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アナウンサーから、フラワーアーティストへ。前田有紀×藤原しおりが「選択」をテーマに語り合う

アナウンサーから、フラワーアーティストへ。前田有紀×藤原しおりが「選択」をテーマに語り合う

藤原しおりが「チーフ」としてナビゲートする、ラジオを「ラボ」に見立てたJ-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』。「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す。

4月17日(土)の「ラボ」にフェローとして登場したのは、フラワーアーティストの前田有紀。「選択」をテーマにトークを展開した。

「好きなことを仕事にすると、これだけ目が輝くんだな」

前田は10年間テレビ局アナウンサーとして活動したのち、フラワーアーティストに転身。2018年、フラワーブランド「gui(グイ)」を立ち上げた。プライベートでは、4歳と0歳の2児の母だ。

藤原:前田さんが「選択」と聞いて真っ先に思うことやエピソードはありますか?
前田:私はもともとテレビ局でアナウンサーをしていて、そこから「人生を変えたい」と選択をして、いまは花の仕事に就いています。なので「選択」というと、自分の人生を変えたときの決断を思い出しますね。

前田はアナウンサー時代、深夜の収録や早朝の生放送など、忙しい日々を過ごしていた。そんなある日、深夜に24時間スーパーでふと1輪の花を購入。花を飾っただけで部屋が明るくなり、元気や癒しをもらったそうだ。その後、飾る花の数は次第に増えていき、習い事にも通うように。さらに、アナウンサーとしてサッカー選手にインタビューをおこなった際に「好きなことを仕事にすると、これだけ目が輝くんだな」と感じたと振り返る。

大学で教育学部に通っていた藤原も、この考えに共感。「教員免許が取れる」という理由で通っていたものの「学校の先生になりたい」と目を輝かせる周囲の学生を目の当たりにして「私もやりたいと思えることをやりたい」と感じ、大学を中退したことを明かした。

藤原:そのときの感覚。「この人たちみたいにキラキラしたものを自分も見つけたい」と思いました。「休学にしなよ」「別にやめなくていいんじゃない?」「やめてどうするの?」ってたくさん言われたんですけど。前田さんも周りからそういう意見はなかったですか?
前田:ありました。まず一番身近な親から「かじりついてでも会社にいなさい」って言われたり、「なんで花屋なんかに?」とか、少し“低い仕事”と見ている人もいるのかなと感じたりしました。ただ、私は花の仕事って世界で一番かっこいい仕事だと思っていて。花を見てみなさんが最高に素敵な笑顔を見せてくれるんです。それを目の前で見られる仕事って本当に幸せ。「だからこそ花屋になったんですよ」って言いたいぐらいです。
藤原:いま私は前田さんのお顔を拝見しながらしゃべっていて、みなさんに「こんなにキラキラしゃべっているんですよ」と伝えたいぐらい。人に「こうしたほうがいいよ」と言われて、そのとおりにしてなんとなくハッピーになれました、というのも、もちろん幸せなんですけど、自分がいいと思って選択したときに感じる喜びって倍以上。納得もできます。
前田:本当に共感します。人生を選択していくときに必要になるのは「社会軸で見たときにどうあるべきか」ではなくて「自分軸で見たときにどういう自分でいたいか」が本当に大事なのかなって。自分の心を満たしてくれるのは自分自身なのかなと思ってます。

まずは体験してみよう─鎌倉に住むことを決めた経緯

藤原が、「人口わずか900人の村で、高齢化率50パーセントを超える限界集落となっていた長野県の根羽(ねば)村に、2020年度の1年間で19世帯46名が移住。平成以来初の社会増が見込まれている」というニュースを紹介。住む場所の選択、コロナ禍の生活スタイルの変化を語り合った。

藤原:有紀さんはいまもリモートが増えていますか?
前田:家族で3年前に鎌倉に引っ越して以来、鎌倉から仕事をすることがとても増えましたね。ちょうどコロナ禍の2020年7月に次男を出産して、出産前後や自分があまり動けない時期でも、リモートだったからこそ仕事ができました。
藤原:鎌倉に住むと選択するまで、どんなことがありましたか?
前田:夫が東京で会社員をしていて、私も花の仕事で起業して、お仕事があるのは東京だったんですね。だから都内に住むほうが圧倒的に効率よくいろいろなことができるね、と話していました。でも夫婦で「住んでみたいね」と言っていた鎌倉で1週間の“借りぐらし”をしてみたことがあったんです。
藤原:へえ!

前田は「STAYCATION」というサービスを使い、鎌倉の古民家を1週間借りて生活した。通勤時に遠さは感じたものの、休日に散歩をしながら自然あふれる景色を見て「もうこの風景を見ずに生きていけないね」と夫婦で意見が一致。

前田:あとは子育てを考えたときに、自然も文化も感じられる場所で子どもにアイデンティティを持ってほしいという想いがあって、それが叶えられるのは鎌倉だったので、そこから腰を据えて暮らそうと話し合って、家を建てました。
藤原:「STAYCATION」で、お試しで住む期間を設けたのがよかったんですね。
前田:迷われている方がいたら、「STAYCATION」や「Airbnb」、賃貸でちょこっと借りるとか、いろいろできると思うので、鎌倉に限らず住んでみたいところがあったら、ちょっと借りてみるといいかもしれないですね。
藤原:有紀さんみたいに試してみて、違ったら違うでやめていいですもんね。
前田:鎌倉に引っ越さないほうがいい理由なんて、すごくたくさんあったんです。でも住んでみたからわかったことがあって。感性を揺さぶるような体験ができて、効率とか頭で考えていたことが吹っ飛んだんですよね。そういうことってけっこうある気がするので、まずは行動して体験してみるというのは大切なキーワードなのかなと思います。

子どもに「こうなってほしい」を押し付けない

前田は、番組で紹介された以下のニュースに注目。

「アメリカ・インディアナ州に住む5歳の少女が、自分の名前を変えるために行動を起こして話題になった。少女は『チャーリー』という自分の名前を好きではないと両親に訴え、名前を変えるためには裁判所へ行き200ドルを払う必要があること、未成年の場合は両親の同意が必要であることなどを知った。少女は手作りのブレスレットを販売して資金を調達。着々とその額が増えており、その様子を母親がSNSで動画をシェアした」

前田:すばらしいニュースだなと思って。ちょうど私は4歳の男の子を育てているんですね。「5歳でこんなことができるんだ」って行動力に驚かされました。
藤原:すごいことですよね。
前田:「生まれつきだから」と思って諦めてしまうことって誰にでもあると思います。でもそこで「変わっていける」と信じられるのがすばらしいと思いました。子育てをしていると、子どもたちは自分から生まれた人なんですが、やっぱり親の所有物ではなくて、ひとりの人間として世界観を持っているんですよね。だから、それを尊重することがすごく大事だなと思っていて。長男、次男といるんですが「あなたは男の子だから」とか「お兄さんだからこうして」とかは言わないように本当に気を付けていて、「その子らしさ」を大切にできたらいいなといつも思うんですよね。
藤原:それは大事ですよね。つい「お兄ちゃんだから」とか言っちゃいそうです。
前田:そうそう。つい言っちゃいそうになるんですけど、これからの時代、性差は関係ないですし、その子らしさだけがそこにあると思うので。自分の「こうなってほしい」を押し付けない、その子に選ばせることが大事だなと思って。自分も選択していくことで人生がどんどん楽しい方向にいって、豊かにもなって、彩りのある人生を送れているので、子どもたちに押し付けていくんじゃなくて、選ぶことを委ねられたらいいなと思っています。

前田は「テレビ局のアナウンサーって誰が聞いてもわかる肩書きだったので『アナウンサーらしくしなくちゃ』っていつも思っていた気がする」と告白。

前田:そう思うと、どこか窮屈で「こうしたいな」と思ったときにも「こんなことを言うのは期待されてないからやめておこう」と気持ちを押し込んだり、服を選ぶときに「この服はアナウンサーらしくていい」って選んだり、すごく自分らしさを見失った20代だったなと思います。それが普通だと思っていたけど、転職・起業をして、自分で会社をやりながら好きな仕事に就いて、生き方を変えると、本当に身に着ける服も「自分が好きなものを選ぼう」と変わりましたし、人生の選択が全部自分軸に変わっていったんですよね。当時の自分が見たらびっくりするほど個性的な服を着ていたり、メイクも華やかな色のアイラインを入れたり、自分が心地よくて、楽しくてワクワクするのがすごく大切だなと思っていて。いまのほうが自分らしく過ごせているなと感じます。

J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分オンエア。

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HITACHI BUTSURYU TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY
毎週土曜
20:00-20:54