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スーパー「成城石井」10年で売上高2倍に。値段が高くても“お手頃”な仕入れの裏側

スーパー「成城石井」10年で売上高2倍に。値段が高くても“お手頃”な仕入れの裏側

新型コロナウイルスの影響で厳しい経済状況が続くなか、スーパーマーケットの成城石井は業績が絶好調だ。その背景にある企業努力とは?

J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ・増井なぎさ)では、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)の著者でブックライターの上阪 徹さんをゲストに招いた。オンエアは8月25日(火)。

10年で売上高が倍に

上阪さんによると、成城石井の売上は今年の4月〜7月まで、前年と比較して、106〜109パーセントで推移しているという。

サッシャ:4月〜7月って、コロナ禍で外出自粛期間も含まれますよね?
上阪:そうです。そのなかでも、ほぼ二桁増で推移しています。コロナ以降は巣ごもり需要でスーパーの売上がある程度よかったので、それも理由のひとつですが、成城石井がすごいのは以前からこのくらいの売上推移を出していたことなんです。
サッシャ:この10年ですごく売り上げを伸ばしたと耳にしました。
上阪:成城石井の2019年の売上高は、前年比107パーセントの938億円。2018年の売上高も前年比の107パーセントでした。ずっとこんな推移が続いていて、この10年で売上高は2倍になっています。

「本当にいいものを売って、喜んでもらいたい」という商人魂

近年のスーパーマーケットは「冬の時代」だったそう。そんななかで、なぜ成城石井は驚異的に成長しているのか。

上阪:やっぱり、他店とは違う品揃えが一番の要因ですね。他店にはなく、本当にいいもの、おいしいものが並んでいます。成城石井は高級なイメージがあるかもしれませんが、実は高級スーパーを目指しているわけでは全くありません。むしろ「高級スーパー」と言われたくないみたいなんです。

本当にいいものを、できるだけリーズナブルに販売する。それが成城石井の目指す姿だ。

サッシャ:なるほど。結果的にいいものを扱うとちょっとコストは高めにはなるけど、それをなるべく安く売るように努力しているわけですね。
上阪:そう、それだけなんです。お客様に喜んでもらえるものはなにか、という点にすさまじいこだわりがあって、それが品揃えに反映されています。だから「高級スーパー」というよりも、スケールの大きい商店って感じですね。商人魂っていうんですかね。

通常のスーパーマーケットは問屋や輸入業者に仕入れをゆだねることが多いが、成城石井はバイヤーが世界中を飛び回り直接商品を探しに行くという。

上阪:バイヤーが世界中の展示会に行って、他にないものや旬なもの、おいしいもの、まだ日本に入ってないものを探しに行っています。
サッシャ:バイヤーが「これはいい」「日本の消費者に喜んでもらえるんじゃないか」と思うものを厳選して、販売しているんですね。
上阪:だから、他のないものが売っているわけです。約30人のバイヤーがずっとアンテナを立て、本当にいいものを探しています。

3年かけて交渉し、やっと仕入れられた人気商品

上阪さんは成城石井の取材で特に驚いた商品として、イタリア・フェラリーニ社のチーズ「パルミジャーノレジャーノ」をあげた。

上阪:「パルミジャーノレジャーノ」は、イタリアの認定さえあれば、この名前で売ることができます。そのため同様の名前のチーズは他店にもたくさん売っているんですけど、成城石井のものが一番売れています。成城石井が売っているものは他商品と牛が違うんです。
サッシャ:チーズの根本となるミルクが違うわけですね。
上阪:そうなんです。飼育が難しく高いジャージー牛を使用したチーズです。社長の原(昭彦)さんが、ミラノの展示会でジャージー牛のポスターを見つけたことがきっかけだったんです。メーカーは簡単に商品を取り扱わせてくれないので、最初はそのメーカーに仕入れを断られたみたいなのですが、3年かけて交渉し、やっと仕入れられたそうです。
上阪:イタリアでもいいとされているものが、日本で食べられるわけですね。
サッシャ:ジャージー牛を使った「パルミジャーノレジャーノ」って、他にはないと思います。ちょっと高いけど、めちゃくちゃおいしいんです。

成城石井はマーケティングリサーチをしない

上阪さんによると、消費者が「成城石井の商品はクオリティを考えれば実はお値頃だ」と気づき、リピーターになっていくと分析する。

上阪:私は成城石井の本店によく行くのですが、みんながみんな成城石井で全部を買っているわけではないんです。他のスーパーでも買いつつ、成城石井しか売っていないものだけを、成城石井で買う人が多いみたいです。
増井:商品ごとのリピーターが多いんですね。
上阪:そうなんです。

続けて上阪さんは「成城石井はマーケティングリサーチをしない」と話す。

上阪:消費者のアンケートも取らないし、グループインタビューもしません。また、ターゲットゾーンの設定もしていないんです。
サッシャ:子どもが2人いる家族4人で年収これくらい、とかやらないんですか?
上阪:やらないんです。一人ひとりがどのように消費するかってバラバラですよね。たとえば年収300万円の人でも、高いシャンパンを飲みたくなるときもあるので、年収設定をしてもそこに合致しなくなります。実際に自分のご褒美として週末に高級シャンパンと生ハムとチーズを成城石井で買っていくという若い女性も、けっこう多いみたいです。年収でセグメントすると、こういうニーズは見つからない。だからそういった計算はせず、おいしいものだけを提供したいということですよね。
増井:成城石井は価値を生んでいくという考え方なんですね。
上阪:結局、価値を見つけるのはお客さまなので、成城石井から無理強いをしないんです。

現在、コロナ禍で海外への渡航ができない。これからの成城石井の品揃えに、上阪さんが期待することは?

上阪:今はきっとバイヤーは国内に目を向けていると思います。日本国内でまだまだ見つけられていないもの、例えば地方の逸品とかきっとあるはずので、それを探しに行っているに違いありません。これは楽しみですね。

最後に、上阪さんは「成城石井の楽しみはじっくり見ること」だと話し、「そこにはこだわりの商品やなかなか見かけない商品、ちょっと変わったものが並んでいる」と成城石井ならではの魅力を伝えた。

さらに成城石井の魅力を知りたい人は、ぜひ上阪さんの著書『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』を手にとってみては。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースをその裏側から光を当て、様々な視点から紹介する。放送は月曜〜木曜の10時10分頃から。

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