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森山直太朗、過去の「本当にキツかった」けど「よき思い出」を明かす

森山直太朗、過去の「本当にキツかった」けど「よき思い出」を明かす

今年デビュー20周年を迎えるシンガーソングライターの森山直太朗が、自身の過去を振り返り、未来について語った。

森山が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ORIENT STAR TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。オンエアは3月26日(土)。この日はオンライン公開収録の模様をお届けした。

デビュー20周年は「感謝を伝えるいいタイミング」

森山は2002年にメジャーデビューし、2003年には『さくら(独唱)』が大ヒットを記録。その唯一無二の歌声は幅広い世代の音楽ファンを魅了し、日本の音楽界でひときわ輝く魅力を放っている。2022年、デビュー20周年を迎えた。

まず市川は、森山がこれまで歩んできた道のりについて尋ねた。

市川:デビュー20周年、おめでとうございます。

森山:ありがとうございます。

市川:月並みですが、いまの気持ち、心境はいかがですか?

森山:「おめでとうございます」なんて言っていただくじゃないですか。この「おめでとうございます」って僕だけにかかっているものじゃなくて。たぶん活動や根気強く応援してくださる方、支えてくれる方に感謝を伝えるいいタイミングなんだなと思って。僕はそれしかないですね。

市川:気持ちとしては「もう20年」なんですか? それとも「まだ20年」?

森山:「もう」です。

市川:あっという間という感じですか?

森山:「20年」より「20分」だと思っちゃうぐらい。それぐらいあっという間。いまのは絶対に言いすぎですけど(笑)。

市川:あはは(笑)。確かにデビューしてすぐに『さくら(独唱)』もヒットして、そこからずっと目まぐるしく続いていっている感じですもんね。

森山:デビューするときのモチベーションや目的が僕は本当に希薄で。「とりあえず長くやっていければいいや」みたいな感じで。「大きな会場でやりたい」とか「誰かと一緒にセッションしたい」とか、そういう明確なものがないまま、あれよあれよと、こういう世界に出て、さらにひょんなことから曲が認知されたという。だから自分の体制みたいなものが全然整ってないまま20年過ぎてしまったと。

市川:ということは「ここから感」が強い? 通過点的な。

森山:そう。僕はここからなんです。ぼんやりとですけれども、細く長く続けていけたらいいなというのはずっと思っていたことですね。

ギターに触り出したのは高校生時代

ミュージシャンの両親を持つ森山だが、音楽を始めたのは意外にも遅かったという。

市川:楽器はギターが最初ですか?

森山:一番身近にあったもののひとつだったから、ポロポロンと弾いたのが高校生ぐらいのころだったのかな。ちょっと遅めでした。母親(森山良子)もそうだし、家族が音楽を生業にしていたので「面白そうだな」と思いつつも、「俺が音楽をやるのってそのままだなあ」とか、変な自意識が……。

市川:思春期っぽい自意識が。

森山:そうそう。偏った自意識があったし、趣味としてやっていくのはいいけど、仕事としてやり続けていくことの難しさもなんとなく背中を見てわかっていたので。だからちょっと構えていた分、楽器に触るのは遅かったかもしれないです。

市川:実際にやろうと思ったのは、なにかきっかけがあったんですか?

森山:僕はずっとサッカー部に入っていて、サッカー選手になりたいと思っていたんです。当時Jリーグとかあったから、本気でなろうと思っていたの。だけど在学中に「なかなか難しいだろうな」と思って一回部活動を辞めてバイトとかしたんですけど、それと同時にうだつのあがらない日々が続くんです。「うだつが上がってこないな」みたいなことをポロロンとひとりで勝手に歌にしだしたのが20歳ぐらいのころで。ギターは高校生の17、8歳とかだったけど、曲を作り始めたのは20歳ぐらいでした。

森山が人前で歌うようになった経緯については「またちょっと違う遠心力があった」と、多くの楽曲を共作している御徒町凧との過去を振り返った。

森山:ひとつ下の後輩に御徒町凧というのがいて、のちに僕は彼と一緒に曲を作り始めることになるわけです。彼は彼でバンドをやっているかたわら、僕みたいな引っ込み思案なのを引きずり出して「ここの駅前で歌おうよ」とかいって……(笑)。

市川:なんで笑ってるんですか(笑)。

森山:そのときのことを思い出したら、「歌おうよ」って言ったわりにはあいつ全然ハモれなかったし、ギターも全然弾けなかったし(笑)。あいつがなにかをやりたかったのに付き合わされている感じだったんだけど、それがけっこう楽しくて。ただただあのときって、いまもそうかもしれないけど、時間だけはあったんです。時間とバイタリティだけはすごくて。それでどんどん御徒町と一緒に行って、当時は弾き語りもはやってましたから、公園や駅前で歌ったりしているうちに曲もどんどん量産されていきました。とはいえ、彼は彼でバンドをやっているから、僕はソロでやり始めていく、という感じだったんですね。

市川:井の頭公園とかで弾き語りを始めたのも同じタイミング?

森山:まさにそうですね。井の頭公園に関しては、僕がひとりでやりたいなと思って。渋谷の駅前とかで歌ったりしても、騒音で僕みたいな音楽って消されちゃうから。「一番自分の音楽が活きる場所はどこだろう?」と思ったときに、井の頭公園に桟橋があって、そこでポロロンと歌っていました。

そんな時期にできたのが『さくら(独唱)』だった。そのリリース時に実施した「桜前線北上ツアー」は「超トラウマ」だったと森山は告白。コミュニティFMなどで自身の歌をアピールする過酷な日々が続いたという。

森山:九州から北海道までやり続けたら、少しずつラジオでパワープレイ(イチオシ曲や推薦曲)がとれるようになって。だからいまでもそういう地方でみんなでやっていたレコードマンやプロモーターの人とは友だち。

市川:すばらしい。なんでそれがトラウマなんですか?

森山:いやあ、本当にキツかったもん。お金もなくなっちゃって。だってプロモーターの人から「直ちゃんごめん、お金なくなっちゃったから貸して」みたいな(笑)。それでふたりでなけなしの何千円かで四国でうどん食ったりとか。いまとなってはよき思い出です。

山小屋で自身の感覚をリセット

プライベート時間の話を聞く。山小屋を所持し、多忙な時期に足を運ぶという森山は、そこで自身をリセットするのだという。

森山:「そうか、いま僕が悩んでいることや考えていることの9割9分どうでもいいことなんだな」っていうことに気づくというか。要するに視界が開けるような感覚になるから。森林にいると怖いときもあるんですけれども、ああいうところにいるほうが時間の流れ方がすごく正常だなと感じるんです。

市川:行くときはひとりですか?

森山:ひとりで行くことも奥さんと行くことも、友だちを呼んで行くこともあります。でもどっちにしてもちっぽけになれるんです。

市川:友だちを呼んでも?

森山:だって僕、友だちが来てもほったらかすんだもん。放置するの。単純にマイナスイオンに癒されたりすると、みんなが都会で会ってる感じじゃなくなってくるんだよね。

市川:どんな感じになるんですか?

森山:なんかしみじみ。「しみじみしてるな、オイ」って(笑)。

市川:なんとなく想像つくかも(笑)。

森山:たぶん市川さんもいらしたら、かなりしみじみされると思います。

市川:カレーも食べていいんですか?

森山:もちろんですよ(笑)。カレーもセットでついてきます。僕は大体、友だちがくるとカレーを作って大盤振る舞いしますよ。

「歌っていった先になにかあれば」

森山はデビュー20周年を記念したニューアルバム『素晴らしい世界』をリリース。6月からは、約3年ぶりにして自身最大規模となる全国ツアー「20thアニバーサリーツアー『素晴らしい世界』」がスタートする。

市川:来てくださる方にどんなふうに楽しんでいただきたいですか?

森山:単純にツアー自体は僕自身も1曲1曲積み重なった先にその日の公演だったり、その公演を積み重ねて100本、ひとつひとつ本当に丁寧にやっていこうと思うので、気軽に来てお互い音楽を通して心地のよい、あるいは自分と向き合えるような時間を過ごせるのが一番理想ですよね。

市川:20周年を経て、今後チャレンジしてみたいことはありますか?

森山:実はまったくわからないんです。「このあとなにをするかわからない」というドキドキをとにかく楽しんでいきたいなと。だからあまり計画を立てずに、ツアーをやっていくなかで次の目標も見えてくるのかなと思っていて、そこは冷静に未来を見据えながら、とにかく目の前のツアーと曲を1曲1曲歌っていった先になにかあればいいなと。答えになってないけど、そういう感じです。

市川:20年後は自分がどんなふうに過ごしていると思いますか?

森山:自分にしかできない表現活動ができていたらいいですよね。自分にしかできない音楽をそのときそのとき作り上げていけたらいいなと常に思います。

森山の最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。

『ORIENT STAR TIME AND TIDE』では、革新的な活動によって各界をけん引している人物をゲストに迎えて、現在の活動はもちろん、これから先どのようなビジョンに向かって進んでいくのかをじっくりと伺っていく。放送は毎週土曜日の21時から。

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毎週土曜
21:00-21:54