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才能の見抜き方は…『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』を手がけた編集者・佐渡島 庸平が語る

才能の見抜き方は…『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』を手がけた編集者・佐渡島 庸平が語る

J-WAVEで放送中の番組『TRUME TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。8月4日(土)のオンエアでは、株式会社コルクの代表取締役社長を務める編集者の佐渡島 庸平さんをゲストにお迎えし、同社の活動や、才能の見抜き方などについてお話を伺いました。


■漫画が世界基準になるように

大手出版社時代に編集者として、『ドラゴン桜』『働きマン』『宇宙兄弟』といった大ヒット漫画を次々と手がけた佐渡島さん。2012年に株式会社コルク(以下「コルク」)を立ち上げ、クリエイターと直接エージェント契約を結ぶ傍ら、ファン・コミュニティの育成に精力を傾けています。

市川:コルクはどのような活動をしているのでしょうか。
佐渡島:ほとんどのタレントは、どこかの事務所に所属していますよね。でも、日本だと作家は所属する事務所が存在せず、全て直接出版社と仕事をしていました。ただ、世界的に見ると作家はエージェント会社に所属することが一般的。日本だけその仕組みではなかったんです。日本の作家が海外にあまり進出していない理由に、言語の壁があるにせよ、その仕組みが違うこともあるのでは、と思いました。日本は漫画が世界的に有名だという声もありますが、実際はアニメが有名なんです。
市川:そうですよね。
佐渡島:本当に漫画が読まれていない状況で、それがすごくもったいないと思って。「漫画が世界基準になるように、エージェント会社を作ろう」と考え、講談社から独立しました。

これまでの時代は、ほとんどの作家は出版社以外に契約を結ぶことがありませんでした。それならば、作家と出版社が直接契約するかたちで問題ありません。しかし、インターネットでさまざまな仕事をすることになると、それらを一括管理して、ある種の戦略を練る人が必要になります。その役目として存在するのがコルクです。

市川:コルクはコミュニティ・プロデューサーを育成する「コルクラボ」も運営されているそうですが。
佐渡島:僕は作家ごとにファン・コミュニティを育てたいと考えていました。でも、「どういうふうに、ファン・コミュニティを育てればいいか」がわからなかったので、一度実験的にコルクに興味がある人を中心に集まってもらい、「コミュニティを学ぶコミュニティ」としてつくったコミュニティです。
市川:結果、どのようなコミュニティを見いだしましたか。
佐渡島:「コルクラボ」は現在、200人ほどが参加しています。その人たちが独自でいろんな企画を立てて、遊んだりしているんですよ。それが楽しくて。さらに、お互いでツイッターを教えあったり、ブログを書き合ったりと切磋琢磨していると、月に数人の仲間がバズったりしているので、それも楽しかったりします。

多くの人はツイッターを、自分が何か気が向いた時につぶやく道具として使っています。そのツイッターをメディアにするためには、スケジュールを決めて、自分たちの個性が出るような企画を立案することが重要、と佐渡島さんは話します。

佐渡島:SNS上でも同じような使い方をしていくと、個人メディアが立ち上がり、継続していると、そこを楽しむファン・コミュニティが生まれていきます。


■才能を判断する「感情への観察力」

ヒット作を次々と手掛けてきた佐渡島さん。才能の見抜き方について、こう話します。

佐渡島:いちばんは観察力です。結局、物語は人の感情をストーリーで伝えるものだと思います。うれしい・悲しい・怒っているという、わかりやすい感情を描くのは楽じゃないですか。そうではなくて、目盛りでいうと0、5、10ではない、8とか9の表情を描いたりしているかどうかを見るわけです。すごく絵が下手でも「この悔しいときの表情がうまいな」とか「ちょっとしたときの悔しさをうまく描いているな」と思えば、その観察力がある人にうまいお題を出します。結果、「面白い物語を描ききるな」と思うんですよね。感情への観察力があるかどうかですね。


■グッズで作品世界にトラップさせる

これから読者の消費行動はどのように変化していくのでしょうか。

佐渡島:今まで本は読んで終わりでした。でも、本の世界をより深く感じることができればいいなと思っていて、この先は作品の世界観をより味わえる体験などが重要になってくると考えています。例えば、『宇宙兄弟』はTシャツなど、いろいろな商品を作ることによって、より作品の世界観を感じられるようにしたいと思っています。

『宇宙兄弟』関連で成功した商品は「絵名の惑星ヘアピン」。「絵名」というキャラクターが妹にヘアピンをもらうエピソードをもとに作られた商品です。

佐渡島:好きな本だとしても読むのは2、3回で、何十回も読むことってあまりない。でも、そのヘアピンを通して宇宙兄弟の「絵名」の気持ちは何十回も再体験できる。そうすると、より『宇宙兄弟』の作家・小山宙哉の考えている世界観がわかってくるわけです。僕としては、作品の世界にトリップするようなきっかけとなる道具を生みだしていきたいなと思っています。


■クリエイターにとってのよりよい仕組みを

最後に佐渡島さんに今後の目標を伺うと、「大きな社会の枠組みを、よい方向へ変えたい」と話します。

佐渡島:今、エンターテインメントの全体の仕組みは大きく変わろうとしているので、多くのクリエイターにとってのよい仕組みを、コルクを通じて実現したいですね。無限にやることがあり、その中でどれが正解かがわからないだけであって、必ず正解はあると思ってやっています。ただ、正解は複数あると思うので、たくさんトライすることに限ると考えています。

自分たちの正解に向かってトライし続ける。この先、佐渡島さんはどのような新しい取り組みを見せてくれるのか。これからの活躍も楽しみですね。

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【番組情報】
番組名:『TRUME TIME AND TIDE』
放送日時:毎週土曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/timeandtide/

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