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「言葉の皮膚感覚」とは? アニメ『ペンギン・ハイウェイ』脚本・上田誠が語る

「言葉の皮膚感覚」とは? アニメ『ペンギン・ハイウェイ』脚本・上田誠が語る

J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)。9月7日(金)のオンエアでは、「ヨーロッパ企画」主宰で劇作家の上田 誠さんを迎え、「演劇のイノベーション」をテーマにトーク。台詞で気をつけていることを伺いました。


■「僕はクラス30人中の17位くらい」

「ヨーロッパ企画」は今年で20周年を迎える人気劇団です。劇団の運営をおこないながら、最近では脚本家としても活動。森見登美彦さん原作のアニメ『ペンギン・ハイウェイ』の脚本を担当しました。活躍する上田さんですが、コンプレックスがあると話します。

上田:自分では、好みがニッチというか、メジャーなところになかなかハマっていけないのが、すごくコンプレックスです。
川田:それは作家をはじめてから、今もですか?
上田:今もです。ずっとそう。生まれながらにしてモテてる人とかいるじゃないですか? クラスで1番人気、2番人気みたいな。
川田:それは、何もしなくても人気が出てる人のことですか?
上田:そうそう。僕は全然、クラス30人中の17位くらいだったと自覚しています。そういう思いがあるから、自分が少しでも響けるところのことは、いろいろ取りに行かないと死活問題だなと思っています。

上田さんは、『来てけつかるべき新世界』で、2017年に「第61回岸田國士戯曲賞」を受賞。ほかにも、「ダイナマイト関西2010 third」(大喜利王決定戦)で優勝、「第14回文化庁メディア芸術祭」でシリーズ構成・脚本を担当したアニメ『四畳半神話大系』がアニメーション部門で史上初のテレビアニメによる大賞を受賞するなど、多くの賞を受賞しています。しかし、あまり変化は感じないとか。

上田:たとえば、「岸田國士戯曲賞」を取って演劇の世界からは多少注目してもらえるようになりましたけど、その人たちが「ダイナマイト関西」っていう大会自体を知らないとか、アニメ自体を観てないとか……。逆もあります。アニメの人が演劇の賞を全然知らないとか。その壁は越えがたいんですよ、実は。
川田:そうなんですね。
上田:たまに越境している人に、すべての仕事をみてもらえると、めちゃくちゃ嬉しくなる。川田さんもそういう人として見てます。


■時代に合わせて台詞を調整する意味

上田さんの演劇を観た川田は、台詞が時代に合わせて変化していることを感じたと話します。上田さんによると……。

上田:微調整はしてますね。ちょっとした皮膚感覚が変わっていくから。それこそ10何年前と今で、フェミニズム的な考えやコンプライアンス的なことって、皮膚感覚から変わっていますよね。「肩こり」って言葉が流通すると肩こりが蔓延するみたいなもので、「コンプライアンス」って言葉が蔓延すると、コンプライアンス意識が人類レベルで上がる。たとえば、物を盗むキャラクターとかいるんですけど、物を盗んで帰ってきたという笑いに対して、細胞1個分の抵抗を感じる……みたいなことがあるんです。そこは本当に命がけでやらないと、皮膚感覚レベルで拒否されるってことがあるから。

上田さんの作品を観るときは、考え抜かれた台詞も楽しんでみてください。

【番組情報】
番組名:『INNOVATION WORLD』
放送日時:毎週金曜日22時-22時55分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/innovationworld/

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