J-WAVEの新番組『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:スガ シカオ)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか―――時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターのスガ シカオが旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談義を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。
初回の4月5日(日)のオンエアは、大型音楽フェス「VIVA LA ROCK」プロデューサーの鹿野 淳が登場。「1997年の東京」をテーマに音楽トークで盛り上がった。
■スガが迷ったときに、道を切り拓いてくれる存在
スガと鹿野は、鹿野が創刊した音楽専門誌『MUSICA』の取材などでも関わりを持つが、出会いは友人の葬式だったそうだ。
スガ:そういう変な出会い方をしちゃたんだけど、その後に、雑誌の取材とかでもいろいろと話すようになって、俺が音楽的にどうしたらいいかと道に迷っているときに、けっこう的確なことをバスッと言ってくれたりする存在です。鹿野さんに道を切り開いてもらったミュージシャンは他にもいると話を聞くので、「この人は実は日本のロックを裏から操っているんじゃないか」といううわさもあります。
鹿野:スガさん、すごく僕のことをよく言ってくれたけど、前に僕と直接話したときは「鹿野さんの話は100個のうち、97個はぶっ飛びすぎてついていけないんだけど、たった3個くらいだけめちゃくちゃ的確だから、それを取り入れたくなる。それを聞き逃すと、鹿野さんと付き合う価値がなくなる」って言ってましたよね(笑)。
スガ:鹿野さんの話を聞き逃さないように捕まえていきたいと思います(笑)。
■97年のフジロックは、過酷だけど「夢のような現実」
今回、鹿野が選んだテーマは「1997年の東京」。この歳はスガのデビューイヤーでもある。音楽ジャーナリストである鹿野は、この年に開催された「FUJI ROCK FESTIVAL'97」(以下「フジロック」)が最も印象的な出来事のひとつだったという。台風直撃によって豪雨が襲い、まだ観客も野外フェスに慣れていなかったことから、惨状を呈したことが音楽ファンの間で語り継がれている。
鹿野:なかなか日本に来られなかったRage Against the MachineやThe Prodigyが来ると。そしてBECKも来るし、さらに台風まで来るとは思わなかった。
スガ:(笑)。初開催となったこの年のフジロックはニュースで見てたんだけど、ヒドいことになってましたよね。
鹿野:ヒドいって言葉がいちばん的確ですよね。だから大惨敗な気持ちで山を下りるっていうね。でも、それ以上にRage Against the MachineやThe Prodigy、BECK、Aphex Twinとかが、一堂にやってくるっていう夢のような現実がすごくファンタジーでした。
■デビュー当時のスガ、BECK への気持ちは「俺と一緒だ」
一方、スガは1997年を思い出すために、当時のスケジュール帳を持参。デビュー月の1997年2月のページをめくると……。
スガ:デビューする3日前に合コンをしていますね(笑)。
鹿野:何をやってるんだ(笑)。
スガ:ゆるすぎですよね。あと3月23日(日)に「SMAPレコーディング」って書いてあるんですよね。
鹿野:それ、あの曲ですか?
スガ:たぶんそうじゃないかな。全く覚えてないんですけど、そう書いてありますね。とにかくスケジュールがびっしり。名古屋だ札幌だ大阪だと、各地に行きまくって、その間にファーストアルバム『Clover』のレコーディングをしている感じでしたね。
当時、スガは「BECKは俺と全く同じ景色を描きながら曲を作っている」と感じたという。
スガ:俺もBECKもルーツはほとんど一緒だと思うんですけど、BECKはもう少しヒップホップ寄りというか。たとえばブレイクビーツにどんどん脈絡のないものをのせて音楽を作っていく感じとか、その脈絡のないもののなかに自分のルーツが入るんだけど、「あっ、これってあれだ」っていうのが手に取るようにわかるくらい趣味が似てるように感じましたね。ファンクとかソウルとかだけじゃなくて、グランジだったりノイズだったり、そういうものがどんどん入ってきて、「うわ、これも俺と一緒だ」みたいな。俺のアルバムもけっこうブレイクビーツの上にいろんなものをどんどんサンプリングしてのせていく過程でできていく曲がほとんどだったので、それが「同じ所を見て作ってるんだろうな」と、完全にうれしくなったんですよね。
当時のBECKの“ヘタウマ感”も俺とすごく似ていた、とスガは続ける。
スガ:ヘタなところを隠さずに、きっちりしたものとして出さずに、ギターの音とかもよれちゃってて、そのよれてるのがカッコいいんだよ、みたいなヘタウマ感もBECKと共通しているところがあった。
鹿野:なんか伸びちゃってるアナログテープの音を使っているような感じを、あえて入れてるんですよね。
スガ:そのときにしかできない、そのときしか鳴らせない音をひとつのサンプリングとして使うみたいな感じでしたよね。
■どうしても勝てなかったライバルが意外
スガが『Clover』の直前に出したシングルは、音楽チャートで初登場99位。本人もスタッフも「まあ、こんなもんだろうな」と思っていたが、アルバムは外資系のCDショップを中心にヒットした。しかし、意外なライバルが……。
スガ:いろんな人がアルバムを待ってくれて、アルバムが突然トップ10に入ったんです。
鹿野:そうだったね。
スガ:「特に外資系のCDショップで売れています」「音楽が本当に好きな人たちがみんな買ってくれてるんですよ」みたいな声を聞いて、すごくうれしかった。でも、そのときに全国のCDショップにインストアライブで回ると、どこ行っても猿岩石には勝てないんですよ。
鹿野:そこ、ライバルだったの(笑)。
スガ:全部、僕のアルバムが2位なんですよ。外資系のCDショップでは強いはずなのに、どこいっても1位が猿岩石で僕が2位……それで最後まで抜けなかったですね。
鹿野:猿岩石は外資系に限らずどこでも人気があったってことでしょうね。
スガ:だから、音楽好きの聴く音楽と、本当に売れている音楽はケタが違うんだと思い知らされましたね
猿岩石のファーストアルバム『まぐれ』は、鹿野が「ズルい」と表現するほど、そうそうたるミュージシャンが参加している。
鹿野:音楽プロデューサーの亀田誠治さんが、何曲もアレンジとプロデュースを担当しているんです。
スガ:そうなんだ!
鹿野:しかも、電気グルーヴのオリジナルメンバーで、このアルバムの後に浜崎あゆみさんとかの楽曲とかを手がけていったCMJKも関わっていて、けっこういいあんばいの人たちと一緒に仕上げてるんですよね。
スガ:マジか! 完全武装していたんだ。そこに俺は何も知らないで、竹やりみたいなもので挑んだわけですね(笑)。
鹿野がプロデューサーを務める大型音楽フェス「VIVA LA ROCK 2020」は、例年通りのGW開催を断念。7月下旬から8月初頭での延期開催を模索中だ。詳しくは公式サイトをチェック。
次回、4月12日(日)は、オリジナル・ラブの田島貴男がゲストに登場。のオンエアは21時から。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年4月12日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』
放送日時:毎週日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/experience/
初回の4月5日(日)のオンエアは、大型音楽フェス「VIVA LA ROCK」プロデューサーの鹿野 淳が登場。「1997年の東京」をテーマに音楽トークで盛り上がった。
■スガが迷ったときに、道を切り拓いてくれる存在
スガと鹿野は、鹿野が創刊した音楽専門誌『MUSICA』の取材などでも関わりを持つが、出会いは友人の葬式だったそうだ。
スガ:そういう変な出会い方をしちゃたんだけど、その後に、雑誌の取材とかでもいろいろと話すようになって、俺が音楽的にどうしたらいいかと道に迷っているときに、けっこう的確なことをバスッと言ってくれたりする存在です。鹿野さんに道を切り開いてもらったミュージシャンは他にもいると話を聞くので、「この人は実は日本のロックを裏から操っているんじゃないか」といううわさもあります。
鹿野:スガさん、すごく僕のことをよく言ってくれたけど、前に僕と直接話したときは「鹿野さんの話は100個のうち、97個はぶっ飛びすぎてついていけないんだけど、たった3個くらいだけめちゃくちゃ的確だから、それを取り入れたくなる。それを聞き逃すと、鹿野さんと付き合う価値がなくなる」って言ってましたよね(笑)。
スガ:鹿野さんの話を聞き逃さないように捕まえていきたいと思います(笑)。
■97年のフジロックは、過酷だけど「夢のような現実」
今回、鹿野が選んだテーマは「1997年の東京」。この歳はスガのデビューイヤーでもある。音楽ジャーナリストである鹿野は、この年に開催された「FUJI ROCK FESTIVAL'97」(以下「フジロック」)が最も印象的な出来事のひとつだったという。台風直撃によって豪雨が襲い、まだ観客も野外フェスに慣れていなかったことから、惨状を呈したことが音楽ファンの間で語り継がれている。
鹿野:なかなか日本に来られなかったRage Against the MachineやThe Prodigyが来ると。そしてBECKも来るし、さらに台風まで来るとは思わなかった。
スガ:(笑)。初開催となったこの年のフジロックはニュースで見てたんだけど、ヒドいことになってましたよね。
鹿野:ヒドいって言葉がいちばん的確ですよね。だから大惨敗な気持ちで山を下りるっていうね。でも、それ以上にRage Against the MachineやThe Prodigy、BECK、Aphex Twinとかが、一堂にやってくるっていう夢のような現実がすごくファンタジーでした。
■デビュー当時のスガ、BECK への気持ちは「俺と一緒だ」
一方、スガは1997年を思い出すために、当時のスケジュール帳を持参。デビュー月の1997年2月のページをめくると……。
スガ:デビューする3日前に合コンをしていますね(笑)。
鹿野:何をやってるんだ(笑)。
スガ:ゆるすぎですよね。あと3月23日(日)に「SMAPレコーディング」って書いてあるんですよね。
鹿野:それ、あの曲ですか?
スガ:たぶんそうじゃないかな。全く覚えてないんですけど、そう書いてありますね。とにかくスケジュールがびっしり。名古屋だ札幌だ大阪だと、各地に行きまくって、その間にファーストアルバム『Clover』のレコーディングをしている感じでしたね。
当時、スガは「BECKは俺と全く同じ景色を描きながら曲を作っている」と感じたという。
スガ:俺もBECKもルーツはほとんど一緒だと思うんですけど、BECKはもう少しヒップホップ寄りというか。たとえばブレイクビーツにどんどん脈絡のないものをのせて音楽を作っていく感じとか、その脈絡のないもののなかに自分のルーツが入るんだけど、「あっ、これってあれだ」っていうのが手に取るようにわかるくらい趣味が似てるように感じましたね。ファンクとかソウルとかだけじゃなくて、グランジだったりノイズだったり、そういうものがどんどん入ってきて、「うわ、これも俺と一緒だ」みたいな。俺のアルバムもけっこうブレイクビーツの上にいろんなものをどんどんサンプリングしてのせていく過程でできていく曲がほとんどだったので、それが「同じ所を見て作ってるんだろうな」と、完全にうれしくなったんですよね。
当時のBECKの“ヘタウマ感”も俺とすごく似ていた、とスガは続ける。
スガ:ヘタなところを隠さずに、きっちりしたものとして出さずに、ギターの音とかもよれちゃってて、そのよれてるのがカッコいいんだよ、みたいなヘタウマ感もBECKと共通しているところがあった。
鹿野:なんか伸びちゃってるアナログテープの音を使っているような感じを、あえて入れてるんですよね。
スガ:そのときにしかできない、そのときしか鳴らせない音をひとつのサンプリングとして使うみたいな感じでしたよね。
■どうしても勝てなかったライバルが意外
スガが『Clover』の直前に出したシングルは、音楽チャートで初登場99位。本人もスタッフも「まあ、こんなもんだろうな」と思っていたが、アルバムは外資系のCDショップを中心にヒットした。しかし、意外なライバルが……。
スガ:いろんな人がアルバムを待ってくれて、アルバムが突然トップ10に入ったんです。
鹿野:そうだったね。
スガ:「特に外資系のCDショップで売れています」「音楽が本当に好きな人たちがみんな買ってくれてるんですよ」みたいな声を聞いて、すごくうれしかった。でも、そのときに全国のCDショップにインストアライブで回ると、どこ行っても猿岩石には勝てないんですよ。
鹿野:そこ、ライバルだったの(笑)。
スガ:全部、僕のアルバムが2位なんですよ。外資系のCDショップでは強いはずなのに、どこいっても1位が猿岩石で僕が2位……それで最後まで抜けなかったですね。
鹿野:猿岩石は外資系に限らずどこでも人気があったってことでしょうね。
スガ:だから、音楽好きの聴く音楽と、本当に売れている音楽はケタが違うんだと思い知らされましたね
猿岩石のファーストアルバム『まぐれ』は、鹿野が「ズルい」と表現するほど、そうそうたるミュージシャンが参加している。
鹿野:音楽プロデューサーの亀田誠治さんが、何曲もアレンジとプロデュースを担当しているんです。
スガ:そうなんだ!
鹿野:しかも、電気グルーヴのオリジナルメンバーで、このアルバムの後に浜崎あゆみさんとかの楽曲とかを手がけていったCMJKも関わっていて、けっこういいあんばいの人たちと一緒に仕上げてるんですよね。
スガ:マジか! 完全武装していたんだ。そこに俺は何も知らないで、竹やりみたいなもので挑んだわけですね(笑)。
鹿野がプロデューサーを務める大型音楽フェス「VIVA LA ROCK 2020」は、例年通りのGW開催を断念。7月下旬から8月初頭での延期開催を模索中だ。詳しくは公式サイトをチェック。
次回、4月12日(日)は、オリジナル・ラブの田島貴男がゲストに登場。のオンエアは21時から。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年4月12日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』
放送日時:毎週日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/experience/
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