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「アウシュヴィッツ博物館」唯一の日本人ガイドとなる原点は、“よそ者”という感覚だった

「アウシュヴィッツ博物館」唯一の日本人ガイドとなる原点は、“よそ者”という感覚だった

ポーランドにある「アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館」(以下、アウシュヴィッツ博物館)に、日本人ガイドがいる。中谷 剛さんだ。現在54歳。20年以上、唯一の日本人ガイドとしてホロコーストの歴史を伝え続けてきた。

中谷さんがポーランドへ渡ったのは、そもそもはアウシュビッツ博物館で働くためではなかったそうだ。なぜ、ガイドという役割を担うことになったのか。

J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」では中谷さんに、「アウシュヴィッツ博物館」の役割や、そこでガイドを務めることになった原点となる“よそ者”という感覚について聞いた。オンエアは12月4日(金)。

人類が二度と繰り返してはならない20世紀の負の遺産

第二次世界大戦中、ユダヤ人の大量虐殺が行われた「アウシュヴィッツ強制収容所」。戦後は博物館として保存され、年間で200万以上が訪れる。広島の原爆ドームと同じように、「人類が二度と繰り返してはならない20世紀の負の遺産」としてユネスコ世界遺産にも登録されている。

中谷:ヨーロッパでは第二次世界大戦が1945年5月初旬に終わりました。そのときに生還された方が、アウシュヴィッツ強制収容所で数千人いらっしゃいました。生還者たちは「殺された仲間を追悼する場所を残してほしい」「こういったことが二度と繰り返されないように保存してほしい」と国に働きかけたんです。結果として戦後2年である1947年に、ポーランドの法律でアウシュヴィッツの永久保存が決まりました。そこから博物館がスタートして、館長や職員、ガイドはみんな生還者が務めてきたんですね。「アウシュヴィッツ博物館」には、歴史を伝えるガイド部以外に、歴史を調査する部署、アウシュヴィッツの遺品や建物を修復する保存部があります。

中谷さんは日本人に対して、「戦争の傷痕が大きすぎて、そこに立ちむかえない」「タブーな部分がある」という繊細な心情を伝え、歴史を繰り返さないためにはどうすればいいかを考えてもらうようにしているそうだ。

ガイドを始めた経緯

なぜ、中谷さんはガイドになったのか?

ポーランドへ渡ったのは、25歳の頃。最初は首都・ワルシャワの日本料理店で働いており、そこで仲良くなった男性が、アウシュヴィッツの生還者だったそうだ。その後、通訳の仕事を経て、1997年に「アウシュヴィッツ博物館」でガイドを始めた。

中谷:きっかけは、いくつかあります。ひとつ目は、小学校6年生のときに学校の講演会にいらっしゃった学者さんの言葉。「ヨーロッパでは昔、“よそ者"という理由だけで何百万人もの人を殺してしまった歴史がある」と。私は兵庫県神戸市の生まれだったのですが、父の転勤の関係で栃木県足利市に住むようになり、いじめられはしませんでしたが、よそ者扱いされた感じがありました。だから“よそ者"という言葉が、キーワードになったんです。もうひとつ、学生時代にヨーロッパを旅したときにアウシュヴィッツを見学して、そのときの印象が強かったことですね。

伝えることの難しさと、それを越える使命感

負の歴史を後世に伝えていくのは重要なことだが、やはり難しさがあるという。「日本でもそうでしょうけれど、こうした歴史を伝えていくのは、どこの地域でも難しいんですよ」と胸中を打ち明けた。

中谷:戦争中に傷を負った人もいるでしょうし、宗教感や民族意識もあるからです。だから決して、世の中から称賛されているわけでもありません。その中でも歴史を伝えていこうという使命感が(「アウシュヴィッツ博物館」からは)伝わってきます。こういった歴史を伝える難しさや目的、伝えることが何を意味するのか、そこから何を得られるのか――そういったことをいろいろと教えてもらえるので、私の役割は「アウシュヴィッツ博物館」で学んだことを日本の方に還元することだと思っています。

中谷さんの著書『新訂増補版 アウシュヴィッツ博物館案内』(凱風社)では、同博物館所蔵の記録写真65点をはじめ、多数の写真・図版・展示室見取図を駆使して、巨大な大量殺人施設の全体像を収載している。現地に足を運ぶことが難しい今、本を通じて歴史を見つめてみてはいかがだろうか。

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