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藤巻亮太、被災地で「私たちを不幸な人だと思わないでほしい」と言われて感じたこと

藤巻亮太、被災地で「私たちを不幸な人だと思わないでほしい」と言われて感じたこと

J-WAVEで放送中の『~JK RADIO~TOKYO UNITED』のワンコーナー「WORDS FROM THE FIELD」(ナビゲーター:GAKU-MC)。3月5日(金)の放送では、ミュージシャン・藤巻亮太が登場。東日本大震災などの被災地を訪れて感じたことを語り合った。

ふたりは3月10日(水)開催の配信ライブ「J-WAVE HEART TO HEART アカリトライブON LINE」に出演。ライブの詳細はこちら(https://www.j-wave.co.jp/topics/2101_akarito.htm)。

被災地の取材で感じたこと

J-WAVEで放送中の復興支援ラジオ番組『Hitachi Systems HEART TO HEART』。以前は藤巻がナビゲーターを務め、現在はそのバトンをGAKU-MCが引き継いでいる。藤巻が同番組の思い出を語った。

GAKU-MC:『Hitachi Systems HEART TO HEART』は月イチのプログラムで、被災地を巡る番組だったんですけど、どうでしたか?
藤巻:1回目はやっぱりつらかったですね。ナビゲーターとして、まさに被災された方に、どんな顔をしてどんなことを聞けばいいのかがわからなくて。話を聞いてて、こっちもつらくなってしまいました。

悩みながら収録に挑んでいた藤巻だが、途中から「そういう気持ちを抱くのはしょうがない」と思い、「それも含めて、ナビゲーターとしてラジオを聴いてくださっている方に現状をしっかりと伝えることが自分の務め」と考えるようになったそうだ。

藤巻は、福島県双葉郡浪江町を訪れた際に出会った、役場に勤める人物とのエピソードを明かした。

藤巻:「浪江というのは津波だけじゃなくて原発のことがあって、いまだに人が帰ってこられない」という話を、案内してもらいながら聞いたんです。いまだに僕の胸に残っているんですけど、「この状況はとてもつらいし過酷なんだけど、我々は不幸ではないんですよ」って言ったんですよ。「不幸かどうかを決めるのは自分。自分の生き方がそれを決めるんだ。過酷ではあって、それは受け入れるけれど、私たちを『不幸な人』だと思わないでほしい」と。裏を返すと、自分の生き様は自分で決められるという人間の強さ。自然は猛威を振るうんですけど、そのなかで人間は恩恵も受ければ、その反対もある。そのなかで、人間がそうやって自分の生き様を通して……。美しいなと思いましたね。それはとても勉強になりましたし、自分もできることを頑張ろうと思いましたね。

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番組がきっかけで川嶋あいとのコラボ曲も誕生

『Hitachi Systems HEART TO HEART』がきっかけで生まれたコラボ曲について藤巻が話をした。

藤巻:川嶋あいさんが、僕が担当しているときにゲストで来てくださいました。被災した小学生たちは、卒業式で(川嶋の楽曲)『旅立ちの日に…』を歌う予定だったんですけど歌えず、そのまま裏山に避難して。みなさん無事だったんですけど、小学生たちが一晩あの寒い夜を越したときに、卒業式で歌う予定だった『旅立ちの日に…』をみんなで歌って、心細いなか朝日を待っていたという話がすごく心に残りまして。そのときの話から川嶋さんに来ていただいて。そこからまた川嶋さんがさらに被災地に歌いに行った話を聞いて「じゃあ川嶋さん、なんか一緒にやりましょう」と。川嶋あいさんと藤巻亮太の曲が……。
GAKU-MC:できたてなんですよね? 聴いてみましょう。

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ここで、作曲を藤巻、作詞を川嶋が担当した新曲『どうにか今日まで生きてきた feat. 藤巻亮太』をオンエアした。3月12日(金)にデジタルリリースされる。

【radikoで聴く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20210305062540(2021年3月12日28時59分まで)

藤巻:本当は僕に詞を書いてもらいたかったらしいんです。それで、川嶋さんが曲を作る。でももしかしたら……。
GAKU-MC:「逆のほうがいいんじゃない?」みたいな?
藤巻:もしかしたら川嶋さん自身が言葉に向き合って新しい言葉が出てきたら、そっちのほうが素敵なんじゃないかなと思って「逆にしましょうか?」と言いました。
GAKU-MC:へえ!
藤巻:僕は僕で「こんな感じのメロディーがいいんじゃないかな」と事前に作ってたんです。川嶋さんは川嶋さんで「こんな感じの言葉がいいんじゃないかな」と書いていました。そこに、タイトルにもある「どうにか今日まで生きてきた」という言葉があって、すごくいいなと思って。「川嶋さん、これじゃないですか? いま僕が作ってるメロディーに当てたらすごく合いますよ」ってなって、それがサビなんです。

そこから藤巻と川嶋は、電話でやりとりをしながら曲作りをしていったという。

藤巻:すごく楽しかったですよ。
GAKU-MC:いいね。コードチェンジとか転調の妙とかもまた、譜面を見たらビックリすることがいっぱいあるんでしょうけど。『どうにか今日まで生きてきた feat. 藤巻亮太』いい曲ですねえ。
藤巻:ありがとうございます。図らずも「どうにか今日まで生きてきた」という気持ちって、今みなさん感じてませんか?
GAKU-MC:ビシビシくるもん。「どうにか今日までやってきたんですよ」という人は多いと思うよ、本当に。

言葉から漏れる感情を、言葉で追い求める

最後に藤巻が「大切にしている言葉」について、表現者としての想いを語った。

藤巻:最近考えていることでもあるんですけど、言葉って「この想いを相手に伝えたい」と思って生まれてきたんだと思うんですよ。でも言葉をいっぱい知ってくると今度は、言葉の意味のほうが先行していく。言葉に自分の感情をはめこんで生きていくようなことが、本末転倒で起きてるんじゃないかなと最近すごく感じてるんですよ。でも感情って言葉に絶対収まらないと思うんですよね。言葉から漏れてしまうような感情をまた言葉で追い求める、そして新しい、そこから漏れてしまうような感情をすくってあげるような、そんな音楽、言葉を書きたいなと思っています。

『Hitachi Systems HEART TO HEART』の集大成でもあるライブ「J-WAVE HEART TO HEART アカリトライブON LINE」について、GAKU-MCは「僕らがつないできたバトンをみなさんにぜひ受け取ってほしい」とコメントした。

・イベントの詳細はこちら
https://www.j-wave.co.jp/topics/2101_akarito.htm

『~JK RADIO~TOKYO UNITED』のワンコーナー「WORDS FROM THE FIELD」の放送は毎週金曜日の6時20分ごろから。

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radikoで聴く
2021年3月12日28時59分まで

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番組情報
~JK RADIO~TOKYO UNITED
毎週金曜
6:00-11:30