J-WAVEで放送中の番組『RADIO SWITCH』。この番組は【Listen to the Magazine, Reading the Radio 雑誌を聴く、ラジオを読む。】をコンセプトに、カルチャーマガジン『SWITCH』、旅の雑誌『Coyote』、新しい文芸誌『MONKEY』の3つの雑誌とゆるやかに連動しながらお送りしています。
奇数月の4週目はピーター・バラカンが登場し、「BARAKAN SWITCH」と題して1時間まるごとピーター・バラカンの選曲でお届け！ 3月23日（土）のオンエアでは、4月1日に命日を迎えるアメリカのミュージシャン、マーヴィン・ゲイを特集しました。
マーヴィン・ゲイがもし生きていれば、今年の4月2日に80歳を迎えていました。しかし今から35年前の1984年、誕生日の前日（4月1日）にその生涯を閉じます。
1939年4月2日、アメリカ・ワシントンD.C.に生まれたマーヴィン。父はキリスト教ペンテコステ派の牧師で、とても厳しい規律のある宗派でした。4人兄弟の中で、マーヴィンだけは人の言うことをなかなか聞こうとせず、父といつもぶつかっていました。
そんなマーヴィンは、10代の頃にドゥーワップ・グループに参加。その後、当時まだできたばかりだったモータウン・レコードからデビューすることになります。バラード歌手になりたかったマーヴィンは、のちにマーヴィンの妻となる、モータウン・レコード社長の姉の説得により、バラードのアルバムを1枚リリース。その後、レコード会社の提案により、モータウン・レコードが得意とするポップ・ソウルを歌うようになりました。
■マーヴィン・ゲイが大きなショックを受けた盟友の死
容姿がよかったマーヴィンは、モータウンの中では王子様のような存在で、女性から高い人気を獲得。そこで社長は、マーヴィンが女性アーティストとデュエットすれば成功するのでは、と考えます。当時、モータウンで最も売れていたメアリー・ウェルズや、実力派シンガーのキム・ウェストン、タミー・テレルとデュエットしたマーヴィン。特に1967年にタミー・テレルとデュエットした『Ain't No Mountain High Enough』は大ヒットを記録しました。
しかし同年、タミー・テレルに脳腫瘍が発覚。3年後に亡くなってしまいます。そのショックはマーヴィンにとって計り知れないもので、しばらく音楽へのやる気を失ってしまうほどでした。
■当初は大反対されていた大ヒット曲
ソロ活動の中で様々なプロデューサーとタッグを組んだマーヴィン。そのひとりが、1960年代のモータウンの中で最も画期的なことをしていたプロデューサー、ノーマン・ホイットフィールド。彼がソングライターのバレット・ストロングと共作した『I Heard It Through the Grapevine』をマーヴィンでレコーディングしましたが、レーベルの社長は「マーヴィンにはもっと違う雰囲気の曲が合う」という理由で発売することを拒みます。
バラカン：その曲が大ヒットすることは間違いないと思ったノーマン・ホイットフィールドは、（歌手の）グラディス・ナイトで違うバージョンを作って、これがヒットしたんです。それでもノーマン・ホイットフィールドは、マーヴィンが歌ったバージョンを出さないことに納得できなくて、何度も何度もしぶとく会議に提案しました。
最終的にマーヴィンが歌った『I Heard It Through the Grapevine』もリリースされることに。すでにグラディス・ナイトで大ヒットしていたにも関わらず、それ以上の大ヒットを記録することになりました。
■大ヒット曲『What's Going On』でマーヴィンが勝ち取った権利
そして、1971年に大ヒット曲『What's Going On』をリリースしたマーヴィン。しかし、この曲もリリース前には、社長の反対に遭っていたそう。社長は少しでも政治的な内容の曲をリリースすることを反対しており、政治的・社会的なメッセージが入ったこの曲も「まずラジオではかからない」という理由から、出すことに反対していたのです。
しかしマーヴィンは、これを出さないならレコーディングをしないと断言。最終的にシングルをリリースすることになり、これが結果的に200万枚を売り上げる大ヒットを記録しました。
バラカン：アルバム『What's Going On』は、マーヴィンが初めて自分でプロデュースしたレコードです。これまではモータウンがプロデューサーやソングライター決めて、マーヴィンは与えられた曲を歌っていました。モータウンのほかの歌手たちもみんなそうでした。これをきっかけに、自分が自分の音楽をコントロールする権利を勝ち取ったわけです。
【番組情報】
番組名：『RADIO SWITCH』
放送日時：土曜 23時-24時
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/radioswitch/about.html
奇数月の4週目はピーター・バラカンが登場し、「BARAKAN SWITCH」と題して1時間まるごとピーター・バラカンの選曲でお届け！ 3月23日（土）のオンエアでは、4月1日に命日を迎えるアメリカのミュージシャン、マーヴィン・ゲイを特集しました。
マーヴィン・ゲイがもし生きていれば、今年の4月2日に80歳を迎えていました。しかし今から35年前の1984年、誕生日の前日（4月1日）にその生涯を閉じます。
1939年4月2日、アメリカ・ワシントンD.C.に生まれたマーヴィン。父はキリスト教ペンテコステ派の牧師で、とても厳しい規律のある宗派でした。4人兄弟の中で、マーヴィンだけは人の言うことをなかなか聞こうとせず、父といつもぶつかっていました。
そんなマーヴィンは、10代の頃にドゥーワップ・グループに参加。その後、当時まだできたばかりだったモータウン・レコードからデビューすることになります。バラード歌手になりたかったマーヴィンは、のちにマーヴィンの妻となる、モータウン・レコード社長の姉の説得により、バラードのアルバムを1枚リリース。その後、レコード会社の提案により、モータウン・レコードが得意とするポップ・ソウルを歌うようになりました。
■マーヴィン・ゲイが大きなショックを受けた盟友の死
容姿がよかったマーヴィンは、モータウンの中では王子様のような存在で、女性から高い人気を獲得。そこで社長は、マーヴィンが女性アーティストとデュエットすれば成功するのでは、と考えます。当時、モータウンで最も売れていたメアリー・ウェルズや、実力派シンガーのキム・ウェストン、タミー・テレルとデュエットしたマーヴィン。特に1967年にタミー・テレルとデュエットした『Ain't No Mountain High Enough』は大ヒットを記録しました。
しかし同年、タミー・テレルに脳腫瘍が発覚。3年後に亡くなってしまいます。そのショックはマーヴィンにとって計り知れないもので、しばらく音楽へのやる気を失ってしまうほどでした。
■当初は大反対されていた大ヒット曲
ソロ活動の中で様々なプロデューサーとタッグを組んだマーヴィン。そのひとりが、1960年代のモータウンの中で最も画期的なことをしていたプロデューサー、ノーマン・ホイットフィールド。彼がソングライターのバレット・ストロングと共作した『I Heard It Through the Grapevine』をマーヴィンでレコーディングしましたが、レーベルの社長は「マーヴィンにはもっと違う雰囲気の曲が合う」という理由で発売することを拒みます。
バラカン：その曲が大ヒットすることは間違いないと思ったノーマン・ホイットフィールドは、（歌手の）グラディス・ナイトで違うバージョンを作って、これがヒットしたんです。それでもノーマン・ホイットフィールドは、マーヴィンが歌ったバージョンを出さないことに納得できなくて、何度も何度もしぶとく会議に提案しました。
最終的にマーヴィンが歌った『I Heard It Through the Grapevine』もリリースされることに。すでにグラディス・ナイトで大ヒットしていたにも関わらず、それ以上の大ヒットを記録することになりました。
■大ヒット曲『What's Going On』でマーヴィンが勝ち取った権利
そして、1971年に大ヒット曲『What's Going On』をリリースしたマーヴィン。しかし、この曲もリリース前には、社長の反対に遭っていたそう。社長は少しでも政治的な内容の曲をリリースすることを反対しており、政治的・社会的なメッセージが入ったこの曲も「まずラジオではかからない」という理由から、出すことに反対していたのです。
しかしマーヴィンは、これを出さないならレコーディングをしないと断言。最終的にシングルをリリースすることになり、これが結果的に200万枚を売り上げる大ヒットを記録しました。
バラカン：アルバム『What's Going On』は、マーヴィンが初めて自分でプロデュースしたレコードです。これまではモータウンがプロデューサーやソングライター決めて、マーヴィンは与えられた曲を歌っていました。モータウンのほかの歌手たちもみんなそうでした。これをきっかけに、自分が自分の音楽をコントロールする権利を勝ち取ったわけです。
【番組情報】
番組名：『RADIO SWITCH』
放送日時：土曜 23時-24時
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/radioswitch/about.html
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