J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:玄理)のワンコーナー「WORLD CONNECTION」。2月21日(日)のオンエアでは、選択的夫婦別姓を取り上げた。「そもそも、いつから同姓と定められたのか」「反対意見はなにか」などを紹介した。
玄理:桜井さんが代表を務めていらっしゃる団体、「#男女共同参画社会ってなんですか」の活動内容を教えていただけますか?
桜井:昨年6月に国際協力NGOジョイセフという団体から、若者、特に女性の政治参画に対して何か入れたいよねというお話をいただきました。「難しいテーマだな、何しようかな」と思っていたところ、8月に国がこれからの5年間のジェンダー平等に関する計画を作るということを知り、そこに対してのパブリックコメントに、特に若い世代の声がなかなか入っていないので、声を届けられないかなと思って立ち上げました。
玄理:なるほど。こういう活動をしたいと思い始めたきっかけは何かあるんですか?
桜井:私が高校2年生のときに、同級生から「女ならかわいく黙っていればいい」って言われて、そのときに「女だから、男だから」というのがまだあるんだなっていうのを知って、ジェンダー平等に興味を持ちました。
玄理:失礼ですが、桜井さんは今おいくつなんですか?
桜井:26歳です。
玄理:その年齢で、高校生のときに同級生でそういうことを言う人がいたんですか? けっこう衝撃ですよね。
桜井:同じ人間なのにと思って、すごい衝撃を受けました(笑)。
玄理:同じ世代なのにそれは衝撃だし、人生に影響を与える一言になりましたね。
そもそも、夫婦はいつから「同姓」が当たり前になったのか。定められたのは、民法が作られた1898年(明治31年)。その後1947年に民法が改正された際、「夫か妻の姓を名乗ること」とされて今に至っている。
最近になって取り沙汰されるようになってきたイメージもある「選択的夫婦別姓」だが、議論はいつから始まったのか。
桜井:選択的夫婦別姓に関して本格的に議論されたのは1991年からで、これもけっこう最近のことなんですよね。法律に関することを話し合う国の法制審議会という機関があって、そこで婚姻制度の見直しが始まったのが1996年なので、ここ25年くらいの話ですね。
玄理:海外の流れなどを見ていると、私は20年以上もかけて話し合うようなことなのかなってちょっと思っちゃったんですけど、どうして日本だけこんなに議論が前に進まないんですか?
桜井:今お話した法制審議会では、法律を作る場である国会がちゃんと議論してくださいねということになっていて、今回の第5次男女共同参画基本計画を作る中で橋本前大臣の積極的なリーダーシップもあって、選択的夫婦別姓という文言が計画に入るかもっていうところまできました。でも、そうすると「じゃあ子どもの姓はどうするの」「日本の伝統が壊れる」「絆が壊れる」と、ごく一部の自民党の国会議員さんがすごく反対していらっしゃって、選択的夫婦別姓にしていくよっていう議論がなかなか進まないという状態になっています。
日本では夫婦別姓を選べないために、パートナーと事実婚をしている人も多い。桜井さんは「やむを得ず選んでいる方が多いのかなというふうに思っています」と、自身の印象を述べる。
桜井:別姓にしたいというのが今の法律ではかなわないので、しかたなく選んでいるのかなというのがあります。デメリットはすごく多いと思っていて、たとえば一方が病気や怪我で手術をするときに家族の同意が必要な場面で「あなたは本当にパートナーなの?」と疑われたりするんですよね。亡くなっても自動的に財産が相続されないとか、税金の控除で受けられないものがあるとか、何よりも「あなたたちは正式な夫婦ではない」といちいち社会から言われているようで、尊厳が傷つくと思います。
玄理:私が知ってる中での海外の制度、うちの両親もそうですけど夫婦別姓が当たり前で、子どもは基本的にお父さんの苗字、でも何か理由があればお母さんの苗字でもいいよみたいなことが多いと思うんですけど、お子さんの苗字に関しては今日本ではどういう議論で進んでいるんですか?
桜井:年末の議論ではこれから話していこうっていうところで止まっています。
玄理:この議論を取り扱う中で参加してくる割合は女性のほうが多いですか? 男性もけっこう意見を出していますか?
桜井:性別に関係なく意見をくださっていて、特に先ほどもあったように「何も考えずに結婚してしまったけど、改めて考えてみると、当時どっちにするかを議論したほうがよかったのではないか」ということで、参加してくださっている方もいます。
玄理:世代はどうですか?
桜井:幅広く参加してくださっています。
玄理:それはすごくいいことですよね。
最後に桜井さんは、男女共同参画に興味がある人に向けてメッセージを送った。
桜井:今はSNSで発信できる時代なので、男女共同参画についてつぶやいて繋がっていくとか、あとは先日の森さんの発言にもありましたけど、まずは自分の中にある無意識の偏見に気づくことも大事だと思います。男女共同参画とかジェンダー平等というのは女性だけでなくみんなにとって重要なものなので、職場とか家庭とか地域とかで何か行動や発言をする際に、よりジェンダー平等な言葉を選んだり、仕組みにしたりということを心がけるだけでも違うと思います。
『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「WORLD CONNECTION」では、ゲストを招き一つの国にまつわる様々なトピックを取り上げる。オンエアは9時20分頃から。
同じ人間なのに「女ならかわいく黙っていればいい」
『ACROSS THE SKY』では昨年末、リスナーとのオンラインディスカッション企画「話そう!」を実施し、番組内で取り上げてほしいトピックを募った。今回のテーマは、その際の要望を受けて決まったものだ。日本は、先進国の中で唯一夫婦別姓が認められていない。議論のこれまでと現状を、市民グループ「#男女共同参画社会ってなんですか」代表の桜井彩乃さんに訊いた。玄理:桜井さんが代表を務めていらっしゃる団体、「#男女共同参画社会ってなんですか」の活動内容を教えていただけますか?
桜井:昨年6月に国際協力NGOジョイセフという団体から、若者、特に女性の政治参画に対して何か入れたいよねというお話をいただきました。「難しいテーマだな、何しようかな」と思っていたところ、8月に国がこれからの5年間のジェンダー平等に関する計画を作るということを知り、そこに対してのパブリックコメントに、特に若い世代の声がなかなか入っていないので、声を届けられないかなと思って立ち上げました。
玄理:なるほど。こういう活動をしたいと思い始めたきっかけは何かあるんですか?
桜井:私が高校2年生のときに、同級生から「女ならかわいく黙っていればいい」って言われて、そのときに「女だから、男だから」というのがまだあるんだなっていうのを知って、ジェンダー平等に興味を持ちました。
玄理:失礼ですが、桜井さんは今おいくつなんですか?
桜井:26歳です。
玄理:その年齢で、高校生のときに同級生でそういうことを言う人がいたんですか? けっこう衝撃ですよね。
桜井:同じ人間なのにと思って、すごい衝撃を受けました(笑)。
玄理:同じ世代なのにそれは衝撃だし、人生に影響を与える一言になりましたね。
反対の声は「日本の伝統が壊れる」「絆が壊れる」
昨年の第5次男女共同参画基本計画の案に対し、桜井さんは1000件以上のパブリックコメントを集めて、当時男女共同参画担当大臣だった橋本聖子氏に手渡しして意見交換をした。その後、橋本氏はこの話題を国会でも取り上げるなどの動きがあった。桜井さんによると、「若い世代の声を聞かないで計画を作るというのは本当にダメだよね」という反応で、パブリックコメントを計画づくりに取り入れるとのことだった。そもそも、夫婦はいつから「同姓」が当たり前になったのか。定められたのは、民法が作られた1898年(明治31年)。その後1947年に民法が改正された際、「夫か妻の姓を名乗ること」とされて今に至っている。
最近になって取り沙汰されるようになってきたイメージもある「選択的夫婦別姓」だが、議論はいつから始まったのか。
桜井:選択的夫婦別姓に関して本格的に議論されたのは1991年からで、これもけっこう最近のことなんですよね。法律に関することを話し合う国の法制審議会という機関があって、そこで婚姻制度の見直しが始まったのが1996年なので、ここ25年くらいの話ですね。
玄理:海外の流れなどを見ていると、私は20年以上もかけて話し合うようなことなのかなってちょっと思っちゃったんですけど、どうして日本だけこんなに議論が前に進まないんですか?
桜井:今お話した法制審議会では、法律を作る場である国会がちゃんと議論してくださいねということになっていて、今回の第5次男女共同参画基本計画を作る中で橋本前大臣の積極的なリーダーシップもあって、選択的夫婦別姓という文言が計画に入るかもっていうところまできました。でも、そうすると「じゃあ子どもの姓はどうするの」「日本の伝統が壊れる」「絆が壊れる」と、ごく一部の自民党の国会議員さんがすごく反対していらっしゃって、選択的夫婦別姓にしていくよっていう議論がなかなか進まないという状態になっています。
日本では夫婦別姓を選べないために、パートナーと事実婚をしている人も多い。桜井さんは「やむを得ず選んでいる方が多いのかなというふうに思っています」と、自身の印象を述べる。
桜井:別姓にしたいというのが今の法律ではかなわないので、しかたなく選んでいるのかなというのがあります。デメリットはすごく多いと思っていて、たとえば一方が病気や怪我で手術をするときに家族の同意が必要な場面で「あなたは本当にパートナーなの?」と疑われたりするんですよね。亡くなっても自動的に財産が相続されないとか、税金の控除で受けられないものがあるとか、何よりも「あなたたちは正式な夫婦ではない」といちいち社会から言われているようで、尊厳が傷つくと思います。
夫婦別姓の議論には、男女問わず参加している
番組には「夫婦別姓には賛成です」「自分は結婚して別の姓になったけれど、周りも同じだったので疑問に思わなかった」という意見が届いた。中には「子どもの姓はどうなるの?」というコメントもあったが、今の日本ではどのような議論が進んでいるのだろうか?玄理:私が知ってる中での海外の制度、うちの両親もそうですけど夫婦別姓が当たり前で、子どもは基本的にお父さんの苗字、でも何か理由があればお母さんの苗字でもいいよみたいなことが多いと思うんですけど、お子さんの苗字に関しては今日本ではどういう議論で進んでいるんですか?
桜井:年末の議論ではこれから話していこうっていうところで止まっています。
玄理:この議論を取り扱う中で参加してくる割合は女性のほうが多いですか? 男性もけっこう意見を出していますか?
桜井:性別に関係なく意見をくださっていて、特に先ほどもあったように「何も考えずに結婚してしまったけど、改めて考えてみると、当時どっちにするかを議論したほうがよかったのではないか」ということで、参加してくださっている方もいます。
玄理:世代はどうですか?
桜井:幅広く参加してくださっています。
玄理:それはすごくいいことですよね。
最後に桜井さんは、男女共同参画に興味がある人に向けてメッセージを送った。
桜井:今はSNSで発信できる時代なので、男女共同参画についてつぶやいて繋がっていくとか、あとは先日の森さんの発言にもありましたけど、まずは自分の中にある無意識の偏見に気づくことも大事だと思います。男女共同参画とかジェンダー平等というのは女性だけでなくみんなにとって重要なものなので、職場とか家庭とか地域とかで何か行動や発言をする際に、よりジェンダー平等な言葉を選んだり、仕組みにしたりということを心がけるだけでも違うと思います。
『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「WORLD CONNECTION」では、ゲストを招き一つの国にまつわる様々なトピックを取り上げる。オンエアは9時20分頃から。
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2021年2月28日28時59分まで
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番組情報
- ACROSS THE SKY
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毎週日曜9:00-12:00
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玄理