職場で落ち込んでいる人に、よかれと思って励ましの言葉をかけたら、逆に相手を追い込んでしまった……そんな事態を防ぐには、どうすればいいのでしょうか。オンラインカウンセリングサービス「cotree（コトリー）」で、さまざまな人の悩み相談にのっている臨床心理士・徳田勇人さんに「職場でのNGな励ましの言葉」と対処法を訊きました。
【7月9日（月）『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」（ナビゲーター：サッシャ、増井なぎさ）】
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20190709101052（2019年7月16日28時59分まで）
■ジャッジする言葉はNG
梅雨の時期は、低気圧の関係で頭痛になる人や気持ちが落ち込むという人が少なくありません。落ち込んでいる相手に対して、増井は「最近どう？」とさり気なく相手の気持ちを訊くそう。「今日は元気がないね」と言われると嫌な気持ちになることもあるため、「最近どう？」という言葉を選んでいると言います。この接し方は正しいでしょうか。
徳田：とても寄り添っていて、素晴らしいと思います。いきなり「元気がないね」と言ってしまうと、元気がない自分を見透かされている感じになります。本人は隠したい気持ちもあると思うので、徐々に訊いてあげると、安心しながら悩んでいる話に触れられます。
では、どのような声のかけ方がNGなのでしょう。
徳田：「ジャッジするような投げかけ」はNGだと言われています。「落ち込むのはよくないよ」「そんなこと気にしなくても大丈夫だよ」など、言ってしまいがちですが、本人としては気にしなくていいのはわかっていながら引っ張ってしまう、そういう無力感が苦しみのひとつなので、「よい・悪い」といったことを相手に伝えない投げかけが重要になります。
サッシャ：では、どのように言えばいいですか？
徳田：“味方である”ことを伝えると、心理的な安全を感じられます。「あなたの味方だからね」と言うのは照れ臭いですけど、「いつでも話を聞くから溜め込まないで」など、気軽な感じで声をかけるのが第1ステージだと思います。話が深まったら、ツラいことを受け止めてあげて「それは大変だったね」と伝えてあげると、雪解けのように気持ちがほぐされるので、それが第2ステージです。
■励ましの言葉が刺激になる場合も…
「頑張ろう」や「頑張って」など、応援の言葉はよくないと徳田さん。
徳田：ポジティブなメッセージは、社会的にもいいものと見られていますが、気持ちが落ちている方だと刺激になりがちです。「頑張って」と言われても頑張れない自分がいたりしますよね。
サッシャ：「頑張ってるけどこういう状況なんだよ」ということもありますよね。
徳田：そうですね。そういうことが、自分と直面してハッキリ見えてしまうことにもなりかねません。
サッシャ：どう言ってあげるべきですか？ 「応援してるよ」とか？
徳田：言いやすい言葉を選んでいただければと思うのですが、「応援してるよ」という言葉に、「あなたのためを思っている」という気持ちが一貫してあるはずなんです。それを伝えることが大切だと思います。
サッシャ：徳田さんのところには、さまざまな悩みを持った人が来ていると思います。少しの声かけで回復する人や重症な人など、どう判断していますか？
徳田：臨床心理士は、いくつか診断基準の項目を見ながら判断したり、対面したときに目のよどみやクマ、髪や服装が乱れている、発語が滑らかではないなど、身体的な変化もみます。
サッシャ：では、我々が職場で落ち込んでいる人を判断するには、どうすればいいですか？
徳田：個々によって違うので一概には言えませんが、一番注意するのは「眠れていなさそうな場合」です。認知能力が落ちて判断ができなくなるので。だから、不安定そうな方がいたら眠れているかどうか確認して、大変そうだったら医療機関を紹介したり、カウンセリングに行くための後押しをしてあげるといいかなと思います。
「あなたは間違っている」「正しいことをしたね」などの相手をジャッジする言葉、「俺も頑張ってるから」「あなたはよくやってるから気にしないで」などはNGです。
「気軽に相談して」「困っていることはある？」「僕にできることはある？」など、フランクに声をかけ、話が進んだら「いつでも聞くからね」「大変なときに頑張ってたんだね」「それはしんどかったね」など、受け止める言葉をかけると、悩んでいる人の心を軽くすることができるかもしれません。
【この記事の放送回をradikoで聴く（2019年7月16日28時59分まで）】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」（有料）なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名：『STEP ONE』
放送日時：月・火・水・木曜 9時－13時
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
【7月9日（月）『STEP ONE』の「BEHIND THE SCENE」（ナビゲーター：サッシャ、増井なぎさ）】
http://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20190709101052（2019年7月16日28時59分まで）
■ジャッジする言葉はNG
梅雨の時期は、低気圧の関係で頭痛になる人や気持ちが落ち込むという人が少なくありません。落ち込んでいる相手に対して、増井は「最近どう？」とさり気なく相手の気持ちを訊くそう。「今日は元気がないね」と言われると嫌な気持ちになることもあるため、「最近どう？」という言葉を選んでいると言います。この接し方は正しいでしょうか。
徳田：とても寄り添っていて、素晴らしいと思います。いきなり「元気がないね」と言ってしまうと、元気がない自分を見透かされている感じになります。本人は隠したい気持ちもあると思うので、徐々に訊いてあげると、安心しながら悩んでいる話に触れられます。
では、どのような声のかけ方がNGなのでしょう。
徳田：「ジャッジするような投げかけ」はNGだと言われています。「落ち込むのはよくないよ」「そんなこと気にしなくても大丈夫だよ」など、言ってしまいがちですが、本人としては気にしなくていいのはわかっていながら引っ張ってしまう、そういう無力感が苦しみのひとつなので、「よい・悪い」といったことを相手に伝えない投げかけが重要になります。
サッシャ：では、どのように言えばいいですか？
徳田：“味方である”ことを伝えると、心理的な安全を感じられます。「あなたの味方だからね」と言うのは照れ臭いですけど、「いつでも話を聞くから溜め込まないで」など、気軽な感じで声をかけるのが第1ステージだと思います。話が深まったら、ツラいことを受け止めてあげて「それは大変だったね」と伝えてあげると、雪解けのように気持ちがほぐされるので、それが第2ステージです。
■励ましの言葉が刺激になる場合も…
「頑張ろう」や「頑張って」など、応援の言葉はよくないと徳田さん。
徳田：ポジティブなメッセージは、社会的にもいいものと見られていますが、気持ちが落ちている方だと刺激になりがちです。「頑張って」と言われても頑張れない自分がいたりしますよね。
サッシャ：「頑張ってるけどこういう状況なんだよ」ということもありますよね。
徳田：そうですね。そういうことが、自分と直面してハッキリ見えてしまうことにもなりかねません。
サッシャ：どう言ってあげるべきですか？ 「応援してるよ」とか？
徳田：言いやすい言葉を選んでいただければと思うのですが、「応援してるよ」という言葉に、「あなたのためを思っている」という気持ちが一貫してあるはずなんです。それを伝えることが大切だと思います。
サッシャ：徳田さんのところには、さまざまな悩みを持った人が来ていると思います。少しの声かけで回復する人や重症な人など、どう判断していますか？
徳田：臨床心理士は、いくつか診断基準の項目を見ながら判断したり、対面したときに目のよどみやクマ、髪や服装が乱れている、発語が滑らかではないなど、身体的な変化もみます。
サッシャ：では、我々が職場で落ち込んでいる人を判断するには、どうすればいいですか？
徳田：個々によって違うので一概には言えませんが、一番注意するのは「眠れていなさそうな場合」です。認知能力が落ちて判断ができなくなるので。だから、不安定そうな方がいたら眠れているかどうか確認して、大変そうだったら医療機関を紹介したり、カウンセリングに行くための後押しをしてあげるといいかなと思います。
「あなたは間違っている」「正しいことをしたね」などの相手をジャッジする言葉、「俺も頑張ってるから」「あなたはよくやってるから気にしないで」などはNGです。
「気軽に相談して」「困っていることはある？」「僕にできることはある？」など、フランクに声をかけ、話が進んだら「いつでも聞くからね」「大変なときに頑張ってたんだね」「それはしんどかったね」など、受け止める言葉をかけると、悩んでいる人の心を軽くすることができるかもしれません。
【この記事の放送回をradikoで聴く（2019年7月16日28時59分まで）】
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番組名：『STEP ONE』
放送日時：月・火・水・木曜 9時－13時
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