お笑いコンビ・令和ロマンの髙比良くるまが、来年5月に開催する神奈川・Kアリーナ横浜での単独ライブや、ドローン500機を使った「ドローン漫才ショー」の裏話、またステージの扉を開いた「突破ストーリー」を語った。
髙比良が登場したのは、12月14日(日)放送のJ-WAVE『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』(ナビゲーター:ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文)の「FROM THE NEXT ERA」。さまざまなジャンルのイノベーターを迎え、トークセッションを繰り広げるコーナーだ。
『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』は、「新しい時代」を築く“イノベーションの種”を探求するプログラム。ナビゲーターは、第1週・真鍋大度、第2週・後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、第3週 のん、第4週 小橋賢児が週替わりで担当している。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。
・ポッドキャストページ
後藤:Kアリーナはめちゃくちゃデカいですよ。
髙比良:めちゃくちゃ大きいですよね。観に行かせていただきました。
後藤:コントと漫才とか、漫才だけなんですか?
髙比良:基本、漫才をやるライブと映像みたいな感じですね。いま、初めて内容を言いました。
後藤:話芸にとっては音響って音楽以上に大事ですよね、何を言ってるかわからないから。そういう意味では、Kアリーナってけっこう響きがいい場所なんですよ。音がワンワンしないというか。
髙比良:っていうのを踏まえて会場を決めたというか。もともと僕らは単独ライブをやるのが好きじゃなくて。若手芸人って毎月のように単独ライブをやったりするものなんですけど、僕らは2年目に単独ライブをやって「ちょっともういいかな」ってなっちゃって。いっぺんにたくさんネタをやるじゃないですか。あれが向いてなくて。多くて3本くらいしか楽しくできないなってなりまして。
後藤:飽きてくるんですか?
髙比良:飽きてくるというか、たとえば6本やったとしても3本くらいしかいいのができないというか。クオリティがつなぐための3本になっちゃうなって。僕らはですけど。あと、表現したい世界観とかテーマもないので、ゲストを呼んで何組かで毎月ちょっとずつライブをやっていたんです。だから、今回のようなものはやるつもりはなかったんですけど、やっているラジオ番組のスタッフの方から「どこかでイベントやりませんか?」「Kアリーナって音がいいらしいですよ」って言われて、そのときにひらめいて、さっきおっしゃったように大きなライブってあんまり音のことは考えられてなくて。
髙比良は、音楽の音響を専門にしている人は数多くいる一方で、お笑いに特化した音響の担当者はそれほど多くないと語る。
髙比良:大きいところでやると音楽用になっちゃうみたいなことが多くて。しゃべるとワーンって響くんですけど、自分も出たことがある2,000〜3,000キャパくらいになるとお客さんに「何を言ってるかわからない」って言われることが多かったので、「これはやる意義があるんじゃないか」と思って。Kアリーナで音響さんとかを揃えてやってみたら、今後みんながこのキャパで単独ライブができるようになったら楽しいかなってイメージでKアリーナでやらせてもらうことにしました。
後藤:実験でもありますよね。実際にKアリーナが漫才に適しているかって。
髙比良:そうなんです。遠い席だと顔とかで笑わせられないじゃないですか。モニターとか出すつもりですけど、なるべく面白いことを言わなきゃいけないのが面白いなと思って。大変だなと。
後藤:くるまさんって動きも相まって面白いじゃないですか。それもあの距離で伝えなきゃいけないってことですからね。
髙比良:すごく大きく動かなきゃいけないのかなって。肩とか脱臼しながら(笑)。
髙比良:たまたま知り合ったドローンの会社の社長がいて、「ドローン飛ばそうよ」みたいになって。それ、やったことないなって。フリップ芸ってあるじゃないですか。そういう感じで、僕が僕でいるんじゃなくて、でっかい僕として打ち上がって、相方の松井ケムリは屋外で待たせて、ドローンが登場するみたいな。ドローンを使って、なるべくくだらないことをしようと思って(笑)。
後藤:面白い(笑)。Kアリーナにせよ、そういうことにせよ、変わったことをしたいっていう思いはあるんですか?
髙比良:そうですね。変わったことというか、いままで人がやってないやつとかをやったほうが意味があるかなって。自分のなかにまったくアーティスト性がないので、ふたりともなんですけど。「これが俺たちの」とかまったくないので、だから突き詰めたいこととか何もないんです。でも、これをやったら可能性が広がって、それに誰かが続いていったら、まぁ自分たちの存在理由かなみたいな思想なので、「何か起きてくれ」ってやってる感じですね。
後藤が、かつては「天下を取ってやろう」というような気概があった印象だが、そうした思いはいまも内にあるのかと尋ねると、髙比良は「全然ないですね。思ったことないです、まったく」と即答した。
髙比良:“天下系”の人たちはまだいらっしゃるので、その人にまかせても歴史が変わらないかなって。可能性が変わってないというか、僕らが目指して競い合ったところでどっちかが勝って終わりで、敗者の歴史はなく1本の筋道が通っていく感じと、違うことをしてそれが何かにつながっていったりしたほうが話として面白いかなって。
後藤:たしかに。表の街道しかないのはつまらないってことですよね。裏街道というか。
髙比良:せっかくあと何十年とかしか生きられないので、未来人とかから見たときに、「このお笑い衆は面白かったな」みたいに思ってもらったほうがいいかなって。モチベーションで言うと、それくらいなんですよね。
髙比良:「突破」って言いたいんですけど、壁を破った記憶がなくて。僕はずっと小さいころから人に流されて生きてきて、「あれやったら?」って言われたら、それをやるみたいな。だから、大学のときも「お笑いサークルに入れば?」って言われたから入って、「吉本に入れよ」って言われたから入って。だらだら流れてきたんですよ。でも、自分のなかでは「人生が進んでるな」くらいに手応えがあったんですけど、コロナで2020年に緊急事態宣言がバンって出たときに、人から流されるんじゃなくて、自分で頑張らなくちゃいけなくなるじゃないですか。
後藤:そうですよね。
髙比良:そのときにピタッと自分が止まったんですよ。自分が自分で進むモーターボートみたいな感じだったら、「俺は風をもらってただけ」だったんだってめっちゃ絶望して。芸人でいうと、そのときは劇場での公演がなくなったから、アーティストの方もライブがなくなったから、違う発信をするわけじゃないですか。「うちで踊ろう」的なことだったり、芸人だとギャグをSNSにあげましょうみたいな。でも、自分にそういう気概がまったくなくて。「え、俺ないんだ」と思って(笑)。いざ、そうなったらそっち側になると思ってたんですよ。
後藤:モーターがなかったんですね。
髙比良:あ、ないんだ、って。
その後、髙比良は「まったくやりたくない。面倒くさい」と、家でボーッとしていたと当時を振り返る。
髙比良:ライブもないからネタも作らない。そうしてるときに、NHKのお笑いコンクールがあって「そこに応募しましょう」ってなって。でも、何も思い付かないから1年目のときのネタとか昔のネタを送ったら通っちゃって。でも、どんどんストレスで親知らずが爆発して、腫れて痛くて口が指1本分しか開かなくてフガフガしちゃったんですよ。こんなので絶対に勝てないじゃないですか。
後藤:何を言ってるかわからなくなりますよね。
髙比良:「これは負けだ」って思いながらステージに出て行くと、NHKの大会だったのでお客さんがおじいちゃん、おばあちゃんばっかりだったんですよ。それがコロナで、通常の10パーセントくらいしかいなくなったら、他の先輩方のめっちゃ面白くて早くて強い漫才が全然ウケてなくて。
後藤:なるほど。
髙比良:僕がフガフガゆっくりネタをやったら、ちょうどおじいちゃんと同じペースで「同世代じゃん」「聞こえやすい」ってウケて(笑)。それで奇跡的に優勝したんですよ。で、その直後に緊急事態宣言が解除されて、劇場とかに入って。バイトとかもコロナ禍でクビになってお金も何もない状態から、一気に優勝もしたし、いろんな劇場に出られるようになったのでお金も入ってきて、「え〜!? 俺、これでまた生きていけるんだ」みたいな。思わぬところから風が吹いてきて動き出して、いまに至るって感じです。だから、突破したというよりは風を受けようと思って、「もっと帆を出そう」って決めたのが2020年でしたね。
そんな髙比良が当時、勇気づけられた曲として思い出野郎Aチームの『同じ夜を鳴らす』を選曲。「コロナ禍でそういうことがあって、いろんな人の風を感じるような、僕のなかではそういう曲でした」と語った。
髙比良くるまの最新情報はX公式アカウント(@Ku_ru_ma__)まで。
豪華ゲストをお迎えしてイノベーションの種をお届けするJ-WAVE『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』は、毎週日曜23時から。
髙比良が登場したのは、12月14日(日)放送のJ-WAVE『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』(ナビゲーター:ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文)の「FROM THE NEXT ERA」。さまざまなジャンルのイノベーターを迎え、トークセッションを繰り広げるコーナーだ。
『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』は、「新しい時代」を築く“イノベーションの種”を探求するプログラム。ナビゲーターは、第1週・真鍋大度、第2週・後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、第3週 のん、第4週 小橋賢児が週替わりで担当している。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。
・ポッドキャストページ
実験的要素も!? Kアリーナ横浜で単独ライブが決定
2024年の『M-1グランプリ』で史上初の連覇を達成した令和ロマン。2026年5月16日(土)には神奈川・Kアリーナ横浜でコンビ史上最大規模の単独ライブ「RE:IWAROMAN」を開催する。後藤:Kアリーナはめちゃくちゃデカいですよ。
髙比良:めちゃくちゃ大きいですよね。観に行かせていただきました。
後藤:コントと漫才とか、漫才だけなんですか?
髙比良:基本、漫才をやるライブと映像みたいな感じですね。いま、初めて内容を言いました。
後藤:話芸にとっては音響って音楽以上に大事ですよね、何を言ってるかわからないから。そういう意味では、Kアリーナってけっこう響きがいい場所なんですよ。音がワンワンしないというか。
髙比良:っていうのを踏まえて会場を決めたというか。もともと僕らは単独ライブをやるのが好きじゃなくて。若手芸人って毎月のように単独ライブをやったりするものなんですけど、僕らは2年目に単独ライブをやって「ちょっともういいかな」ってなっちゃって。いっぺんにたくさんネタをやるじゃないですか。あれが向いてなくて。多くて3本くらいしか楽しくできないなってなりまして。
後藤:飽きてくるんですか?
髙比良:飽きてくるというか、たとえば6本やったとしても3本くらいしかいいのができないというか。クオリティがつなぐための3本になっちゃうなって。僕らはですけど。あと、表現したい世界観とかテーマもないので、ゲストを呼んで何組かで毎月ちょっとずつライブをやっていたんです。だから、今回のようなものはやるつもりはなかったんですけど、やっているラジオ番組のスタッフの方から「どこかでイベントやりませんか?」「Kアリーナって音がいいらしいですよ」って言われて、そのときにひらめいて、さっきおっしゃったように大きなライブってあんまり音のことは考えられてなくて。
髙比良は、音楽の音響を専門にしている人は数多くいる一方で、お笑いに特化した音響の担当者はそれほど多くないと語る。
髙比良:大きいところでやると音楽用になっちゃうみたいなことが多くて。しゃべるとワーンって響くんですけど、自分も出たことがある2,000〜3,000キャパくらいになるとお客さんに「何を言ってるかわからない」って言われることが多かったので、「これはやる意義があるんじゃないか」と思って。Kアリーナで音響さんとかを揃えてやってみたら、今後みんながこのキャパで単独ライブができるようになったら楽しいかなってイメージでKアリーナでやらせてもらうことにしました。
後藤:実験でもありますよね。実際にKアリーナが漫才に適しているかって。
髙比良:そうなんです。遠い席だと顔とかで笑わせられないじゃないですか。モニターとか出すつもりですけど、なるべく面白いことを言わなきゃいけないのが面白いなと思って。大変だなと。
後藤:くるまさんって動きも相まって面白いじゃないですか。それもあの距離で伝えなきゃいけないってことですからね。
髙比良:すごく大きく動かなきゃいけないのかなって。肩とか脱臼しながら(笑)。
いままで誰もやってないことをやることに意味がある
令和ロマンはKアリーナでのライブ開催を記念したプロモーションの一環として、9月に500機のドローンを使用した日本初の「ドローン漫才ショー」を実施し、話題となった。【緊急】祝31歳!令和ロマンくるま、史上最大の大生誕祭!
後藤:面白い(笑)。Kアリーナにせよ、そういうことにせよ、変わったことをしたいっていう思いはあるんですか?
髙比良:そうですね。変わったことというか、いままで人がやってないやつとかをやったほうが意味があるかなって。自分のなかにまったくアーティスト性がないので、ふたりともなんですけど。「これが俺たちの」とかまったくないので、だから突き詰めたいこととか何もないんです。でも、これをやったら可能性が広がって、それに誰かが続いていったら、まぁ自分たちの存在理由かなみたいな思想なので、「何か起きてくれ」ってやってる感じですね。
後藤が、かつては「天下を取ってやろう」というような気概があった印象だが、そうした思いはいまも内にあるのかと尋ねると、髙比良は「全然ないですね。思ったことないです、まったく」と即答した。
髙比良:“天下系”の人たちはまだいらっしゃるので、その人にまかせても歴史が変わらないかなって。可能性が変わってないというか、僕らが目指して競い合ったところでどっちかが勝って終わりで、敗者の歴史はなく1本の筋道が通っていく感じと、違うことをしてそれが何かにつながっていったりしたほうが話として面白いかなって。
後藤:たしかに。表の街道しかないのはつまらないってことですよね。裏街道というか。
髙比良:せっかくあと何十年とかしか生きられないので、未来人とかから見たときに、「このお笑い衆は面白かったな」みたいに思ってもらったほうがいいかなって。モチベーションで言うと、それくらいなんですよね。
流されるように生きてきた髙比良くるまの「突破ストーリー」
最後に、髙比良がいま活躍しているステージの扉を開いた「突破ストーリー」を語った。髙比良:「突破」って言いたいんですけど、壁を破った記憶がなくて。僕はずっと小さいころから人に流されて生きてきて、「あれやったら?」って言われたら、それをやるみたいな。だから、大学のときも「お笑いサークルに入れば?」って言われたから入って、「吉本に入れよ」って言われたから入って。だらだら流れてきたんですよ。でも、自分のなかでは「人生が進んでるな」くらいに手応えがあったんですけど、コロナで2020年に緊急事態宣言がバンって出たときに、人から流されるんじゃなくて、自分で頑張らなくちゃいけなくなるじゃないですか。
後藤:そうですよね。
髙比良:そのときにピタッと自分が止まったんですよ。自分が自分で進むモーターボートみたいな感じだったら、「俺は風をもらってただけ」だったんだってめっちゃ絶望して。芸人でいうと、そのときは劇場での公演がなくなったから、アーティストの方もライブがなくなったから、違う発信をするわけじゃないですか。「うちで踊ろう」的なことだったり、芸人だとギャグをSNSにあげましょうみたいな。でも、自分にそういう気概がまったくなくて。「え、俺ないんだ」と思って(笑)。いざ、そうなったらそっち側になると思ってたんですよ。
後藤:モーターがなかったんですね。
髙比良:あ、ないんだ、って。
その後、髙比良は「まったくやりたくない。面倒くさい」と、家でボーッとしていたと当時を振り返る。
髙比良:ライブもないからネタも作らない。そうしてるときに、NHKのお笑いコンクールがあって「そこに応募しましょう」ってなって。でも、何も思い付かないから1年目のときのネタとか昔のネタを送ったら通っちゃって。でも、どんどんストレスで親知らずが爆発して、腫れて痛くて口が指1本分しか開かなくてフガフガしちゃったんですよ。こんなので絶対に勝てないじゃないですか。
後藤:何を言ってるかわからなくなりますよね。
髙比良:「これは負けだ」って思いながらステージに出て行くと、NHKの大会だったのでお客さんがおじいちゃん、おばあちゃんばっかりだったんですよ。それがコロナで、通常の10パーセントくらいしかいなくなったら、他の先輩方のめっちゃ面白くて早くて強い漫才が全然ウケてなくて。
後藤:なるほど。
髙比良:僕がフガフガゆっくりネタをやったら、ちょうどおじいちゃんと同じペースで「同世代じゃん」「聞こえやすい」ってウケて(笑)。それで奇跡的に優勝したんですよ。で、その直後に緊急事態宣言が解除されて、劇場とかに入って。バイトとかもコロナ禍でクビになってお金も何もない状態から、一気に優勝もしたし、いろんな劇場に出られるようになったのでお金も入ってきて、「え〜!? 俺、これでまた生きていけるんだ」みたいな。思わぬところから風が吹いてきて動き出して、いまに至るって感じです。だから、突破したというよりは風を受けようと思って、「もっと帆を出そう」って決めたのが2020年でしたね。
そんな髙比良が当時、勇気づけられた曲として思い出野郎Aチームの『同じ夜を鳴らす』を選曲。「コロナ禍でそういうことがあって、いろんな人の風を感じるような、僕のなかではそういう曲でした」と語った。
思い出野郎Aチーム / 同じ夜を鳴らす 【Official Music Video】
豪華ゲストをお迎えしてイノベーションの種をお届けするJ-WAVE『TOPPAN INNOVATION WORLD ERA』は、毎週日曜23時から。
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2025年12月21日28時59分まで
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番組情報
- TOPPAN INNOVATION WORLD ERA
-
毎週日曜23:00-23:54
-
第1週:Rhizomatiks・真鍋大度 第2週:ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文 第3週:のん 第4週:小橋賢児
