J-WAVEで2ヶ月に1度、第1日曜にお送りしている番組『RADIO SAKAMOTO』(ナビゲーター:坂本龍一)。7月7日(日)のオンエアでは、坂本が最近手がけた仕事について語りました。
■日本に帰るなら京都!?
この2ヶ月は仕事で、京都、シンガポール、台北に行っていたという坂本。まずは京都のお話から。京都に足を運んだのは、アーティストグループ「ダムタイプ」のメンバー、高谷史郎さんと合宿をするためでした。
坂本:高谷さんの事務所に通って、来年の末に発表を予定している、まぁなんというか、オペラと言っても別にオペラじゃないんですけど、そういうシアターピースというんですかね。その準備で、内容を詰めるという合宿だったんです。
今からちょうど20年前の1999年、『LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999』を発表した坂本。このときに映像ディレクターとして、すべての映像を担当したのが高谷さんでした。それ以降、高谷さんは多くの坂本作品に参加しています。
坂本:2週間近く京都にいたということは、たぶん学生以来、本当になくて。いつも行ってもせいぜい3日くらいなので、京都に長くいられるっていうのは本当に嬉しいですね。僕は東京生まれ東京育ちで、もう随分長くニューヨークに住んでいますけども、「日本に帰るんだったら京都がいいな」とかね。東京は仕事をするところですが、やっぱり住むんだったら日本的な風情が残っているところがいいですね。まあ田舎もいいんですけどね。だから、とても至福の2週間でした。毎日美味しいもの食べ過ぎて、ちょっと美食疲れをしちゃったりして(笑)。いや、そんなに特別お高いところを食べ歩いたわけではなくて、みんなでワイワイと楽しく食べたんですけど、本当にどこ行っても美味しいですね。
■坂本も初めて体験した斬新な演出のコンサート
京都合宿を経て、次はシンガポールと台北にそれぞれ約1週間ずつ滞在しました。シンガポールも台湾も行くのは実に23年ぶりで、当時との変わりように驚いたと明かします。
坂本:シンガポールは超人工的な国というか街というか、六本木が国になったみたいなところだなというのが正直な感想でした。産業といえば、いわゆる経済というか金融ですよね。それと観光かな。日本の富裕層なんかもシンガポールに住むのが流行りだそうですし、シンガポール自体も積極的にそういうことを受け入れて、住みやすいようにしているんでしょうけども、なんかもう超資本主義的な、お金、お金、お金というような……。
しかしその一方で、シンガポールの人たちがとても穏やかで親切だったことに驚いたという坂本。現在、シンガポールではアートや音楽にも力を入れており、そういった街も人もとても気に入ったと話しました。
また、シンガポールに行った目的というのは、坂本が曲を提供した高谷さんの『ST/LL』という作品を観るためでした。
坂本:坂本が『ST/LL』を観に行くよ、ということをシンガポール側のフェスティバルの人が聞きつけて、「だったらコンサートを演ってくれ」ってことになりまして。じゃあやりましょうと。だけど、そのために全部用意するのは大変なので、だったら『ST/LL』の公演が終わった後に、その『ST/LL』の舞台をそのまま使って、そこにピアノを置いて、あるいは機材も置いてコンサートをやる。そういう案でいいんだったら出来るよと。もちろん高谷さんとも相談したら、「ぜひ!」ということで、その翌々日にやったんです。
『ST/LL』の舞台は水深3センチほどの水が張られており、ピアノも水の上に置かれました。坂本も水の上を歩いてピアノやギターのところまで行って演奏するという初めての体験でした。さらに歩いたときに出る水の音に、リアルタイムでエフェクトをかけて水の音も音楽にしてしまう演出だったそうです。
坂本:わりと初めての試み、カンタンにやろうという趣旨だったんですけど、なかなか面白い試みになって。僕もとてもおもしろかったし、観ていた人たちもとても美しくておもしろかったということで、けっこうみんな興奮してくれて、香港からもいろいろなアートの関係者が観に来てくれました。
「今後、日本でも同じような演出でやることができるかも?」と、楽しみな発言をしてくれた坂本。ぜひ実現してほしいですね。
■何十年ぶりかに手がけたアニメ映画が大変
そして以前、坂本がテーマ音楽を手がけた、佐古忠彦監督の映画『米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー~』の続編、『米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』が8月24日から公開されます。こちらも再び坂本がテーマ音楽を担当しました。
その他、『君の名前で僕を呼んで』『サスペリア』の監督で知られるイタリア人監督ルカ・グァダニーノが手がけたショートムービー『The Staggering Girl』、日中韓3ヵ国共同制作のアニメ映画『ずっとずっといっしょだよ』(原題 MY TYRANO:Together,Forever)の音楽も担当したそうです。
坂本:アニメの音楽をやるのは、たぶん『王立宇宙軍 オネアミスの翼』以来、何十年ぶりじゃないかと思います。アニメ映画の音楽の作り方を忘れてたんですけど、難しいですよね、意外と(笑)。
坂本に渡された映像は、まだ手書きの絵で動いてないような状態。セリフも入っていないため、脚本を見ながら自分の頭で動きやセリフを想像しながら音楽を作らなければならず、とても大変だったと制作秘話を明かしました。
その他オンエアでは、タブラ奏者のU-zhaanさん、グラフィックデザイナーの長嶋りかこさんとともに「オーディションコーナー」もお送りしました。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『RADIO SAKAMOTO』
放送日時:隔月第1日曜 24時-26時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/
■日本に帰るなら京都!?
この2ヶ月は仕事で、京都、シンガポール、台北に行っていたという坂本。まずは京都のお話から。京都に足を運んだのは、アーティストグループ「ダムタイプ」のメンバー、高谷史郎さんと合宿をするためでした。
坂本:高谷さんの事務所に通って、来年の末に発表を予定している、まぁなんというか、オペラと言っても別にオペラじゃないんですけど、そういうシアターピースというんですかね。その準備で、内容を詰めるという合宿だったんです。
今からちょうど20年前の1999年、『LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999』を発表した坂本。このときに映像ディレクターとして、すべての映像を担当したのが高谷さんでした。それ以降、高谷さんは多くの坂本作品に参加しています。
坂本:2週間近く京都にいたということは、たぶん学生以来、本当になくて。いつも行ってもせいぜい3日くらいなので、京都に長くいられるっていうのは本当に嬉しいですね。僕は東京生まれ東京育ちで、もう随分長くニューヨークに住んでいますけども、「日本に帰るんだったら京都がいいな」とかね。東京は仕事をするところですが、やっぱり住むんだったら日本的な風情が残っているところがいいですね。まあ田舎もいいんですけどね。だから、とても至福の2週間でした。毎日美味しいもの食べ過ぎて、ちょっと美食疲れをしちゃったりして(笑)。いや、そんなに特別お高いところを食べ歩いたわけではなくて、みんなでワイワイと楽しく食べたんですけど、本当にどこ行っても美味しいですね。
■坂本も初めて体験した斬新な演出のコンサート
京都合宿を経て、次はシンガポールと台北にそれぞれ約1週間ずつ滞在しました。シンガポールも台湾も行くのは実に23年ぶりで、当時との変わりように驚いたと明かします。
坂本:シンガポールは超人工的な国というか街というか、六本木が国になったみたいなところだなというのが正直な感想でした。産業といえば、いわゆる経済というか金融ですよね。それと観光かな。日本の富裕層なんかもシンガポールに住むのが流行りだそうですし、シンガポール自体も積極的にそういうことを受け入れて、住みやすいようにしているんでしょうけども、なんかもう超資本主義的な、お金、お金、お金というような……。
しかしその一方で、シンガポールの人たちがとても穏やかで親切だったことに驚いたという坂本。現在、シンガポールではアートや音楽にも力を入れており、そういった街も人もとても気に入ったと話しました。
また、シンガポールに行った目的というのは、坂本が曲を提供した高谷さんの『ST/LL』という作品を観るためでした。
坂本:坂本が『ST/LL』を観に行くよ、ということをシンガポール側のフェスティバルの人が聞きつけて、「だったらコンサートを演ってくれ」ってことになりまして。じゃあやりましょうと。だけど、そのために全部用意するのは大変なので、だったら『ST/LL』の公演が終わった後に、その『ST/LL』の舞台をそのまま使って、そこにピアノを置いて、あるいは機材も置いてコンサートをやる。そういう案でいいんだったら出来るよと。もちろん高谷さんとも相談したら、「ぜひ!」ということで、その翌々日にやったんです。
『ST/LL』の舞台は水深3センチほどの水が張られており、ピアノも水の上に置かれました。坂本も水の上を歩いてピアノやギターのところまで行って演奏するという初めての体験でした。さらに歩いたときに出る水の音に、リアルタイムでエフェクトをかけて水の音も音楽にしてしまう演出だったそうです。
坂本:わりと初めての試み、カンタンにやろうという趣旨だったんですけど、なかなか面白い試みになって。僕もとてもおもしろかったし、観ていた人たちもとても美しくておもしろかったということで、けっこうみんな興奮してくれて、香港からもいろいろなアートの関係者が観に来てくれました。
「今後、日本でも同じような演出でやることができるかも?」と、楽しみな発言をしてくれた坂本。ぜひ実現してほしいですね。
■何十年ぶりかに手がけたアニメ映画が大変
そして以前、坂本がテーマ音楽を手がけた、佐古忠彦監督の映画『米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー~』の続編、『米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』が8月24日から公開されます。こちらも再び坂本がテーマ音楽を担当しました。
その他、『君の名前で僕を呼んで』『サスペリア』の監督で知られるイタリア人監督ルカ・グァダニーノが手がけたショートムービー『The Staggering Girl』、日中韓3ヵ国共同制作のアニメ映画『ずっとずっといっしょだよ』(原題 MY TYRANO:Together,Forever)の音楽も担当したそうです。
坂本:アニメの音楽をやるのは、たぶん『王立宇宙軍 オネアミスの翼』以来、何十年ぶりじゃないかと思います。アニメ映画の音楽の作り方を忘れてたんですけど、難しいですよね、意外と(笑)。
坂本に渡された映像は、まだ手書きの絵で動いてないような状態。セリフも入っていないため、脚本を見ながら自分の頭で動きやセリフを想像しながら音楽を作らなければならず、とても大変だったと制作秘話を明かしました。
その他オンエアでは、タブラ奏者のU-zhaanさん、グラフィックデザイナーの長嶋りかこさんとともに「オーディションコーナー」もお送りしました。
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【番組情報】
番組名:『RADIO SAKAMOTO』
放送日時:隔月第1日曜 24時-26時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/
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