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androp・前田、Bo Ningen・Taigenを魅了したベース音は? 重低音のヤバい曲を解説

androp・前田、Bo Ningen・Taigenを魅了したベース音は? 重低音のヤバい曲を解説

andropの前田恭介(Ba.)、Bo NingenのTaigen(Ba./Vo.)が「ベーシスト目線で語る重低音の世界!」をテーマに、影響を受けた音楽や音作りを語った。

二人が登場したのはJ-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、3月10日(水)のオンエアをテキストで紹介する。

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ゲストの二人が選曲! ベースのヤバい曲

ゲストには、andropの前田恭介(Ba.)、Bo NingenのTaigen(Ba./Vo.)が登場。ロック、ジャズはもちろんだが、ダブステップ、トラップ、グライムなどのクラブミュージックまでベーシスト目線で重低音の世界を語ってもらった。

あっこゴリラ:前田さんはヴィンテージベースを使っているそうですが、その理由は?
前田:僕がベースを始めるきっかけとなった曲が、Jaco Pastoriusの『Come On, Come Over』という曲で、この人が使っているベースが1960年製のベースだと言われていて。好きなアーティストが使っているベースをそのまま使うというコスプレ的発想ではあるんですが、そういうロマンってあるじゃないですか。
あっこゴリラ:わかります。私もドラム時代そうだった!
前田:それが1960年製のヴィンテージベースを買うきっかけでした。同じものを使って、実際自分はどういう音が出るのかとか楽器と向かい合っていくと新しい影響を受けられるだろうと考えて音楽をやっています。
あっこゴリラ:私のベーシストの友達もJaco好き多いし、同じベース使っている人多いですね。
Taigen:ベーシストが通る道ですよね。
あっこゴリラ:ちなみに前田さんは最初どんな曲をコピーしたんですか?
前田:Queenの『Another One Bites the Dust』です。聴いてもらうとわかると思うんですが、ほぼドラムとベースで、ベースがすごく聴きとりやすい曲になっています。始めたときは耳コピの能力が低かったので、こういったベースラインが分かりやすい曲で練習していました。
あっこゴリラ:では、そんな前田さんの選曲でベースのヤバい一曲を紹介してください!
前田:The Beatlesの『Ob-La-Di, Ob-La-Da』です。この曲は僕が初めてライブでやった曲で、誰でも歌えるベースラインになっています。

【The Beatles『Ob-La-Di, Ob-La-Da』を聴く】

あっこゴリラ:続いて、Taigenの選曲は?
Taigen:僕がUKに移住した2004年前後に流行っていたDrum'n'bass、Garage/2 Step、DubstepなどのUK bass Music、その他にもいろんな重低音音楽を紹介したいんだけど、現行で僕が一番おもしろいと思っているUK低音音楽は、Pa Salieuの『Dem A Lie』です。
あっこゴリラ:出た!
Taigen:おもしろいのが、彼の場合、Trap/Grime/Drill全部を消化して、同時にそのどれでもないちゃんと自分のグルーヴのトラックになっているのがかっこいいなと思います。

【Pa Salieu『Dem A Lie』を聴く】

あっこゴリラ:Taigenが注目する重低音音楽、他には?
Taigen:先ほどの話の流れから日本での大注目のラッパー、Ralphです。彼のビートも実はUK Drillから影響を受けてるんですけど、ラップもトラックもめちゃくちゃオリジナリティがあって、もろ喰らいました。
あっこゴリラ:私も全く同じ理由で喰らいましたね。あはははは。
Taigen:これがメジャーになるというところに僕は希望を感じますね。日本でもこういう形でUK bassの影響が出たのがすごくうれしい。
あっこゴリラ:最近高校生とか大学生のラッパーの子たちがGrime取り入れたりしてるのもRalphの影響があるのかもしれないですよね。他にもありますか?
Taigen:もう1曲はSighaの『Between Here & Yesterday』です。UK Dubstep界隈からデビューし、そこから新しいミニマルテクノの軸になっていった曲で、4つ打ちのビートなんだけど低音が出過ぎててヤバい! かっこいいです。僕もトラック作るときとかマスタリングするときにReference音源としても使ってます。

ベースの音に影響を与えた音楽

ここからは、ゲストのお二人が弾くベースの音にどんな音楽が影響を与えてきたのかを訊いた。

あっこゴリラ:まずは前田さんが影響を受けた音楽は?
前田:ルーツミュージックのような自分の好きな音楽、さらにファンクやソウル、ヒップホップ、レゲエなどいろんなベースの音を探求して行く過程で、その全部をやっている女性アーティストを聞きつけて。しかも“ベースを弾きながらラップをするらしい”と。
あっこゴリラ:へえ~!
前田:Meshell Ndegeocelloさんという方なんですが、楽器を弾きながら演奏というとあっこさんもドラムを叩きながらラップをされたりするじゃないですか。そのスタイルに通ずるものがあるのかな~と思い、今日一緒に聴いたらおもしろいかなと思って選んでみました。楽器を弾きながら歌うということから生まれるグルーヴがとてもかっこいいです。
あっこゴリラ:(曲を聴いて)最高! めちゃめちゃかっこいい!
前田:僕、音楽って歌う人間とリズムを出す人間が一番かっこいいし、一番音楽を支配しているなって思うんです。あっこさんもそうですが、この方もそれを両方やってるわけじゃないですか。最強だなと思うんですよね。
あっこゴリラ:あはははは! この曲は年代問わずみんな大好きなやつですよね。
前田:そうですね。嫌いな人いないと思います。

【Meshell Ndegeocello『If That's Your Boyfriend (He Wasn't Last Night)』を聴く】

あっこゴリラ:他にはどんな音楽に影響を受けましたか?
前田:基本的にジャズやソウルなどを好んでいたんですが、中高くらいだとそういうのはモテなくて(笑)。そこでロックも通らなきゃと思い聴いてたのが、Screaming Headless Torsosの『Smile in a Wave』です。
あっこゴリラ:私、Screaming Headless Torsos大好き! DVDとか音源とか買い漁ってました。前田さん、ルーツおもしろいですね。一方、Taigenはどんな音楽に影響を与えられた?
Taigen:単純に明るいアメリカの音楽より、暗く哀愁と曇った雰囲気のUKの音楽に惹かれましたね。自分の性格にも合っているかなと思ったし、自分がやるんだったらUKの音楽かなって。
あっこゴリラ:うんうん。
Taigen:当時King Crimsonを聴いたときに衝撃を受けて、ものすごく刺さったんです。他にもレッド・ツェッペリンだったり、いわゆる60〜70'sのUKバンドのリズム隊やグルーヴが好きで。でも実際ロンドンに行ってみたら当時はUKインディーロックが流行っててハマれず、“UKのバンドのグルーヴがどこにいった!? ”とがっかりして悩んでたところにDubstepがあったんです。
あっこゴリラ:なるほど~。
Taigen:クラブでDubstepに出会い、ここでまたガツンと喰らって、ベースと低音の価値観が180度変わりベーシストとしての自分の使命を感じました。
あっこゴリラ:話を聞いてると、今のTaigenがある理由がすごいよく分かるね。では、そんなTaigenの選曲でベースのヤバい曲を一曲紹介してください。
Taigen:クラブで低音を腰で体感して影響を変えられたDubstepのパーティー「DMZ」の主催者、Malaの一曲『Changes』です。

【Mala『Changes』を聴く】

ベーシスト目線での音作り

ここからは、ゲストのお二人のベースの音作りについて教えてもらった。

あっこゴリラ:前田さんのベースサウンド作りにはどんな音が影響してますか?
前田:これまではルーツミュージックについて話してきましたが、最近重低音に憧れていまして。それを体感したのが2018年に行われた宇多田ヒカルさんのライブです。そのとき、ベースのJodi Millinerが使っていたシンセベースの低音に感銘を受け、その場で音も確認せずにネットでシンセベースを衝動買いしました。
あっこゴリラ:おお~!
前田:最初に話したJacoと一緒で、コスプレみたいな感じで同じものを使って(笑)。そんな生のベースだけじゃなくてシンセベースを取り入れるきっかけになったのが、宇多田ヒカルさんの『Automatic』です。当時はシンセベースとか分からず聴いてたけど、よく聴いてみると低い音が出ていてかっこいいです。
あっこゴリラ:私、『Automatic』のベース音を意識して聴いたの初めて。あはははは。
前田:おもしろいですよね~。

【宇多田ヒカル『Automatic』を聴く】

あっこゴリラ:シンセベースのような音を生のベースで弾く人っているの?
前田:それがいるんですよ~(笑)。生のベースでシンセのような質感の音を出す新世代ベーシストが、Snarky Puppyというバンドのマイケル・リーグさんです。シンベと生のベースを同時に出したり、生のベースにデフォルトでオクターバーかけて2オクターブ下を出したりするみたいなことをやっているベーシストです。
あっこゴリラ:へえ~!
前田:ちなみに、この人の影響で1958年製のヴィンテージベースを購入しております。
あっこゴリラ:さすがです。あはははは。Taigenのベースサウンド作りはどんな音が影響を与えた?
Taigen:僕もシンセベースをいかに生で弾くかっていうのをずっとBo Ningenでもやっていて。僕が昔やっていたプロジェクト「Devil Man」で、ベースは僕じゃなくてDJ Scotch Eggがやっていたんですけど、彼はシンセベースの音が出るエフェクターとひずみの音を組み合わせて、生の音だけどDubstepとか凶悪なイギリスの不良低音楽をそのままやっていて(笑)。
あっこゴリラ:(曲を聴いて)めちゃめちゃかっこいい!
Taigen:僕はボーカルとして参加していたけど、ベーシストとしてすごく影響を受けましたね。Bo Ningenの曲でも、そういうエフェクターをいろいろ使って、生のベースでクラブで聴いたあの感じ、そして音源で聴こえてくる音色だったりグルーヴを、どうバンドで再現するかというのを試した一曲がBo Ningenの『Kaifuku』です。

【Bo Ningen『Kaifuku』を聴く】

あっこゴリラ:こうやって話を聞くと、ずっとベースの音を研究してるんだなって思いますね。本当にすごい。
Taigen:僕はストレートに勝負できないので変化球をいかにって感じなところはありますけどね(笑)。
前田:でも、その変化球の出し方はハンパじゃないと思います。
Taigen:やっぱりそこがイギリスにいる意味なのかなって。
あっこゴリラ:なるほどな~。
Taigen:あとは、今の時代にバンドをやっている意味として、そういう変換というのはすごく必要だしアイデンティティーにしたいなって思っています。

J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。

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