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日本の「オーガニック市場」は1兆円以上の“伸びしろ”がある…課題になっていることは

日本の「オーガニック市場」は1兆円以上の“伸びしろ”がある…課題になっていることは

J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「ZOJIRUSHI MORNING INSIGHT」。6月7日(木)オンエアでは、オイシックスドット大地株式会社の会長、藤田和芳さんをお迎えして、オーガニックの世界に注目しました。


■オーガニックの世界を広げたい

藤田さんは、オーガニック食材・宅配サービス「大地を守る会」を立ち上げ、社会起業家として活躍。日本のオーガニック市場のパイオニアです。昨年10月に「大地を守る会」と「オイシックス」が経営統合。社名も「オイシックスドット大地」になりました。

「大地を守る会」はおよそ43年の歴史がある一方、オイシックスは2000年に設立。歴史のある会社と、若くて勢いのある新生な会社が一緒になって、新しい有機農業の世界、オーガニックの世界を今まで以上に広げていきたい、という思いで、経営統合に踏み切ったそうです。

別所:きっかけは?
藤田:農薬や化学肥料を使わないような畑や田をもっと広げたい。また、お客様の数をどんどんを増やすことで、環境問題にもよい結果を生むと思ったんです。そのためには、“持続可能”ではないといけません。あらゆる組織が持続可能になるには、伝統的なものだけではダメだし、新しいものだけでも弱さがあります。そのふたつが合わさるといいんじゃないか……ということで、オイシックスの高島(宏平)社長と「我々が次の世代につなげるために、一緒になろう」と話し合いました。
別所:素晴らしいですね!

経営統合したことで、お互いの短所を補うことができたそうです。

藤田:大地を守る会は、生産者のネットワークは強い反面、インターネットの活用は少し遅れていて、若いお母さんたちに対する訴求力も弱いところがありました。オイシックスは勢いがあるものの安定感に欠ける、若いお母さんたちには訴求力はあるものの、40代から60代のお母さんたちの支持が足りませんでした。お互いの強みと弱みが合致したというわけです。


■新たな流通ルートの開拓を

大地を守る会が設立された40年前は、無農薬の技術が足りなかったこともあり、虫に食べられたり、見栄えがよくないものもあり、そういったものはスーパーマーケットや市場ではほとんど相手にされない時代だったとか。

藤田:農家の人たちは、そういう農産物を作っても買ってくれるところがないんです。お母さんたちが、アトピーに悩まされているお子さんがいたり、病気を抱えている家族に安全なものを食べさせたいと思っても、無農薬の野菜が街に出ない状況でした。そういった中で、生産者と消費者の距離を縮めて、普通のルートではない形で生産者に届ける方法を編み出さなければなりませんでした。

今でこそ、オーガニックについては知られていますが、40年前は開拓が難しかったようです。


■課題は意外なところに

別所:海外と比べると、日本のオーガニック市場はどのようにみえるんですか?
藤田:日本のオーガニック市場は、およそ1400億円といわれていますが、アメリカは4兆8000億円ぐらいの市場で、ドイツもおよそ1兆円、フランスも8000億円ぐらい。成長率も12%や15%ぐらいの成長を遂げています。日本は人口のレベルや消費者の意識を考えると、こんなレベルではないはずなんです。1兆4000億円ぐらいのマーケットになってもいいくらいの条件は整っているのに、なかなか成長ができなかったのは、いろいろな日本のオーガニック市場の中に、まだまだ足りない部分があると思いました。
別所:障壁や課題はあるんですか?
藤田:日本は温暖多湿で雑草も生えやすく、虫も病気も出やすい。欧米は乾燥地帯なので、オーガニックや有機農業をやる環境は日本よりもやりやすい状態です。さらに、JAS法、有機農産物の表示に関する法律がありますが、温暖多湿の中で雑草や虫と戦う農家にとっては、欧米と同じレベルではなかなか難しいです。法律的な限界のようなものもあって、有機農法農家が積極的に取り組むことができません。国の支援もまだまだまだ足りないと思います。
別所:そうなんですか。
藤田:もう一つは買いやすい条件が、日本ではなかなか整っていないんです。そういうところの立ち遅れが、弱さになっているのではないかと思います。


■電気を消して考える

藤田会長は農業や環境問題にも積極的に取り組んでいて、2003年に始まった『100万人のキャンドルナイト』の呼びかけ人の一人でもあります。今年も6月16日(土)に増上寺で開催されます。

別所:きっかけはどういったことでしょう?
藤田:アメリカにブッシュ政権ができたときに、エネルギー政策の転換があったんです。それまでは原子力発電所はやめようとしていたけど、政権が変わった途端に1ヶ月に1ヶ所は原子力発電所を設けようということになりました。そこで、アメリカやカナダのNGOが抗議して、電気を消すという運動をやったんです。
別所:なるほど。
藤田:それを日本で見ていて、電気を消す運動のやり方は面白いと思いました。原発をやめろということではなくても、新しい社会を作っていくときに、できるだけ多くの人々の心の中に強いインパクトを与えるような方法は魅力があると思い、日本でもやってみようと思ったんです。しかも「原発をやめるため」とか「戦争反対のため」とか、そんなことを上から言うのではなくて、参加する人が”自分が電気を消す”という思いの中に、子どものためにいい社会を作りたいとか、そういうことを考えながら電気を消すことができたらと思って考えました。


『100万人のキャンドルナイト』では「大地を守る会」の主催で「生産者による農家ごはん講座」が開催。また、別所が主宰する「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」とのコラボレーションも行われます。

藤田さんは「電気を消すという中で人々が繋がっていく、普段は見えないものがろうそくの光だと見えてくるという、小さな自己決定の連続が社会を変えていくものだということを『100万人のキャンドルナイト』の中で実現したいんです」と語りました。どうぞ、参加してみてください。

次回、11日(月)は、日本最大級のフードトラック・プラットフォームTLUNCHを運営する株式会社mellow代表の柏谷泰行さんが登場します。どうぞ、お楽しみに!

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【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時ー9時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/index.html

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