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まるで本物の金魚! 樹脂で立体的に描いていく美術作家・深堀隆介の作品

J-WAVEで放送中の番組『TRUME TIME AND TIDE』(ナビゲーター:市川紗椰)。5月12日(土)のオンエアでは、美術作家・金魚絵師の深堀隆介さんをお迎えし、日々の活動についてお話を伺いました。


■樹脂を入れた瞬間、金魚が「生まれる」

スタジオに代表作『金魚酒』を持ってきてくれた深堀さん。市川が「インターネットで見たことはあったんですけど、生で見ると違いますね。金魚の匂いさえしてきそう」と語る、リアルな作品は、木の枡の中に金魚の絵が描かれていて、そこに透明な樹脂を流し込み、水を表現しています。



深堀:透明樹脂という、最初はドロドロの水飴のような状態なんですけど、2日経つと固まる素材を使います。器のなかに透明樹脂を流し込んで、2日待って、固まった表面に直接絵を描いていくという技法なんです。最初は1センチ程度で重ねていくんですが、金魚の体の部分によっては2、3ミリくらいで、だんだん薄くしてみたり、秘密があるんです。厚さは自分の入れ加減です。
市川:できあがるまで、どのくらいかかりますか?
深堀:だいたい一合升で2カ月くらいですね。
市川:どの角度からみても見事な立体ですね。これは計算してあるんですか?

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深堀:計算というほどカッコイイものじゃないんですけど、感覚ですね。コンピュータは、CTスキャンとかを使って、計算して稜線を立体的にやると思います。僕は、もっと脳みその感覚で描いていきます。ある程度「立体になってるな」と思っても、反対側から見たときにズレている場合もあるんです。そこが人間だなと思うのは、どこから見ても立体的にみせるように脳が矯正しながら描くというか、それがコンピュータにはできない僕の強みだと思うんです。
市川:この、さっきすくい上げた金魚を入れたかような……。
深堀:それがこの技法の最大の特徴で、命が宿ったような不思議な感覚になる。表面に描いているときは、絵の具の厚みとかでボコボコなんですよ。樹脂を入れた瞬間に全てがフラットになるというか、水の中に入ったようになる。絵が急にひとつの塊になる、金魚が生まれるような不思議な瞬間があるんです。それがたまらないです。


■金魚以外を扱うと「浮気」に?

樹脂を扱う工房で働いていた経験を持つ深掘さんは、再び樹脂という素材にヒントを求め、この技法を生み出したと言います。

深堀:僕は、金魚に哲学のようなものを見出したんです。「これをやれ」という啓示があったように感じて、浮気ができない。他の生物をやると、樹脂作家というか、クラフトマンになっちゃうんですよ。そういうことじゃなくて、金魚は僕にとってラーメン屋さんのラーメンであり、お寿司屋さんのお寿司であり、歌手の歌であるので、モチーフではないんですよ。ひとつのモチーフではなく、僕の表現方法の武器でもあり、言葉でもある。金魚というフィルターを通して言えば、僕という人間も表現できるし、みんなが面白がってくれる。これだったら世界に訴えていけるということを見つけたということです。

深堀:それがちょうど18年前なんですけど、すごいスランプがありまして、「もうやめよう」と思っていたときに、飼っていた金魚に目がいくんです。ブクブクと「ああここに答えがあった」と一瞬できました。

金魚の名産地である愛知県弥富市出身の深堀さんは、「金魚は品評会などがある難しい世界」と敬遠していた幼年期を振り返ります。

深堀:釣りは好きでした。水面から下に憧れがあるんです。水面が境界線で、僕たちは水中では息ができない。「なんでだろう?」と子どもの頃から思っていて、卒業文集には「エラが欲しい」とか書いているんですよ(笑)。人間から見たら水の中は死の世界ですけど、魚たちからすると釣り上げた瞬間に身動きがとれなくてバタバタして死んでしまう死の世界になる。「そこを行き来できないものだろうか?」と、子どもの頃に釣りをしながら感じていました。「潮だまり」という、磯に潮が溜まっているところに釣れた魚を入れると生かすことができて、「彼らにとってはここが生きるスペースなんだな」と思って、その感覚が今の作品にも実は活かされていて、彼らの世界の切り抜きなんですよね。

■目標は「ロケットの表面に金魚の絵を」

コンピュータが発展し、デジタルアートなどが登場するなか、深堀さんはアートについて以下のように話します。

深堀:僕のような手作業も、新しい道というか、逆行というか、もっと進んでいくと思います。「描くとは何か」とか。今は4D映画で匂い、振動、音などがあるけど、昔の人は本を読むだけでその状況を思ったり、浪曲や落語などでその情景を思ったり、イマジネーションが豊富でした。今の人は与えられすぎて、考える事を忘れているのかなって思います。そういう意味で、また手で描くとか、単純なものも再評価されてくるんじゃないかなという感覚があるんです。だからもっとイマジネーションが広がる子が育ってほしいと思っています。

美術作家としての目標について、ロケットの表面に金魚の絵を描いて飛ばしたいと明かしてくれた深堀さん。アートを通じた金魚への愛と追求は、まだまだ続きそうです。

深堀さんの展覧会「金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋」は、7月7日(土)?9月2日(日)平塚市美術館、9月15日(土)?11月4日(日)刈谷市美術館で開催されます。リアルな金魚の世界を、ぜひ目で確かめてみてください!

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【番組情報】
番組名:『TRUME TIME AND TIDE』
放送日時:土曜 21時?21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/timeandtide/

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