J-WAVEの番組『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』(ナビゲーター:中井智彦)。8月14日(金)のオンエアでは、先週に引き続き、ミュージシャンで俳優の堂珍嘉邦(CHEMISTRY)がリモートで登場。これまでに出演したミュージカル作品を語り合った。
堂珍:亞門さんは役者の誰よりも役者ですね。
中井:役者心がある方ですよね。
堂珍:毎日稽古をしていくなかで、いろんなことを試していくんです。「こうしよう」「ああしよう」みたいなことが日々おこなわれていく。そのなかで、身振り手振りで指導していただくタイプの演出家って、亞門さんが筆頭というか。言葉で「それを表現してください」って伝える演出家の方もいますし、自ら「こうだよ」「こんな感じなんだよ」って動いて指導していただくパターンもあって、亞門さんは自ら表現して役者に伝えるタイプの究極だなって。
中井:おもしろかったですか?
堂珍:おもしろかったですよ。「そんなファンキーでかっこいい踊りできないですよ!」みたいなことも(笑)。それを生で身近で見させていただいて、そのなかで「自分なら何ができるだろう?」というのを、ひたすら消化していく作業でしたね。
中井は、宮本の演出について「色彩豊かというか、すごくきれいな色の舞台をたくさん作られている印象がある」とコメント。堂珍に『ヴェローナの二紳士』はどのような作品だったのか問いかけた。
中井:シェイクスピアの初期の作品なんですよね?
堂珍:“未完成な部分”というのを、日本人なり、亞門さんなりの解釈で、舞台として表現されたんだと思います。
中井:時代的にはシェイクスピアの時代ではなくて、いまの日本に舞台が寄せられているような演出だったんでしょうか。
堂珍:ある意味でそうかもしれません。時代設定はあくまでストーリーのなかでの設定であって、すごく昔のテーマ、古い作品を観ているという感覚ではなかったですね。役者、キャストも含めて、すごく“LOVE & PEACE”な舞台でした。亞門さんは、すごく“LOVE & PEACE”なんだなと思いました。
堂珍:プロテュースとヴァレンタイン、それぞれがミラノへ辿り着く経緯もありながら、成功するために何を掴んで、何を捨てるのか、そして何を守るのか。そういうことだったような気がします。
中井:シェイクスピアの作品を観ていて、最終的に思うのは「人間っておもしろいな」「人間ってすばらしいな」ということ。シェイクスピアは、演劇のおもしろさをすごくとらえているなと思っているんです。
堂珍:シェイクスピアは勉強不足でわからない部分もあるんですが、「それって間違った選択なんじゃないの?」ということも舞台で描けるから、ストーリーとしてすごくおもしろいですよね。「闇を選択したんだ」とか「夢を掴んだんだ」とかがわかりやすく、いろいろな人生の歯車が見えるというか。
中井:完璧な人間なんていないということが見えるのがおもしろいのかな、と思ったりもしますね。
堂珍:登場人物みんなそうなんですけど、苦悩していくなかで最後はLOVEに行きつく、という人物のひとりだったと思います。僕のなかで大好きな役でした。
中井:(ロジャーも)アーティストという時点で、もともとの堂珍さんと近い部分がある役でしたか?
堂珍:近いかどうかはわからないですが、ロジャーの曲『One Song Glory』の「自分が死ぬまでに1曲、名曲を書きたい」というスピリットはいいなと思いますね。
中井:いいですよね。僕はアーティストではないので、アーティストの人の『One Song Glory』のエピソードを舞台で観ているとゾワゾワするんですよ。手が届かないものというか、「こういう感覚で生きている人がいるんだな」と。それが、僕が『RENT』でロジャーを観ていて楽しいところで、「アーティストってこういう生きざまなんだな」と感じるんです。
「閉幕後の1ヶ月間は喉がガラガラでした(笑)」と『RENT』出演を振り返る堂珍。続けて、日本における『RENT』の立ち位置について想いを口にした。
堂珍:日本の『RENT』って何で日本中に広まらないんだろうって、いつも思うんです。いろんなチャンネルが世の中に溢れているなかで、ミュージカル音楽を表現する枠が広がっている。「そこに『RENT』いないとだめでしょ」って思うんですよ。僕も応援しているし、その一員に一時でもなれたのはすごくうれしいなと思います。
堂珍は『RENT』を「忘れがちな大切なことに気づかさせてくれる、そんな舞台」と、その魅力を語った。今年も11月から12月にかけて新キャストで『RENT』がシアタークリエにて上演される予定だ。
中井はグレブ役について「堂珍さんの柔らかい優しさとはかけ離れた役」と、実際にミュージカルを観ての感想を語る。
堂珍:(笑)。倍増しでピリッとしていないと、グレブ役にハマるまでにいかないというか。使命としての宿命と、人間としての愛情の選択に揺れ動く役だったので、すごくやりがいもありましたし楽しかったです。
中井:やりがいはすごくあるだろうなと思いながら観ていました。特に最後にアナスタシアと対峙するシーンは、客席から観ていてかなりピリピリしました。
堂珍:『北斗の拳』のサウザーみたいなもんですからね(笑)。
『アナスタシア』は、新型コロナウイルス感染拡大による影響で、東京公演は千秋楽前日に終了。大阪公演は全公演中止となった。
堂珍:舞台の中でつかみたかったものも沢山ありましたが、お客さまの安否の方が大事ですからね。ちょうど僕も、いつ中止になるかわからない状態の中で、1本1本すごく大事にしなければいけないと感じていました。出演回の本番が始まる前に「急遽今日が最後です」という宣告をいただいて、「そうなったか...」と思いながらも「今、自分にできることをしよう。専念しよう」というだけでしたね。出演者には山本耕史さんもいらっしゃいましたし、木下晴香さん、葵わかなさんもそうですが、舞台が終わってからみんなでZoom呑みしていましたね(笑)
【radikoで聴く】『アナスタシア』より『Still』
堂珍の最新情報は公式サイト、またはTwitterまで。
『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』では、ミュージカル俳優の中井がゲストを迎えて、ミュージカルの話や作品の解説など、さまざまな形でミュージカルの魅力をお届けする。放送は毎週金曜の22時30分から。
堂珍にとって、演出家・宮本亞門とは
堂珍がミュージカルで初主演を務めたのは、2014年の『ヴェローナの二紳士』。演出を務めたのは宮本亞門。中井は堂珍に「宮本亞門はどのような人物だったか」と尋ねる。堂珍:亞門さんは役者の誰よりも役者ですね。
中井:役者心がある方ですよね。
堂珍:毎日稽古をしていくなかで、いろんなことを試していくんです。「こうしよう」「ああしよう」みたいなことが日々おこなわれていく。そのなかで、身振り手振りで指導していただくタイプの演出家って、亞門さんが筆頭というか。言葉で「それを表現してください」って伝える演出家の方もいますし、自ら「こうだよ」「こんな感じなんだよ」って動いて指導していただくパターンもあって、亞門さんは自ら表現して役者に伝えるタイプの究極だなって。
中井:おもしろかったですか?
堂珍:おもしろかったですよ。「そんなファンキーでかっこいい踊りできないですよ!」みたいなことも(笑)。それを生で身近で見させていただいて、そのなかで「自分なら何ができるだろう?」というのを、ひたすら消化していく作業でしたね。
中井は、宮本の演出について「色彩豊かというか、すごくきれいな色の舞台をたくさん作られている印象がある」とコメント。堂珍に『ヴェローナの二紳士』はどのような作品だったのか問いかけた。
中井:シェイクスピアの初期の作品なんですよね?
堂珍:“未完成な部分”というのを、日本人なり、亞門さんなりの解釈で、舞台として表現されたんだと思います。
中井:時代的にはシェイクスピアの時代ではなくて、いまの日本に舞台が寄せられているような演出だったんでしょうか。
堂珍:ある意味でそうかもしれません。時代設定はあくまでストーリーのなかでの設定であって、すごく昔のテーマ、古い作品を観ているという感覚ではなかったですね。役者、キャストも含めて、すごく“LOVE & PEACE”な舞台でした。亞門さんは、すごく“LOVE & PEACE”なんだなと思いました。
シェイクスピア作品のおもしろさ
堂珍が『ヴェローナの二紳士』で演じたのは二紳士のひとり・ヴァレンタイン。夢を叶えようとヴェローナからミラノへと旅立ち、物語の最後にはミラノ大公の娘・シルヴィアと結婚するという役どころだ。二紳士のもうひとり・プロテュースは西川貴教が演じた。堂珍:プロテュースとヴァレンタイン、それぞれがミラノへ辿り着く経緯もありながら、成功するために何を掴んで、何を捨てるのか、そして何を守るのか。そういうことだったような気がします。
中井:シェイクスピアの作品を観ていて、最終的に思うのは「人間っておもしろいな」「人間ってすばらしいな」ということ。シェイクスピアは、演劇のおもしろさをすごくとらえているなと思っているんです。
堂珍:シェイクスピアは勉強不足でわからない部分もあるんですが、「それって間違った選択なんじゃないの?」ということも舞台で描けるから、ストーリーとしてすごくおもしろいですよね。「闇を選択したんだ」とか「夢を掴んだんだ」とかがわかりやすく、いろいろな人生の歯車が見えるというか。
中井:完璧な人間なんていないということが見えるのがおもしろいのかな、と思ったりもしますね。
ミュージカル『RENT』ロジャー役で感じたこと
堂珍は、『ヴェローナの二紳士』の翌年にロックミュージカル『RENT』に出演。演じたロジャー役について語った。堂珍:登場人物みんなそうなんですけど、苦悩していくなかで最後はLOVEに行きつく、という人物のひとりだったと思います。僕のなかで大好きな役でした。
中井:(ロジャーも)アーティストという時点で、もともとの堂珍さんと近い部分がある役でしたか?
堂珍:近いかどうかはわからないですが、ロジャーの曲『One Song Glory』の「自分が死ぬまでに1曲、名曲を書きたい」というスピリットはいいなと思いますね。
中井:いいですよね。僕はアーティストではないので、アーティストの人の『One Song Glory』のエピソードを舞台で観ているとゾワゾワするんですよ。手が届かないものというか、「こういう感覚で生きている人がいるんだな」と。それが、僕が『RENT』でロジャーを観ていて楽しいところで、「アーティストってこういう生きざまなんだな」と感じるんです。
「閉幕後の1ヶ月間は喉がガラガラでした(笑)」と『RENT』出演を振り返る堂珍。続けて、日本における『RENT』の立ち位置について想いを口にした。
堂珍:日本の『RENT』って何で日本中に広まらないんだろうって、いつも思うんです。いろんなチャンネルが世の中に溢れているなかで、ミュージカル音楽を表現する枠が広がっている。「そこに『RENT』いないとだめでしょ」って思うんですよ。僕も応援しているし、その一員に一時でもなれたのはすごくうれしいなと思います。
堂珍は『RENT』を「忘れがちな大切なことに気づかさせてくれる、そんな舞台」と、その魅力を語った。今年も11月から12月にかけて新キャストで『RENT』がシアタークリエにて上演される予定だ。
公演中止となった『アナスタシア』を振り返る
堂珍は今年、日本初演となるミュージカル『アナスタシア』にグレブ役で山本耕史とのWキャストとして出演。【あらすじ】
(『アナスタシア』公式ホームページより)
舞台は20世紀初頭、帝政末期のロシア、サンクトペテルブルク。ロシア帝国皇帝ニコライ2世の末娘として生まれたアナスタシアは、パリへ移り住み離ればなれになってしまった祖母マリア皇太后から貰ったオルゴールを宝物に、家族と幸せに暮らしていたが、突如ボリシェビキ(後のソ連共産党)の攻撃を受け、一家は滅びてしまう。
しかし、街中ではアナスタシアの生存を噂する声がまことしやかに広がっていた。パリに住むマリア皇太后は、アナスタシアを探すため多額の賞金を懸ける。それを聞いた二人の詐欺師ディミトリとヴラドは、アナスタシアによく似た少女アーニャを利用し、賞金をだまし取ろうと企て、アーニャと三人でマリア皇太后の住むパリへと旅立つ。
記憶喪失だったアーニャは次第に昔の記憶を取り戻してゆく… 同じ頃、ロシア政府はボリシェビキの将官グレブにアナスタシアの暗殺命令を下す。マリア皇太后に仕えるリリーの協力を得て、ついにアーニャはマリア皇太后と会う機会を得るが、グレブがアーニャを見つけ出し…
中井はグレブ役について「堂珍さんの柔らかい優しさとはかけ離れた役」と、実際にミュージカルを観ての感想を語る。
堂珍:(笑)。倍増しでピリッとしていないと、グレブ役にハマるまでにいかないというか。使命としての宿命と、人間としての愛情の選択に揺れ動く役だったので、すごくやりがいもありましたし楽しかったです。
中井:やりがいはすごくあるだろうなと思いながら観ていました。特に最後にアナスタシアと対峙するシーンは、客席から観ていてかなりピリピリしました。
堂珍:『北斗の拳』のサウザーみたいなもんですからね(笑)。
『アナスタシア』は、新型コロナウイルス感染拡大による影響で、東京公演は千秋楽前日に終了。大阪公演は全公演中止となった。
堂珍:舞台の中でつかみたかったものも沢山ありましたが、お客さまの安否の方が大事ですからね。ちょうど僕も、いつ中止になるかわからない状態の中で、1本1本すごく大事にしなければいけないと感じていました。出演回の本番が始まる前に「急遽今日が最後です」という宣告をいただいて、「そうなったか...」と思いながらも「今、自分にできることをしよう。専念しよう」というだけでしたね。出演者には山本耕史さんもいらっしゃいましたし、木下晴香さん、葵わかなさんもそうですが、舞台が終わってからみんなでZoom呑みしていましたね(笑)
【radikoで聴く】『アナスタシア』より『Still』
堂珍の最新情報は公式サイト、またはTwitterまで。
『STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL』では、ミュージカル俳優の中井がゲストを迎えて、ミュージカルの話や作品の解説など、さまざまな形でミュージカルの魅力をお届けする。放送は毎週金曜の22時30分から。
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2020年8月21日28時59分まで
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番組情報
- STAGE PIA WE/LIVE/MUSICAL
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毎週金曜22:30-23:00
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中井智彦