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“伝説”を目撃しよう! アクションスポーツの祭典『X Games』が日本上陸、その心躍る魅力を解説

“伝説”を目撃しよう! アクションスポーツの祭典『X Games』が日本上陸、その心躍る魅力を解説

世界最高峰のアクションスポーツの祭典『X Games』がこの春、『X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo』として日本に初上陸する。その見どころについて、スケートボードをこよなく愛する俳優・渡部豪太が、スポーツMC・アリーとの対談を通して迫った。

二人が共演したのは、渡部がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『FREE SLIDE』(毎週金曜23:30~24:00)。日本や海外のストリートカルチャーにフォーカスし、音楽、スケートボード、BMX、アート、ブレイクダンス、ファッションなどを独自の目線で深堀していく番組だ。この記事では、3月11日、18日、25日と3週連続にわたり続いた『X Games』をテーマとしたトークをテキストにて紹介する。

・『X Games』のチケット詳細はこちら
https://eplus.jp/sf/word/0000151955

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国際競技会とエンタメフェスをミックス! 唯一無二のイベント

そもそも『X Games』とは何なのか。『X Games』ビギナーの渡部の疑問に対し、スポーツMC歴およそ20年で、とりわけアクションスポーツに造詣の深いアリーはその歴史から紐解き始める。

アリー:『X Games』は1995年から始まっている古くからあるイベントです。今回の『X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo』で行われる種目はスケートボードや自転車競技のBMX、オートバイを使うモトエックスの3つですが、過去には四輪やインラインスケートなどを採用していた年もありました。要するに、年代によってウケるアクションスポーツをフィーチャーするのがこのイベントの特徴なんです。

『X Games』が始まった27年前は、スケートボードやBMXが、オリンピック種目になるなんて誰も思っていませんでした。そんな時代からアクションスポーツに特化した祭典として「X Games」は君臨し続けているんです。

渡部:僕にとって『X Games』は、数々の伝説が生まれた大会という印象があります。トニー・ホーク(※アメリカの伝説的なスケートボーダー)が900 °(ナインハンドレッド=2回転半)を決めたのが、まさにこの大会でしたし。僕が最初に買ったスケボーのビデオにそのシーンを収められていて、大変なお祭り騒ぎだった記憶があります。

アリー:それだけアスリートたちにとって『X Games』への出場は、誇らしく、エキサイティングな出来事なんです。そもそも誰もがエントリー可能なイベントではなく、招待された選りすぐりのアスリートしか出場できないわけですから。

渡部:あと『X Games』には、国際大会であると同時に一大エンターテイメントイベントというイメージもあります。

アリー:様々な種目が一堂に会して楽しめることとはもちろん、音楽のライブアクトもありますからね。ライブアクトは、過去にメタリカ、カニエ・ウェスト、ニッキー・ミナージュなど世界的ミュージシャンがパフォーマンスを披露していることからわかる通り、出演アーティストだけで一つのイベントが成立するほど豪華です。かつ、フードエリアも充実しているので、イベントの形式としてはフェスに近いかもしれません。とはいえ、競技に関してはあくまでも、トップアスリートがメダルをかけて戦う国際競技会。『X Games』でメダルを獲得することがアクションスポーツのアスリートにとって、人生最大の名誉の一つなんですよね。

渡部:2月28日に行われた『X Games』の出場選手発表会の後に、登壇されていた四十住さくら選手、中村輪夢選手、内野洋平選手、芝田元選手の4名にインタビューをさせていただく機会があって。そのときに、これから国際大会に臨むにあたってさぞ緊張されているのかなと思いきや、皆さん「楽しみですね」と話していて、リラックスされていたのが印象的でした。
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『X Games』の出場選手発表会での様子

アリー:たしかにアスリートにとって『X Games』は、オリンピックをはじめとした世界選手権とは少し捉え方が異なる大会なのかもしれませんね。

国際競技会でありながらフェスティバル。そんな特異なビッグイベントが、いよいよ日本へやってくる。

渡部:時代が動きますね。

アリー:本当にそう感じます。これまでメディアを通じてしか見られなかったあの『X Games』が、千葉のZOZOマリンスタジアムで開催されるわけですから。

渡部:出場選手のリストに目を通すと、僕が子どもの頃から知ってる名選手も、TOKYO 2020で世間を賑わせた選手もたくさんいて、とにかく豪華な印象を受けます。オリンピックの踏襲としてではなく、新たな伝説が生まれるプラットフォームになりそうな期待感がありますよね。

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アリー:『X Games』が日本に来るまたとない機会ですから、来場される方には今までのスポーツ観戦の概念を取り払い、ご自身の中にある様々な感性を駆使してこのイベントを体感して欲しいです。それにチケットの話になりますと、グッズ付きのプレミアムシートなどがある一方、2階自由席の小中学生料金は土日で1000円、金曜日で500円と、家族連れでも気軽に楽しめるような価格設定になっているんですよ。当然、自由席のため上のほうの席になりますが、全体を俯瞰で観られますし、それに会場には大型ビジョンも設置しているので、十分楽しめるはずです。

渡部:敷居がそんなに高くないというか。お父さんが「そういえば今週末『X Games』があるみたいだから、ちょっと行ってみようか」って言って、家族で気軽に遊びに来られそうですね。

スケートボード種目の見どころ、注目選手は?

ここからは、競技と出場選手の話題に移っていく。まず2人が取り上げたのは、街にある階段や手すりなどを模した人工障害物を設置したフィールドでトリック(技)を繰り出す「スケートボード・ストリート」。TOKYO 2020の同競技で金メダルに輝いた堀米雄斗、アメリカの“絶対王者”ナイジャ・ヒューストンをはじめ、数多くの有力アスリートがラインアップされる中、渡部が特に熱視線を送る選手とは――。

アリー:スケートボード・ストリートでは、男女ともに昨夏のビッグイベントで金・銀・銅を獲得したアスリートが勢ぞろいしています。よく皆さん集まってくださいましたよね。

渡部:いやほんとに。女子のメンツも素晴らしい。僕個人としては、女子のレティシア・ブフォーニという選手が好きで。単純に見ていて「かっけぇな」って思う選手で、とにかくうまい。インスタの投稿では、水着姿で家の中をスケボーで滑り、そのまま庭のプールに飛び込んじゃったりして。そういう面白い選手なんですよね。

おわん型のボウルを複数配備したコースで競い合う「スケートボード・パーク」の注目選手はやはり、昨夏日本中を沸かせたあのヒロインだ。

アリー:何と言っても、初代五輪金メダリストの四十住さくらですよね。

渡部:先日、インタビューさせてもらいましたけど、オーラを感じました。
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四十住さくら選手

アリー:あの大舞台で物怖じせずに自分のパフォーマンスをして、「一番楽しめたから結果がついてきた」と言えるのは只者じゃない。僕もあの会場にいてMCをさせていただいていたのですが、彼女が一番ニコニコしていて、力が抜けた状態でこの雰囲気を楽しんでいることが伝わりました。

渡部:四十住さんはお話を聞いているとき、どっしり構えている感じがしました。一流アスリートになればなるほど普段のパフォーマンスを貫き通すために、ある種の図太さが大事なんだと思いましたね。そんなトップアスリートの“居住まい”が見られるのも一つ、『X Games』の醍醐味と言えるかもしれません。「あの選手すごいリラックスしてない?」みたいなことが、遠目からでもわかる気がします。

アリー:ビジョンに映る以外の選手の素顔が垣間見られるという部分は、やはり会場ならではですよね。

スケートボードには、オリンピック競技に採用されたストリート、パークのほか、「スケートボード・バート」がある。いわゆる“かまぼこ型”の大型のハーフパイプでダイナミックなエアーを決めるこの競技におけるイチ押し選手は誰か。

渡部:この間インタビューさせていただいた芝田元選手ですね。「バートスケートを愛してます」みたいな思いがめちゃくちゃ伝わってきたので、どんなトリックを見せてくれるのかめっちゃ楽しみです。
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芝田元選手

アリー:ファッションセンスも他のスケーターと一線を画すというか。ロックミュージシャンかな?っていうぐらいの雰囲気がありますよね(笑)。その個性が滑り・パフォーマンスにも表れているんですよ。

それに、芝田選手とジミー・ウィルキンスのゴールドを懸けた戦いというのが、『X Games』でみんなが注目しているポイントなんです。2017年のアメリカ・ミネソタ州ミネアポリスの『X Games』で芝田選手が金メダルを獲って、それ以降はウィルキンスが3大会連続で優勝しているんです。で、芝田選手がいないときにウィルキンスが大会に出場すると、海外では「元がいない」「2人のバトルはどうなるんだ?」と言われるぐらい、バートにおいて芝田選手の存在は大きいものなんです。

なお『X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo』では、アリー曰く「スケートボード・バートのルーテインの中に入れられないぐらい難易度が高い一発勝負のトリック」を披露する競技「スケートボード・バート ベストトリック」も行われる予定だ。

渡部が語る、BMXの「サーカスのような」魅力

スケートボードだけでなく、他の競技も見逃せない。

渡部:BMXも色んな種目があるんですよね。

アリー:そうですね。BMXの中でストリート、パーク、フラットランドという3種目が今回の『X Games』で行われる予定です。ストリートとパークは、スケートボードの同種目と同じ場所で実施します。

渡部:フラットランドに関しては、あの面白さを伝えたいんですよね。僕がスケボーをやっているときに、すぐ目の前でずっとやっているわけですよ。傍から見ていると、サーカスのような、ダンスのような……。自転車に片足で乗っかって、もう片足でタイヤを回しながらペダルを漕がずにクルクル弧を描いたりしてるんですよ!

アリー:今ので十分伝わっていますよ(笑)。そもそもフラットランドがストリート、パークと違うのは、何もないフラットなところでパフォーマンスをするということですよね。

渡部:先日インタビューさせていただいた内野洋平選手は「フィギュアスケートに近いかもしれません」とおっしゃっていました。
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内野洋平選手

アリー:彼の表現はわかりやすい。もっと言えば、フィギュアスケートにダンスバトルの要素も入っています。ちなみにこのBMXフラットランド、『X Games』の種目として採用されたのは19年ぶりなんです。

渡部:そうなんですか!?

アリー:はい。開催する側はどの種目を採用するか、本国と協議をする中である程度チョイスができるんです。そんな事情から、日本のフラットランド・シーンにトップアスリートが集結していることもあって、フラットランドを日本初開催の機会に『X Games』へ呼び戻そうということになったんですよ。

渡部:それは楽しみですね、BMX。スケートボードと同じセクションを使うにしろ、スケートボードは四輪、BMXは二輪。そして、タイヤの大きさ・体勢も違うという中で、いったいどんなパフォーマンスになるのか、ちょっと想像がつきません。

アリー:そもそもBMXとは、20インチのタイヤを搭載した競技用自転車のことです。一般的な自転車が24~26インチ。それよりも小さいタイヤの自転車を使い、当初は「BMXレーシング」としてスピードと順位を競っていました。その際、トップの選手が観客に向けたパフォーマンスとしてカッコよくひねりを入れたりしていたところから派生し、現在のBMXフリースタイルが誕生したと言われているんです。

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渡部:スケートボードが好きな僕にとって、普段あまり親しみのない競技だからこそ、スケートボードと同じ会場で目の当たりにできるということが『X Games』の一番の楽しみ方のような気がしてきました。それこそ、音楽フェスに近い。このアーティストを観に来たつもりが、こっちのアーティストもめっちゃカッコいいじゃん!みたいな出会いの場所になりそうな予感がします。

最後に取り上げた競技は、オートバイがアクロバティックに宙に舞う「モトエックス」。

渡部:モトエックス……。目の前で見たことがないのですが、たぶんすごい迫力なんだろうなと想像しています。あとは音もすごそう。

アリー:その通りです。渡部さんはやはり感性が素晴らしい!

渡部:いやいや。僕、茨城出身なので、バイクの音には敏感なんですよね(笑)。それはいいとして、モトエックスとはどんな競技なんですか?

アリー:モトエックスは、一言でいえば、モトクロスバイクがジャンプをする競技です。今回の『X Games』では、ベストウィップ、つまり最も良い「ひねり」を競います。まずジャンプ台からバイクが真っすぐ20メートル以上飛ぶ。バイクって大体100キロくらいありますから、これだけで既に非日常的じゃないですか。そのバイクが空中で進行方向に向かって横にひねるか、地面に対して水平にひねるかするのですが、このひねりの深さ、スタイルを競うというシンプルな競技なんです。

渡部:現時点で日本からは、東野貴行選手と渡辺元樹選手の2名が出場予定になっていますよね(※のちに鈴木龍星選手も参加が決定)。
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渡辺元樹選手

アリー:2人とも日本が誇るトップライダーです。東野選手は日本でまだフリースタイルモトクロスが知られる前の時代に「アメリカでやるんだ」と飛び出して行きました。現地で何のコネクションもない状態から着実に力をつけて今やスーパースター。『X Games』の顔の一人になっています。一方の渡辺選手は、東野選手の後輩と言える存在。同じように海外に渡ってしっかりとした成績を残し、国外のファンもたくさんいる。そんな2人が凱旋帰国するわけなので、非常に注目ですね。

このように様々な見どころがある『X Games』。アリーの話を聞き、渡部は「楽しみ方は人それぞれですね」と総括する。

アリー:本当に、渡部さんのおっしゃる通りで。ライダーたちは何のルールもなくパフォーマンスをします。ベースとしてルールはありますが、どういうトリックをしなければならないとか、どういう形がいいかなどの縛りはなく、自分がカッコいいと思うスタイルや自分の限界に挑戦する大会なんですよね。そのパフォーマンスを見る側がどう感じるかは自由です。きっと、思わず「イエーイ!」となってしまいますよ。ならないわけがない。

渡部:このCOVID‑19がどうにか落ち着いてもらって、マスク四重にしてもいいから歓声を上げたいですよね。

アリー:思わず「うっ」って声は出ちゃうはず。たとえ堪えたとしても、身体が自然に震えていると思います。

渡部:トップアスリートの極限まで研ぎ澄まされたパフォーマンスを目にしたら、そうなりますよね。今回、お話を伺って開催がますます楽しみになってきました。アリーさん、ありがとうございました!

アリー:こちらこそ!会場でお待ちしております!

・『X Games』のチケット詳細はこちら
https://eplus.jp/sf/word/0000151955

(構成=小島浩平)

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