J-WAVEで放送中の番組「Koh Gen Do WORDS ALIVE」(ナビゲーター:安藤桃子)。3月9日(金)のオンエアでは、「敬語」をテーマに、日本で敬語が発達した理由や正しい使い方に迫りました。
■「英語には尊敬語や謙譲語がない」って本当?
安藤は、イギリスに住んでいた経験から「(イギリス英語だと)敬語ではないですが、階級社会なので、喋り方や発音が違う」と言います。英語と日本語の敬意を表す言葉の違いとは、どのようなものなのでしょうか? 昭和女子大学グローバルビジネス学部教授・岸山 睦さんにお話を伺いました。
岸山:英語には丁寧語はありませんが、丁寧表現はあります。一般的に、(文章が)長ければ長いほど丁寧になります。英語ではよく「The longer, the politer.」と言います。この種の表現は、英語学関係でも研究の対象となっており、よく「politeness(ポライトネス)」の研究などと言います。日本語でも「窓を開けて」という表現から「窓を開けていただけませんか?」とすれば、だんだん丁寧になっていきますね。
その他にも、相手の威厳や位へ敬意を表するため「Majesty(閣下)」などの表現が使われるそうです。とはいえ、もともと英語は平等を重んじる言語で、大統領であっても「you」と表現するように、基本的に上下を区別しないため、日本語の敬語ほど多様さはないとか。岸山さんは、日本で敬語が発達した理由を以下のように話しました。
岸山:日本の場合はやはり、年長者を敬う社会であるということで、そういった表現が自然に生まれたのだと思われます。また、その複雑さが日本語の豊かさにも繋がっているんじゃないかと思います。
■「させていただく」の正しい使い方とは?
「させていただく」の使い方は、安藤も場面によっては違和感を覚えると言います。東京大学日本語教育センター教授・菊地 康人さんにお話を伺いました。
菊地:「これがどうして使われるようになったか」という、根っこの部分はわりとはっきりしています。それは日本語が「恩恵を受けることに対して、鋭敏な言語」だからなんですね。相手の持っているものを使いたいときに、「すみません。これを使わせてはいただけないでしょうか?」というのは、「相手のお許しを得て使わせてもらう、それが私にとってありがたい恩恵を受けることになる」ということ。
一方、街でよく見かける「本日、休業させていただきます」といった表現は、相手の許可を取っているわけではなく、むしろ「勝手に休んでいる」と言えるので、「させていただく」の本来の使い方ではないそう。しかし、この使われ方についても、日本語独特の感覚が関係していると、菊地さんは以下のように説明しました。
菊地:お許しを得て「恩恵を得させていただきます」っていう気持ちなんでしょうね。そういう風に恩恵を受けると「見立てる」。日本語は「恩恵」も好きですし、「見立て」も得意ですから。そうやって「させていただく」というのは、どんどん広がってきたということなんだろうと思うんです。
最後に、菊地さんは言葉への感じ方には個人差があるとした上で、「言葉は変わっていくものなので、今は変でも将来的には普通の使い方に変化していく可能性がある」と語りました。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:「Koh Gen Do WORDS ALIVE」
放送日時:金曜 24時-24時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/wordsalive/
■「英語には尊敬語や謙譲語がない」って本当?
安藤は、イギリスに住んでいた経験から「(イギリス英語だと)敬語ではないですが、階級社会なので、喋り方や発音が違う」と言います。英語と日本語の敬意を表す言葉の違いとは、どのようなものなのでしょうか? 昭和女子大学グローバルビジネス学部教授・岸山 睦さんにお話を伺いました。
岸山:英語には丁寧語はありませんが、丁寧表現はあります。一般的に、(文章が)長ければ長いほど丁寧になります。英語ではよく「The longer, the politer.」と言います。この種の表現は、英語学関係でも研究の対象となっており、よく「politeness(ポライトネス)」の研究などと言います。日本語でも「窓を開けて」という表現から「窓を開けていただけませんか?」とすれば、だんだん丁寧になっていきますね。
その他にも、相手の威厳や位へ敬意を表するため「Majesty(閣下)」などの表現が使われるそうです。とはいえ、もともと英語は平等を重んじる言語で、大統領であっても「you」と表現するように、基本的に上下を区別しないため、日本語の敬語ほど多様さはないとか。岸山さんは、日本で敬語が発達した理由を以下のように話しました。
岸山:日本の場合はやはり、年長者を敬う社会であるということで、そういった表現が自然に生まれたのだと思われます。また、その複雑さが日本語の豊かさにも繋がっているんじゃないかと思います。
■「させていただく」の正しい使い方とは?
「させていただく」の使い方は、安藤も場面によっては違和感を覚えると言います。東京大学日本語教育センター教授・菊地 康人さんにお話を伺いました。
菊地:「これがどうして使われるようになったか」という、根っこの部分はわりとはっきりしています。それは日本語が「恩恵を受けることに対して、鋭敏な言語」だからなんですね。相手の持っているものを使いたいときに、「すみません。これを使わせてはいただけないでしょうか?」というのは、「相手のお許しを得て使わせてもらう、それが私にとってありがたい恩恵を受けることになる」ということ。
一方、街でよく見かける「本日、休業させていただきます」といった表現は、相手の許可を取っているわけではなく、むしろ「勝手に休んでいる」と言えるので、「させていただく」の本来の使い方ではないそう。しかし、この使われ方についても、日本語独特の感覚が関係していると、菊地さんは以下のように説明しました。
菊地:お許しを得て「恩恵を得させていただきます」っていう気持ちなんでしょうね。そういう風に恩恵を受けると「見立てる」。日本語は「恩恵」も好きですし、「見立て」も得意ですから。そうやって「させていただく」というのは、どんどん広がってきたということなんだろうと思うんです。
最後に、菊地さんは言葉への感じ方には個人差があるとした上で、「言葉は変わっていくものなので、今は変でも将来的には普通の使い方に変化していく可能性がある」と語りました。
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