戦争、テロ、災害、環境破壊など、世界各地でカタストロフ(大惨事)が発生しています。美術は、社会を襲う大惨事や個人的な悲劇と、どのように向き合ってきたのでしょうか。そして、私たちが再生を遂げるためにどのような役割を果たすことができるのでしょうか。現在、開催中の六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 「カタストロフと美術のちから展」では、そんなことを考えさせられます。
J-WAVEは「WOW!」と思える都市生活をデザインするキャンペーン「WOW! TOKYO」を行っています。10月は「FALL FOR ARTS」をテーマに、アートを身近に感じられる企画を実施しました。そのひとつとして、「カタストロフと美術のちから展」ともコラボレーション。森美術館を貸し切りにし、キュレーターがじっくりと作品を紹介するアートピクニックを行いました。
開催したのは10月23日(火)。180名近くの応募から選ばれた28名が参加。森美術館キュレーター・近藤健一のガイドで、作品を鑑賞しました。
トーマス・ヒルシュホーン《崩落》
入ってすぐに私たちを待ち受けるのは、崩れ落ちた建物を再現した作品『崩落』(トーマス・ヒルシュホーン(1957年スイス、ベルン生まれ、パリ在住)。その原因が、戦争なのか自然災害なのかは明らかにされていませんが、日常が崩壊した衝撃が感じられる作品です。
東日本大震災に見舞われた町の写真や、阪神・淡路大震災をテーマにした絵画など、展示は続いていきます。『原子爆弾』(ミリアム・カーン)は、初見だと美しい抽象画に見えますが、解説を訊くと“きのこ雲”であることがわかります。近藤さんは、「人の脳は一度“それ”だと認識すると、もうそれにしか見えないのです」「また、この作品には、原爆実験の様子を美しいと感じてしまった作家の複雑な思いが込められています」と解説しました。
ミロスワフ・バウカ《石鹸の通路》
清潔感のある香りが漂うのは『石鹸の通路』(ミロスワフ・バウカ)。石鹸は、生まれたばかりの赤ちゃんを洗うこともあれば、遺体を洗うこともある、生と死のメタファーです。作者はポーランド生まれのため、アウシュヴィッツ強制収容所で多くの命を奪った「シャワー室」に行く前に手渡されたの意味も込められています。話を聞いてから作品内を通ると、ぞくっと震えが走ります。近藤さんによると、本展で使用された石鹸は、とあるドラッグストアのPB製品なのだとか。意外な裏話も交えながら、アートピクニックは進んでいきます。
ヒワ・K《鐘》
ヒワ・Kの『鐘』は、イラクで集めた武器を溶かして制作されたもの。通常は展示のみですが、この日は特別に鳴らすことに。平和を願う深い鐘の音に、参加者は静かに耳を傾けました。
オノ・ヨーコ《色を加えるペインティング(難民船)》
展覧会の最後を飾るのは、オノ・ヨーコによる『色を加えるペインティング(難民船)』。白、黒、青のクレヨンを用いて観客がペインティングすることで“完成”する作品です。今回のアートピクニックの参加者も、思い思いに平和への願いを刻み込みました。
多くのアーティストたちが、さまざまな「カタストロフ」を芸術作品という形で語り継いできました。客観性が重視される報道とはまた違った形で、私たちの胸を揺さぶる展覧会です。解説を聞きながら観賞するアートピクニックは、よりいっそう理解を深める、貴重な機会となりました。
「カタストロフと美術のちから展」は、2019年1月20日(火)まで六本木ヒルズ・森美術館にて開催しています。詳しくは森美術館の公式サイトをご覧ください。
【開催情報】
「カタストロフと美術のちから展」
・会期:2018.10.6(土)~ 2019.1.20(日)
※会期中無休
・開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし2019年1月1日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
・料金
一般:1,800円
学生(高校・大学生):1,200円
子供(4歳~中学生):600円
シニア(65歳以上):1,500円
J-WAVEは「WOW!」と思える都市生活をデザインするキャンペーン「WOW! TOKYO」を行っています。10月は「FALL FOR ARTS」をテーマに、アートを身近に感じられる企画を実施しました。そのひとつとして、「カタストロフと美術のちから展」ともコラボレーション。森美術館を貸し切りにし、キュレーターがじっくりと作品を紹介するアートピクニックを行いました。
開催したのは10月23日(火)。180名近くの応募から選ばれた28名が参加。森美術館キュレーター・近藤健一のガイドで、作品を鑑賞しました。
トーマス・ヒルシュホーン《崩落》
入ってすぐに私たちを待ち受けるのは、崩れ落ちた建物を再現した作品『崩落』(トーマス・ヒルシュホーン(1957年スイス、ベルン生まれ、パリ在住)。その原因が、戦争なのか自然災害なのかは明らかにされていませんが、日常が崩壊した衝撃が感じられる作品です。
東日本大震災に見舞われた町の写真や、阪神・淡路大震災をテーマにした絵画など、展示は続いていきます。『原子爆弾』(ミリアム・カーン)は、初見だと美しい抽象画に見えますが、解説を訊くと“きのこ雲”であることがわかります。近藤さんは、「人の脳は一度“それ”だと認識すると、もうそれにしか見えないのです」「また、この作品には、原爆実験の様子を美しいと感じてしまった作家の複雑な思いが込められています」と解説しました。
ミロスワフ・バウカ《石鹸の通路》
清潔感のある香りが漂うのは『石鹸の通路』(ミロスワフ・バウカ)。石鹸は、生まれたばかりの赤ちゃんを洗うこともあれば、遺体を洗うこともある、生と死のメタファーです。作者はポーランド生まれのため、アウシュヴィッツ強制収容所で多くの命を奪った「シャワー室」に行く前に手渡されたの意味も込められています。話を聞いてから作品内を通ると、ぞくっと震えが走ります。近藤さんによると、本展で使用された石鹸は、とあるドラッグストアのPB製品なのだとか。意外な裏話も交えながら、アートピクニックは進んでいきます。
ヒワ・K《鐘》
ヒワ・Kの『鐘』は、イラクで集めた武器を溶かして制作されたもの。通常は展示のみですが、この日は特別に鳴らすことに。平和を願う深い鐘の音に、参加者は静かに耳を傾けました。
オノ・ヨーコ《色を加えるペインティング(難民船)》
展覧会の最後を飾るのは、オノ・ヨーコによる『色を加えるペインティング(難民船)』。白、黒、青のクレヨンを用いて観客がペインティングすることで“完成”する作品です。今回のアートピクニックの参加者も、思い思いに平和への願いを刻み込みました。
多くのアーティストたちが、さまざまな「カタストロフ」を芸術作品という形で語り継いできました。客観性が重視される報道とはまた違った形で、私たちの胸を揺さぶる展覧会です。解説を聞きながら観賞するアートピクニックは、よりいっそう理解を深める、貴重な機会となりました。
「カタストロフと美術のちから展」は、2019年1月20日(火)まで六本木ヒルズ・森美術館にて開催しています。詳しくは森美術館の公式サイトをご覧ください。
【開催情報】
「カタストロフと美術のちから展」
・会期:2018.10.6(土)~ 2019.1.20(日)
※会期中無休
・開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし2019年1月1日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
・料金
一般:1,800円
学生(高校・大学生):1,200円
子供(4歳~中学生):600円
シニア(65歳以上):1,500円
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