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YOASOBI、「聴く小説」曲作りのメソッドを語る。まずは色をイメージ

YOASOBI、「聴く小説」曲作りのメソッドを語る。まずは色をイメージ

J-WAVEで放送中の番組『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。9月20日(日)のオンエアでは、YOASOBIがリモート出演。結成の経緯や、曲作りについて語った。

小説投稿サイトの存在が、結成のきっかけに

YOASOBIはコンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる、「小説を音楽にするユニット」。2019年11月に公開された『夜に駆ける』はストリーミング再生回数1億回を突破した。若い世代を中心に、SpotifyやTikTokなどで爆発的な人気を誇っている。

もともとは別々に音楽活動を行っていた二人。AyaseはYOASOBIとしての活動が開始するまで半年ほどボカロPをやっており、ikuraはシンガーソングライターとして活動していた。

ikura:高校1年生くらいからずっと活動しています。
クリス:幾田りらさんとして活動されていて、その名前を略して「ikura」さんになったわけですよね。YOASOBIとして出会ったきっかけはなんだったんですか?
Ayase:もともと「小説を音楽にするユニット」としてYOASOBIをやろうとなったときに、ボーカリストを探していました。そのときに幾田りらとしてインスタグラムに弾き語りのカバー動画をアップしているのを発見して、「一緒にやる?」と声をかけて実際に一緒にやる感じになりました。
クリス:それで声をかけられてikuraさんはどう思ったんですか?
ikura:最初は「『小説を音楽にする』ってどういうこっちゃ?」って思ったんですけど、Ayaseさんの曲を聴いたときに「これは一緒にやりたい!」って直感的に思いました。
クリス:なるほど。「monogatary.com」という投稿サイトから誕生したという経緯だそうですが、これは?
Ayase:素人の方からプロまで誰でも小説を投稿できるサイトなんですが、そのスタッフさんから「小説を音楽にするユニットは面白いんじゃないか」という話を僕がいただいて、そこからみんなで実際にどうやっていくか考えていったという感じですね。

「演じる」感覚で歌っている

「monogatary.com」に投稿された小説を原作として作曲しているYOASOBI。Ayaseはこれまでの音楽活動との大きな違いを感じている。

Ayase:やっぱり自分で楽曲を作るとなると、ストーリーも自分の中から出てくるもの。でも僕らがやっているのは原作者がいて、自分の頭の中じゃないものが原作となってそこから楽曲になっていく。もちろん難しいところもたくさんあるんですけど、そのぶん自分だけでは作れない世界観も作っていけるのですごく楽しいです。
クリス:いわゆるサントラとは違う感じなんですか?
Ayase:そうですね。もっとリンク率が高いというか、本当に実際に小説があって音楽を聴くと「聴く小説」みたいな感覚で聴けるように同じような展開で作っていくやり方ですね。
クリス:なるほど。だからバックグラウンドミュージックではないということですよね。
Ayase:そうですね。
クリス:YOASOBIというユニット名はどうやって?
Ayase:僕らそれぞれの活動の延長線上にあるユニットということで昼の姿と夜の姿があるということと、あとは名前の響きがかわいくて親しみやすいかなと思ってつけました。

今後は「小説を音楽にする」というコンセプトはベースにしつつ、メディアミックス的に幅広い活動も視野に入れているという。

クリス:ikuraさんは今までのスタイルとの違いはありますか? 
ikura:今まで自分で曲を作って歌っているときは自分自身として歌う感じだったんですが、今は原作小説の主人公になることを意識して歌っています。その点はけっこう違うかなと思っています。
クリス:女優さんじゃないけど、お芝居をする感じなのかな?
ikura:そうですね。「演じる」という感じですね。

新曲『群青』はYOASOBI初の合唱パートにも注目

9月1日には、YOASOBIの通算5作目となるデジタル配信限定シングル『群青』がリリースされた。漫画『ブルーピリオド』を原作として作られた楽曲だ。



Ayase:がむしゃらにどこに向かっていいいのかわからない、好きなことに出会えてもどう頑張ったらいいのかわからないという“青春の時代”を必死に生きる人たちの背中を押せるような楽曲になるといいなと思って作りました。
クリス:こだわった点は?
Ayase:“青春”をどう音で表現しようかと思ったときに、直感的に合唱がリンクしていました。初めて合唱を入れてみたというのが、こだわりポイントです。
クリス:これは声を重ねているんですよね?
Ayase:たくさんの人に協力してもらって、総勢11人くらいの声で重ねています。
クリス:どういう人が参加しているんですか?
ikura:私は普段からYouTubeにカバーセッション動画を投稿している「ぷらそにか」というグループにも参加しているんですけど、そのメンバーの子たちにも歌ってもらいました。

そぷらにかがカバーした『Pretender』(Official髭男dism)
クリス:ikuraさんはこの曲で意識したことは?
ikura:歌詞に「虚しい」「悲しい」といった感情表現がたくさん使われているので、そういう言葉に主人公の気持ちが乗るように意識しました。
クリス:自分で虚しさや悲しさを掻き立てていたわけですね?
ikura:そうですね。あとは音として出したときに溜めたりエッジボイス入れたりといった技術的なことも意識しました。

小説の色味を重視した曲作り

普段の曲作りは、原作小説を何度も読み込み、イメージをふくらませているのだという。

Ayase:僕の場合はその小説の全体的な色味みたいなものを頭の中でイメージします。『群青』はもちろん青でした。でも青の中にも緑っぽい青などいろいろあるので、一番リンクする音の雰囲気を考えて曲やメロディ、オケの部分を作って、そこから歌詞を作っていっています。
クリス:音と色がオーバーラップする人ですか? 音を聴いて色が見える人がいますよね。
Ayase:そうですね。直接的に色が見えているかはわからないので感覚的な部分が多いと思うんですけど。
クリス:心理学的にも感覚で得た感覚を別の感覚で感じ取れる人がいるらしいので、『群青』の話を聞いてそういうことなのかなと思いました。

9月18日には、YOASOBI楽曲の原作となった小説および関連小説、そしてこれから楽曲が発表される作品を一冊にまとめたYOASOBI初の原作小説集「夜に駆ける YOASOBI小説集」が発売。さらに4枚目のシングル『たぶん』を原案とした実写映画が今年の晩秋に公開予定。その他の情報は公式サイトまで。

『SAISON CARD TOKIO HOT 100』ではさまざまなデータをもとに、世界の音楽シーンからJ-WAVEが厳選した100曲をカウントダウン。ゲストを招いたトークコーナーにも注目。放送は毎週日曜の13時から。

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番組情報
SAISON CARD TOKIO HOT 100
毎週日曜
13:00-16:54