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16時に仕事が終わり、夏休みは1ヶ月間…フィンランドの働き方から日本が学べること

16時に仕事が終わり、夏休みは1ヶ月間…フィンランドの働き方から日本が学べること

北欧の国フィンランド。最近では、34歳の女性首相誕生のニュースが日本でも話題となった。人口約550万人の小さな国だが、16時終業、1か月間の夏休みがあるなど、その働き方は世界中から注目されている。

J-WAVEで放送中の『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)、1月29日(水)のオンエアでは、フィンランド人の働き方の秘密にフォーカス。ゲストにフィンランド大使館広報部スタッフでライターでもある堀内都喜子さんを迎え、フィンランドの労働環境について話を訊いた。

【1月29日(水)『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)】


■高い税金、高い満足度

国連より毎年発表される世界の幸福度ランキング。2018年のランキングでは、フィンランドが前年の5位から1位へと躍進。堀内さんは「幸福度の高さは満足度の高さ」だと語る。

堀内:幸福度というと「ハッピーハッピー」な感じを思い浮かべると思います。フィンランド人に「ハッピーですか?」って訊くと、「うーん、別にハッピーだとも思わないけど」と言われることが多いかもしれません。フィンランド人は自虐的なところもありますし、すごくハッピーかっていうと違っていて、「満足している」という意味の幸福度なんです。ある程度国が安定していて、自分が思い描いていた理想の人生がある程度送れている、という意味の満足度、幸福度なんですよね。
サッシャ:へぇ~。税金が高いから「お金がない」とかはないんですか?
堀内:そうですね。税金でけっこう持っていかれますが、その分授業料も無料で博士(課程)まで勉強できますし、ある程度最低限の生活が保障されています。税金の満足度は8割、9割と言われています。
サッシャ:そのくらい税金を払っても構わない、という人が8割9割いる?
堀内:そうです。


■どんな仕事の人も有休を取る

フィンランドでは8時に仕事を始め、16時には帰宅の準備をする。プライベートを重視したその働き方は、世界からも注目を浴びている。また、有休を消化し約1か月の夏休みを取るのも、ヨーロッパならではの文化だと言えるだろう。

サッシャ:(夏休みは)家族がいる人が優先ですか? ドイツはそうなんですけど。
堀内:どうしても優先になってきます。ただし、皆さんプライベートを充実させたいので、家族がいなくても平日ももちろん定時で帰りますし、有休も取りたいときに取るという感じですね。
増井:人の顔色を伺うってことはないんですか?
堀内:そういうのはないです。調整するというか、カバーし合わないといけません。たとえば、だいたい夏休みを取る時期は6月から9月なんですが、誰かがいて会社を回さなければいけないので、上の人から優先というのはありますね。そこは交渉次第です。
サッシャ:ドイツだと、子どもがいて夏休みの期間が決まっている人が優先的に日程を決めて、独身の人や子どものいない人はそれ以外から取るという形ですね。
堀内:そうですね。たとえば、今大使館の中でも12月くらいから「夏休みどうする?」「いつ取る?」という交渉が始まっています(笑)。みんな、なんとなく伺ってます。
サッシャ:バカンスのために仕事をするという感覚はあります?
堀内:そこまでバカンスのために……というのはないですが、有休を絶対に取るのは大前提です。(取らないことで)罰則はありませんが、お金が支給されることになります。会社はお金で払いたくないですし、ウェルビーイングという心身の健康や幸せをすごく大事にするので、絶対休みましょうということは口酸っぱく言いますね。
サッシャ:文化なのかな。
堀内:そうですね。本当に徹底しています。それはどんな仕事であっても同じで、首相も1か月休みます。お医者さんでも芸能関係でも、誰であっても休みはしっかり取りますね。逆に不便なこともあって、病院とかクリニックは夏休みは人出が少なくなります。その間は学生を雇ったりもしますが、少ないんです。そのため急ぎじゃない場合は、「なるべく予約は取らないでほしい」とか「夏は避けてほしい」など言われることがあります。


■「お互い様」の精神がよりよい働き方を実現する

「職業にかかわらず、長期休暇を取ることが当たり前」という文化を持つフィンランド。その働き方を実現しているのは「代理人」の存在だ。政府や企業などさまざまな場所で、重要なポストの人は代理を立てて休暇を取るのだという。日本でもフィンランド式の働き方を取り入れることはできるのだろうか。

堀内:この人がいないと絶対にだめ、みたいな働き方だとやっぱり難しいです。その人に何かあって万一休むことになっても、カバーし合える相手とペアになる。そういう働き方が必要です。あとはワークライフバランスやウェルビーイングも大切で、それがないと仕事が続きません。これからますます少子化になると、余計にそうだと思うんです。フィンランドは550万人の少ない人口なので、効率を上げないと国として維持できません。だからこそ、効率とウェルビーイングを大事にして長くやってもらうというのも大切にしています。
サッシャ:フィンランドは効率がいいんですか?
堀内:(仕事の)終わりの時間を決めているので、働くときはガッチリ働くし休むときは休むというオンオフがきっちりしています。
サッシャ:集中力は日本人より高いイメージがある?
堀内:そうですね。特に休みのあとは皆さんすごい集中力で働くので、やっぱり休みって重要だなというのはすごく感じます。
増井:そういった文化っていうのは、もともとというか、前からずっと続いてきたことなんですか?
堀内:たぶんそれもあります。ほかにも“コーヒーブレイク”とか“エクササイズブレイク”といった、休憩時間にちょっと運動したりコーヒーを飲むっていうのも法律で決められているんですよ。

フィンランドでは消費者としての便利さよりも、労働者の権限を重視している。「お互い様」の精神と寛容さも、フィンランドの働き方を支えているとのことだ。

サッシャ:(日本でも)すぐにでも意識改革できるところはありますか?
堀内:まずは無駄がないかを徹底して考える必要はあります。絶対こうじゃなきゃいけない、と思いすぎているところや固執しすぎている部分が日本はあると思うんです。でも、他の選択肢があるんじゃないかなとまず考えてみて、自分の仕事や生活を見直し、みんなで話し合える雰囲気が作れるといいですね。
増井:(フィンランドの)みんな仲間、ワンチームという感じから日本も学ぶところがありそうですね。
堀内:自分もこうだから相手にもこうであってほしい、という考えを抱く人もいると思うんです。多様化し、色んな背景を持った人たちが一緒に働いたり、人が不足してくるなかで、モチベーションを保つにはいろんな人を認め合って、いろんな働き方があっていいと思えるようになるといいなと思います。
サッシャ:相手に100点を求めない?
堀内:そうですね。

長時間労働や過労がたびたび話題になる日本。フィンランドの法律や働き方への意識を取り入れながら、働きやすい環境へと改革していきたいものである。ライターとしても活躍する堀内さんの著書『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ新書)も必見だ。

【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone

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