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UNISON SQUARE GARDENの特異性は「暗黙のルール」が生む【SKY-HI×斎藤宏介 対談】

UNISON SQUARE GARDENの特異性は「暗黙のルール」が生む【SKY-HI×斎藤宏介 対談】

斎藤宏介(XIIX/UNISON SQUARE GARDEN)がJ-WAVEで11月13日(土)、バンド結成の裏話やライブへの思いを語った。

斎藤が登場したのは、J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。11月のマンスリープレゼンターはSKY-HIが担当している。

SKY-HI、UNISON SQUARE GARDENの楽曲に感じるカッコよさは?

斎藤はSKY-HIと同じ高校で一学年先輩にあたる。斎藤は「高校時代からずっと日高くん(SKY-HI)をリスペクトしていた」と言う。

SKY-HI:僕は高校のときに斎藤さんに憧れてパーマをかけ……ようと思ったくらいなんですよ。
斎藤:かけてないじゃん。行動力の鬼の日高くんが(笑)。
SKY-HI:かけようと思ったんですけど、当時短髪過ぎて。必死で髪を伸ばしてたんですけど、ちょっと伸びきらず、でしたね。

和気あいあいとした雰囲気で始まったふたりのトーク。まずはUNISON SQUARE GARDENの話題に。

SKY-HI:UNISON SQUARE GARDENって楽曲をベースの田淵(智也)さんがほぼコントロールしているんですけど、それはどの段階で決まってたんですか?
斎藤:僕たちは同じ高校に通ってたじゃないですか。そのときに僕は田淵とバンドをやっていて、そこにはボーカリストがいて、僕はギターだけを弾いていた。でもこのバンドは高校いっぱいで区切りをつけて、大学にあがったら自分がギターボーカルをやるバンドを組みたいと思っていました。だからUNISON SQUARE GARDENの立ち上げは僕で、田淵と貴(鈴木貴雄)を誘って。田淵も曲を作れるし、自分も曲を作るぞってなったときに、自分が1曲作る間に田淵が10曲くらい作ってくるから、この人は曲を作るのが好きなんだと思ったし、そこにバンドへのモチベーションを持ってる人でもあったし、何より作ってくる曲を演奏して歌うのがすごく楽しかったんですよね。だからいいやと思って。
SKY-HI:ははは(笑)。
斎藤:任せますって(笑)。「信用して僕が歌います」っていうようになったから、結成して3カ月くらいした頃には「この人に全部任せよう」って。

SKY-HIはUNISON SQUARE GARDENの曲の展開の多さなど田淵の生み出す楽曲の特徴を「田淵節」と表現する。

SKY-HI:田淵さんの特異性を持った楽曲は、バンドの発起人の斎藤さんが思っていた音楽像とすぐにマッチしたんですか?
斎藤:高校の話になるんですけど、僕のひとつ上の先輩がスリーピースギターロックバンドをやっていて、下北沢のライブハウスのオーディションに合格して夜の部に出たりしていて、自分からしたら超カッコよくて。
SKY-HI:それはカッコいい。
斎藤:最初はそれになりたかったんですよ。田淵も一緒にライブを観たりして、それになりたいぞってことで、なんちゃってそのバンドみたいな曲を最初のうちは作っていて。それで僕も楽しかったんだけど、続けていって曲がどんどん増えていって、グラデーションで今になっていってるから、最初から(田淵節が)あったような気もするし、でも5年前の田淵の曲と今の田淵の曲も全然違うから、そういう意味ではずっと田淵節が更新されていっている感じかな。田淵って日高くんと似ていて、ずっと進むことで自分を保つ人で。
SKY-HI:マグロのような。止まると死ぬという。
斎藤:そうそう(笑)。

XIIXがふたり体制になった経緯

2019年、斎藤はベーシストの須藤 優とXIIX(テントゥエンティ)を結成。UNISON SQUARE GARDENで活動を続ける傍ら、なぜ斎藤はその決断に至ったのだろうか。

SKY-HI:XIIXの結成のタイミングを見計らっていたんですか?
斎藤:それはめちゃくちゃありましたね。日高くんに出てもらったイベントがあって、それは僕が一人でステージに立って、もう一人来てもらって、それぞれと交わったものでひとつのライブにしていくっていうものだったんだけど、それの裏テーマというか、そのときからXIIXの布石になればいいなと思っていて。UNISON SQUARE GARDENをやりながら、そこだけでは表現しきれない音楽が自分のなかにあることが分かっていて。それこそAAAをやりながらSKY-HIをやってる日高くんは超すごいと思うんだけど、両立ってやっぱりすごく難しくて。特に見られ方。どっちかに迷惑をかけるわけにはいかないってところが自分の手に負えない部分があると思っていて。だからそこのタイミングはすごく図っていました。
SKY-HI:今だから言える話ですけど、そのイベントで「自分の音楽のかたちを発信するタイミングを探している」みたいな話をされていたことを記憶しています。

斎藤はXIIXがベーシストとのツーピースバンドになった経緯を語る。

斎藤:そのイベントをやるにあたってオリジナル楽曲を作りたいと思って。それを自分でいちから全て作るのもいいけど、自分はギターと歌の人だからベースとかドラムとかその他は素人に毛が生えたレベルしか分からず、それで頑張って作るのもいいけど、だったら(餅は餅屋で)餅屋にお任せして、いちばん質の高い餅屋がいいなと。
SKY-HI:いい餅をくださいってことですよね(笑)。
斎藤:それで須藤くんに頼んだらすごくワクワクして。それを何回かやるなかで、アレンジャーとして須藤くんを招くというよりは一緒に須藤くんも伸び伸びしてもらったほうが楽しそうだなと思ってバンドになった感じですね。
SKY-HI:結構、須藤さんもマインドセットはプレイヤータイプですもんね。
斎藤:本当はバンドをやりたかった人なんだけど、腕一本でいろんな人から呼ばれてそこに顔を出したらまたいろんな人から呼ばれて、みたいなところで今すごく売れっ子になっている人だから、そういう意味ではプレイヤーだけどバンドもやりたいはずだと思います。

UNISON SQUARE GARDENの暗黙のルール

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番組後半はライブについての話題に。SKY-HIはUNISON SQUARE GARDENのライブで、ふつうは3本ぐらいでやるギターの演奏を斎藤がひとりでやっている姿を観て、これは普通じゃないと感じたという。

SKY-HI:それはどういったこだわりでそうなったんですか? マニピュレーターをしかない感じというか、全部が生音である感じというか。変な話、1本のギタリストがバッキングをマニピュレーターで出しておくって自然だと思うんです。ライブ用に演奏を簡易化するとか、いろんな手法があったと思うんですけど、自分からしか音を鳴らさないことにどんなこだわりがあるんでしょうか。
斎藤:なんとなく暗黙のルールがUNISON SQUARE GARDENのなかにはあって、3人が人力で出せる楽器は同期で流さないっていう。
SKY-HI:同期で流れる音がゼロってわけではないんですね。
斎藤:同期する曲は1割に満たないかな。ワンマンライブで1、2曲くらい。だからギターとコーラスは同期で流してはいけないっていう暗黙のルールがなんとなくあって。でもそこに違和感を抱いたことは1回もなくて。自分がバンドのライブを観に行ったときに、それこそギターソロでバッキングを同期で流しているのを観ると「反則じゃん」って思っちゃう自分がいて(笑)。
SKY-HI:ははは(笑)。
斎藤:ズルじゃんって(笑)。たとえば、サッカーでチラベルトみたいな(キックがうまい)ゴールキーパーがフリーキックを蹴るために攻め上がったときに、補欠のキーパーが出てきてゴールを守るみたいな。でも(サッカーは11人しか出られないのに)「12人いるじゃん!」みたいな。
SKY-HI:なるほど。
斎藤:レコーディングはもちろんギターを何本も重ねるけど、ライブは極力人力でやる。だから「ギターを弾きながら歌えてすごいね」って言ってもらえるけど、実際はベースを弾きながらコーラスしている田淵も相当だし、ドラムを叩きながらコーラスしている貴も大概だと思うんで。
SKY-HI:それって本当にすごいですよね。

SKY-HIが、そのこだわりがUNISON SQUARE GARDENの特異性を生み出すと言うと、斎藤は「本当に知らなかったから」と笑う。

斎藤:「みんな同期で出してたんだ」とか「みんなそこで歌わないで他の人に歌わせたんだ」とかを知らなかったから。
SKY-HI:やっているうちにできるようになっちゃったってことですよね。
斎藤:やるしかなかったっていうことですよね。
SKY-HI:楽曲の難易度がだんだん上がることについて、「違う方向もあるんじゃないか」って話し合うことはなかったんですか?
斎藤:実はあって。今までアルバムを8枚出してるんですけど、2枚目のアルバムがまさにその時期で。のちのち田淵節がハイパーな曲が浸透していくんだけど、そのときはまだカラオケで歌われる曲やリラックスして聴ける曲を作ることが売れるための近道だって人の声のほうが大きかった。
SKY-HI:それ分かります。
斎藤:これまでのストックで作った1枚目のアルバムだったけど、2枚目は本当にプロとして最初の作品を作る上でそういう声はたくさんあって「もっと間引いて」「もっとカラオケでみんなが歌えて盛り上がれる曲を」とか言われて、だからものすごく試行錯誤しながら作ったアルバムでした。それはそれでそのときにしか作れなかったものだと思うけど、そのおかげで「違った」っていうことが分かったし、それで今があるかなと思う。

斎藤は最後に、「これからアーティストとして目指すところは?」と問われ、「ある意味では達成している」と話す。

斎藤:僕は音楽をやりたい人だから音楽をやれている時点で目標は達成されている部分がすごく大きくて。進むべき先っていう意味では、自分が素晴らしいと信じている音楽を素晴らしく鳴らすっていうだけでは届かない人たちにもちゃんと届く道を作ることはやるべきだなって思っています。

UNISON SQUARE GARDENの最新情報は、こちら、XIIXの最新情報はこちらまで。

『WOW MUSIC』はJ-WAVEで土曜24時-25時。また、『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。

・『MUSIC FUN !』のYouTubeページ
https://www.youtube.com/c/musicfun_jp

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