音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
オダギリジョー、初の長編監督作のテーマは「発展していくものと、その影で消えゆくもの」

オダギリジョー、初の長編監督作のテーマは「発展していくものと、その影で消えゆくもの」

J-WAVEで放送中の番組『RADIO SWITCH』。この番組は【Listen to the Magazine, Reading Radio 雑誌を聴く、ラジオを読む。】をコンセプトに、カルチャーマガジン『SWITCH』、旅の雑誌『Coyote』、新しい文芸誌『MONKEY』の3つの雑誌とゆるやかに連動しながらお届け。

9月7日(土)は、『SWITCH』編集長・新井敏記による、オダギリジョーへのインタビューの模様をオンエアした。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年9月14日28時59分まで)


■流行とは違う映画を

オダギリは映画『ある船頭の話』で、初めて長編の監督を務めた。9月13日(金)に公開される。

同作の舞台は、明治黎明期の山深い川辺の村。橋の建設を通して、時代に取り残されていくひとりの人間を描く。主人公である船頭のトイチを演じるのは柄本 明。撮影監督にはクリストファー・ドイルを起用した。オダギリジが長年温めてきたというオリジナルの脚本には、どんな想いが込められているのだろうか? いくつかあたためている脚本があるなかで、「今の時代を考えたときに、『これを作るべきだ』と思った」のが同作なのだという。

オダギリ:今の日本映画の流れとか、流行りとか、そういうものとまったく違うじゃないですか? そういう類の映画を発表することの大切さみたいなことを、やっぱりちゃんとやらなきゃダメだなと思いました。だからこそ、こういうゆったりとした、と言っていいのか、ゆっくり自然を見せていくタイプの映画にしようと思いました。


■『ある船頭の話』の脚本を書くきっかけのエピソード

主人公は、文明とは関係のないところで孤独に生きる男。脚本を書いた10年前は、オダギリ自身が演じるつもりだったそうだ。

新井:柄本さんは70代。10年前であれば30代のオダギリさんが演じるのとでは、具体的に何が変わりましたか?
オダギリ:大きく変わったのは、少女との関係性ですかね。途中から少女が話のキーポイントになっていくんですけど、いちばん最初にこういう物語を書いてみようと思った理由のひとつが、女の子を持つ父親と話していたときに、「まだ小学生なのに相手によって態度を変えたり、もうすでに女の部分を持ち始めてるんだ」みたいな会話になったんです。それって女性的だし、男にはない感覚じゃないですか。「それはすごいおもしろいね」って言って、そういう物語を書いてみたいなっていうのはいちばん最初にあったんです。

そのため当初は、船頭に淡い恋心のようなものを抱く少女、という設定で物語を進める予定だったのだが、船頭を柄本にしたことでその設定はなくし、おじいちゃんと孫のような設定で書き直したという。


■テーマは「発展していくものと、その影で消えゆくもの」

10年間もあたためていた脚本を今撮ろうと思ったきっかけは?

オダギリ:この10年で社会は大きく変わったんだと思うんですよ。ネット社会とかスマホとかが、10年前よりも格段に勢いを増してしまって。10年前って、まだガラケーでしたもんね?
新井:そうですね。
オダギリ:みんなガラケーを持ってたと思うんですけど、それと比べて今は、すでにもう何歩も先に行ってしまっている気がして。

10年前のオダギリは、多くの旅を経験していた。その中で、中国の奥地に行ったときに、1日中、羊を追っている少年を見たという。朝の出かける前にその少年を見て、帰ってきてもまだ同じ場所で羊を追っている。「本当に毎日この子は、365日羊と過ごすんだろうなぁ」と当時のオダギリは感じた。一方で今、日本の子どもたちはスマホでゲームをやっている、そのギャップを考えさせられることが多くなってきたという。

オダギリ:生活の違いと人生の違いと、そこで生まれる価値観がどうひとりの人間の人生を左右するか。......みたいなことが、すごくおもしろいなって思ったんです。海外に行くことなく、日本だけで生活していたら気づかなかったことかもしれないし、そういう場所に身を置いたからこそ、生き方を考え直したいなっていう気持ちにもなってましたね。雑誌もそうですけど、テレビであったり映画であったり、僕が関わるメディアの在り方までも、すごく変わってきているし、そういう中でこの映画が問いかける「発展していくものと、その影で消えゆくもの」っていうテーマが、10年前よりもよりはっきりした気がしましたね。より伝わりやすい社会になってしまっているんだろうなと思いました。


■壊すことからモノ作りは始まる

しかしオダギリは、「自分で書いておきながら、明確に『観てくださる方にメッセージを届けたい』とも思っていないんです」と語る。観る人にメッセージを投げ掛ける、という大袈裟なことはしたくないのだそうだ。

オダギリ:だからこの映画は、「うまくバランスが取れている」って言ってもらえると嬉しいんですけど、あんまり答えを渡そうとしていないだけなんです。
新井:自分で自分自身の完成されるものを壊していく過程もあるような気がしましたけどね。それが逆におもしろいなと思って。
オダギリ:そうですね(笑)。
新井:だから前半のリズムと後半にまた違っていく感じが(笑)。
オダギリ:そういうタチですね(笑)。
新井:そのリズムの違いみたいなものが、すごくおもしろいなと思いました。
オダギリ:やっぱり僕の中で、何かを「作る」っていうことと「壊す」っていうことは似ていると思っているし、「壊す」っていうことからモノ作りが始まるっていうほうが大きいのかもしれないですね。だから、音楽を作るときでも、今まで聴いたことのあるようなものから「どれだけ壊せるか」とか。ファッションもそうですね。流行っているものからどれだけ遠ざかれるか、とか、そのスタイルを壊してぐちゃぐちゃにできるか、っていうことから始めている気がします。

オダギリの長編初監督作品となる『ある船頭の話』。ぜひ劇場に足を運んでもらいたい。

【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『RADIO SWITCH』
放送日時:土曜 23時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/radioswitch/about.html

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