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【グランプリ受賞】森崎ウィンが初監督! ミュージカル映画『せん(SEN)』について、別所哲也と語る

【グランプリ受賞】森崎ウィンが初監督! ミュージカル映画『せん(SEN)』について、別所哲也と語る

歌手で俳優の森崎ウィンが、自身が監督を務めたミュージカル映画『せん(SEN)』について語った。

森崎が登場したのは、J-WAVEの番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー、あらゆるものの本質に迫る「MORNING INSIGHT」。オンエアは6月10日(月)。

初監督作品『せん(SEN)』

森崎はミャンマーで生まれ育ち、小学校4年生のときに来日。俳優としては2018年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』の主要キャストに抜擢されハリウッドデビュー。また、別所哲也が主宰する「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2024(SSFF & ASIA 2024)」では、俳優たちが短編映画の監督に挑戦するシリーズ「WOWOW アクターズ・ショート・フィルム4」でミュージカル映画『せん(SEN)』の初監督を務めた。

※6月18日(火)追記:オンエア後の17日(月)、SSFF & ASIA 2024のアワードセレモニーが都内で開催。『せん(SEN)』は、ライブアクション部門ジャパン優秀賞と、最優秀賞となる「ジョージ・ルーカスアワード」を受賞した。2024年度米国アカデミー賞短編部門のノミネート選考対象となることが決まった。
<『せん(SEN)』あらすじ>
田舎暮らしをするおばあさんのいつもの一日が始まる。ちゃぶ台で役場の若者と朝食をとり。縁側で配達員とお茶飲み話をする。そんないつもと変わらない日常に、微細な不協和音が聞こえてくる。
SSSFF & ASIA 2024公式サイトより)

別所:監督してみてどうでしたか?

森崎:メチャクチャ楽しかったです。僕はそれこそ『レディ・プレイヤー1』をきっかけにいろいろ作品とかに出させていただくようになりまして。俳優として演じるのもすごく楽しいですし、そのときにだんだんと「自分で作品を作りたいな」という気持ちも芽生えていました。「僕はなにを撮りたいんだろう」と自問自答しているときがありました。すぐには撮れないだろうし、将来的に自分が直接撮らなくてもプロデューサーとして入ったり、作品をゼロから生み出すところに携わったりしたいなという思いがあって、「俺が撮るんだったらミュージカルだな」と(思った)。ミュージカル、舞台に出させていただくことも増えましたし、それでやっと見えてきたときにこの話をいただいたんです。

別所:運命、ご縁だね。

森崎:すごいタイミングでした。「こういうのをやりたいんだよね」と話していたスタッフさんがいたのですが、その方がたまたまWOWOWさんと知り合いで。僕が勝手に言っていたことを、その方がWOWOWさんに言ったら「ウィン君いいじゃん」と、話がつながりました。

別所:言ってみるものだよね。あまり隠しているより「こういうことをやりたいな」とか「こういう人知らない?」とか、どんどん言っていこう。そうするとどんどん集まってきますから。

森崎:それは実感しました。

「彼しかいない」と脚本を直談判

脚本を担当したのはミュージカル界で有名な劇団TipTapの上田一豪。以前、上田の作品を観た際に感動し、「日本でオリジナルのミュージカルを作るなら(脚本を)書けるのは彼しかいない」と感じたのが依頼した経緯だと、森崎は語った。

別所:「こんな映画を作りたい」という原案を、森崎さんが伝えたんですか?

森崎:打ち合わせをして「僕がいま表現したいのはこういうものです」と、原案を伝えました。出身のミャンマーで起きていることや、自分自身が感じること、世の中に対してこういう風に見えているなどの話をブワーッと。生い立ちも含め、インタビュー形式みたいな感じで上田さんに話しました。

別所:(『せん(SEN)』は)中尾ミエさんが主演です。ある場所で、1人の年を重ねた主人公から見る世界だったり、そこに重なるウィンくんのいま言ったようなご自身の生い立ちも含めたことが重なる作品ですね。なんて自然に歌が始まるんだろうと(感じさせられる)。ウィンくんも出ているよね。

森崎:「出なきゃいけない」というルールなので(笑)。

別所:必ず監督をする俳優さんがちょっと出るというルールですね。千葉雄大さんやほかの方々の作品も、ご自身がちらっと出てきます。仲里依紗さんも福士蒼汰さんもそうだし。森崎さんもとある役で、そのお家に訪ねてきます。どうして『せん(SEN)』というタイトルなのでしょうか。

森崎:正直ひらがなでもよかったんですが、世界に向けて出すときに「サブタイトルみたいなのを付けるのは嫌だよね」となりまして。じゃあ英語タイトルも一応決めておきましょうかということだったんです。なんか「LINE(線)」と書いてしまうと、日本で「せん」はたとえば「線」もありますし「いくさ」の「戦」だったりとか、そういうことも含めたかったんです。

別所:いろいろな「せん」からイメージできる世界が凝縮されているんだ。

森崎:凝縮したかったんです。それを英語で表現するとそうはいかないじゃないですか。なので音の響きだけを取りまして『せん(SEN)』にしました。

作品への想い

番組では5月29日にリリースされたMORISAKI WINの『U』をオンエア。森崎は新曲、そして『せん(SEN)』への想いを語った。



別所:すてきな歌ですね。

森崎:本当に「好き」というものを前面に出していこうということで、シンガーソングライターのがらりさんに書き下ろしていただきました。僕の曲はけっこう英語が多いのですが、SNSとかでみんなが使ってくれたらいいなということも願いつつ、全体を日本語で(書きました)。

ここで別所は『せん(SEN)』の制作について「いざ作るとなると大変だったのでは」と疑問を投げかけ、参考にした作品はあるかを質問した。

森崎:「これをモチーフに」とか参考にしたものは、正直あまりなかったんです。描き方やストーリーの構想というのは1個ありますが、それはミュージカルでもなんでもなく……まあこれは、自分のなかに秘めさせてください(笑)。

別所:そうしましょう。確かにミュージカル映画としても1つのモチーフのメロディがずっとその作品のなかを一貫して、しかも自然に出てきます。衣装や演出でこだわったこと、難しかったところはありますか?

森崎:まず楽曲についてなんですが、今回ショートフィルムということで25分という尺の決まりがありました。そのなかで僕が思ったのは、ミュージカルはいろいろな曲が出てくるのはすごく素敵ですが、全体を通して1曲としてとらえていただきたい、ということを上田さんにお伝えして。1曲の同じ旋律のなかでなにか、ちょっとした変化が生まれていくということを目指しましょう、ということを伝えました。というところから、25分なので結局ずっと聴いているとインプットされるじゃないですか。劇場を出たあとにみんなが口ずさんでくれたらいいな、というのが1個の狙いです。あとは「ミュージカルイコール踊らなきゃ、派手にしなきゃ」ということではなく、日本、アジアっぽさというものをすごくベースに置きたかったんです。そのなかでも作れるミュージカルは絶対にあるし、たぶん「こういうことなんじゃないかな」というものの第一歩にしたかったんです。

別所:この作品がどんなメッセージを届けようとしているのか、ぜひご覧いただきたいですね。最後の中尾ミエさんの表情について、あそこで彼女がなにを思っているのか、というのも(考えてもらいたいですね)。

森崎:そこが一番難しかったです。作品の中では、本当に目の前でいろいろな戦いが起きていて。その起きていることに対して、ミエさんが演じるおばあちゃんが対峙したときに、なにか感情を出すのではなく観ている人にいろいろな余白を与えたいという。なにか俳優に演出するものなのかどうかもわからない、演出とかもわからなかったので。

別所:でもそれを伝えてミエさんがね。

森崎:やってくださったという。

別所:森崎ウィンさん監督のミュージカル短編映画、ショートフィルム『せん(SEN)』は、「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2024」の企画「WOWOW アクターズ・ショート・フィルム4」としてWOWOWオンデマンドで配信中です。森崎さん以外にも仲里依紗さん、千葉雄大さん、福士蒼汰さんそれぞれの監督作品も見ごたえ満点ですのでご覧いただきたいです。

『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の8時35分頃から。

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