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小島秀夫が語る、未来のゲームとは? 世界中が待ち望む新作『DEATH STRANDING』進捗も報告

小島秀夫が語る、未来のゲームとは? 世界中が待ち望む新作『DEATH STRANDING』進捗も報告

J-WAVEで放送中の番組『TRUME TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。3月2日(土)のオンエアでは、ゲームクリエイター・小島秀夫さんがゲストに登場。新作ゲーム『DEATH STRANDING』のお話や、ゲームの未来について訊きました。


■ゲーム制作でいちばん重要なことは?

大ヒットゲーム『メタルギア』シリーズの生みの親として、世界中にファンを持つ小島さん。その緻密なストーリー設計は「映画を超えている」とまで言われ、ハリウッドのクリエイターからも注目を集めています。

そんな小島さんが手掛ける新作ゲーム『DEATH STRANDING』のリリースを、いま世界中のファンが心待ちにしています。制作はどのくらい進んでいるのでしょうか。

小島:最初から終わりまでのストーリーやデザインがあるなか、オープンワールドのゲームなので、それを組み上げている状態で、まだ調整段階というレベルではありません。現在は毎日コントローラーを握りながら「ここはこうしよう」「ここの演出を変えよう」とやっているところです。

気になる発売日について、小島さんは「計画した発売日より遅れるスタジオが多いなか、『DEATH STRANDING』は当初の計画からは少しずれているものの、大きくは遅れていない」と進捗を報告。

市川:発売日があるために、やりたかったことを妥協することはありますか?
小島:妥協は少なからずあります。アマチュアの芸術作品であれば満足いくまで作り込めるじゃないですか。でも、納期があるからこそ目標を立てて、優先順位をつけて作ることが可能になる。僕は納期がなければずっと作っているタイプなので、納期があるから頑張れるし、そこまでにできることをやっています。ただ、自分の合格ラインを下回るときは出せないです。

ゲーム制作において、小島さんは何をいちばん大事にしているのでしょうか。

小島:グラフィック、サウンド、演出、ゲームプレイのクオリティなども当然重要ですが、最初に企画したときは僕の中にしか見えないんです。だから、プレゼンをしても、新しいゲームはほとんど理解されない。そのなかでいちばん大切なのは、僕の中にしか見えないモノが実際に表現されているかどうか。かたちのないものを作ることは、見たこともないものを作ることなので、右か左かの選択を間違えると違うゲームになってしまいます。新しいゲームはそのリスクが高いです。

さらに、一般の人に新作ゲームのモニターをしてもらったときに、「やりたかったことがうまく表現できていないから、面白くなかった」のか「作りきったけど、そもそもゲーム性自体が面白くない」のか、そこの見極めが重要になると話します。

小島:その見極めをしっかりしないと、お客さんに合わせて最初にやりたかったことをどんどん崩してしまう。お客さんがほしい要素を入れて、自分が最初に見たビジョンとは違うゲーム性のものを作ってしまうと、そのゲームが売れたとしても最初からそのモノ作りはなかったことになる。それは絶対に避けたいですね。


■未来のゲームは「ストリーム」とAIがカギになる

テクノロジーが進化するなか、これからのエンターテインメントで小島さんが注目するのは「ストリーム」です。

小島:動画配信サービスで映画やドラマ、コメディーなどが観れます。一昔前までは圧縮して粗い画像でしたが、今は解像度が高く普通に観られるようになった。ゲームもこのサービスに続く流れがあるので、5年くらいでエンターテインメントは変わると思います。映画とゲームって180度違うものだけど、この間が埋まってくるので、映画とゲームがひとつのエンターテインメントとなる未来がくると思います。この未来に僕はいち早く進みたいと考えています。
市川:その未来になると、作り手はどう変化していきますか?
小島:映画でもなくゲームでもないという切り口なので選択肢が増えます。映画は観るだけで、ゲームはプレイするだけだけど、そことは違う側面がテクノロジーによって出てくるので、作り手も驚くし遊び手も変わってきますね。

そして、その先にあるものはAI(人工知能)だと小島さんは続けます。

小島:10年くらい経つと、冷蔵庫や携帯電話、時計に入っているAIがリンクされ大きなAIとなり、いろいろなサービスを制御してくれるようになります。AIは学習するので、今は人間のスタッフ同士でゲームを制作しているけど、すぐにAIがゲームを作れる時代が訪れます。そうなると、僕だけではなくて一般の人たちもゲームを作れるようになります。たとえばAさんが部品を作って、Bさんがそれとは違う部品を作っても、それをAIがつないでくれて1個の塊にしてくれる。その発表の場もAIが探してくれるので、作り手と遊び手が一緒になって遊びながらサービスを提供できるようになります。
市川:そうなったときに、人間しかできないことは何ですか?
小島:AIはデータベースがあると学習します。たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチの絵をAIに学習させると、絵のデータがあればあるほど、そのデータをもとに新作が描けます。しかし、まったくデータベースがない状態で、新しいものを作ることはできません。一方で、人間はデータベースがなくても、新たな考え方や思考を生み出すことができる。それを生み出し拡散していくと、ある程度のデータベースになるので、それでAIが新作を作る。そして、人間はまた違うところに行く。そうやってAIが追ってくるのを逃げる時代が来ると思います。

番組では小島さんがセレクトした、アイスランドのバンド・Low Roarの『I'll Keep Coming』をオンエア。「たまたまアイスランドに行った時にCD屋で流れていて買ったんです。あまりによかったので、彼らに連絡をして『DEATH STRANDING』の音楽にも提供してもらった」と紹介しました。

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小島秀夫と市川紗椰

【番組情報】
番組名:『TRUME TIME AND TIDE』
放送日時:毎週土曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/timeandtide/

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