J-WAVEで2ヶ月に1度、第1日曜にお送りしている番組『RADIO SAKAMOTO』(ナビゲーター:坂本龍一)。1月6日(日)のオンエアでは、編集者でライターの若林 恵さんをゲストに迎えて、音楽について語り合いました。
■久々の中国は…
まずは2018年について振り返った坂本。2018年末は3作品の映画音楽を手がけ、それぞれ内容がまったく異なる作品だったため、「頭の中がごちゃごちゃになっていた」と話します。そして、12月12日には日本で「ブルガリ アウローラ アワード 2018(BVLGARI AVRORA AWARDS 2018)」に出演。その後、中国・北京に向かいました。
坂本:16年前は北京を通過しただけで、桂林という山水画のような風景のところに行っただけでした。その前はというと、1996年ですね。僕が初めて北京でソロコンサートをやったんです。それ以来といってもいいぐらい。だから、22年ぶりだったのかな。もう違う国といっていいほど変わってるわけですけど。
坂本が初めて中国に行ったのは、映画『ラストエンペラー』の撮影でした。1980年代の北京は、「日本の戦前のようだった」と坂本。その面影はなかったと言います。
坂本:さらに何倍も巨大になってましたね、すべてが。人口が多いというのもあって、すべてが日本の10倍くらいの規模というか。道にもたくさんの高級車が走ってるような世界で、経済力を感じましたね。文化力もだいぶついてきたという印象でした。向こうのアーティストやミュージシャン、アート関係のキュレーターとか、そういう人たちにも会いました。英語もとてもうまくて、海外留学している人も多いしね。今後どうなっていくんですかね。久しぶりの中国で、ごはんもおいしかったし、なかなか興味深いものがありました。
坂本は、2018年12月19日に音源集『坂本龍一 選 耳の記憶 前編』をリリースしました。雑誌『婦人画報』で連載していた、坂本が子どもの頃から聴いてきた音楽を推薦したコラムをまとめたもので、エッセイとCDからなる作品です。後編は1月30日(水)に発売されるので、ぜひチェックしてみてください。
■「2018年の音楽はあまりピンとこなかった」
続いて、若林さんとの対談をお届けしました。若林さんは、IT、テクノロジー、思想、哲学、ポップカルチャーなどについて非常に詳しいうえに、坂本も舌を巻くほどの音楽通です。
坂本:若林さんは驚くほど音楽好きですよね。
若林:今年はちょっと……。僕、一生懸命「Apple Music」なりをちゃんと使おうと思って、60個くらいプレイリストを作りました。
坂本:個人的に作ったの?
若林:面白そうだなと思ったやつを、どこかのフォルダに放り込んでおかないと……。
坂本:忘れちゃうでしょ(笑)。
若林:忘れちゃうんです(笑)。
若林さんは「2018年の音楽はあまりピンとこなかった」そうで、これに坂本も同意します。
ここから話題はアメリカの音楽メディア「ピッチフォーク・メディア」に移り、若林さんは、そこで高い点数を得た日本人女性シンガーソングライター・Mitskiさんのアルバム『Be the Cowboy』や、奇才といわれるイヴ・トゥモアを紹介しました。
坂本:イヴ・トゥモアは一般的に評価が高いんだ?
若林:2018年の「ピッチフォーク」のアルバムの点数では、一番高かったはずですよ。
坂本:えー!
■“跳ね返される音楽”の魅力
続いて、音楽ジャンルの話題から“跳ね返される音楽”について盛り上がりました。
若林:僕はロック、しかもヘビメタから入った人間なんです。それは坂本さんとかの影響なんですけどね。現代音楽の情報とか、入ってくるわけじゃないですか。そうすると、わかんなきゃいけないんだっていう、プレッシャーを感じるわけです(笑)。何度も跳ね返されましたけどね。スッと入れないんですよ。自分の中にコンテクストみたいなのができないと。ただ、跳ね返されるのが、僕は好きなんですけどね。
坂本:僕が跳ね返されたのはレゲエです。
若林:「レゲエ、わかんねえ」って感じですか?
坂本:わかんない。何がいいんだろうと思う。
若林:面白い。
坂本:たぶんいいんだろうと思って、わかんないんだけど聴き続けて、面白いってなるまでに2年かかりました。
「ある日突然、レゲエ空間が見えた。幾何学的な空間」と坂本。それ以来、レゲエを面白く聴けるようになったと言います。
若林:坂本さんでもそういうのあるんですね。
坂本:頭で考えちゃだめなんだね。
若林:そうですね。僕も無理して聴いて、馴染んでくると入り方がわかってくるみたいなことがあるのかなと思うんです。
坂本:分析的に聴いたりしてたらダメなんでしょうね。
オンエアでは他にも、タブラ奏者のU-zhaanさん、グラフィックデザイナーの長嶋りかこさんとともに「オーディションコーナー」をお送りしました。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『RADIO SAKAMOTO』
放送日時:隔月第1日曜 24時-26時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/
■久々の中国は…
まずは2018年について振り返った坂本。2018年末は3作品の映画音楽を手がけ、それぞれ内容がまったく異なる作品だったため、「頭の中がごちゃごちゃになっていた」と話します。そして、12月12日には日本で「ブルガリ アウローラ アワード 2018(BVLGARI AVRORA AWARDS 2018)」に出演。その後、中国・北京に向かいました。
坂本:16年前は北京を通過しただけで、桂林という山水画のような風景のところに行っただけでした。その前はというと、1996年ですね。僕が初めて北京でソロコンサートをやったんです。それ以来といってもいいぐらい。だから、22年ぶりだったのかな。もう違う国といっていいほど変わってるわけですけど。
坂本が初めて中国に行ったのは、映画『ラストエンペラー』の撮影でした。1980年代の北京は、「日本の戦前のようだった」と坂本。その面影はなかったと言います。
坂本:さらに何倍も巨大になってましたね、すべてが。人口が多いというのもあって、すべてが日本の10倍くらいの規模というか。道にもたくさんの高級車が走ってるような世界で、経済力を感じましたね。文化力もだいぶついてきたという印象でした。向こうのアーティストやミュージシャン、アート関係のキュレーターとか、そういう人たちにも会いました。英語もとてもうまくて、海外留学している人も多いしね。今後どうなっていくんですかね。久しぶりの中国で、ごはんもおいしかったし、なかなか興味深いものがありました。
坂本は、2018年12月19日に音源集『坂本龍一 選 耳の記憶 前編』をリリースしました。雑誌『婦人画報』で連載していた、坂本が子どもの頃から聴いてきた音楽を推薦したコラムをまとめたもので、エッセイとCDからなる作品です。後編は1月30日(水)に発売されるので、ぜひチェックしてみてください。
■「2018年の音楽はあまりピンとこなかった」
続いて、若林さんとの対談をお届けしました。若林さんは、IT、テクノロジー、思想、哲学、ポップカルチャーなどについて非常に詳しいうえに、坂本も舌を巻くほどの音楽通です。
坂本:若林さんは驚くほど音楽好きですよね。
若林:今年はちょっと……。僕、一生懸命「Apple Music」なりをちゃんと使おうと思って、60個くらいプレイリストを作りました。
坂本:個人的に作ったの?
若林:面白そうだなと思ったやつを、どこかのフォルダに放り込んでおかないと……。
坂本:忘れちゃうでしょ(笑)。
若林:忘れちゃうんです(笑)。
若林さんは「2018年の音楽はあまりピンとこなかった」そうで、これに坂本も同意します。
ここから話題はアメリカの音楽メディア「ピッチフォーク・メディア」に移り、若林さんは、そこで高い点数を得た日本人女性シンガーソングライター・Mitskiさんのアルバム『Be the Cowboy』や、奇才といわれるイヴ・トゥモアを紹介しました。
坂本:イヴ・トゥモアは一般的に評価が高いんだ?
若林:2018年の「ピッチフォーク」のアルバムの点数では、一番高かったはずですよ。
坂本:えー!
■“跳ね返される音楽”の魅力
続いて、音楽ジャンルの話題から“跳ね返される音楽”について盛り上がりました。
若林:僕はロック、しかもヘビメタから入った人間なんです。それは坂本さんとかの影響なんですけどね。現代音楽の情報とか、入ってくるわけじゃないですか。そうすると、わかんなきゃいけないんだっていう、プレッシャーを感じるわけです(笑)。何度も跳ね返されましたけどね。スッと入れないんですよ。自分の中にコンテクストみたいなのができないと。ただ、跳ね返されるのが、僕は好きなんですけどね。
坂本:僕が跳ね返されたのはレゲエです。
若林:「レゲエ、わかんねえ」って感じですか?
坂本:わかんない。何がいいんだろうと思う。
若林:面白い。
坂本:たぶんいいんだろうと思って、わかんないんだけど聴き続けて、面白いってなるまでに2年かかりました。
「ある日突然、レゲエ空間が見えた。幾何学的な空間」と坂本。それ以来、レゲエを面白く聴けるようになったと言います。
若林:坂本さんでもそういうのあるんですね。
坂本:頭で考えちゃだめなんだね。
若林:そうですね。僕も無理して聴いて、馴染んでくると入り方がわかってくるみたいなことがあるのかなと思うんです。
坂本:分析的に聴いたりしてたらダメなんでしょうね。
オンエアでは他にも、タブラ奏者のU-zhaanさん、グラフィックデザイナーの長嶋りかこさんとともに「オーディションコーナー」をお送りしました。
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【番組情報】
番組名:『RADIO SAKAMOTO』
放送日時:隔月第1日曜 24時-26時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/
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