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YOASOBI『夜に駆ける』MVで大事にした、グロテスク×ポップな世界の表現

YOASOBI『夜に駆ける』MVで大事にした、グロテスク×ポップな世界の表現

小説を音楽にする話題のユニット・YOASOBIのコンポーザー・Ayaseとボーカル・ikuraが、J-WAVEのPodcast連動プログラム『INNOVATION WORLD ERA』のスペシャルナビゲーターを担当。

7000万回再生を突破したYOASOBIのミュージックビデオ『夜に駆ける』を手掛けた注目の漫画家・イラストレーターの藍にいなをゲストに迎え、『夜に駆ける』に仕掛けられた秘密や、SNSで発信すること、YOASOBIの新曲『群青』などについて語り合った。

オンエアは8月30日(日)。藍にいなが登場したのは、様々なジャンルのイノベーターをお迎えするコーナー「FROM THE NEXT ERA」だ。

藍にいなの作風とYOASOBIの楽曲が生んだ化学反応

東京藝術大学デザイン科に在学中の藍は、Twitterで発信していたメッセージ漫画が共感を集め、2018年に初の書籍『セキララマンガ 眠れぬ夜に届け』(祥伝社)を出版。椎名林檎「(生)林檎博’18 -不惑の余裕-」のバックアニメーションの一部を担当したほか、香取慎吾×祐真朋樹のファッションブランド「JANTJE_ONTEMBAAR」のイメージムービーアニメーションも手掛けている。

『夜に駆ける』や新曲『群青』でタッグを組んだYOASOBIと藍だが、なんと今回が初対面。会話は「はじめまして」と自己紹介から始まった。

藍:初めてお会いするのが公の場になるとは……。
Ayase:新型コロナの状況とかもあって、なかなか会う機会がなかったんですけど、今回初めましてということで。僕とikuraはどんな印象ですか?
藍:けっこうイメージのままというか。
Ayase:今は東京藝術大学に在学中なんですよね。僕はクリエイターとして東京藝術大学にものすごく憧れを抱いていているので、藍さんにはカリスマ感を感じています(笑)。
藍:(笑)。

藍がミュージックビデオを手掛けたYOASOBIの楽曲『夜に駆ける』は、YouTubeでの再生回数が7000万回を達成。多方面から注目を集めている。

Ayase:普通に考えると7000万回ってすごいからね。
藍:びっくりですよね。
ikura:意味がわからないくらいですよね(笑)。
Ayase:藍さんのもとにはどんな反応が届いていますか?
藍:『夜に駆ける』をきっかけに知っていただいたことがすごく大きくて。私の絵の世界観を好きって言ってくださる方も増えたし、『夜に駆ける』の世界をモチーフに絵を描いて下さる方とかもいて、すごくうれしいですね。
Ayase:藍さんが描く世界は、今までのネットシーンの音楽になかった色味やタッチ、作風で、YOASOBIの楽曲がいい化学反応でマッチしたよね。……偉そうだよね(笑)。
藍:いやいや、うれしいです。
Ayase:YOASOBIは音楽で、藍さんはアニメの世界で新しいプラットフォームを活用してきた存在だと思うんですけど、作品を届けるアプローチについてどう捉えていますか?
藍:私は小学生や中学生の頃からニコニコ動画とかを観て育ったので、作品を届けるハードルは低いのかなと思います。

新世代クリエイターが語る、SNSとの付き合い方

SNSを機に活躍の幅を広げてきた藍。SNSで発信するからこそ構築できているコミュニケーションのメリットについて、「感想がすぐ見られるので、それが励みになる」と語る。

藍:たびたびエゴサして、うれしい言葉があればスクショして(笑)。
ikura:Ayaseさんもけっこうエゴサしますよね。
Ayase:息を吸うようにエゴサしてるからね(笑)。それが励みになることもあるし、いい意味で「なるほど、そう感じるんだ」って意見もあるけど、つぶやくことのハードルとかSNSに投稿するハードルって、僕らより若い子とか学生さんはさらに低いと思うから、そういうことを大前提として見ていかないといけないなと思ってる。

ikuraは「本人に見られていると思ってない人もたくさんいるから、逆に客観的な意見をもらえる」と述べ、Ayaseも同調する。

Ayase:SNSを全部プラスに捉えられるようにしていければ、いいツールだと思う。でも、SNSでメンタルを崩してしまうのは一番悲しいことだからね。
藍:本当にそう思います。私も最近はどちらかというと、SNSから距離を取りつつ利用していますね。
Ayase:うまく付き合っていくことが大事ですよね。
ikura:SNSが普及している時代だからこそ、すぐ自分の作品をあげられますからね。昔だったら、大きなところのラインに乗るまでは見てもらえない時代だったので。時代って私が言うのも……。
Ayase:19歳でしょ(笑)? でも、その中でもこの数年、その流れはけっこう変わっているだろうし。
ikura:音楽も映像も自分たちであげてそれを見つけてもらえるって、すごく広いですよね。
Ayase:セルフプロデュースすることの大事さも強くなったよね。同時に自分一人でできちゃう人が多くなったから、求められることも増えているのかなって。
藍:そうですよね。

MVづくりで大事にしたのは、見る人の「解釈を狭めない」こと

藍が初めてミュージックビデオを手がけたのは、Maison book girlの『闇色の朝』。自身の作品が受け入れられていると感じたターニングポイントだったという。Ayaseも、この作品をきっかけに藍に声をかけたのだそう。

Ayase:あのグロテスクさ、みたいなものなんですよね。『夜に駆ける』はまあまあグロテスクな話ではあるし、シリアスな感じだし、でもだからこそキャッチーでポップな感じで包みたいって思いがすごくあったので、「絶対この人でしょ」っていうふうになったことをすごく覚えていますね。ほぼ完成した『夜に駆ける』のミュージックビデオが届いたときに、当時一緒に住んでいた妹にすぐ見せて「めちゃくちゃいいよね!」って。
ikura:そのときのLINEを覚えてます。スタッフも含めて「ヤバいですよね!」みたいな感じになって(笑)。
Ayase:大盛り上がりしてたからね。
藍:うれしいです。

Ayaseは『夜に駆ける』のミュージックビデオは何度見ても発見がある作品と表現する。

藍:『夜に駆ける』はさっきAyaseさんが言われた通り、ポップだけどグロテスクだったり、でもピアノのラインとかikuraさんの歌声には上品な要素があったりするので、そういうバランス感覚がすごい作品だなと思いました。ミュージックビデオはそこを崩さないようにとすごく考えましたね。
Ayase:小説があって、そこにストーリーがあって、歌詞、音楽、アニメの関係性がYOASOBIってものだとは思うけど、そこにアニメーションを作る立場として藍さんはどういう順番でこのミュージックビデオを作ったんですか?
藍:構成自体は小説を大本にして作っていったんですけど、具体にはなるべくしないようにしました。小説って行間を読むみたいな、余白が大事だと思うので、映像にしたときにその解釈を狭めないことが一番大事だと思いながら制作しました。
Ayase:ちなみに小説は読みます?
藍:読みますね。村上春樹さんとか宮沢賢治さんとか、有名な作家さんの作品を読みます。

「最近気になるアーティストは?」と問われた藍は、イギリスのバンド・Sorryをあげた。

藍:めちゃめちゃギターをゆがませて、舌打ちとかも延々としていて。Sorryは気になっていますね。めっちゃカッコいいですね。

見た瞬間に絵から漂う叫びをすごく感じた

YOASOBIは9月1日(火)に新曲『群青』を配信リリース。この曲のジャケットイラストを藍が手掛けている。

Ayase:マジ、いいよね。
ikura:私は音楽を聴いてビビって背中に電撃が走ることがあるんですけど、絵を見てそう感じたのは、これが初めて。見た瞬間に絵から漂う叫びをすごく感じて圧倒されちゃいました。
藍:よかった。
Ayase:今、藍さんが『群青』でこのイラストを出してくるんだってことがすごいなと思った。意外性もあるし、僕の表現したい『群青』の世界観ともすごくマッチしているし、これしかないよねっていうジャケットイラストだなと本当に思いました。
藍:ありがとうございます。

『群青』はブルボン「アルフォートミニチョコレート」の新CMソングに決定。このCMは美術大学受験をテーマにした人気漫画『ブルーピリオド』(講談社)とコラボレーションして制作された。

藍:『群青』のジャケットイラストのモチーフは演劇にしています。最初、『ブルーピリオド』と歌詞のテーマが描くことだったので、私が絵の道に進むきっかけというテーマをいただいて、過去をさかのぼっていろいろと考えました。私は中学生のときに演劇部に入って、でもその前まで人前に出ることが本当に苦手で、感情表現することも苦手だったけど、そんな子が演劇と出会って人前で自己表現することの楽しさに目覚めたので、演劇をモチーフにしました。また、『ブルーピリオド』を拝読して、受験の頃をすごく思い出しました。あの頃って自分のためのスポットライトをもがきながら探し続けていたようにも感じられたので、今回はこういうジャケットイラストにしました。
Ayase:『ブルーピリオド』に出てくる言葉で言うと、「構図めっちゃいい」って思った(笑)。
ikura:あそこまでアップになるとは思っていなかったから。ベストな感じですね。
Ayase:まずカッコいいってなるし、ちゃんとそのストーリーがこの絵から見えてくるし、曲とのマッチングもいいし、あらためて素敵なジャケットイラストをありがとうございました。

J-WAVEのポッドキャストサービス「SPINEAR」ほか、各種ポッドキャストサービスでは、ロングバージョンを配信中だ。

■SPINEARで聴く
https://spinear.com/shows/innovation-world-era/episodes/from-the-next-era-2020-08-30/

『INNOVATION WORLD ERA』では、各界のイノベーターが週替りでナビゲート。第1週目はライゾマティクスの真鍋大度、第2週目はASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文、第3週目は女優で創作あーちすとの「のん」、第4週目はクリエイティブディレクター・小橋賢児。放送は毎週日曜日23時から。

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radikoで聴く
2020年9月6日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
INNOVATION WORLD ERA
毎週日曜
23:00-23:54

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