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日本の募金は「8割以上が個人」 ユニセフの担当者に特徴を聞く

日本の募金は「8割以上が個人」 ユニセフの担当者に特徴を聞く

ユニセフ協会の活動内容や募金の使い道を、日本ユニセフ協会広報室の加藤朱明子さんが語った。

加藤さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:玄理)のワンコーナー「meeth WORLD CONNECTION」。2月27日(日)のオンエアをテキストで紹介する。

第二次世界大戦後の子どもを救うために立ち上げ

テレビCMなどでも目にする「ユニセフ」。名前を知っている、寄付をしたことがあるという方も多いのではないだろうか。

まずは加藤さんに、ユニセフはどのような経緯でいつ頃作られたのか、成り立ちを教えてもらった。

加藤:ユニセフが生まれたのは第二次世界大戦の翌年である1946年です。第二次世界大戦という大きな戦争で、親を亡くしたり、食べるものや着るものがなかったりなど、さまざまな形で困窮している子どもたちが世界中にたくさん出ました。そういった子どもたちを緊急的に支援するための組織として立ち上がったのが最初です。当時は「United Nations International Children's Emergency Fund」という名前で、その頭文字「UNICEF」を取って「ユニセフ」という名称で広く親しまれております。実は、日本の子どもたちも戦後15年間にわたってユニセフから栄養や衣類を作るための綿などの支援を受けていた時期がありました。

戦後、子どもたちの支援を続けるなかで、ユニセフの支援の目的は徐々に変化していったという。

加藤:困窮している子ども、苦しい状況にある子どもは戦争で被災した子どもだけじゃない。そもそも貧しいとか、災害が起こったとか、感染症が広がっているとか、いろんな形で苦しんでいる子どもたちが世界中にたくさんいて、彼らにも手を差し伸べなきゃいけないという声が高まったんです。そこで緊急的な対応だけではなく、広く子どもたちの命や成長を守る常設の機関として存続していこうということになり、いまに至ります。ちょうど2021年に創立75周年を迎えたところです。
玄理:この番組でも何回か取り上げている「UNHCR」活動とは、どんな違いがあるんですか?
加藤:ユニセフっていう名前はたくさんの人に知っていただいているんですけど、ほかにも国連機関はたくさんあって。たとえばUNHCRは難民への支援をする機関、WFPは食糧支援をしている機関のように、国連のなかにはいろんな分野に特化した専門機関がたくさんあるんです。そのなかでユニセフは子どもを支援の対象にしています。子どもに関わることはなんでもやるといっても過言ではないくらい。子どもの成長に関わる予防接種などの保険分野から、すべての子どもがちゃんと教育を受けられるようにするための教育支援、栄養の支援、衛生環境の整備、暴力とか人身売買とかから保護する活動もします。なので、ユニセフは「子どもの権利を守る」という使命のもと広い分野で活動している機関です。

募金には大きく3つのタイプが存在する

玄理は「やはり先進国よりも経済的に未発達、未発展な地域で活動することのほうが多いですか?」と質問する。

加藤:そうですね、ユニセフが活動しているのは、世界の約190の国と地域。ほとんどの国で活動しているんですけど、そのうち150~160は開発途上国です。一方、日本を含む33の先進国にはユニセフ協会が置かれていて、ユニセフや世界の子どもの状況について広報したり、みなさまからの募金をお預かりしたりするほか、先進国にもいろんな子どもの課題はありますから、政府に政策の提言や提案をしたりする活動をしています。
玄理:いまのお話だと、33の先進国、主にそこから集まった募金や支援を150~160の国の子どもたちに届けるというのが、主な活動内容なのでしょうか?
加藤:先進国での活動もそれぞれの国で集められた募金のなかから充てられているんですけど、上限が決まっていて、75~85パーセントくらいは途上国の活動に充てられるようになっています。

加藤さんは、ユニセフが募集している寄付金の3つのタイプについて説明する。

加藤:1つ目はいわゆるユニセフ募金で、募金の使い道をユニセフに任せていただいたうえで、世界の子どもたちのために使われる募金です。2つ目は、特定の国や分野、「この国のこのプロジェクト」という形で指定してお預かりする指定募金。これは一定規模以上のご寄付で、特定のプロジェクトを複数年にわたってしっかり支えていただくものです。3つ目が、いまウクライナで起こっているような紛争や災害など、何か重大な危機が起こったときに緊急的に呼びかける緊急募金です。
玄理:緊急募金の場合、情勢的にはその土地に入れないこともあると思うんですけど、そうなると、お金だけとりあえず送るっていう感じになるんですか?
加藤:ユニセフは先ほど申し上げた通り190の国と地域に事務所があり、常にそこで活動しています。災害や紛争が起こったとき、本当に危険な状況になったときに一部職員が退避することは、もちろん国連の指揮のもとであるんですけど、基本的にはその国のスタッフが残って活動を続ける、また近隣の国からなかにいるパートナーと連携して支援を続けているので、緊急事態においてもほとんどの場合支援を止めることなく、なんらかの形で活動は続けています。

世界に誇る!? 日本の募金の特徴は…

日本で集められる民間募金の総額は2020年でなんと224億円。日本の募金状況には特徴があると、加藤さんは語る。

加藤:欧米の場合、大きな企業や団体が大きな規模の寄付をする傾向があります。たいていの場合、「この国のこの分野に使ってほしい」とか、「このプロジェクトに使ってほしい」など使い道が指定されたものが多いです。一方、日本でお預かりする募金の8割以上は個人の方からの募金なんです。個人の方が「毎月1000円募金しよう」「募金箱にちょっと入れよう」などといった形でお預かりする募金が8割以上を占めていて、その多くがユニセフに使い道を任せてくださるユニセフ募金です。ユニセフがいま最も必要だと判断した活動に充てることができます。
玄理:自画自賛みたいな感じになっちゃいますけど、すごく素敵な特徴ですね。
加藤:ユニセフの本部からも日本の民間募金の特徴はものすごくリスペクトされていて、いつも非常に感謝されています。

加藤さんは国際ニュースにならない国や地域でも、苦しんでいる子どもたちはたくさんいると話す。

加藤:たとえばアフリカの西のほうにあるブルキナファソという最貧国のひとつは、いまもなかなか全ての子どもが学校に行ける状況ではなかったり、鉱山などで働かなければいけない子どもたちがいたりする国です。そういった子どもたちも、もちろんユニセフにとっては支援しなければいけない大切な子どもですし、そういった支援を大きく支えてくださっているのが、日本から届くようなご寄付だともいえます。

ロシアのウクライナ侵攻

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルさんが緊急声明を発表した。

緊急声明全文:https://www.unicef.or.jp/news/2022/0056.html

加藤:いま、ウクライナは非常に心配な状況になっています。刻一刻と状況は変わっていますが、ウクライナの東部の地域ではもう8年ものあいだ、紛争の状態が続いているんですね。それがさらに悪化してウクライナ全土に広がって、およそ750万人の子どもたちにその脅威が及んでいることを、ユニセフは非常に心配しています。いまは現地または周辺の国々で、子どもたちや子どもたちを連れたご家族の支援・保護を続けています。ユニセフがなによりも訴えたいのは、「市民への影響が出るような攻撃をやめるべきだ」ということです。我々のような支援機関が必要な人に支援を届けられるよう、安全を確保するべきだということを強く訴えています。

現在日本ユニセフ協会では、ウクライナ国内の支援活動を拡充し、近隣諸国での難民支援を展開するため「ウクライナ緊急募金」を受け付けている。詳細はこちら

『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「meeth WORLD CONNECTION」では、ゲストを招き世界の最新カルチャーに迫る。オンエアは9時20分頃から。

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