが当たり前だから、自分のオリジナリティをどうやって育ててあげるかってところに行くまでが大切。
燃え殻:最初の一歩を踏めるのが最初の才能で、その才能が今可視化されちゃって大変じゃない。それが見えてなかった分、僕もいろんなことをやろうとしてたんですけど、それって何もなかったから夢がくじけづらい。その一歩目が行けるっていうところだけはよかったかもね。
江口:良し悪しかもしれないけど、僕はそれに助けられたタイプだなと思います。
江口:その頃ちょうどバイトとかをやらなくて済むようになって。言いづらいんですけどバイトだけじゃ食えなかったので、お金を借りたりしていました。よく言う借金ですよね。
燃え殻:バイトって何してたんですか?
江口:ずっと深夜帯のコンビニで働いてました。ある時期から(声優の)仕事がいただけるようになったんですけど、お金はまだ安定はしない。コンビニで働いてたら(声優の)仕事ができないし、でもバイトで働かないとお金がないから生きられないしっていう瀬戸際があったんですよ。
燃え殻:それこそどっちつかずというか。
江口:やっぱり本業である声優を手に入れるためにはバイトをやめなければならない。でもそうするとお金がなくなる。あとはチキンレースですよね(笑)。それじゃないと僕はこの仕事が無理だなって。
燃え殻:燃料にして、そのためにも頑張ろうって。
江口:常に崖っぷちに自分を置くことによって……。
燃え殻:考え方が水商売(笑)。
江口:役者は水商売みたいなもんですからね。
燃え殻:もの書きもそうですよ。
江口:そういった意味では、博打に成功して今がある感じです。そのときの経験は0:100ではあるし、危険な行為ではあるけど、それでも自分はそのエネルギーがあってよかったなというか。
燃え殻:とにかく追い立てられるものもあるし、そのために仕事もガリガリやらなきゃいけないし。
江口:それをようやく脱することができて「これからどうしよう」って考え始めた頃が27歳くらいでしたね。
江口は、27歳までは勢いだけで進めたが、27歳以降は勢いだけではどうしようもないものや、一歩立ち止まって冷静に考えるべきことが増えてきたと語る。
江口:「このままでいいのかな」と考えるようになりましたね。評価もしていただけるようになったし、これからおそらく頑張っていけるんだろうなっていう何となくなものはあったんですけど、それでもすごい人はたくさんいるわけで。
燃え殻:絶対的に大丈夫ってことはないじゃん。
江口:そうなんです。結局食えるようになっても同じ日々の繰り返しなんだなっていうことをすごく感じました。
燃え殻:実質的なチキンレースは終わったけれども、心の中ではチキンレースをずっとやっているというか。それわかります。
江口:「一生これか」って思ったときに軽く絶望はするんですよね(笑)。
燃え殻:すごくわかる。
江口拓也の最新情報は、 Kiramuneの公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。
江口と燃え殻のトークを、6月21日(火)の同番組でもお届けした。radikoタイムフリーで6月28日(火)まで聴取可能。
【radikoで聞く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220622020000
燃え殻がお届けする『BEFORE DAWN』は、毎週火曜26時から。
江口が登場したのは、燃え殻がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『BEFORE DAWN』(毎週火曜26:00~27:00)。6月14日(火)と6月21日(火)のオンエアで二人の対談をお届けした。ここでは6月14日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。
燃え殻の本を5冊買って…
現在放送中のアニメ『SPY×FAMILY』(テレビ東京ほか)で主人公のロイド・フォージャー役を演じている江口。燃え殻とは飲み友だちだという。燃え殻:いちばん最初に会ったのはいつだったんだろうって。
江口:おぼろげな出会いではありましたよね。
燃え殻:最初、ツイッターのDMで「(投稿を)読んでます」みたいなやりとりをいただき、僕の本をお送りさせていただいて。それで1回会いませんかって。
江口:そうですね。本を送っていただいて、すごく感動したので「失礼じゃければ一杯おごらせてください」とダメもとで。お時間あったらいいなって願いも込めて送ったら「全然行きましょうよ」ってフランクに返していただきました。
燃え殻:それで「お店取ります」って言ってくれて、それで行ったら東京の権化みたいな店で(笑)。
江口:それは語弊がある(笑)。
燃え殻:『インディ・ジョーンズ』みたいな店でした(笑)。
江口:あの日も楽しかったですね。
燃え殻:お互いベロベロになって帰りましたけど。
この出会いをきっかけに仲良くなったふたり。燃え殻の著書『これはただの夏』(新潮社)のプロモーション映像では朗読を江口が担当している。
江口:どういうことですか(笑)。
燃え殻:でもやっていただいきました。
江口:めちゃくちゃうれしかったですね。プライベートでお会いするのももちろん楽しいんですけど、そうやってお仕事で呼んでもらえるのもすごく楽しいなと思って。だからこそ興奮しちゃって『これはただの夏』を5冊買ったんですよ。それを僕の好きな人にプレゼントしようと思って、毎回小説の話になったら「これ読んだことある?」って言って、「まだ読んでない」って方には本をプレゼントしていた時期がありました。「めっちゃ面白いね」ってなったら、「実は燃え殻さんと飲んだことあるよ」って自慢するんですよ。
燃え殻:飲み倒してますけどね(笑)。
声優に絶対になれるとは思っていなかった
燃え殻の書き下ろしによるHuluオリジナルドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』では、17歳と27歳を軸にストーリーが展開する。それにちなみ、燃え殻は江口に17歳の頃を訊いた。江口:進路希望を書かされ始めるのが17歳くらいだった気がするんですよ。それを書こうと思ったときに、将来やりたいこととか何もなくて。その頃はすでに半ば勉強は諦めていたから、行きたい学校も特になくて。中学のときは一応高校に入るために勉強を頑張って、偏差値を上げてっていう風にやってたんですけど、高校に入ったときに何のために勉強するのかわからなくなり、モチベーションを失った結果、学力がガクンと下がって。ただ学校に通ってるだけみたいな感じになったときに、どうしようかなって。やりたい仕事も特になくて、大学に入っても今のような高校生活のままだな、みたいな。自分に何もないなって思ったときに、あらためて「自分の好きなものって何だろう」とちょっと考え始めたのが17歳くらいですね。
江口は「このときにラジオもそうですけど、アニメとかマンガとかゲームとか好きだったので、それらが交わる職業が声優だった」と続ける。
江口:だから声優というものを目指したら何か見えるものがあるかもしれないと思って「とりあえずやってみるか」と目標にし始めたのが高校2年の中盤くらいから高校3年のときですね。僕は昔から声優になりたいんですってタイプでもなく、何となくふわっと出てきたのが声優だったから、とりあえずそれを目標に動き出せるなって。とりあえず動き出さないと終わるなと思ったので、何となく目標地点を設定すればそこから新しい道や景色が出てくるんじゃないかなという期待というか。
燃え殻:声優ってどうなんだろうなって思った?
江口:絶対になれるとは思ってませんでしたね。結局博打のようなものなんだろうなっていう感覚もあったし、当時はインターネットは携帯ではなく家のパソコンでやるものだったので、情報もあんまりなくて。声優はやりたいけど具体的に何をやったらなれるのか発信してる人や情報がまだ少なくて。何をしたらいいのかわからない状態で飛び込めたからこそ逆によかったのかなって思います。
燃え殻:結構知らないような状況で、漠然とした自分に対しての期待を持ったまま「俺、いけるかもしれないな」って思って何かにトライすることって重要だよね。
江口:そうですね。最初から比べちゃうとどうしてもね。違いがあるのが当たり前だから、自分のオリジナリティをどうやって育ててあげるかってところに行くまでが大切。
燃え殻:最初の一歩を踏めるのが最初の才能で、その才能が今可視化されちゃって大変じゃない。それが見えてなかった分、僕もいろんなことをやろうとしてたんですけど、それって何もなかったから夢がくじけづらい。その一歩目が行けるっていうところだけはよかったかもね。
江口:良し悪しかもしれないけど、僕はそれに助けられたタイプだなと思います。
博打に成功して今がある
続いて、現在35歳の江口は、自身の27歳の頃を振り返る。江口:その頃ちょうどバイトとかをやらなくて済むようになって。言いづらいんですけどバイトだけじゃ食えなかったので、お金を借りたりしていました。よく言う借金ですよね。
燃え殻:バイトって何してたんですか?
江口:ずっと深夜帯のコンビニで働いてました。ある時期から(声優の)仕事がいただけるようになったんですけど、お金はまだ安定はしない。コンビニで働いてたら(声優の)仕事ができないし、でもバイトで働かないとお金がないから生きられないしっていう瀬戸際があったんですよ。
燃え殻:それこそどっちつかずというか。
江口:やっぱり本業である声優を手に入れるためにはバイトをやめなければならない。でもそうするとお金がなくなる。あとはチキンレースですよね(笑)。それじゃないと僕はこの仕事が無理だなって。
燃え殻:燃料にして、そのためにも頑張ろうって。
江口:常に崖っぷちに自分を置くことによって……。
燃え殻:考え方が水商売(笑)。
江口:役者は水商売みたいなもんですからね。
燃え殻:もの書きもそうですよ。
江口:そういった意味では、博打に成功して今がある感じです。そのときの経験は0:100ではあるし、危険な行為ではあるけど、それでも自分はそのエネルギーがあってよかったなというか。
燃え殻:とにかく追い立てられるものもあるし、そのために仕事もガリガリやらなきゃいけないし。
江口:それをようやく脱することができて「これからどうしよう」って考え始めた頃が27歳くらいでしたね。
江口は、27歳までは勢いだけで進めたが、27歳以降は勢いだけではどうしようもないものや、一歩立ち止まって冷静に考えるべきことが増えてきたと語る。
江口:「このままでいいのかな」と考えるようになりましたね。評価もしていただけるようになったし、これからおそらく頑張っていけるんだろうなっていう何となくなものはあったんですけど、それでもすごい人はたくさんいるわけで。
燃え殻:絶対的に大丈夫ってことはないじゃん。
江口:そうなんです。結局食えるようになっても同じ日々の繰り返しなんだなっていうことをすごく感じました。
燃え殻:実質的なチキンレースは終わったけれども、心の中ではチキンレースをずっとやっているというか。それわかります。
江口:「一生これか」って思ったときに軽く絶望はするんですよね(笑)。
燃え殻:すごくわかる。
江口拓也の最新情報は、 Kiramuneの公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。
江口と燃え殻のトークを、6月21日(火)の同番組でもお届けした。radikoタイムフリーで6月28日(火)まで聴取可能。
【radikoで聞く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20220622020000
燃え殻がお届けする『BEFORE DAWN』は、毎週火曜26時から。
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