J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MORNING INSIGHT」。10月5日(月)のオンエアには、コピーライターの野澤幸司さんがリモートで出演。野澤さんが手がけた言葉の本を紹介した。
別所:はがき職人ってことはラジオっ子だったんですか?
野澤:そうです、僕はどちらかというとAMの深夜専門だったんで、こんなに爽やかなFMの朝の番組に呼んでいただいてちょっと驚いています。
別所:そんな何をおっしゃいますのやら(笑)。なんとなくわかる気がします、僕も深夜のAMにはがきを送ってました。こうやってFMに出ていただきありがとうございます。
野澤さんがコピーを作るうえで大切にしていることは?
野澤:言葉は気持ちを乗せて相手に届ける1つの乗り物だと思いますが、その乗り物が多様化してきました。絵文字とかスタンプとか、映像とか多様化した中で、揺り戻しなのか、いちばん原始的なものである言葉が見直されてきてるのかなっていう風には感じますね。意外と「ありがとう」とか「ごめんなさい」っていう、原始的で不変的なやり取りが大事なんだなと、この時代を受けてより感じるようになったというか。
別所:より複雑で難しい言葉を並べるよりは、シンプルだけど心に響くってことなんですかね。
野澤:そうですね、コピーを書いていてもそういう場面によく遭遇しますね。「もっとシンプルな言葉で」「もっとわかりやすい言葉で」と求められることが多いかなっていう。
野澤:日本語を開発する、新しい言葉を作るみたいな本を書いたときに、日常会話の言葉を使いました。ところがその日常会話に使われる言葉自体が変化してしまって、1年後に使えなくなってるみたいなことがあったので、非常に消耗も早いなっていう感じがしますね。
その本は、『妄想国語辞典』(扶桑社)だ。まだ存在していない日本語を勝手に開発する、というもの。
別所:どうしてまたこういう辞典を作ろうっていう思いに?
野澤:コピーライターって普段、日本語とずっと向き合っているんですけど、日本語って行間に裏の意味とかがあるじゃないですか。見えない言葉というか、見えない意味というか。それが日本語特有のすごく不思議な文化だと思ってそこに興味があったっていうのと、先ほど別所さんからご紹介いただいた通り、(自身が)ラジオっ子だったので、ラジオっぽいのをそのテーマで何か作れないかと思って生まれたって感じですね。
野澤:赤ちゃんの不思議な行動は、実は生き残るための戦略としてやっているらしいんです。それって大人の社会でこそ生かせるんじゃないかと思って。赤ちゃんの生態の不思議を知りながら、彼らに生きるヒントを学ぼうみたいな本です。ビジネス啓発書でもあるんですけど、世代・立場関係なく読んでいただける内容かなと思っています。
別所:本当にドキっとするような言葉がいっぱい出てくるんですけど、赤ちゃんに注目っていうのは、ご自身の体験からなんですか?
野澤:そうですね。以前、育児用品の広告のコピーを書く機会があって、そのときに赤ちゃんの研究員みたいな方に取材をしたんですけど、その方が「赤ちゃんっていうのは育ててあげるものじゃなくて、学ぶべき相手だ」みたいな話をされていて。その話がすごく興味深かったことと、それから何年かして自分に子どもが産まれて、赤ちゃんと対峙する日々になったので、そこでさらに興味が深まったっていう感じですね。
別所は本書から「口に入れてみなきゃわからない、仕事だってきっとそう」という赤ちゃんセンパイの言葉を紹介。
別所:赤ちゃんって、なんでも口に入れますもんね。
野澤:そうなんですよね。あれもビジネスも一緒だなと思って、やってみないとわからなかったりとかするじゃないですか。まんまだなと思って。
別所:いろんな感性で触って感じてみないとってことですよね、仕事もね。
野澤:リスクも含めて1回受け入れるっていうこと、やってみるっていうことの重要性を彼らは体現しているなっていう。仕事もそうだなと思いまして。
別所:それから、これもそうだなと思って。「できる人のまねをする。それ以上の効率はない」(笑)。
11月には、新たな著書が発売予定。気になるその内容を野澤さんに訊いた。
野澤:今度はまだ世の中にない「笑えるハラスメント」を本にしてみようっていう、ちょっとサブカルチャーっぽい本ですね。
別所:笑えるハラスメント?
野澤:はい、絶対に訴えることも訴えられることもないくだらないハラスメントをまとめた本です。
別所:たとえば、一例はありますか?
野澤:食事をしているときに「ちょっと一口いい?」って言ってくる人、みたいな(笑)。自分で頼めばよかったのに、みたいな心がざわっとして笑えるやつをまとめております。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。お楽しみに!
言葉が見直されている
日野自動車のCM「ヒノノニトン」や、深田恭子・寺田 心が「うる星やつら」のラムちゃん・テンちゃんに扮した東京ガスのCM「電気代にうる星やつら」など、数々の記憶に残るコピーを手がけた野澤さん。はがき職人を経て、コピーライターという職についたのだそう。別所:はがき職人ってことはラジオっ子だったんですか?
野澤:そうです、僕はどちらかというとAMの深夜専門だったんで、こんなに爽やかなFMの朝の番組に呼んでいただいてちょっと驚いています。
別所:そんな何をおっしゃいますのやら(笑)。なんとなくわかる気がします、僕も深夜のAMにはがきを送ってました。こうやってFMに出ていただきありがとうございます。
野澤さんがコピーを作るうえで大切にしていることは?
野澤:言葉は気持ちを乗せて相手に届ける1つの乗り物だと思いますが、その乗り物が多様化してきました。絵文字とかスタンプとか、映像とか多様化した中で、揺り戻しなのか、いちばん原始的なものである言葉が見直されてきてるのかなっていう風には感じますね。意外と「ありがとう」とか「ごめんなさい」っていう、原始的で不変的なやり取りが大事なんだなと、この時代を受けてより感じるようになったというか。
別所:より複雑で難しい言葉を並べるよりは、シンプルだけど心に響くってことなんですかね。
野澤:そうですね、コピーを書いていてもそういう場面によく遭遇しますね。「もっとシンプルな言葉で」「もっとわかりやすい言葉で」と求められることが多いかなっていう。
はがき職人ならではの視点で生まれた『妄想国語辞典』
言葉は時代の影響を受けやすい。野澤さんによると、本で使った言葉が1年後には時代遅れになってしまった……ということもあるという。野澤:日本語を開発する、新しい言葉を作るみたいな本を書いたときに、日常会話の言葉を使いました。ところがその日常会話に使われる言葉自体が変化してしまって、1年後に使えなくなってるみたいなことがあったので、非常に消耗も早いなっていう感じがしますね。
その本は、『妄想国語辞典』(扶桑社)だ。まだ存在していない日本語を勝手に開発する、というもの。
別所:どうしてまたこういう辞典を作ろうっていう思いに?
野澤:コピーライターって普段、日本語とずっと向き合っているんですけど、日本語って行間に裏の意味とかがあるじゃないですか。見えない言葉というか、見えない意味というか。それが日本語特有のすごく不思議な文化だと思ってそこに興味があったっていうのと、先ほど別所さんからご紹介いただいた通り、(自身が)ラジオっ子だったので、ラジオっぽいのをそのテーマで何か作れないかと思って生まれたって感じですね。
赤ちゃんを観察すると、ビジネスマンも学びを得られる
2020年8月には、野澤さんの最新著書『生き方のヒントをくれる赤ちゃんセンパイ』(ロングセラーズ)が発売された。タイトルは「赤ちゃん」だが、独自の視点で書かれたビジネス啓発本だ。野澤:赤ちゃんの不思議な行動は、実は生き残るための戦略としてやっているらしいんです。それって大人の社会でこそ生かせるんじゃないかと思って。赤ちゃんの生態の不思議を知りながら、彼らに生きるヒントを学ぼうみたいな本です。ビジネス啓発書でもあるんですけど、世代・立場関係なく読んでいただける内容かなと思っています。
別所:本当にドキっとするような言葉がいっぱい出てくるんですけど、赤ちゃんに注目っていうのは、ご自身の体験からなんですか?
野澤:そうですね。以前、育児用品の広告のコピーを書く機会があって、そのときに赤ちゃんの研究員みたいな方に取材をしたんですけど、その方が「赤ちゃんっていうのは育ててあげるものじゃなくて、学ぶべき相手だ」みたいな話をされていて。その話がすごく興味深かったことと、それから何年かして自分に子どもが産まれて、赤ちゃんと対峙する日々になったので、そこでさらに興味が深まったっていう感じですね。
別所は本書から「口に入れてみなきゃわからない、仕事だってきっとそう」という赤ちゃんセンパイの言葉を紹介。
別所:赤ちゃんって、なんでも口に入れますもんね。
野澤:そうなんですよね。あれもビジネスも一緒だなと思って、やってみないとわからなかったりとかするじゃないですか。まんまだなと思って。
別所:いろんな感性で触って感じてみないとってことですよね、仕事もね。
野澤:リスクも含めて1回受け入れるっていうこと、やってみるっていうことの重要性を彼らは体現しているなっていう。仕事もそうだなと思いまして。
別所:それから、これもそうだなと思って。「できる人のまねをする。それ以上の効率はない」(笑)。
11月には、新たな著書が発売予定。気になるその内容を野澤さんに訊いた。
野澤:今度はまだ世の中にない「笑えるハラスメント」を本にしてみようっていう、ちょっとサブカルチャーっぽい本ですね。
別所:笑えるハラスメント?
野澤:はい、絶対に訴えることも訴えられることもないくだらないハラスメントをまとめた本です。
別所:たとえば、一例はありますか?
野澤:食事をしているときに「ちょっと一口いい?」って言ってくる人、みたいな(笑)。自分で頼めばよかったのに、みたいな心がざわっとして笑えるやつをまとめております。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。お楽しみに!
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2020年10月12日28時59分まで
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番組情報
- J-WAVE TOKYO MORNING RADIO
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月・火・水・木曜06:00-09:00
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別所哲也