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ハマ・オカモト、ベースラインを作るときのこだわり「耳の発見をしてほしい」

ハマ・オカモト、ベースラインを作るときのこだわり「耳の発見をしてほしい」

J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい”音楽をつくるクリエイターが“WOW”と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる。

8月のマンスリープレゼンターは、BiSHと並行して、バンド形態のソロプロジェクト“PEDRO”としても活躍中のアユニ・Dが担当。8月最後のオンエアとなった8月28日(金)では、OKAMOTO'Sのベース、ハマ・オカモトがゲストに登場。楽器の練習方法や、これまでの音楽遍歴を語り合った。

鉄の音がする「スティングレイ」の話で盛り上がる

アユニ・Dは学生時代の友人がOKAMOTO'Sのファンだったことから、自身もOKAMOTO'Sを聴くようになったと語る。2年前にベースを始めた際にはハマのベース講座動画を見て学んだり、ハマの雑誌連載を読んだりしていることを告白した。

アユニ・D:ベースをやってます。
ハマ: 知ってますよ。だって『ベース・マガジン』(リットーミュージック)でいろいろな先輩と対談されてますもんね。なんなら、けっこう前に対談企画のお話も来ました。
アユニ・D:そうなんですよ。ハマさんを勝手に指名しました。
ハマ:「よければやりますよ」って言っていたら、KIRINJIの千ヶ崎 学さんとかが出ていて。俺ですら学さんなんて好きすぎて緊張しますよ。「学さんとしゃべってるんなら俺がしゃべることないな」なんて思っていて、そこから時間が空いて今回呼んでいただいたので「ぜひ!」という感じでした。

ハマはアユニ・Dが使っているベースに興味を抱いていた。

ハマ:なんでスティングレイなんですか?
アユニ・D:ベースを買った当初は楽器に無知だったので楽器屋さんに行ってビジュアルだけで決めたんですけど、ベース経験者だった当時のマネージャーに「スティングレイは音も格好いいよ」って言われたので、とりあえず買いました。最初は指弾きをやっていたんですけど、(田淵)ひさ子さんの影響でピック弾きをするようになったら「鉄みたいな音のほうが好きだな」と気付き始めて、そのくらいからスティングレイにドハマりしてしまいました。
ハマ:いいな。確かにね、音が鉄みたいですよね。それはめちゃめちゃ正しい表現だと思います。そういう理由なんですね。僕もスティングレイを買いましたよ。
アユニ・D:えー、そうなんですか!
ハマ:僕もやっぱりレコーディングのときに「鉄みたいな音がほしいな」と思って。
アユニ・D:あまり鉄みたいな音のイメージがなかったです。
ハマ:あはは(笑)。1曲の音のためだけに使ったんですよ。僕、ピック弾きが下手なんですけど、(アユニ・Dは)すごく上手に弾くじゃないですか。
アユニ・D:いや、全然……。
ハマ:だから(アユニ・Dに)合ってるなと思いました。
アユニ・D:ありがとうございます。

ハマ少年、ベース練習方法は耳コピ

話題はハマの音楽ルーツに。小学生のころは野球をしていたハマだったが、中学時代に楽器を始めた。

ハマ:中学校の部活紹介で、野球部がこの世の終わりくらいスベってたんですよ。
アユニ・D:うふふ(笑)。
ハマ:「そんなダサいところに入りたくないな」と思ってしまって、1年生のときは何部にも入らず帰宅部。でもそのときに、同じクラスの友だちだったOKAMOTO'Sのボーカル(オカモトショウ)とギター(オカモトコウキ)が軽音楽部に入っていました。僕は帰宅部でふたりが軽音楽部だと、話す話題が音楽のことばっかりになるんですよね。それで会話についていけなくなってきたので(音楽を)始めようと思って始めたんですよ。だから、軽音楽部の友人がやっていた音楽が最初の音楽体験ですね。なぜかその部活は邦楽コピーがなんなく禁止されていて、洋楽ばかりで、ザ・ビートルズとかイギリスの60年代後半から70年代くらいの音楽をしていました。それが最初だったから、今こんな感じになっちゃったんです。
アユニ・D:バンドを組んだのは、その軽音楽部で?
ハマ:そうですね。年に何回か定期演奏会をやるためにバンドを組んで練習して、終わったら壊してというのを繰り返す感じでした。人も変わったりして。
アユニ・D:ベースの練習は当時どうやっていたんですか?
ハマ:独学ですね。僕は譜面も音符も読めないので全部耳コピです。
アユニ・D:えー!
ハマ:いまだにメトロノームとかもやらないし、わからないですね。自粛期間中に音楽理論の本を買ったんですけど、1ページ目の書き始めが「諸君」からだったんですね。それにすごく腹立っちゃって、1ページも読まなかったですね。自慢することじゃないですけど、それくらい理論がダメです。

ベースを始めた頃に耳コピが一切できなかったアユニ・Dは、ハマの話は驚きの連続だった。

ハマ:だから当時から練習は怠け通していました。
アユニ・D:でも練習せずにあんなに弾けるんですね。
ハマ:趣味がなさすぎて、練習というより暇だからベースを触っちゃうんですよね。だから「練習しよう」と思ってやる感じじゃない。
アユニ・D:なるほど。

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J-WAVEにて

ハマ・オカモトが振り返る、OKAMOTO'Sの10年は

OKAMOTO'Sのメンバーはそれぞれルーツが異なる。ハマはファンクやソウル、オカモトショウはジャズやブルース、オカモトコウキはロックやシンガーソングライター系、オカモトレイジはヒップホップ……それが強みになっているとハマは語る。

ハマ:コテコテに全員がロックをやるとコテコテになっちゃうんですけど、みんなバラバラのエッセンスが入ると変な音楽になる。それはそれでおもしろいと思いますね。僕もロックを通っていないわけではないので、その中間のいいところを行き来している感じですかね。

OKAMOTO'S は2010年にデビュー。8月26日には、デビュー10周年第1弾EPとなる『Welcome My Friend』をリリースした。



アユニ・D から、この10年間の苦労を訊かれたハマは、大変さよりも先に楽しさに言及した。



ハマ:アユニさんもそうだと思うんですけど、僕は演奏しているのが楽しいんですよ。ウルトラメガヒットやアリーナツアーをやったわけじゃないけど、ライブをすごくやれた10年で、年々お客さんが増えてくれた。演奏が楽しい気持ちと音楽を聴くのも好きなこと、そのインプットとアウトプットの繰り返しは全然苦ではなかったですね。うちは変なバンドなので、好いてくれるお客さんが10年間いたおかげです。でもやっぱり単純に「もっと認知されたい」とか「もっと大きなところでやりたい」と思っていた時期もありますよ。今も諦めたわけではないけど(笑)。
アユニ・D:素晴らしいですね。
ハマ:楽しいですよね、ライブでベース弾いてるの。
アユニ・D:楽しいですね。他の仕事とか日常とかで嫌なことがあっても、ライブをやって受け取ってくれるお客さんが目の前にいて、肉体と肉体でその場を共有すると「あ~、気持ちいい。これだからやめられない」って思います。
ハマ:あの瞬間があるから全部ゼロに戻ったりプラスになったりしますよね。でもやっぱり大変ですし、同期で解散や活動休止をするバンドも見てきているので、簡単なことじゃないなとは思いますね。

ベースラインを作るときに心がけていること

ハマは、ベースラインを作るときに心がけていることを以下のように語る。

ハマ:アユニさんもベースを弾き始めて変わったと思うんですけど、今まで1ミリもベースの音が聴こえてなかったのに「この曲、こんな感じなんだ」という発見がいっぱいあるじゃないですか。そういう耳の発見をしてほしいので、ベースラインを作るときはどこかに遊びを効かせたいと思っています。自分の知った街を歩くときは自分の目の高さの建物しか見ないけど、意外とちょっとだけ上を見ると「このマンション、こんな感じだったんだ」みたいなことがあるじゃないですか。そういうのに近いです。ベースなんてルートを弾いていたら成立するし、誰の邪魔もしないんですけど、そこを歩きつつちょっと一歩横の道を歩いたり見る角度を変えてみたり、そういうことを常々したいと思っています。
アユニ・D:そうなんですね。
ハマ:「目立ってやろう」とかではなく、そういう変なところがあったほうが聴いていておもしろいかなって。
アユニ・D:すごく勉強になります。
ハマ:ルート弾きとか8ビートって、逆にちゃんとやるのってすごく難しい。「キープして」って言われると、もう我慢できなくなって違うことをしたくなっちゃうんですけど、それが曲にとっていいかと言うと全然別だから。アユニさんも2年やっていて「これしかできない」と言うけど、そこに戻ることって意外と難しいから、今できていることはすごくいいことだと思います。

深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』はJ-WAVEと、MUSIC FUN !のコラボ。9月のマンスリーナビゲーターはm-floの☆Taku Takahashiが務める。

『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。

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2020年9月4日28時59分まで

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毎週金曜
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