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稲垣吾郎が選ぶ、ワインを飲みながら聴きたいベートーヴェンの曲 TOP 3

稲垣吾郎が選ぶ、ワインを飲みながら聴きたいベートーヴェンの曲 TOP 3

J-WAVEで放送中の番組『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』(ナビゲーター:グローバー)。11月14日(土)のオンエアでは、今年で生誕250周年を迎えた偉大なる作曲家にしてピアニストのベートーヴェンを特集。稲垣吾郎と、クラシックソムリエの田中 泰がベートーヴェンの魅力に迫った。

稲垣吾郎が「親近感が湧く」と語る部分は

稲垣は、舞台『木下グループ presents No.9 -不滅の旋律-』でベートーヴェンを演じている。2015年の初演が好評を博し再演を経て、12月13日(日)~2021年1月7日(木)には東京・TBS赤坂ACTシアターで再々演が決定している。

グローバー:稲垣さんは昔からクラシックやベートーヴェンが好きでしたか?
稲垣:いえいえ、そんなにわからなかったんです。ベートーヴェンというと、音楽室のあの肖像画が浮かびました。赤いスカーフをしてこちらをにらみつけて、髪の毛がちょっとクセ毛で、そこはちょっと共感があったんですけど(笑)。舞台をやるようになってから、ベートーヴェンに触れて、勉強させていただいて。
グローバー:聴くのと自分が「ベートーヴェンになる」という感覚では全然違いますよね。
稲垣:そうですね。初演、再演と演じて、だいぶ変わってきましたね。
グローバー:演じていく中で、ベートーヴェンの魅力をどう感じていますか。
稲垣:ベートーヴェンって「孤高の天才」と言われているけど、最初は全くイメージがつかなかったんです。でも演じていると、とても人間らしくてすごく親近感が湧く。そう言ったら怒られちゃいそうですけれども「意外と普通の人なんだな」って。作り出す音楽はすごいんですけれども。
グローバー:一般人が驚くようなエピソードもありますよね。
田中:そうですね。ベートーヴェンは作品と比べて本当に人間くさい人ですよね。浮浪者と間違えられて捕まってしまったりとか、コーヒーが大好きで毎日コーヒー豆を60粒数えて飲んでいたりとか。こだわりですよね。
稲垣:意外と社交的であったりとか、しっかりパトロンを抱えていたりとか、うまく人とも渡り合っていたのかなと思ったりします。
田中:その通りですよね。特に女性にはとっても優しかったらしいですからね。
稲垣:そこは僕とそっくりかもしれません(笑)。

ベートーヴェンを演じるうえでは、“むき出しになること”を意識しているという。

稲垣:ベートーヴェンと思い込んで、素っ裸になったときに「僕はベートーヴェンである」と言う必要があるというか。僕は長い芸能生活の中で、どちらかというと作ってしまったりカッコつけてしまったりすることが多いんですけども、ベートーヴェンを演じるときは、むき出しですね。「むき出し吾郎」な感じで(笑)。
グローバー:ベートーヴェンの音楽は着飾った華やかなカッコよさもあるし、丸裸な感じもあるし。まさにそういう音楽かも知れないですね。
田中:そうですね。モーツァルトやハイドンなど、ベートーヴェンより前の時代の人たちは宮廷から頼まれて曲を作ったりしていたんですけど、そうではなく、本当に自分の感情を曲の中に押し込めて、その時々に応じて新しい音楽を作っていったのがベートーヴェンなんですよね。
グローバー:時代が変わり、貴族のオーダーだけで食べていける時代じゃなくなったっていう。
田中:そうですね。ベートーヴェンは「史上初のフリーランス」なんて言われ方をしたんです。自分のための音楽を作ったっていうことですよね。

稲垣は一番好きなベートーヴェンの曲に『エリーゼのために』をあげた。

稲垣:最初にベートーヴェンを知った曲ということもあるんですけども、「あの『運命』とか、激しい曲を作った人と同じ作曲家なんだ」と驚きました。どの曲も、同じ音楽家が作ったものとは思えないような曲ですし、恋のエピソードとかをいろいろと知っていくと……。
グローバー:この曲には何があるんですか?
稲垣:諸説ありますよね。
田中:そうなんですよ。本当は「テレーゼのために」だったらしいんですけど、ベートーヴェンは非常に字が下手だったので、それを誰かが「エリーゼ」って読んでしまい、いつのまにか「エリーゼ」になってしまったんです。でも女性に捧げたということには変わりないですからね。

「激しい」イメージがあるけれど…ロマンティックで優しい楽曲も

田中はJ-WAVEの番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING CLASSIC」で、さまざまなクラシックを紹介している。そんな田中がベートーヴェンとの出会いを、こう振り返る。

田中:本当に意識して聴いたのは高校の音楽鑑賞の時間でしたね。先生が『ピアノソナタ第8番』の『悲愴』を流してくれたんです。このメロディの第2楽章は本当に耳に残って美しかったので「絶対に買わなきゃ」とすぐにレコードを買いに行きました。
グローバー:田中さんはベートーヴェンのどんなところにグッときますか?
田中:ベートーヴェンは『運命』に象徴されるような、すごく激しい音楽というイメージがずっと僕の中にはあったんですよね。特にオーケストラを聴くとそうだったんですけど、そのベートーヴェンがこんなに優しくてロマンティックな音楽を書いていること自体がちょっとショックでした。しかも歌いやすいメロディじゃないですか。ポップスにもなっていますしね。「こういう音楽が世の中にはあるんだな」という、ひとつの目覚めでした。
グローバー:稲垣さんの『エリーゼのために』のエピソードとも少しつながってきますね。
稲垣:そう、意外なイメージ。やっぱり激しいイメージがありますもんね。
グローバー:肖像画のイメージもそうですし。でも、ふと優しいメロディで、しかも誰もが口ずさめるメロディも出てくると、キュンとベートーヴェンに持っていかれるわけですね。
田中:その通りだと思います。
稲垣:ベートーヴェンの周りの女性もそれにやられたんでしょうね。そこにちょっと重きを置いて演じたいと思います(笑)。

田中が一番好きなベートーヴェンの曲は、『交響曲第7番』の第2楽章だという。

田中:ベートーヴェンは9つの交響曲を残しているんですけど、この曲はその7番目ですよね。この第2楽章というのは本当に「優雅の極み」みたいな曲。ワーグナーが「舞踏の聖化」という言葉を当てて「だんだん高揚して天に登っていくようなイメージがある」と言っているんです。でもクララ・シューマンのお父さんに当たる人は「もしかして酔っ払ったときに書いたんじゃない?」と言っているような曲でもあるんですよね。賛否両論で、その時代として本当に革新的な音楽でもあったんです。映画『英国王のスピーチ』や『ノウイング』でも使われています。

ワインを飲みながら聴きたいベートーヴェン

オンエアでは、稲垣が選ぶ「ワインを飲みながら聴きたいベートーヴェンの曲 TOP 3」を紹介した。

3位:『ヴァイオリンソナタ第8番』第1楽章

稲垣:これピアノとヴァイオリンじゃないですか。ちょっと男と女みたいな感じがしますよね。男と女の駆け引き、近づいたり離れたりとか。女性とワインを飲むときにいいなと思ったり(笑)。かわいらしい曲なので、一緒に飲むほうもあんまり敷居の高い感じがしないので、リラックスできるかなと思います。

2位:『ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」』第2楽章

稲垣:これは生のオーケストラで観てみたいですね。優雅で壮大な曲。
グローバー:この曲を聴きながらワインを飲んでいるとどうなりますかね。
稲垣:どうなっていくんでしょうね。もう空に飛んでいくような感じですよね。
田中:この第2楽章はベートーヴェンが残したあまたのメロディの中で1、2を争うほど美しく優しいメロディだと僕は思っているんですよね。本当に美しく、そして切ないです。
稲垣:そうですよね。僕、切ない曲が好きなんです(笑)。

1位:『ピアノソナタ 第30番』第3楽章

稲垣:ピアノの中でも一番好きですね。最近好きになった曲です。舞台の名シーンで使われていて、実はこの曲が舞台中に流れるときだけ僕は少し休んでいられるんです。ベートーヴェンが居眠りというか、机に突っ伏して目をつむっているシーンで、他のキャストたちがうしろでセリフを交わすときに流れている曲なので、けっこう僕は普通に聴いているんです。
グローバー:ベートーヴェンの感情はこの楽曲に任せて、自分は聴いていられると。
稲垣:そうです。一緒に共演している方も僕にとってみるとベートーヴェンなんです。
グローバー:舞台を観に行く方は、このシーンをそんなふうにご覧になってもいいかも知れないですね。

11月21日(土)同番組でも、引き続き稲垣と田中がベートーヴェンについて語る。時間は17時から。

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2020年11月21日28時59分まで

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番組情報
MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY
毎週土曜
17:00-17:54