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クリープハイプ・尾崎世界観×フォーリミ・GENが気づいた、「観客がいるライブ」で得ていたもの

クリープハイプ・尾崎世界観×フォーリミ・GENが気づいた、「観客がいるライブ」で得ていたもの

J-WAVEで毎週月曜から木曜に放送中の番組『THE KINGS PLACE』。注目のアーティストが曜日ごとにナビゲーターを務める番組だ。1月から月曜ナビゲーターは04 Limited Sazabys(略称:フォーリミ)のベース、ボーカルのGENが担当している。

2月1日(月)に放送された「KINGS MEETING」のコーナーでは、クリープハイプのボーカル、ギターの尾崎世界観がゲストに登場。配信や無観客ライブを経験して気づいた“歓声”のありがたさなどを語り合った。

クリープハイプをカバーしたところ、長谷川カオナシからレアな連絡が

尾崎が執筆した小説『母影(おもかげ)』は第164回芥川賞の候補となっていたが、残念ながら落選。ふたりは、もしも受賞したら尾崎が賞金で食事をごちそうすると約束していたそうで、「落ちてたからめちゃくちゃ恥ずかしい(笑)」「普通におごらせてください!」と語った。

仲のよさが伺えるトークを経て、クリープハイプの楽曲を04 Limited Sazabysがカバーしたという話題に。

04 Limited Sazabysは1月9日に放送されたクリープハイプの特別番組『I'm CreepHyp』で、『イノチミジカシコイセヨオトメ』のカバーを披露。GENはアーティストならではの気づきがあったことを明かした。

GEN:僕はベースボーカルじゃないですか。「(長谷川)カオナシさん、こういうフレーズ弾いてるんだ」と思いながら。要所要所サボリながらやらせてもらったんですけど(笑)。
尾崎:(笑)。
GEN:オンエアで、いろいろなバンドの人のカバーを観たんですけど……俺らだけ完全にただのストレートカバーでビックリしました(笑)。

尾崎はフォーリミの演奏を聴いて「ビート感がすごく新鮮だった」と感じたという。GENは試行錯誤をした末に「やっぱりあの曲は完成している」と、放送での演奏にたどり着いたことを明かした。

GEN:やっぱり素材の味を活かしてそのまま出すのが一番かなと思いまして。
尾崎:ありがとうございます。でもやっぱりフォーリミのカバーってなんか強いよね。なんなんだろうね、あれ……。
GEN:なんですかね? 自分で言うのもなんですけど、僕の声がすごく特徴的じゃないですか。なので「人の曲を歌ってもフォーリミの曲になるね」って言っていただけることがあります。
尾崎:声ももちろんそうなんだけど、なんか演奏の感じがやっぱり(フォーリミって)わかるんだよね。
GEN:うれしいです。それこそ、このあいだカバーさせていただいたあと、僕は初めてカオナシさんから連絡をいただきまして。「素晴らしかったです、うれしかったです」みたいな連絡をくれて、すごくそれもうれしかったですね。
尾崎:それはレアだね。
GEN:知らないインスタから俺にDMが来まして、「誰だろこの人?」と思ったら「カオナシさんだ!」みたいな。
尾崎:インスタで来たんだ。
GEN:そうなんですよ、連絡先を知らなかったので。
尾崎:俺なんて、(カオナシから)めったに連絡来ないよ?
GEN:(笑)。

ライブができなかった1年、ふたりは何を思っていた?

尾崎は2020年、執筆活動に意欲的だったが、現在はその反動で新曲作りに力を注いでいるそう。2人は改めて、2020年の活動を振り返った。

GEN:(クリープハイプ)10周年全国ツアーの、走り出しだけやったんですよね。
尾崎:最初だけやれて。やっぱりツアーって、最初のよさもあれば、最後のほうに完成していくよさもあるでしょ?
GEN:そうですよね。だんだん仕上がってきて。
尾崎:悔しいという気持ちももちろんあるけど、「なんだったんだろう……?」っていう、よくわからない気持ちになった。やっぱりライブをしてそこで反応を直に確かめないと。自分たちはつくづくライブでいろいろなものを確かめてきたんだな、と去年は実感したかな。
GEN:わかります。僕も去年ライブがない生活をしていて、人前にまったく立たないわけじゃないですか。なんか自分の内側から出るオーラみたいなのが減っているような気がして「俺、なんの人なんだろう?」みたいな。尾崎さんは去年そういう期間があってこそ、執筆にどんどんと向かって行ったんですよね。
尾崎:そうだね。やっぱりライブができない悔しさを音楽で晴らそうとすると、なんかね……やられちゃうんだよね。
GEN:確かに、わかります。
尾崎:それこそ「作品がコロナにかかっちゃった」っていう感じがするの、自分のなかでは。
GEN:なるほど。
尾崎:作品までやられたら悔しいなと思って。
GEN:確かに、(作品は)我が子ですからね。
尾崎:あえて別のことをやろうと思って。時間があったから小説を書いたりして、悔しさとかのエネルギーをちゃんと散らさなきゃなと。1年経って、ちょっと一周していまは曲を作るっていう。ちょうどよかったのかな?とは思っているけど……まあ悔しいなあ。

ツアーを回って曲の魅力に気づけることも

GENも2020年はまったく曲を作れなかったそうだ。ツアーやライブハウスでのお披露目で「旅をさせて曲を育てていく」という考えがあり、ツアーが伴わないリリースはイメージができないのだそう。

GEN:それによってレコーディングで完成をしたときには自分のなかの“推し曲”みたいな。もちろんリード曲はあったりするんですけど、やっぱりツアーで変わりますからね。「この子、こんな便利だったのか!」みたいな(笑)。
尾崎:そうそう(笑)。そうなんだよ、全然期待していなかったけど「え、なんでこれが刺さっているんだろう?」って、それを考えるのも面白いし、けっこうお客さんに教えてもらっていたから、それがないのはね……本当に難しい。

ツアーによって、アーティスト自身も曲の理解度が深まっていく。そんな理由から、GENは、新曲だけ披露するライブをやろうかと考えることもあったという。

GEN:いつもレコーディングをしてからツアーを回って「アレンジこうじゃなかった」とかが見つかるので、これは一番いいアルバムの作り方なんじゃないかと思って、やりたいと思っていたんです。だけどこの、ライブができない世界になった途端、まあそのモチベーションが下がって(笑)。

配信や無観客ライブでの気づき。観客の反応に「本当に助けられていた」

コロナ禍での無観客ライブや、人数を制限してのライブによって、観客の反応が大きく変化した。尾崎は、もともと盛り上がりすぎている一面もあったのでは、と指摘。GENは「正しい音楽の聴き方に戻っているような気もしなくもない」と返し、観客への音楽の届け方について話し合った。

GEN:特にフェスとかで思うんですけど「フェスで勝った、負けた」みたいのって、別にないじゃないですか。音楽において(大事なのは)「刺さったか」とか「みんなに届いたか」とか、そういうところなのに、なんか盛り上げたから勝ちとか、人を集めたから勝ちみたいな、なんかこう、音楽じゃないところで闘っているような感覚もあったので。
尾崎:クリープハイプは「引き算」で勝負していたから、同じステージのほかのバンドがワーっと煽っていて、盛り上げたなかでちょっとボソッとMCをしたりして、それでやってきたからやりづらくなったね、みんなが煽らなくなってくると。
GEN:確かに、カウンターじゃなくなってきた(笑)。
尾崎:そうなんだよ(笑)。カウンターだったのに普通になっちゃって、ちょっとどうしようかなと。今後はそういう悩みもあるよね。
GEN:この状況になってからライブはどうですか? 配信もやっていたと思うんですけど。
尾崎:配信をやって、フェスも1本「RUSH BALL」でやらせてもらって。お客さんもすごく迷っているというのが伝わってくるから、とりあえずやっていくしかないよね。
GEN:「声出しちゃいけない」って、けっこう難しいですよね。声ってだって、出ちゃうものじゃないですか。「歌えー!」てパターンもありますけど。
尾崎:そうだね、あふれるものだから。
GEN:漏れちゃうものじゃないですか。なので僕もこのあいだ、有観客でライブをさせてもらって……というか「有観客」という言葉がもう嫌ですね。
尾崎:そうだね(笑)、不思議だよね。
GEN:そもそもが有観客ですから、なんか変な言葉だなと思うんですけど。有観客でやらせてもらったときに僕がMCでなにをボケても、なにもリアクションがないわけですよ。
尾崎:そうだよね(笑)。
GEN:でもそれでも「面白かったら笑ってくれるんじゃないかな?」と思って闘ってみる自分がいるんですけど、あまりにもスベッているみたいな空気になるから、心が折れてくる(笑)。
尾崎:(笑)。本当に(ライブの反応は)わかりやすいものばかりだったんだなと、改めて突きつけられるよね。なんか言うじゃない? インタビューとかで「簡単な歓声とかじゃなくて、もっとお客さんの根底にあるものを見ていきたい」とかさ、調子に乗って言っていたこともあったけど(笑)。
GEN:(笑)。
尾崎:やっぱり、そんなことなかったんだなって。わかりやすく手が上がってたり、お客さんの動きだったり声だったり、そこを頼りにしていたんだなっていう。
GEN:本当に助けられていたんだなと思います。
尾崎:ねえ、本当に。

恩返しをするために、またイチから作り上げていく

2人は最後に、今後のライブへの想いについて語り合った。

尾崎:これを機に、せっかくの機会だから全部ちゃんと築いていきたい。また変わっていくと思うし、ライブも環境もいままで通りに戻る保証もないから。
GEN:確かに、戻ると思って進むべきじゃない気がしますね。
尾崎:うん。また新しく作り上げていくような気持ちで、そこに自分たちがどれだけ関われるかというのは、自分たちでも楽しみだなと思っています。
GEN:確かに。僕らもやっぱりフェスシーン、フェス文化みたいなものの恩恵を受けたバンドだと思うんです。
尾崎:本当にそうだよ、恩返ししていかないとね。
GEN:そういうものがなくなったからこそ、やっぱり自分たちがイチから作り直して、恩返ししていければいいのかなと。またフェスにも誘わせてください!
尾崎:ぜひお願いします。
GEN:あと、もしトリビュートが出る際は絶対に僕らにも声をかけてください(笑)。
尾崎:絶対にかけます(笑)。
GEN:僕らのトリビュートが出るときも、絶対クリープハイプ参加していただいて。これはもう僕のなかで決めているので。
尾崎:何曲かやりたい曲があるかな。
GEN:本当ですか!?
尾崎:うん。勝手にメドレーにするかもしれない(笑)。
GEN:それもいいですね(笑)。
尾崎:楽しみにしています。

04 Limited Sazabysの最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。クリープハイプの最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。

新時代音楽王たちの集い『THE KINGS PLACE』の放送は、毎週月曜から木曜の25時から。

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2021年2月8日28時59分まで

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番組情報
THE KINGS PLACE
月・火・水・木曜
25:00-26:00